4.1.1 HAモニタによるサーバの起動制御

ユーザは,サーバモードのサーバを,プログラムが提供する起動コマンドを実行することで起動します。また,モニタモードのサーバを,モニタモードのサーバ起動コマンド(monbeginコマンド)を実行することで起動します。

サーバ起動時には,HAモニタはサーバ対応の環境設定および他系のサーバの状態を確認した上で,サーバを実行サーバとして起動するか,待機サーバとして起動するかを決定します。ここでは,実行サーバと待機サーバの決定方法,および監視パスの障害などの理由で他系のサーバの状態が確認できない場合のHAモニタの動作について説明します。

<この項の構成>
(1) 通常時の実行サーバと待機サーバの決定方法
(2) サーバの再起動時の起動種別

(1) 通常時の実行サーバと待機サーバの決定方法

通常,実行サーバと待機サーバの決定は,サーバ対応の環境設定のinitialオペランドで指定した起動種別および他系の状態を基にしてHAモニタが行います。実行サーバと待機サーバの決定方法を次の表に示します。

表4-1 実行サーバと待機サーバの決定方法

他系の状態サーバ対応の環境設定
実行サーバとして定義待機サーバとして定義
実行サーバあり起動処理中待機サーバとして起動待機サーバとして起動
実行処理中待機サーバとして起動待機サーバとして起動
停止処理中起動不可※1起動不可※1
待機サーバあり起動処理中実行サーバとして起動起動不可※1
実行処理中実行サーバとして起動起動不可※1
停止処理中実行サーバとして起動実行サーバの起動待ち※2
連動系切り替え待ち状態※3実行サーバとして起動実行サーバとして起動
待機サーバから実行サーバへ系切り替え処理中待機サーバとして起動待機サーバとして起動
サーバなし(またはHAモニタ停止中)実行サーバとして起動実行サーバの起動待ち※2
サーバの状態確認不可リトライ処理※4実行サーバの起動待ち※2

注※1 サーバの起動を中止します。

注※2 他系の実行サーバの起動が確認できるまで待機サーバの起動を待たせます(実行サーバの起動待ち状態)。実行サーバの起動開始を確認できたら,待機サーバとして起動させます。

注※3 連動系切り替え待ち状態の詳細は,「4.4.1 連動系切り替え時のサーバの切り替え種別」を参照してください。

注※4 他系や監視パスの障害によって,他系で起動しているサーバの状態を確認できない場合は,1分間だけリトライします。リトライしてもさらに確認できない場合は,他系の障害でサーバがないものと判断し,実行サーバの起動待ち状態にします。


なお,障害発生によって,実行サーバとして定義されたサーバが再起動した場合は,実行サーバと待機サーバの決定方法が異なります。この場合については,「4.1.1(2) サーバの再起動時の起動種別」を参照してください。

待ち状態のサーバを実行サーバとして起動したり,停止したりする方法については,「7.3.1 待ち状態のサーバを起動して業務を再開する」を参照してください。

(2) サーバの再起動時の起動種別

障害が発生した場合などにオペレータがコマンドを実行してサーバを再起動すると,HAモニタは,そのサーバが実行サーバとして定義されていても,他系のサーバの状態が確認できるまでは自動的に待機サーバとして待機させます。これは,他系のサーバの状態が確認できない間は,他系ですでに実行サーバが稼働しているおそれがあるためです。実行サーバが複数起動しないようHAモニタが制御します。

他系のサーバの状態が確認できたら,HAモニタがサーバを実行サーバとして起動するか,待機サーバとして起動するかを決定します。

実行サーバとして定義されたサーバを再起動する際の起動種別の決定方法を,次の表に示します。

表4-2 サーバ再起動時の起動種別の決定方法

他系の状態サーバの起動種別※1
実行サーバあり起動処理中待機サーバとして起動
実行処理中待機サーバとして起動
停止処理中起動不可※2
待機サーバあり起動処理中実行サーバとして起動
実行処理中起動不可※2
停止処理中実行サーバの起動待ち※3
連動系切り替え待ち状態実行サーバとして起動
待機サーバから実行サーバへ系切り替え処理中待機サーバとして起動
サーバなし(またはHAモニタ停止中)実行サーバの起動待ち※3
サーバの状態確認不可実行サーバの起動待ち※3

注※1 サーバ対応の環境設定のinitialオペランドで指定した起動種別は,無視されます。

注※2 サーバの起動を中止します。

注※3 他系の実行サーバの起動が確認できるまで待機サーバの起動を待たせます(実行サーバの起動待ち状態)。実行サーバの起動開始を確認できたら,待機サーバとして起動させます。


待ち状態のサーバを実行サーバとして起動したり,停止したりする方法については,「7.3.1 待ち状態のサーバを起動して業務を再開する」を参照してください。