Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ kit for SAP HANA


3.2.6 HAモニタ kitの設定

SAP HANAのインスタンスが使用する共有リソースの設定が完了したら,HAモニタ kitの設定をします。HAモニタ kitの設定には,サーバの起動・停止・監視コマンドの設定,および制御用定義ファイルの設定があります。

〈この項の構成〉

(1) コマンドの設定

"/opt/hitachi/HAmon/etc/HAmonHANA_etc"ディレクトリ配下に"repli"ディレクトリを作成します。作成したrepliディレクトリにHAモニタ kitが提供する,HAモニタのサーバの起動コマンド,停止コマンド,監視コマンドをコピーします。

現用系の手順と予備系の手順は同じです。

  1. "/opt/hitachi/HAmon/etc/HAmonHANA_etc"ディレクトリに移動します。

    # cd /opt/hitachi/HAmon/etc/HAmonHANA_etc
  2. repliディレクトリを作成します。

    # mkdir repli
  3. repliディレクトリにHAモニタ kitが提供するサンプルをコピーします。

    # cp -pr /opt/hitachi/HAmonHANA/lib/repli/shell/* /opt/hitachi/HAmon/etc/HAmonHANA_etc/repli

(2) 制御用定義ファイルの設定

HAモニタ kitが制御するSAP HANAインスタンスごとに,制御用定義ファイルを設定する必要があります。HAモニタ kitが提供する制御用定義ファイルのサンプルファイルを,次の手順でコピーしてください。現用系の手順と予備系の手順は同じです。

コピーする際は,コピー先の設定済みのファイルを誤って上書きして消去しないように注意してください。

# cp -p /opt/hitachi/HAmonHANA/lib/repli/hanains.env /opt/hitachi/HAmon/etc/HAmonHANA_etc/env

現用系と予備系の制御定義ファイルの例を次に示します。

現用系と予備系の違いは,SECONDARY_ALIASパラメタとPRIMARY_HOSTパラメタだけです。

サンプルファイルは,SAP HANA の構成がMDCであることを想定しています。

現用系の制御用定義ファイルの内容

INSTANCE_NUMBER=10
HANA_SID=HIT
HANA_USER=hitadm
DB_NOACCESS=no
USERSTORE_KEY_LIST="HITSTOREKEY TENANT1"
PATROL=120
SQL_PATROL_ACTION=switch
SECONDARY_ALIAS=SiteA
PRIMARY_HOST=SiteB
REPLICATION_MODE=sync
OPERATION_MODE=delta_datashipping
FULLSYNC_AUTO_DISABLE=no

予備系の制御用定義ファイルの内容

INSTANCE_NUMBER=10
HANA_SID=HIT
HANA_USER=hitadm
DB_NOACCESS=no
USERSTORE_KEY_LIST="HITSTOREKEY TENANT1"
PATROL=120
SQL_PATROL_ACTION=switch
SECONDARY_ALIAS=SiteB
PRIMARY_HOST=SiteA
REPLICATION_MODE=sync
OPERATION_MODE=delta_datashipping
FULLSYNC_AUTO_DISABLE=no

次のパラメタについては,SAP HANAを設定した環境に応じた値に必ず変更してください。パラメタの詳細は,「表3-1 制御用定義ファイルのパラメタ一覧」を参照してください。

次に,ファイルの詳細について説明します。

(a) 記述形式

パラメタを「パラメタ名=値」の形式で1行に一つずつ記述します。パラメタ,イコール(=),および値の前後に空白を記述しないでください。なお,パラメタの記述は順不同です。

任意の環境変数を設定したい場合は,「環境変数名=値」の形式で1行に一つずつ記述します。

(b) パラメタの詳細

指定できるパラメタの詳細について,次に示します。

表3‒1 制御用定義ファイルのパラメタ一覧

パラメタ名

説明

INSTANCE_NUMBER

制御対象のSAP HANAインスタンスのインスタンス番号を指定します。インスタンス番号の詳細についてはSAP HANAのドキュメントを参照してください。このパラメタは必ず指定してください。

HANA_SID

SAP HANA システムID(システムの識別子)を指定します。システムIDの詳細についてはSAP HANAのドキュメントを参照してください。このパラメタは必ず指定してください。

HANA_USER

システム管理ユーザ(システムのインストール時に登録されたオペレーティングシステムユーザ)のアカウント(<sid>adm)を指定します。ユーザの詳細についてはSAP HANAのドキュメントを参照してください。このパラメタは必ず指定してください。

