3.2.6 LANの監視および障害時の自動系切り替え

HAモニタでは,実行サーバが使用するLANの通信状態を監視して,障害が発生したときに自動的に系切り替えをすることができます。ここでは,LAN監視時の動作などについて説明します。

なお,LANを監視できるのは,次のOSの場合だけです。

<この項の構成>
(1) LAN監視時の動作
(2) 動作環境
(3) 必要な環境設定
(4) LANを監視するときの注意事項

(1) LAN監視時の動作

HAモニタは,送受信されるパケット数を監視することでLANを監視します。実行系のLANアダプタが受信するパケット数を定期的に監視し,前回監視したときから受信パケット数に変化がない場合は,LANに異常が発生したと見なして系切り替えをします。

LAN監視時の動作を次の図に示します。

図3-17 LAN監視時の動作

[図データ]

LANの障害を検出すると,HAモニタは系切り替え先として設定してあるサーバを検索し,そのサーバが系切り替え可能であれば系切り替えをします。該当するサーバがグループ化されている場合は,グループごとに系切り替えをします。切り替え先のサーバで系切り替えができる状態でない場合は,系切り替えができる状態になった時点で系切り替えをします。監視対象のLANが複数存在する場合は,各LANの監視はインタフェースごとに独立して非同期に実行します。

HAモニタが監視対象とするのは,hbonding,bonding,ethernetの3種類のデバイスです。監視対象は,LAN監視定義ファイルの設定で選択します。

なお,hbondingを監視するときは,パケット数に加え,hbondingのステータスも監視できます。hbondingを監視する場合,hbondingのステータスだけを監視するか,パケット数とhbondingのステータスの監視を併用するかを選択できます。通常は,hbondingのステータスだけを監視する方法を選択します。ただし,hbondingの設定で指定する監視対象とは別に,複数の監視対象を指定したい場合は,パケット数とhbondingのステータスの監視を併用してください。

(2) 動作環境

送受信パケット数の監視をする場合は,次の動作環境を満たしている必要があります。

(3) 必要な環境設定

次の設定が必要です。

LANを監視するための環境設定
  • LANを監視して,障害時に自動的に系切り替えをするかどうかをHAモニタの環境設定のlanfailswitchオペランドに指定します。
  • LANの監視間隔をHAモニタの環境設定のlancheck_patrolオペランドに指定します。
  • 監視するLANインタフェース名称をサーバ対応の環境設定のswitchbyfailオペランドに指定します。
LANを監視するためのファイルの設定
LAN監視定義ファイル,およびLAN監視スクリプトを設定します。監視対象がhbondingの場合は,パケット数とhbondingのステータスの監視を併用するか,hbondingのステータスの監視だけを実施するかをこのファイルの設定で決められます。
詳細については,「6.10.3 LANの監視設定ファイルの設定」を参照してください。

(4) LANを監視するときの注意事項

次に示す場合別に,LANを監視するときの注意事項を示します。

hbondingを監視する場合
LANの監視中(HAモニタの稼働中)は,hbondingインタフェースに結合されているスレーブインタフェースの解除,またはhbondingインタフェースの削除はしないでください。
連動系切り替えをする場合
サーバ対応の環境設定のswitchbyfailオペランドに,グループ化したすべてのサーバで同じLANインタフェース名称を指定してください。
サーバの切り替え順序制御をする構成の場合
サーバの切り替え順序制御をするサーバのうち,運用上,必ず最後に起動するサーバにサーバ対応の環境設定のswitchbyfailオペランドを指定することをお勧めします。サーバ対応の環境設定のswitchbyfailオペランドを最後に起動するサーバ以外に指定した場合,switchbyfailオペランドを指定したサーバが起動した時点で連動系切り替えを実施してしまい,より下位のサーバで系切り替えができないことがあります。