ここでは,系切り替え構成の違いについて説明します。
各系切り替え構成の特徴を踏まえた上で,コストや系切り替え後の処理性能などを考慮して,業務システムに適切な系切り替え構成を選択してください。系切り替え構成の種類と特徴を次の表に示します。
表5-1 系切り替え構成の種類と特徴
項番 | 系切り替え構成の種類 | 特徴 | 業務が一つの場合 | 業務が複数の場合 |
---|---|---|---|---|
1 | 1:1系切り替え構成 | 専用の予備系を用意する系切り替え構成です。 コストは高くなりますが,系切り替え構成後も同等の性能で処理できます。 | ○ | - |
2 | 相互系切り替え構成 | 複数の実行サーバを異なる二つの系で稼働させ,それぞれの待機サーバを互いの系に配置して,業務を実行する系切り替え構成です。資源を有効に活用できますが,系切り替え後には,一つの系で両方の業務を実行するため,負荷が掛かります。 | - | ○ |
3 | 2:1系切り替え構成 | 二つの現用系に,一つの予備系を用意するため,複数の1:1系切り替え構成に比べると,資源を有効に活用できます。 片方の系だけに障害が発生した場合は,系切り替え後の処理性能は劣化しませんが,両方の現用系に障害が発生した場合,一つの予備系に業務が集中するため,負荷が掛かります。 | - | ○ |
4 | 複数スタンバイ構成 | 一つの現用系に,複数の予備系を用意するため,コストは高くなりますが,系切り替え後も同等の性能で処理できます。また,系切り替え後,さらに予備系に障害が発生した場合でも,別の予備系へ系切り替えができるため,業務を継続できます。 | ○ | ○ |
5 | クラスタ型系切り替え構成 | 項番1から項番4までの系切り替え構成を組み合わせて,負荷分散をするための系切り替え構成です。 複数の系が実行系と待機系を兼ねることで,一つの業務を異なる系の複数のサーバで並列実行できるため,一つの系に掛かる処理を分散できます。 | ○ | ○ |
(凡例)○:使用できる -:使用できない
各系切り替え構成の構成例については,「2.1 系切り替え構成」を参照してください。