8.4.1 サーバ対応の環境設定servers

サーバ対応の環境を設定する定義ファイルは,HAモニタの環境設定用ディレクトリの下にserversというファイル名で作成します。

また,HAモニタサンプルファイル用ディレクトリの下に,serversファイルのサンプルが用意されています。このファイルをHAモニタの環境設定用ディレクトリにコピーし,書き換えて使用すると,定義ファイルを最初から作成する手間が省けます。

なお,この定義ファイルは系ごとに作成します。太字部分は,系間で同じ値を指定してください。太字以外の部分は,系間で矛盾がないように設定してください。

サーバ対応の環境設定をする定義ファイルを,次に示します。

/*  サーバ対応の環境設定  */
server  name  
            プログラム名
      ,alias
            サーバの識別名
      ,acttype
           {servermonitor
      ,patrol
            サーバ障害監視時間
    〔,termcommand
            サーバの停止コマンドのパス名
    〔,initial
           {online|standby}〕
    〔,pairdown
          {use:serv_slow〕|nouse}〕
    〔,group
            グループ名〔:{exchangeno_exchange〔: {cancelno_cancel}〕}〕〕
    〔,switchtype
          {switchrestart〔:再起動監視時間〕|manual}〕
    〔,disk
            ボリュームグループの絶対パス名〔:ボリュームグループの絶対パス名…〕〕
    〔,port
            スペシャルファイル名〔:スペシャルファイル名…〕〕
    〔,lan_updown
          {usenouse}〕
    〔,fs_name
            論理ボリュームの絶対パス名〔:論理ボリュームの絶対パス名…〕〕
    〔,fs_mount_dir
            ディレクトリ名〔:ディレクトリ名…〕〕
    〔,fs_mount_opt
            オプション〔:オプション…〕〕
    〔,fs_umount_retry
          {リトライ回数10}〕
    〔,patrolcommand
            サーバの監視コマンドのパス名
    〔,servexec_retry
          {サーバ起動処理の再試行回数2}〕
    〔,waitserv_exec
          {yesno}〕
    〔,retry_stable
          {起動完了監視時間60}〕
    〔,hls
            スペシャルファイル名#装置ID入力ポート
              〔:スペシャルファイル名#装置ID入力ポート…〕〕
    〔,parent
            親サーバの識別名称
    〔,switchbyfail
            LANアダプタ名
    〔,dev_timelimit
            共有リソース切り替えタイムアウト値
    〔,vg_on_opt
            ボリュームグループの接続オプション〔:オプション…〕〕
    〔,lan_neck
            LANアダプタ名〔:LANアダプタ名…〕〕
    〔,ip_neck
           {use | nouse}〕
    〔,uoc_neck
           {use | nouse}〕
    〔,vg_neck
           {use | nouse}〔: {use | nouse}…〕〕
    〔,fs_neck
           {use | nouse}〔: {use | nouse}…〕〕
    〔,actcommand
           サーバの起動コマンドのパス名
    〔,standbypri
           {各待機サーバの優先度 | 1}〕
    〔,deviceoff_order
           {orderreverse}〕
    〔,ph_threshold
                  サーバ監視履歴取得時間〕;
/*  リソースサーバ対応の環境設定  */
〔resource    alias
                リソースサーバの識別名
            ,group
                グループ名
          〔,initial
              {online|standby}〕
          〔,disk
                ボリュームグループの絶対パス名〔:ボリュームグループの絶対パス名…〕〕
          〔,port
                スペシャルファイル名〔:スペシャルファイル名…〕〕
         〔,lan_updown
              {usenouse}〕
         〔,fs_name
                論理ボリュームの絶対パス名〔:論理ボリュームの絶対パス名…〕〕
         〔,fs_mount_dir
                ディレクトリ名〔:ディレクトリ名…〕〕
         〔,fs_mount_opt
                オプション〔:オプション…〕〕
         〔,fs_umount_retry
              {リトライ回数10}〕
         〔,hls
                スペシャルファイル名#装置ID入力ポート
                  〔:スペシャルファイル名#装置ID入力ポート…〕〕
         〔,dev_timelimit
                共有リソース切り替えタイムアウト値
         〔,vg_on_opt
                ボリュームグループの接続オプション〔:オプション…〕〕
         〔,lan_neck
                LANアダプタ名〔:LANアダプタ名…〕〕
         〔,ip_neck
               {use | nouse}〕
         〔,uoc_neck
               {use | nouse}〕
         〔,vg_neck
               {use | nouse}〔: {use | nouse}…〕〕
         〔,fs_neck
               {use | nouse}〔: {use | nouse}…〕〕
          〔,standbypri
                {各待機サーバの優先度 | 1}〕
          〔,deviceoff_order
                {orderreverse}〕;〕

