HAモニタを動作させるために必要なハードウェアについて説明します。ハードウェアの構成については,「5.5 ハードウェア構成の検討」を参照してください。
ハードウェア構成例を次の図に示します。
図1-9 ハードウェア構成例
実際に業務を処理するサーバマシンを,実行系と待機系とで1台ずつ使用します。
HAモニタを使用する前提機種を次に示します。
実行系と待機系のプロセサ間を接続して,実行系と待機系との間で,互いの系を監視したり,系切り替えのための情報を交換したりするために使用します。
監視パスには,監視パス専用のLAN(監視専用LAN)として,TCP/IP LANを使用できます。HAモニタは,TCP/IP LANでブロードキャストで通信するため,ブロードキャストで通信できるLANを使用してください。TCP/IP LANは,どの系切り替え構成でも使用できますが,専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
また,HAモニタ Extensionを使用して,一つの系切り替え構成での系の最大数を変更する場合は,マルチキャストで通信できるLANを使用してください。HAモニタ Extensionについては,「3.5 HAモニタ Extensionの機能」を参照してください。
実行系と待機系の障害管理プロセサ間を接続※して,実行系で障害が発生した場合に,系の入出力のリセットを指示するために使用します。障害管理プロセサとは,システム構成の設定やCPUの制御などができるハードウェアです。CPUとは独立したハードウェアとして,マシンに搭載されています。使用するマシンの機種によって,SVP,MP,またはBMCのように名称が異なりますが,機能は同じであるため,このマニュアルでは総称して,障害管理プロセサと呼びます。
リセットパスには,リセット専用のLAN(リセット専用LAN)として,TCP/IP LANを使用します。
リセットパスに関する注意事項については,「5.5.4 リセットパスの構成」を参照してください。
共有ディスクは,サーバが実行系と待機系とで共有するデータを格納するために使用します。必須ではありません。系切り替え時には,共有ディスク上の情報が引き継がれます。共有ディスクには格納したデータを使用するすべての系を接続し,LVMまたはHA Boosterを使用して制御します。
使用できる共有ディスクには,日立ディスクアレイシステムなどがあります。
HAモニタは,ディスク障害やI/Oパス障害に対応していません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して共有ディスクの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.1 共有ディスクの構成」を参照してください。
系間で共有しない,系固有のディスク装置として使用します。OSのファイルや,HAモニタの各種ファイルをインストールしておきます。HAモニタは,共有ディスクではなく,ローカルディスクから起動します。
また,ローカルディスクについても共有ディスクと同様に単一点障害を防止する構成にすることを推奨します。
HAモニタのコマンドを実行したり,出力されるメッセージを確認したりするために使用します。
LANは,実行系と待機系を接続したり,クライアントとなるWSやPCと接続したりするために使用します。必須ではありません。TCP/IP通信ができるLANのうち,OSがサポートするEthernet LANを使用できます。
HAモニタは,HUBやLANアダプタなどのLAN障害を直接処理するものではありません。これらの障害に対しては,HAモニタ以外の方法を使用して,LANの単一点障害を防止する構成にしてください。単一点障害の防止については,「5.5.2 LANの構成」を参照してください。