監視パスは,実行系と待機系との間で,互いの系を監視したり,系切り替えのための情報を交換したりするために使用します。
なお,HAモニタ Extensionを使用して,一つの系切り替え構成での系の最大数を33以上に設定する場合には,監視パスに必要な条件が異なります。詳細については,「5.2.3 系の最大数を変更する場合の考慮点(HAモニタ Extension使用時)」を参照してください。
監視パス専用のTCP/IP LANを用意します。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
監視パスは,LANアダプタを介して,監視し合う系同士(実行系と待機系)のプロセサ間を接続します。実行系と待機系,およびそれらを接続する監視パスは,同じネットワーク上に構成してください。一つの実行系に対して複数の待機系がある場合,実行系とすべての待機系を監視パスで接続し,同じネットワーク上に構成します。
監視パスが1本の場合,監視パスに障害が発生すると,HAモニタが監視パスの障害を系障害と判断して,系切り替えを実行するおそれがあります。このような単一点障害での系切り替えを避けるために,監視パスを必ず複線化してください。また,1本以上は監視専用のパスにしてください。監視パスが1本の場合,系切り替え続行可否の判定が確実に行えない場合があります。
使用しているマシンの機種がBladeSymphonyの場合は,増設できるLANアダプタの数は限られます。そのため,監視パスを複線化するに当たって,監視パスと業務用LAN,および監視パスとリセットパスの兼用を考慮する必要がある場合があります。
監視パスは6本まで複線化できます。監視パスを複線化しておくと,1本の監視パスに障害が発生しても,ほかのパスで系の監視を続行できます。また,次のどちらかの運用を選択できます。
なお,Linuxのカーネル拡張パッケージであるbondingパッケージやVMware ESXiの機能などを使用してLANアダプタを冗長化すれば,監視パスの複線化をしなくても単一点障害での系切り替えを避けることができます。ただし,LANアダプタの切り替えに時間が掛かるため,HAモニタの環境設定のpatrolオペランドに設定する値はLANアダプタの切り替え時間よりも大きくする必要があります。
監視パスには,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。監視パスを複線化するため,次のことに注意してください。
ネットワークアドレスは,ネットワーク番号とサブネット番号で構成されます。
表5-5 IPアドレスの組み合わせの例(ネットワーク番号を監視パスごとに分ける場合)
LAN | IPアドレス | ネットマスク | ネットワーク番号 | サブネット番号 | ホスト番号 |
---|---|---|---|---|---|
LAN1 | 100.2.1.130 | 255.255.255.0 | 100 | 2.1 | 130 |
LAN2 | 101.2.1.130 | 255.0.0.0 | 101 | なし | 2.1.130 |
表5-6 監視パスを複線化できない例
LAN | IPアドレス | ネットマスク | ネットワーク番号 | サブネット番号 | ホスト番号 |
---|---|---|---|---|---|
LAN1 | 100.2.1.130 | 255.255.255.0 | 100 | 2.1 | 130 |
LAN2 | 100.2.2.130 | 255.255.0.0 | 100 | 2 | 2.130 |
表5-7 監視パスを複線化できる例
LAN | IPアドレス | ネットマスク | ネットワーク番号 | サブネット番号 | ホスト番号 |
---|---|---|---|---|---|
LAN1 | 100.2.1.130 | 255.255.255.0 | 100 | 2.1 | 130 |
LAN2 | 100.2.2.130 | 255.255.255.0 | 100 | 2.2 | 130 |
図5-5 監視パスを複線化したネットワーク構成