<この項の構成>
(1) サーバの種類と定義するオペランド一覧
(2) server定義文
(3) resource定義文

(1) サーバの種類と定義するオペランド一覧

サーバ対応の環境設定では,次の場合でそれぞれ定義するオペランドが異なります。

サーバの種類によるオペランドの組み合わせを次の表に示します。

表8-4 サーバの種類によるオペランドの組み合わせ

オペランドサーバモードの場合モニタモードの場合リソースサーバの場合
name
alias
acttype
patrol
termcommand
initial
pairdown
group
switchtype
disk
port
lan_updown
fs_name
fs_mount_dir
fs_mount_opt
fs_umount_retry
patrolcommand
servexec_retry
waitserv_exec
retry_stable
hls
parent
switchbyfail
dev_timelimit
vg_on_opt
lan_neck
ip_neck
uoc_neck
vg_neck
fs_neck
actcommand
standbypri
deviceoff_order
ph_threshold
(凡例)
◎:定義します(省略できません)。
○:定義します(省略した場合,仮定値が設定されます)。
△:定義します(省略した場合,設定されません)。
-:定義しません(定義しても無視されます)。

(2) server定義文

サーバの動作環境を定義します。server定義文のオペランドを,次に示します。

name~<1~1000文字のサーバパス名>
プログラムを特定するための名称を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
サーバモードのサーバの場合
  • OpenTP1を使用するとき
    OpenTP1ディレクトリの絶対パス名称を指定してください。OpenTP1ディレクトリについては,マニュアル「分散トランザクション処理機能 OpenTP1 運用と操作」を参照してください。
  • HiRDBを使用するとき
    使用するHiRDBの系切り替え機能によって指定する内容が異なります。指定する値の詳細については,マニュアル「スケーラブルデータベースサーバ HiRDB システム運用ガイド」を参照してください。
モニタモードのサーバの場合
サーバの起動コマンドの完全パス名を指定します。
alias~<1~8文字の英数字>
HAモニタで使用するコマンドや,出力するメッセージのための,サーバの識別名(サーバの別名)を指定します。すべての系の中で一意となる名称を指定してください。また,現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
acttype~《server》
サーバの起動方法を指定します。サーバモードのサーバの場合はserverを,モニタモードのサーバの場合はmonitorを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • server:サーバの起動コマンドでサーバを起動します。
  • monitor:HAモニタのコマンドでサーバを起動します。
patrol~<符号なし整数>((5~600))(単位:秒)
サーバモードのサーバの場合に,サーバ障害の判断基準となる,サーバからの稼働報告を確認する時間(サーバ障害監視時間)を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。patrolオペランドに指定した時間を超えてもサーバからの稼働報告がなかった場合,HAモニタはサーバ障害と判断します。
モニタモードのサーバの場合は,指定しても無視されるので,指定を省略できます。
termcommand~<1~1000文字のパス名>
シェルなどで作成したサーバの停止コマンドを完全パス名で指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
モニタモードのサーバの場合にこのオペランドを指定しておくと,計画系切り替えをしたいときに計画系切り替えコマンド(monswapコマンド)を実行するだけで,自動的に実行サーバを計画停止できます。また,実行サーバを正常終了させたいときにモニタモードのサーバ停止コマンド(monendコマンド)を実行するだけで,自動的に実行サーバを正常終了できます。
サーバモードのサーバの場合は,指定しても無視されるので,指定を省略できます。
