Hitachi

高信頼化システム監視機能 HAモニタ kit for SAP HANA


2.1.2 検出できる障害の種類

ここでは,HAモニタ kitを使用したシステムで検出できる障害の種類について説明します。

〈この項の構成〉

(1) HAモニタ kitが検出する障害

HAモニタ kitは,次の表に示すSAP HANAの障害を検出できます。

表2‒1 HAモニタ kitが検出する障害

検出する障害

説明

SAP HANAインスタンスの障害

次の状態をSAP HANAインスタンスの障害として検出します。

  • SAP HANAインスタンスのプロセス状態の異常

    SAP HANAの構成がMDCの場合,SAP HANAインスタンスのプロセス全体を監視し,異常を検知します。

    障害を検出するとメッセージを出力して系切り替えします。

  • SQLによるデータベースの問い合わせ異常

    障害を検出するとメッセージを出力して系切り替えします。

  • SQLによるSAP HANAインスタンスの状態異常

    定期的にSQLを実行することによって,SAP HANAインスタンスの状態を監視します。SQLによって状態監視をするかどうかは,インスタンス制御用定義ファイルのDB_NOACCESSパラメタ,およびUSERSTORE_KEY_LISTパラメタで指定します。SAP HANAの構成がMDCの場合,複数のDBに対してSQLによる状態監視ができます。その場合は,インスタンス制御用定義ファイルのUSERSTORE_KEY_LISTパラメタに,対象としたいDBのアクセスキーを列挙してください。USERSTORE_KEY_LISTパラメタに,対象としたいDBのアクセスキーを列挙すると,一つのDBに対してSQLの実行,および応答を確認したあと,次のDBに対して状態監視をします。複数のDBのうち,どれか一つの異常を検知した時点で,系切り替えを開始します。

SAP HANAインスタンスのスローダウン

SQLによる問い合わせ応答が一定時間ない状態を,SAP HANAインスタンスのスローダウンとして検出します。

障害を検出するとメッセージを出力して系切り替えします。

System Replicationの障害

System Replicationのステータスが正常でない場合,System Replicationの障害として検出します。

障害を検出するとメッセージを出力します。系切り替えはしません。

SystemReplicationの異常を検知した場合,制御用定義ファイルFULLSYNC_AUTO_DISABLEパラメタの定義に従って,完全同期オプションを無効にしたり,有効のままにしたりできます。完全同期オプションを無効にする場合は,KAMK00355メッセージが出力されます。System Replicatonの状態が正常になったあとで,予備系のSAP HANAインスタンスを停止すると,停止した理由に関係なく,定期的にメッセージが出力されます。メッセージが出力される間隔は,サーバ対応の環境設定のptrlcmd_ex_interオペランドの指定値によって異なります。例えば,サーバ対応の環境設定のptrlcmd_ex_interオペランドに10を指定した場合は,約1時間間隔でメッセージが出力されます。サーバ対応の環境設定のptrlcmd_ex_interオペランドに5を指定した場合は,約30分間隔でメッセージが出力されます。System Replicationの状態が正常になると,メッセージは出力されなくなります。

(2) HAモニタが検出する障害

次の表に示すSAP HANAの障害は,HAモニタ kitではなくHAモニタが検出します。

表2‒2 HAモニタが検出する障害

検出する障害

説明

ネットワーク(業務用のLAN)障害

HAモニタのLANの監視機能を用いて検出します。LANの監視機能については,マニュアル高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)(x86)編LANの監視および障害時の自動系切り替えの説明を参照してください。

系障害

HAモニタがaliveメッセージの途絶によって検出します。系障害の検出についてはマニュアル高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)(x86)編系障害の検出を参照してください。