5.2.5 仮想化環境を系切り替え構成にする場合の考慮点(VMware ESXi使用時)

VMware ESXiで仮想化する場合,一つの物理パーティションを複数の論理パーティション(仮想マシン)で分割し,仮想マシンを系切り替えの単位にできます。仮想マシン単位での系切り替えについては,「3.2.8 仮想化環境での物理パーティションリセット機能」を参照してください。また,VMware ESXiを利用して仮想マシンを稼働させるための設定方法については,VMware ESXiのマニュアルを参照してください。

ここでは,仮想マシンを系切り替えの単位にする場合の考慮点について説明します。

注意
VMware ESXiの仮想化環境で使用する場合,HAモニタの稼働中に仮想マシンをサスペンドしないでください。詳細については,リリースノートを参照してください。
<この項の構成>
(1) 系切り替え構成にしたい仮想マシンを検討する
(2) HAモニタのバージョンを確認する
(3) マシン環境を確認する
(4) 使用する機能を確認する

(1) 系切り替え構成にしたい仮想マシンを検討する

VMware ESXiによる仮想化環境と通常の環境とでは,リセットの対象が仮想マシンかプロセサか,ということ以外は,HAモニタの動作に差異はありません。仮想マシン・仮想マシン間,仮想マシン・プロセサ間のどちらでも系切り替え構成にできます。

ただし,信頼性確保の観点から,系切り替え構成にする系同士は別プロセサにすることを推奨します。

(2) HAモニタのバージョンを確認する

VMware ESXiによる仮想化環境を含む系切り替え構成の場合,系切り替え構成内のすべてのHAモニタのバージョンを01-50以降にしてください。01-50より前のバージョンのHAモニタがあると,仮想化環境の系をリセットできません。

既存システムと同一の監視パスを使用する場合は,既存システムのHAモニタのバージョンを01-50にするか,既存システムのHAモニタと接続しないように監視パスを設定してください。

(3) マシン環境を確認する

VMware ESXiで仮想化する場合,次のマシン環境であることを確認してください。

また,物理パーティション上で動作する仮想マシンの数と仮想マシンのプロセサ数の関係が,次の条件を満たすことを推奨します。

仮想マシンの数>仮想マシンのプロセサ数の合計

この条件を満たさない場合,仮想マシンにコアが割り当てられない時間帯ができてしまうため,一時的にHAモニタが動作できなくなります。この結果,系障害の検知の遅延や,aliveメッセージの通知の遅延が発生します。

(4) 使用する機能を確認する

VMware ESXiによる仮想化環境では,相互系切り替え構成での系切り替え時間の短縮(HAモニタの環境設定のcpudownオペランドでsystemを指定)はできません。