なお,"(引用符)で囲んで指定することで,空白を使用できます。空白を使用することで,コマンドに引数を指定できます。空白を含む指定をした場合,一つ以上の空白で区切られた最初の文字列が,サーバの停止コマンドのパス名称として認識されます。最初の空白より後ろの文字列は引数として認識されます。HAモニタが渡す引数("-e","-w","-c")は,サーバの停止コマンドの,最後の引数として追加して実行されます。HAモニタが渡す引数については,「6.9.2 サーバの停止コマンドの作成」を参照してください。
initial~《online》
サーバの起動種別として,サーバ起動時の状態を指定します。現用系ではonlineを,予備系ではstandbyを指定してください。
  • online:サーバを実行サーバとして起動します。
  • standby:サーバを待機サーバとして起動します。
pairdown~《nouse》
サーバ障害を検出したときにHAモニタも障害として停止する,ペアダウン機能を使用するかどうかを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。モニタモードのサーバの場合は,指定しても無視されるので,指定を省略できます。
  • use:ペアダウン機能を使用します。実行サーバの障害時(サーバ自身が検出した障害およびサーバのスローダウン)にペアダウンをします。useを指定した場合は,":"で区切ったあとに次の値を指定できます。
    serv_slow
    実行サーバの障害のうち,サーバのスローダウン検出時だけペアダウンをします。サーバ自身が検出した障害の場合はペアダウンをしないで,switchtypeオペランドの定義に従って動作します。
  • nouse:ペアダウン機能を使用しません。
group~<1~8文字の英数字>
連動系切り替え時に一括して切り替えるサーバグループの名称と,各サーバの切り替え種別を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。groupオペランドを指定する場合,グループ化されたサーバのinitialオペランド値は,系内で同じ値にしてください。
サーバグループの名称には,"exchange","no_exchange","cancel","no_cancel"以外の名称を指定してください。
サーバの切り替え種別には,そのサーバにサーバ障害が発生した場合に連動系切り替えをするかどうかを指定します。サーバの切り替え種別は,サーバモードのサーバの場合だけ指定できます。モニタモードの場合は指定できません。モニタモードのサーバにサーバ障害が発生した場合,サーバの監視コマンドを作成しているときは連動系切り替えをします。サーバの監視コマンドを作成していないときは連動系切り替えをしません。
サーバの切り替え種別の指定は任意です。指定する場合は,グループ名もあわせて指定してください。グループ名の指定を省略すると,各サーバの切り替え種別の指定は無視されます。サーバの切り替え種別として指定できる値を次に示します。
  • exchange:この値を指定したサーバにサーバ障害(サーバのスローダウンを含みます)が発生すると,サーバグループ内のすべてのサーバを一括して,連動系切り替えをします。この値と,"cancel"または"no_cancel"は,同時に指定できません。
  • no_exchange:この値を指定したサーバにサーバ障害が発生しても,連動系切り替えはしません。対応する待機サーバは連動系切り替え待ち状態になります。ただし,サーバグループ内のすべてのサーバにno_exchangeを指定していても,すべてのサーバでサーバ障害が発生すると,連動系切り替えをします。
    なお,サーバの切り替え順序制御を使用している場合,親サーバには,no_exchangeを指定できません。
    no_exchangeを指定した場合は,":"で区切ったあとに次の値を指定できます。
    cancel
    この値を指定したサーバのスローダウンを検出すると,HAモニタはこのサーバを異常終了させます。対応する待機サーバは連動系切り替え待ち状態になります。
    no_cancel
    この値を指定したサーバのスローダウンを検出しても,HAモニタはこのサーバの状態監視を続けます。対応する待機サーバは連動系切り替え待ち状態にはなりません。
    サーバグループ内のすべてのサーバで"no_exchange:no_cancel"を指定すると,すべてのサーバのスローダウンを検出しても,系切り替えをしないでサーバの状態監視を続けます。
