6.18.1 複数系切り替え構成間での設定・定義のチェック

使用するOSに関係なく,系切り替え構成が複数存在するシステムでは,HAモニタの環境設定のaddressオペランドの値やHAモニタのリセットパスに設定したIPアドレスに重複がある場合は,系切り替え構成間で次のような事象が発生するおそれがあります。

これらの事象を事前に回避するため,系切り替え構成が複数存在するシステムの場合は,addressオペランドの値に重複がないか,およびHAモニタのリセットパスに設定したIPアドレスに重複がないかをチェックします。リセットパスに設定したIPアドレスのチェックには,IPアドレス検出コマンド(monlistipコマンド)を使用できます。IPアドレス検出コマンド(monlistipコマンド)については,「9. コマンド」の「monlistip(IPアドレスの検出)」を参照してください。

複数系切り替え構成間での設定・定義のチェック手順を,次の図に示します。

図6-44 複数系切り替え構成間での設定・定義のチェック手順

[図データ]

チェック手順の詳細について説明します。番号は,図中の番号と対応しています。

  1. リセットパスのネットワーク内にある機器をリストアップする。
    次のどちらかの方法でリストアップできます。リストアップの漏れがないようにしてください。
    • IPアドレス検出コマンド(monlistipコマンド)を実行する。
      このコマンドは,どれか一つの系から実行します。実行結果は,csvファイルで出力されます。このファイルをWindows OSのマシンに転送すれば,表計算ソフトで編集できます。以降の手順の調査結果の入力などに利用できます。
    • ネットワーク管理者に問い合わせる。
  2. HAモニタを適用できる機器かどうかを調査する。
    手順1.でリストアップした機器の中から,マシンの機種,およびOSを確認し,HAモニタを使用している可能性がある機器かどうかを調査します。HAモニタを適用できるマシンの機種については,リリースノートを参照してください。HAモニタを適用できるOSは,AIX,HP-UX,およびLinuxです。OSの調査方法の例を次に示します。
    • telnetでログイン時のプロンプトから判断する。
    • リモートシェル(rsh)でunameコマンドを実行し,その結果から判断する。
  3. HAモニタの使用有無を調査する。
    手順2.でHAモニタを使用している可能性があると判断した機器に,HAモニタのディレクトリが存在するかどうかでHAモニタを使用しているかどうかを判断します。手順2.で調査したマシンにログインして次のコマンドを実行します。

    ls /opt/hitachi/HAmon

    bin,etc,lib,spoolの四つのディレクトリが見つかった場合,HAモニタを使用していると判断できます。
  4. HAモニタを使用しているすべての機器に設定されている,HAモニタの環境設定のaddressオペランドの値を調査する。
    複数の機器で使用しているHAモニタで,addressオペランドの値が重複していないかを確認します。
    addressオペランドの値が重複している場合は,手順5.に進みます。重複していない場合,チェックはこれで完了です。
  5. HAモニタを使用しているすべての機器で,HAモニタの環境設定コマンド(monsetupコマンド)を実行して,リセットパスの設定を調査する。
    HAモニタの環境設定コマンド(monsetupコマンド)に-ttyオプション(OSがAIXの場合)または-resetpathオプション(OSがHP-UXまたはLinuxの場合)を指定して,リセットパスの設定内容を調査します。
    調査項目を次に示します。
    • リセットパスのポート番号
    • SVPのポート番号,または接続先の系切替機構のポート番号
    • 交代用リセットパスのポート番号
    • 接続先の交代用系切替機構のポート番号
  6. IPアドレスの重複がないかを確認する。
    手順4.で調査したaddressオペランドの指定値が重複しているそれぞれの系で,手順5.で調査した項目のどれか二つ以上が重複している場合,手順1.でリストアップしたIPアドレスが重複しています。
    IPアドレスが重複している場合は,手順7.に進みます。重複していない場合,チェックはこれで完了です。
  7. IPアドレスの重複に対処する。
    次のどちらかの対処を実施します。
    • 手順4.および手順5.で重複していた値が,重複しないように変更する。
      リセットパスの設定を修正する場合は,HAモニタの環境設定,SVP,および接続先の系切替機構の修正漏れがないように注意してください。
    • IPアドレスが重複している系同士が通信できないように,ネットワークを分ける。