2.4.4 通信回線の制御

通信回線を切り替える方法には,LCやLPを共有する方法と回線切替装置を使用する方法があります。HP-UX(PA-RISC)の場合に使用できるのは,回線切替装置を使用する方法だけです。また,AIXの場合も回線切替装置を使用する方法だけですが,LAのオンライン・スタンバイの制御ができます。

なお,HP-UX(IPF),およびLinux(IPF)の場合,通信回線の制御はできません。

<この項の構成>
(1) 通信回線との接続
(2) 通信回線の切り替え
(3) 注意事項

(1) 通信回線との接続

HI-UX/WE2の場合,通信回線は,XNF/S-E2またはXNF/SでLPを介して接続します。LCやLPを共有する場合,起動時に,LPは実行系も待機系もスタンバイ状態になっています。通信回線との接続時には,実行系のLPだけをオンライン状態にします。通信回線との接続の流れを次の図に示します。

図2-50 通信回線との接続の流れ(HI-UX/WE2)

[図データ]

回線切替装置を使用する場合,回線切替装置に対する自系への接続要求だけをします。回線切替装置を使用した通信回線との接続の流れを,次の図に示します。

図2-51 回線切替装置を使用した通信回線との接続の流れ(HI-UX/WE2およびHP-UX(PA-RISC))

[図データ]

AIXの場合,通信回線は,XNF/ASでLAおよび回線切替装置を介して接続します。システム起動時に,LAは実行系も待機系もスタンバイ状態にしておきます。通信回線との接続時には,回線切替装置に対する自系への接続要求によって,実行系のLAをオンライン状態にします。通信回線との接続の流れを次の図に示します。

図2-52 通信回線との接続の流れ(AIX)

[図データ]

(2) 通信回線の切り替え

LCやLPを共有する場合,通信回線は,待機系のスタンバイ状態のLPをオンライン状態にし,実行系のオンライン状態のLPをスタンバイ状態にして切り替えます。

HI-UX/WE2の場合の,サーバ障害時の通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-53 サーバ障害時の通信回線の切り替えの流れ(HI-UX/WE2)

[図データ]

HI-UX/WE2の場合の,系障害時の通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-54 系障害時の通信回線の切り替えの流れ(HI-UX/WE2)

[図データ]

回線切替装置を使用する場合,回線切替装置に対する自系への接続要求だけをします。HI-UX/WE2およびHP-UX(PA-RISC)の場合の,サーバ障害時の回線切替装置を使用した通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-55 サーバ障害時の,回線切替装置を使用した通信回線の切り替えの流れ(HI-UX/WE2およびHP-UX(PA-RISC))

[図データ]

HI-UX/WE2およびHP-UX(PA-RISC)の場合の,系障害時の回線切替装置を使用した通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-56 系障害時の,回線切替装置を使用した通信回線の切り替えの流れ(HI-UX/WE2およびHP-UX(PA-RISC))

[図データ]

AIXの場合,通信回線は,実行系のオンライン状態のLAをスタンバイ状態にし,待機系で回線切替装置に対する自系への接続要求をして,待機系のスタンバイ状態のLAをオンライン状態にして切り替えます。

AIXの場合の,サーバ障害時の通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-57 サーバ障害時の通信回線の切り替えの流れ(AIX)

[図データ]

AIXの場合の,系障害時の通信回線の切り替えの流れを,次の図に示します。

図2-58 系障害時の通信回線の切り替えの流れ(AIX)

[図データ]

(3) 注意事項

通信回線を使用する際の注意事項を示します。

HI-UX/WE2の場合,回線切替装置を使用する構成では,サーバの起動や系切り替え時にRCポートでRS-232Cのオーバランが繰り返し発生すると通信回線の切り替えに失敗する場合があります。

回線切替装置に対する接続要求時,自系が接続する入力回線がA系かB系かは,HAモニタが回線切替装置に対してヘルスチェックコマンドを発行して状態取得をすることで自動的に取得し,切り替えコマンドを発行して切り替え指示をします。この状態取得時にオーバランが発生して状態取得に失敗した場合,自系が接続する入力回線がわからず切り替え指示をできないため,回線切り替えが失敗します。

入力回線を定義しない場合の回線切り替え処理シーケンスを,次の図に示します。

図2-59 入力回線を定義しない場合の回線切り替え処理シーケンス

[図データ]

オーバラン発生による通信回線の切り替え失敗を回避するため,自系から接続する回線切替装置の入力回線をサーバ対応の環境設定で事前に定義できます。この場合,自系が接続する入力回線は定義情報から取得するため,回線切替装置からの状態取得はしないで切り替え指示をします。これによってオーバラン発生による通信回線の切り替え失敗はなくなります。

入力回線を定義した場合の回線切り替え処理シーケンスを,次の図に示します。

図2-60 入力回線を定義した場合の回線切り替え処理シーケンス

[図データ]

したがって,回線切替装置を使用する際は,次に注意してください。