switchtype~《switch》
サーバモードのサーバのサーバ障害を検出した場合の動作を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。モニタモードのサーバの場合は指定しても無視されるので,指定を省略できます。
  • switch:実行サーバを停止させ,系切り替えをします。
  • restart:実行サーバを実行サーバの再起動待ち状態にし,実行サーバが自動で再起動するのを待ちます。系切り替えはしません。実行サーバの再起動が失敗した場合は,サーバ自身のリトライ回数だけ再起動をリトライします。リトライ回数が限界に達すると,系切り替えを開始します。
    restartを指定した場合は,":"で区切って実行サーバの再起動監視時間を指定できます。再起動監視時間を超えて実行サーバが再起動しない場合は,系切り替えを開始します。再起動監視時間は60秒から3,600秒の範囲で指定できます。再起動監視時間の指定を省略した場合は,実行サーバの再起動は監視しません。
  • manual:実行サーバを実行サーバの再起動待ち状態にし,実行サーバが自動で再起動するのを待ちます。系切り替えはしません。実行サーバの再起動が失敗した場合は,サーバ自身のリトライ回数だけ再起動をリトライします。リトライ回数が限界に達すると,実行サーバを停止させ,対応する待機サーバをいったん停止させたあとに再起動して実行サーバの起動待ち状態にします。
    なお,manualを指定したサーバのスローダウンを検出した場合,HAモニタは何もしないでサーバの監視を続けます。
disk~<1~256文字のパス名>
共有ディスクを使用する場合に,切り替える共有ディスク上に定義したボリュームグループの絶対パス名を指定します。3,000個まで指定できます。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
このオペランドを省略した場合は,HAモニタは共有ディスクの切り替えをしません。
port~<1~256文字のパス名>
使用するマシンの機種がH9000Vで,かつ使用する回線切替装置がHN-7601-8VまたはHN-7601-8Xの場合に,切り替える回線切替装置のRCポートとして使用するRS-232Cのスペシャルファイル名を指定します。8個まで指定できます。スペシャルファイル名には,現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
lan_updown
LANの状態設定ファイルを使用するかどうかを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • use:LANの状態設定ファイル(サーバ識別名.upファイルおよびサーバ識別名.downファイル)を使用します。
  • nouse:LANの状態設定ファイルを使用しません。
lan_updownオペランドの指定を省略した場合は,HAモニタの環境設定用ディレクトリの下にサーバ識別名.upファイルおよびサーバ識別名.downファイルがあれば,そのファイルをLANの状態設定ファイルとして使用します。
fs_name~<1~256文字のパス名>
共有ディスク上のファイルシステムを使用する場合に,切り替えるファイルシステムに対応する論理ボリュームの絶対パス名を指定します。3,000個まで指定できます。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
このオペランドを省略した場合は,HAモニタは共有ディスク上のファイルシステムの切り替えをしません。
fs_nameオペランドを指定した場合には,必ずfs_mount_dirオペランドを指定してください。
fs_mount_dir~<1~256文字のパス名>
共有ディスク上のファイルシステムを使用する場合に,切り替えるファイルシステムのマウント先ディレクトリの絶対パス名を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
このオペランドは,fs_nameオペランドを指定した場合は省略できません。
fs_mount_dirオペランドでは,fs_nameオペランドで指定した論理ボリュームに対応するマウント先ディレクトリを,同じ位置の引数に指定します。また,マウント先ディレクトリの指定数はfs_nameオペランドと同じにしてください。fs_nameおよびfs_mount_dirオペランドの指定方法の例を,次の例に示します。

