3.3.1 系の同時リセットの防止
系の同時リセットとは,実行系と待機系の両方が同時に系のリセットをすることです。系の同時リセットが発生すると,両方の系が停止してしまい業務を継続できなくなるため,HAモニタは系の同時リセットを防止します。ここでは,系の同時リセットを防止する方法について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 系の同時リセットが起こるおそれがある構成
系切り替え構成や使用する機能によっては,実行系と待機系が同時にリセットをし合い,業務が停止してしまうおそれがあります。
特に,次の系切り替え構成では,実行系と待機系が同時にリセットされるおそれがあるため,どちらの系のリセットを優先させるかを決めておく必要があります。二つの系が同時に系障害を検出したとき,優先的にリセット要求を発行する系のことをリセット優先系といいます。
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相互系切り替え構成の場合
両方の系が実行系であると同時に,お互いの待機系であるため,リセット優先系を決めておく必要があります。ただし,マシンの機種がBladeSymphonyでSVPがクラスタ管理機能に対応している場合,リセット優先系を決めないで系の同時リセットを防ぐ方法も選択できます。クラスタ管理機能については,ハードウェア関連のドキュメントを参照してください。
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1:1系切り替え構成の場合で,待機系のリセットをするとき
待機系の障害時に,待機系のリセットをする場合は,両方の系が同時にリセットを発行するおそれがあります。そのため,リセット優先系を決めておく必要があります。待機系のリセットについては,「(2) 待機系のリセット」を参照してください。
系の同時リセットが起こるおそれがある構成を,次の図に示します。
図で示す構成では,二つの系が同時に系障害を検出した場合,両方の系から同時にリセット要求を発行し,系を同時にリセットするおそれがあります。
(2) 必要な環境設定
系の同時リセットを防ぐためには,リセット優先系を事前に決定しておきます。リセット優先系は,HAモニタの環境設定のcpudownオペランドに指定された内容に従って,自動的にHAモニタが決定します。デフォルトでは,実行系からのリセットを優先する設定になっています。
リセット優先系を決めないで系の同時リセットを防ぐためには,HAモニタの環境設定のcpudownオペランドに"system"を指定してください。この指定は,相互系切り替え構成の場合で,かつマシンの機種がBladeSymphonyでSVPがクラスタ管理機能に対応している場合だけ有効です。また,VMware ESXiで仮想化する場合は"system"を指定できません。
HAモニタが系の同時リセットを防止するときの動作の詳細については,「4.2.2 両系が障害を同時に検出した場合の系切り替え」を参照してください。