3.3.2 複数系間の同時リセットの防止
複数スタンバイ構成またはクラスタ型系切り替え構成の場合に,系の同時リセットを防止する方法について説明します。
マルチスタンバイ機能を使用して,一つの実行サーバに対して複数の待機サーバを配置する構成では,複数系間の同時リセットを防止する必要があります。
リセットによって系の数が一定数以下になる場合に,リセットを抑止することもできます。リセットの抑止については,「3.3.4 系のリセットの抑止」を参照してください。
(1) 複数系間で,系の同時リセットが起こるおそれがある構成
3台以上の系がある構成では,監視パスのネットワーク構成機器の障害などで系が分断されると,分断された個々のネットワーク間で別々に系障害を検出し,結果としてすべての系がリセットされてしまうおそれがあります。
この問題を回避するために,系切り替え構成全体に属するすべての系でリセット発行順序を一意に定める必要があります。このリセット発行順序をリセット優先度といいます。リセット優先度は,HAモニタの環境設定で指定します。
複数系間で系の同時リセットが起こるおそれがある構成を,次に示します。
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すべての系がリセットし合う構成
監視パスの障害によってすべての系が同時に系障害を検出した場合,すべての系から同時にリセット要求を発行し,系を同時にリセットするおそれがあります。
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マルチスタンバイ機能を使用する構成
マルチスタンバイ機能を使用して,一つの実行サーバに対して複数の待機サーバを配置する構成では,複数の系で稼働するすべての待機サーバが,実行系の系障害を検出するため,複数系間でリセットし合うおそれがあります。
すべての系がリセットし合う構成を次の図に示します。
この図では,監視パスのすべてに障害が発生した場合,すべての系がリセットされる構成になっています。この場合,リセット優先度を指定しておくと,リセット優先度に従って,HAモニタがリセットする系とその順番を決定します。
(2) 必要な環境設定
HAモニタの環境設定のreset_typeオペランドで「host」を指定します。なお,マルチスタンバイ機能を使用する場合は,このオペランドの指定に関係なく,リセット優先度を基に系の同時リセットを防止します。
リセット優先度の詳細については,「4.2.3 複数の待機系がある場合の系のリセット」を参照してください。