   fs_name  /dev/vg01/lvol1:/dev/vg02/lvol1,
            ↓      ↓
   fs_mount_dir /home1   :/home2,

例の場合,fs_nameオペランドの"/dev/vg01/lvol1"はfs_mount_dirオペランドの"/home1"に,fs_nameオペランドの"/dev/vg02/lvol1"はfs_mount_dirオペランドの"/home2"に対応します。
なお,このオペランドに指定するファイルシステムについてはシステム起動時に自動的にマウントする設定をしないでください。
fs_mount_opt~<1~256文字の文字列>
共有ディスク上のファイルシステムを使用する場合に,切り替えるファイルシステムに対するmountコマンド実行時のオプションを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。オプション中に空白,コンマ,コロン,セミコロン,スラント,またはアスタリスクが含まれる場合は,それぞれを"(引用符)で囲んで指定します。
fs_mount_optオペランドでは,fs_nameオペランドおよびfs_mount_dirオペランドで指定したファイルシステムに対応するオプションを,同じ位置の引数に指定します。オプションの指定数はfs_nameオペランドおよびfs_mount_dirオペランドと同じにしてください。途中のオプションを省略する場合は値を指定しないでコロンで区切って指定します。fs_name,fs_mount_dir,およびfs_mount_optオペランドの指定方法の例を,次の例に示します。

   fs_name   /dev/vg01/lvol1:/dev/vg02/lvol1,
            ↓       ↓
   fs_mount_dir /home1    :/home2,
            ↓       ↓
   fs_mount_opt "-o rw"    :,

例の場合,fs_nameオペランドの"/dev/vg01/lvol1"とfs_mount_dirオペランドの"/home1"はfs_mount_optオペランドの"-o rw"に対応し,fs_nameオペランドの"/dev/vg02/lvol1"とfs_mount_dirオペランドの"/home2"はfs_mount_optオペランドを省略しています。
fs_mount_optオペランドの指定を省略した場合,すべてのファイルシステムに対するmountコマンド実行時オプションを省略します。
fs_umount_retry~<符号なし整数>((0~9999))《10》(単位:回)
ファイルシステムの切り離し時,アンマウントに失敗した場合のリトライ回数を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
0を指定した場合はリトライしません。9999を指定した場合はアンマウントが成功するまで無制限にリトライします。なお,リトライの間隔は1秒です。
patrolcommand~<1~1000文字のパス名>
モニタモードのサーバを監視するためのサーバの監視コマンドを完全パス名で指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
このオペランドを省略した場合は,実行サーバの監視はしません。なお,サーバモードのサーバでは,このオペランドを指定しても無視されます。
なお,termcommandオペランドと同様に,オペランドの指定値を"(引用符)で囲むことで,引数を指定できます。
servexec_retry~<符号なし整数>((0~9999))《2》(単位:回)
モニタモードの実行サーバのサーバ障害を検出した場合にサーバの起動処理を再実行させる回数を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
HAモニタが実行サーバのサーバ障害を検出した場合,指定した回数分だけnameオペランドに指定したサーバの起動コマンドの再実行を試みます。指定回数内でサーバの起動処理が完了した場合は,そのまま正常動作として処理が続行されます。指定回数内にサーバの起動処理が完了しない場合は,HAモニタはサーバ障害と判断し,自動計画系切り替えを実行します。
このオペランドを省略した場合は,値として2を仮定します。このオペランドに0を指定した場合は,サーバの再起動はしないで,サーバの監視コマンドの終了を検出すると即時に自動計画系切り替えを実行します。
このオペランドに9999を指定した場合は,サーバの起動処理が完了するまで,または実行サーバを停止させるまで無限にサーバを再起動します。この場合,サーバ対応の環境設定のnameオペランドに指定したパスが見つからない,実行権限が付けられていないなどの理由から,再起動してもサーバの起動に成功しないことがあります。そのため,環境設定の定義およびサーバの起動コマンドが正しいかを確認してください。
なお,サーバモードのサーバの場合,またはpatrolcommandオペランドが指定されていない場合,このオペランドを指定しても無視されます。
waitserv_exec~《no》
モニタモードのサーバを実行サーバとして起動する場合,HAモニタが実行サーバの起動完了処理をする前にnameオペランドに指定したサーバの起動コマンドの実行完了を待つかどうかを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • yes:サーバの起動コマンドの実行完了を待って,実行サーバの起動完了処理をします。
  • no:サーバの起動コマンドの実行完了を待たないで,実行サーバの起動完了処理をします。
モニタモードのサーバを監視する場合は,「6.9.1(2) サーバの起動コマンドの作成方法」の説明に従ってこのオペランドの値を決定してください。
このオペランドを省略した場合はnoを仮定します。なお,サーバモードのサーバの場合,またはpatrolcommandオペランドが指定されていない場合,このオペランドを指定しても無視されます。
retry_stable~<符号なし整数>((60~3600))《60》(単位:秒)
モニタモードでのサーバの再起動に成功した場合,そのサーバが安定的に動作したと判断するための監視時間を秒数で指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
サーバが再起動したあと,このオペランドに指定した時間内に障害が検出されなかった場合,HAモニタはサーバが安定的に稼働したと判断し,再起動回数を0にリセットします。再起動成功後,再び0秒から安定稼働のために経過が監視されます。
サーバが再起動したあと,このオペランドに指定した時間が経過する前に再度障害となると,再起動回数が更新され,サーバが再起動されます。更新された再起動回数がサーバ対応の環境設定のservexec_retryオペランドに指定した値を超えた場合は,サーバの再起動はされないで,系切り替え動作をします。
hls~<1~256文字の文字列>
使用するマシンの機種がH9000Vで,かつ使用する回線切替装置がHT-4990-KIRIKVまたはHT-4990-KIRIKXの場合に,切り替える回線切替装置の名称を指定します。
"スペシャルファイル名#装置ID入力ポート"の形式で指定します。8個まで指定できます。
  • スペシャルファイル名
    RCポートとして使用するRS-232Cのスペシャルファイル名を指定します。1~251文字の英字,数字,"/", "-", "_", ". "で指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • 装置ID
    回線切替装置のADDに設定した値を000から998の範囲で指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • 入力ポート
    自系の回線を接続した入力ポートを"A"または"B"で指定します。現用系と予備系とで異なる値を指定してください。次に指定の例を示します。

