Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)(x86)編


4.1.1 HAモニタによるサーバの起動制御

ユーザは,サーバモードのサーバを,プログラムが提供する起動コマンドを実行することで起動します。また,モニタモードのサーバを,モニタモードのサーバ起動コマンド(monbeginコマンド)を実行することで起動します。

サーバ起動時には,HAモニタはサーバ対応の環境設定および他系のサーバの状態を確認した上で,サーバを実行サーバとして起動するか,待機サーバとして起動するかを決定します。ここでは,実行サーバと待機サーバの決定方法,および監視パスの障害などの理由で他系のサーバの状態が確認できない場合のHAモニタの動作について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 通常時の実行サーバと待機サーバの決定方法

通常,実行サーバと待機サーバの決定は,サーバ対応の環境設定のinitialオペランドで指定した起動種別および他系の状態を基にしてHAモニタが行います。実行サーバと待機サーバの決定方法を次の表に示します。

表4‒1 実行サーバと待機サーバの決定方法

他系の状態

サーバ対応の環境設定

実行サーバとして定義

待機サーバとして定義※1

実行サーバあり

起動処理中

待機サーバとして起動

待機サーバとして起動

実行処理中

待機サーバとして起動

待機サーバとして起動

停止処理中

起動不可※2

起動不可※2

待機サーバあり

起動処理中

実行サーバとして起動

起動不可※2

実行処理中

実行サーバとして起動

起動不可※2

停止処理中

実行サーバとして起動

実行サーバの起動待ち※3

連動系切り替え待ち状態※4

実行サーバとして起動

実行サーバとして起動

待機サーバから実行サーバへ系切り替え処理中

待機サーバとして起動

待機サーバとして起動

起動リトライ中※5

実行サーバとして起動

待機サーバとして起動

サーバなし(HAモニタ起動中)

実行サーバとして起動

実行サーバの起動待ち※3

サーバなし(HAモニタ停止中)

実行サーバとして起動※7

実行サーバの起動待ち※3

サーバの状態確認不可

リトライ処理※6

実行サーバの起動待ち※3

注※1 起動リトライ中の場合,実行サーバとして定義の動作となります。

注※2 サーバの起動を中止します。

注※3 他系の実行サーバの起動が確認できるまで待機サーバの起動を待たせます(実行サーバの起動待ち状態)。実行サーバの起動開始を確認できたら,待機サーバとして起動させます。

注※4 連動系切り替え待ち状態の詳細は,「4.4.1 連動系切り替え時のサーバの切り替え種別」を参照してください。

注※5 起動リトライ中の詳細は,「3.2.7 系切り替え時の起動リトライ」を参照してください。

注※6 他系や監視パスの障害によって,他系で起動しているサーバの状態を確認できない場合は,1分間だけリトライします。リトライしてもさらに確認できない場合は,他系の障害でサーバがないものと判断し,実行サーバの起動待ち状態にします。

注※7 接続構成設定ファイルで,pairを指定した系の状態を確認できない場合は,実行サーバ起動待ちの状態になります。

なお,障害発生によって,実行サーバとして定義されたサーバが再起動した場合は,実行サーバと待機サーバの決定方法が異なります。この場合については,「(2) サーバの再起動時の起動種別」を参照してください。

待ち状態のサーバを実行サーバとして起動したり,停止したりする方法については,「7.4.1 待ち状態のサーバを起動して業務を再開する」を参照してください。

(2) サーバの再起動時の起動種別

障害が発生したあとにサーバを再起動した場合,他系ではすでに実行サーバが稼働している可能性があります。このためHAモニタは,そのサーバが実行サーバとして定義されていても,他系のサーバの状態が確認できるまでは実行サーバとしては起動しません。他系のサーバの状態が確認できたら,HAモニタがサーバを実行サーバとして起動するか,待機サーバとして起動するかを決定します。

実行サーバとして定義されたサーバを再起動する際の起動種別の決定方法を,次の表に示します。

表4‒2 サーバ再起動時の起動種別の決定方法

他系の状態

サーバの起動種別※1

実行サーバあり

起動処理中

待機サーバとして起動

実行処理中

待機サーバとして起動

停止処理中

起動不可※2

待機サーバあり

起動処理中

実行サーバとして起動

実行処理中

起動不可※2

停止処理中

実行サーバの起動待ち※3

連動系切り替え待ち状態

実行サーバとして起動

待機サーバから実行サーバへ系切り替え処理中

待機サーバとして起動

サーバなし(またはHAモニタ停止中)

実行サーバの起動待ち※3

サーバの状態確認不可

実行サーバの起動待ち※3

注※1 サーバ対応の環境設定のinitialオペランドで指定した起動種別は,無視されます。

注※2 サーバの起動を中止します。

注※3 他系の実行サーバの起動が確認できるまで待機サーバの起動を待たせます(実行サーバの起動待ち状態)。実行サーバの起動開始を確認できたら,待機サーバとして起動させます。

待ち状態のサーバを実行サーバとして起動したり,停止したりする方法については,「7.4.1 待ち状態のサーバを起動して業務を再開する」を参照してください。