5.4.2 必要なIPアドレス

系切り替え構成の導入に当たり,IPアドレスを確保する必要があります。ここでは,IPアドレスを割り当てる対象およびIPアドレスの数について説明します。IPアドレスを割り当てる対象を次の図に示します。

図5-1 IPアドレスを割り当てる対象

[図データ]

図で示した,IPアドレスを割り当てる対象と指定するIPアドレスの数を次の表に示します。

表5-3 IPアドレスを割り当てる対象と指定するIPアドレスの数

図中の番号割り当てる対象IPアドレスの数単位説明設定個所
1監視パス31系につき監視パスは複線化する必要があり,最大3本指定できます。
各監視パスに異なるIPアドレスとポート番号を指定する必要があります。
IPアドレスについては,「(1) 複線化した監視パスに割り当てるIPアドレス」を参照してください。
ポート番号には,システムで未使用の5001以上の番号を指定します。実行系と待機系とでペアになっている監視パスには,同じポート番号を指定してください。
  • HAモニタの環境設定のlanオペランド(ホスト名)
  • HAモニタの環境設定のlanportオペランド(サービス名)
  • HAモニタの環境設定のnetmaskオペランド(ネットマスク)
  • /etc/hostsファイル(IPアドレス,ホスト名)
  • /etc/servicesファイル(ポート番号,サービス名)
  • HAモニタの接続構成設定ファイル
2リセットパス※111系につき専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
  • ポート番号には,各系で同じ番号,かつ未使用の番号を5001から65535の範囲で指定します。
    システム内に互いに監視し合わない系切り替え構成が複数ある場合で,かつリセットパスを共用する場合は,設定時に注意が必要です。詳細は「(2) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意」を参照してください。
  • リセットパスの設定
    (HAモニタの環境設定コマンド(monsetupコマンド)を使用した設定)
3SVP※111系につき専用のIPアドレスとポート番号が必要です。
  • IPアドレスには,リセットパスと同じネットワークアドレスを持つIPアドレスを指定します。
  • ポート番号には,リセットパスとは異なる番号,かつ未使用の番号を5001から65535の範囲で指定します。
  • リセットパスの設定
    (HAモニタの環境設定コマンド(monsetupコマンド)を使用した設定)
3GSP※211系につき専用のIPアドレスが必要です。
  • IPアドレスには,リセットパスと同じネットワークアドレスを持つIPアドレスを指定します。
  • /etc/hostsファイル(IPアドレス,ホスト名)
  • LANポートの設定(IPアドレス,ネットマスク)
  • HAモニタの環境設定のnameオペランド(ホスト名)
3MP※311系につき専用のIPアドレスが必要です。
  • IPアドレスには,リセットパスと同じネットワークアドレスを持つIPアドレスを指定します。
  • /etc/hostsファイル(IPアドレス,ホスト名)
  • LANポートの設定(IPアドレス,ネットマスク)
  • HAモニタの環境設定のnameオペランド(ホスト名)
4LAN0以上1系につきサーバがLANを使用する場合は1個以上必要です。上限はありません。LANを使用しない場合は,不要です。
LANアダプタを二重化する場合は,一つのLANアダプタに二つのステーショナリIPアドレスを用意します。なお,予備LANアダプタには,IPアドレスを指定しないでください。
  • OSの設定(IPアドレス)
    設定方法については,OSのマニュアルを参照してください。
  • HAモニタの環境設定のlan_pairオペランド(アダプタ名)
    LANアダプタを二重化する場合だけ指定が必要です。
5サーバ0以上1サーバにつきサーバがLANを使用する場合は1個以上必要です。
エイリアスIPアドレスを指定します。実行系と待機系とで同じ値を指定してください。エイリアスIPアドレスの詳細については,「(3) サーバに割り当てるIPアドレス」を参照してください。
  • LANの状態設定ファイル

注※1 マシンの機種がBladeSymphonyの場合に必要な設定です。

注※2 マシンの機種がH9000Vの場合に必要な設定です。

注※3 マシンの機種がHA8500の場合に必要な設定です。


<この項の構成>
(1) 複線化した監視パスに割り当てるIPアドレス
(2) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意
(3) サーバに割り当てるIPアドレス

(1) 複線化した監視パスに割り当てるIPアドレス

監視パスは複線化する必要があります。そのため,次の点に注意してください。

(2) 系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の注意

マシンの機種がBladeSymphonyの場合,システム内で互いに監視し合わない系切り替え構成を複数構築すると,ハードウェアの制約上,複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用することがあります。

このようなネットワーク構成で環境設定を誤ると,HAモニタは系同士を正しく識別できません。そのため,系障害時に障害と無関係な系がリセットされたり,HAモニタが異常終了したりするおそれがあります。ここでは,HAモニタが系同士を正しく識別するための設定時の注意事項を説明します。

複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用する場合の設定時の注意事項は,系切り替え構成間でSVPを共用するかどうかで異なります。

(a) SVPを共用する場合

複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用したネットワーク構成で,系切り替え構成間でSVPを共用する場合の例を次に示します。

図5-3 系切り替え構成間でリセットパスを共用したネットワーク構成(SVPを共用する場合)

[図データ]

このような構成で,系1・系3間で一組,系2・系4間で一組,合計二組の系切り替え構成を構築する場合,各シャーシのSVPは,異なる系切り替え構成にある系二つと接続されているため,系切り替え構成間でSVPを共用する構成となります。このような場合は,次の設定をしてください。

設定例については,「6.4.2(3) 2シャーシ/4系の構成」を参照してください。

(b) SVPを共用しない場合

複数の系切り替え構成間でリセットパスを共用したネットワーク構成で,系切り替え構成間でSVPを共用しない場合の例を次に示します。

図5-4 系切り替え構成間でリセットパスを共用したネットワーク構成(SVPを共用しない場合)

[図データ]

このような構成で,系1・系3間で一組,系2・系4間で一組,合計二組の系切り替え構成を構築する場合,異なる系切り替え構成間でSVPは共用されません。このような場合は,次のどちらかの設定をしてください(両方の設定をしても問題ありません)。

設定例については,「6.4.2(4) 4シャーシ/4系の構成」を参照してください。

(3) サーバに割り当てるIPアドレス

サーバがLANを使用する場合,サーバにはエイリアスIPを指定します。エイリアスIPアドレスを指定することで,一つのサーバに複数のエイリアスIPアドレスを指定できます。サーバにエイリアスIPアドレスを指定する場合,次の点に注意してください。