       現用系のhlsオペランド:hls /dev/tty0p2#001A
       予備系のhlsオペランド:hls /dev/tty0p2#001B

    例の場合,現用系で実行サーバを起動したときは,入力ポートAに回線が接続されます。予備系で実行サーバを起動したときは,入力ポートBに回線が接続されます。
parent~<1~8文字の英数字>
サーバの切り替え順序制御をする場合,自サーバ起動のために必要な,親サーバを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。指定する値は親サーバのサーバ識別名(alias)に指定した名称を記述します。このオペランドを指定した場合,系切り替え時に,親サーバの起動が完了するまで,自サーバを起動しないように順序制御をします。このオペランドはgroupオペランドが指定されている場合だけ指定できます。
なお,正しく順序制御ができなくなるため,サーバグループ内のサーバが稼働中に,このオペランドを変更しないでください。
switchbyfail~<1~32文字の英数字>
二重化したLANアダプタの両方が障害となった場合に,自動的に実行サーバの計画系切り替えをさせるためのLANアダプタ名を指定します。HAモニタの環境設定のlan_pairオペランドにペアとして指定した,現用LANアダプタ名を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
このオペランドを省略した場合,二重化したLANアダプタの両方に障害が発生しても,実行サーバの自動計画系切り替えをしません。
なお,このオペランドを指定した場合は,HAモニタの環境設定のlanfailswitchオペランドにuseを指定してください。
dev_timelimit~<符号なし整数>((60~3600))(単位:秒)
系切り替え時のサーバの共有リソース接続・切り離し処理に対するタイムアウト値を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
タイムアウトした場合は,共有リソースに関する処理を処理失敗として中断し,サーバの起動・停止処理を続行します。省略時はタイマ監視をしないで,接続・切り離しが完了するまで,サーバの起動・停止を待ちます。
vg_on_opt~<1~256文字の文字列>
切り替えるボリュームグループに対する接続時のvgchangeコマンド実行時のオプションを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
省略時は,"-a△y"オプションを仮定します。
オプション中に△(空白)が含まれる場合は"(引用符)で囲んで指定してください。
vg_on_optオペランドは,diskオペランドで指定したボリュームグループに対応するオプションを同じ位置の引数に指定します。よって,オプションの指定数はdiskオペランドと同じにしてください。途中のオプションを省略する場合は値を指定しないでコロンで区切って指定します。
vgchangeコマンド実行時のオプションを指定する例を,次に示します。