DB_NOACCESS

SQLを使用してSAP HANAインスタンスへアクセスするかを指定します。パラメタを省略した場合はnoを仮定します。次の運用をする場合はyesを指定してください。

  • HAモニタ kit for SAP HANAがDBへアクセスするのを禁止したい場合

yes

SQLによるSAP HANAインスタンスにアクセスをしません。監視処理はSAP HANAインスタンスのSQL応答監視は行わないで,プロセスの生存監視だけになります。

no

SQLによるSAP HANAインスタンスのアクセスをして,SAP HANAインスタンスのSQL応答監視とプロセスの生存監視をします。

USERSTORE_KEY_LIST

SQLの応答監視をする場合に,SAP HANAインスタンスへのアクセスキーを指定してください。SAP HANAの構成がMDCの場合,SYSTEMDBへのアクセスキー,および監視をしたいテナントDBへのアクセスキーを指定してください。複数のアクセスキーを指定する場合は,値全体をダブルクォーテーションで囲って,アクセスキーごとに半角スペースで区切ってください。このパラメタを省略した場合は,HITSTOREKEYを仮定します。アクセスキーについての詳細は,SAP HANAのドキュメントを参照してください。

PATROL

SAP HANAインスタンスにアクセスしてから,無応答と見なすまでの時間を指定します。SAP HANAの構成がMDCの場合は,このパラメタに指定した時間に従って,USERSTORE_KEY_LISTパラメタに指定したSYSTEMDBおよびテナントDBの無応答を監視します。

無応答と見なすまでの時間を秒単位で60秒~3600秒の範囲で指定します。

なお,DB_NOACCESSパラメタにyesを指定した場合,このパラメタに指定した値は無視されます。

DB_NOACCESSパラメタにnoを指定した場合,またはDB_NOACCESSパラメタを省略した場合,このパラメタは必ず指定してください。

SQL_PATROL_ACTION

SQL応答監視で応答がなかった場合に,系切り替えするかどうかを指定します。パラメタを省略した場合はswitchを仮定します。DB_NOACCESSパラメタにyesを指定した場合,このパラメタに指定した値は無視されます。

no_switch

SQLの無応答を検知した場合,メッセージ出力だけ行って,系切り替えせずに監視を続行します。

switch

SQLの無応答を検知した場合,系切り替えします。

SECONDARY_ALIAS

待機サーバ起動時にSystem Replicationのセカンダリシステムの設定で使用するセカンダリのエイリアスを指定します。このパラメタはSAP HANAのセカンダリとして登録するコマンド(hdbnsutil -sr_register)の--nameに指定する値です。このパラメタは必ず指定してください。

PRIMARY_HOST

待機サーバ起動時にSystem Replicationのセカンダリシステムの設定で使用するプライマリのホストを指定します。このパラメタはSAP HANAのセカンダリとして登録するコマンド(hdbnsutil -sr_register)の--remoteHostに指定する値です。このパラメタは必ず指定してください。

REPLICATION_MODE

待機サーバ起動時にSystem Replicationのセカンダリシステムの設定で使用するログレプリケーションモードを指定します。このパラメタはSAP HANAのセカンダリとして登録するコマンド(hdbnsutil -sr_register)の--replicationModeに指定する値です。詳細はSAP HANAのドキュメントを参照してください。このパラメタを省略した場合は,syncmem選択されます。

OPERATION_MODE

待機サーバ起動時にSystem Replicationのセカンダリシステムの設定で使用する操作モードを指定します。このパラメタはSAP HANAのセカンダリとして登録するコマンド(hdbnsutil -sr_register)の--operationModeに指定する値です。詳細はSAP HANAのドキュメントを参照してください。このパラメタを省略した場合は,delta_datashipping選択されます。

FULLSYNC_AUTO_DISABLE

System Replicationの障害検知時に完全同期オプションを無効にするかどうかを指定します。完全同期オプションを有効にして使用する場合は,業務の続行を優先とするか,現用系と予備系のデータの同期を優先とするかを考慮して設定してください。

System Replicationの障害時に完全同期オプションが有効のままだと,レプリケーションできないため業務が続行できなくなります。業務を続行したい場合はyesを指定してください。

yes

System Replicationの障害検知時に完全同期オプションを無効にします。

no

System Replicationの障害検知時に完全同期オプションを無効にしません。

このパラメタを省略した場合は,noが選択されます。

(3) コマンドと制御用定義ファイルの確認

必要なファイルが,「(1) コマンドの設定」,および「(2) 制御用定義ファイルの設定」の手順でコピーできたことを確認します。

次のファイルがあることを確認してください。