   disk               /dev/vg01      :/dev/vg02  ,
                      ↓             ↓
   vg_on_opt          "-a△y△-q△n" :  ,

例の場合,diskオペランドの"/dev/vg01"については,vgchangeコマンドのオプションに"-a △y△-q△n"を使用して実行され, "/dev/vg02"については,vgchangeコマンドのオプションにデフォルト値である"-a△y"を使用して実行されます。
vg_on_optオペランドの指定を省略した場合,すべてのボリュームグループに対するオプションにデフォルト値が仮定されます。
lan_neck~<1~32文字の英数字>
サーバの起動のために必須なLANアダプタ名として,二重化されたLANアダプタのうち,どちらか一方のLANアダプタ名を指定します。LANアダプタ名は,":"(コロン)で区切って最大32個指定できます。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
実行サーバ起動時,および系切り替え時に,このオペランドに指定したLANアダプタがペアとして構成されていて,かつ現用LANアダプタと予備LANアダプタの両方とも障害状態だった場合に,サーバの起動を中止します。
二重化されていないLANアダプタが指定された場合は,この指定は無視されます。
ip_neck~《nouse》
サーバの起動,および系切り替え時に実行するサーバ識別名.upファイルについて,その終了コードを確認するかどうかを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • use:サーバ識別名.upファイルの終了コードが0以外の場合に,サーバの起動を中止します。
  • nouse:サーバ識別名.upファイルの終了コードを確認しないで,サーバの起動処理を続行します。
uoc_neck~《nouse》
サーバの起動開始,および系切り替え開始時に実行するユーザコマンドについて,その終了コードを確認するかどうかを指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • use:ユーザコマンドの終了コードが0以外の場合に,サーバの起動を中止します。
  • nouse:ユーザコマンドの終了コードを確認しないで,サーバの起動処理を続行します。
なお,サーバの起動開始,および系切り替え開始時以外に実行されるユーザコマンドについては,終了コードを確認しません。
vg_neck~《nouse》
サーバの起動,および系切り替え時のボリュームグループの接続に失敗した場合に,サーバ起動を中止するかどうかを,ボリュームグループごとに指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • use:接続に失敗した場合に,サーバの起動を中止します。
  • nouse:接続に失敗しても,サーバの起動処理を続行します。
vg_neckオペランドは,vg_on_optオペランドのように,diskオペランドで指定したボリュームグループに対応するオプションを同じ位置の引数に指定してください。よって,オプションの指定数はdiskオペランドと同じにしてください。途中のオプションを省略する場合は,値を指定しないで":"(コロン)で区切り"vg_neck use::nouse,"のように定義してください。このオペランドを省略した場合,すべてのボリュームグループに対してnouseを仮定します。
fs_neck~《nouse》
サーバの起動,および系切り替え時のファイルシステムの接続に失敗した場合に,サーバ起動を中止するかどうかを,ファイルシステムごとに指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
  • use:接続に失敗した場合に,サーバの起動を中止します。
  • nouse:接続に失敗しても,サーバの起動処理を続行します。
fs_neckオペランドは,fs_mount_optオペランドと同様に,fs_nameオペランドで指定したファイルシステムに対応するオプションを同じ位置の引数に指定してください。よって,オプションの指定数はfs_nameオペランドと同じにしてください。途中のオプションを省略する場合は値を指定しないで":"(コロン)で区切り"fs_neck use::nouse,"のように定義してください。fs_neckオペランドを省略した場合,すべてのファイルシステムに対してnouseを仮定します。
actcommand~<1~1000文字のパス名>
サーバの起動コマンドの完全パス名を指定します。termcommandオペランドと同様に,オペランドの指定値を"(引用符)で囲むことで,引数を指定できます。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
モニタモードのサーバで,サーバの起動コマンドに引数を指定したい場合に,このオペランドを指定します。この場合も,nameオペランドには,パス名称だけを指定してください。
サーバの起動コマンド実行時に引数が不要の場合は,このオペランドを指定しないで,nameオペランドだけを指定してください。
サーバモードのサーバの場合は,指定しても無視されます。
standbypri~<符号なし整数>((1~9999))《1》
マルチスタンバイ機能を使用する場合に,各待機サーバの優先度を指定します。数値が小さいほど,その系の優先度が高いことを示します。各系で異なる値を指定してください。このオペランドは,HAモニタの環境設定のmultistandbyオペランドにuseを指定し,サーバ対応の環境設定のinitialオペランドにstandbyを指定した場合にだけ有効です。initialオペランドにonlineを指定した場合は,優先度がいちばん高くなります。マルチスタンバイ機能の詳細については,「4.5 マルチスタンバイ機能を使用する場合のサーバと系の管理」を参照してください。
deviceoff_order~《order》
共有リソースの切り離しをする順序を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。このオペランドはHAモニタの環境設定のdeviceoff_orderオペランドとは異なり,指定されたサーバにだけ適用されます。
HAモニタの環境設定のdeviceoff_orderオペランドを指定した場合は,このオペランドの指定は無視され,HAモニタの環境設定の定義に従います。サーバごとに共有リソースの切り離しをする順序を変更したい場合は,HAモニタの環境設定にはdeviceoff_orderオペランドを定義しないで,このオペランドで指定してください。
共有リソースの切り離しをする順序の詳細については,「4.7.5 共有リソースの切り離しを接続時と逆順にする場合の処理の流れ」を参照してください。
  • order:接続時と同じ順番で共有リソースの切り離しをします。
  • reverse:接続時と逆の順番で共有リソースの切り離しをします。
ph_threshold~<符号なし整数>((5~559))(単位:秒)
自系で稼働する実行サーバに発生したスローダウンの情報を監視履歴として取得する場合に,実行サーバの稼働報告がなくなってから監視履歴を取得するまでの時間(サーバ監視履歴取得時間)を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
サーバ監視履歴取得時間は,サーバ対応の環境設定のpatrolオペランドで指定したサーバ障害監視時間よりも小さい値になるように指定する必要があります。
このオペランドを省略した場合,サーバの監視履歴は取得しません。また,モニタモードのサーバの場合は,指定しても無視されます。
このオペランドを指定してサーバの監視履歴を取得する場合,必ずHAモニタの環境設定のph_log_sizeオペランドも指定してください。

(3) resource定義文

リソースサーバを定義します。resource定義文のオペランドを,次に示します。リソースサーバについては,「4.6 リソースサーバの管理」を参照してください。

各オペランドはサーバ対応の環境設定であるserver定義文と同様であるため,それらの説明については,server定義文の同一オペランドの説明を参照してください。ここでは,server定義文と違いのあるオペランドについて説明します。

alias~<1~8文字の英数字>
HAモニタで使用するコマンドや,出力するメッセージのための,リソースサーバの識別名(サーバの別名)を指定します。server定義文のaliasオペランドと同様です。
group~<1~8文字の英数字>
連動系切り替え時に一括して切り替えるサーバグループの名称を指定します。現用系と予備系とで同じ値を指定してください。
リソースサーバの場合,このオペランドは必須です。exchange,no_exchange,cancel,no_cancelを指定しても内容は無視されます。その他の事項については,server定義文のgroupオペランドと同様です。
なお,一つのグループに複数のリソースサーバは定義できません。