系切り替え構成では,単一点障害を防止するために,LANを冗長化させる必要があります。HP-UX(PA-RISC)およびHP-UX(IPF)の場合,予備のLANアダプタを設定して,LANアダプタの障害に備えることができます。ここでは,LANアダプタの二重化について説明します。
HP-UX(PA-RISC)およびHP-UX(IPF)の場合,HAモニタが系内でのLANアダプタの二重化も制御できます。サーバが使用するLANアダプタを現用・予備の組み合わせで二重化として定義することによって,HAモニタは一定間隔でLANの活性状態を調査し,現用LANアダプタが障害になった場合に自動的に予備のLANアダプタに切り替えます。
HAモニタがLANアダプタの活性状態を調査する間隔は,HAモニタの環境設定のlanpatrolオペランドで指定します。LANアダプタの障害を検出すると,HAモニタはLANアダプタの接続障害を示すメッセージKAMN481-Eを出力します。調査は,予備LANアダプタに対してもします。
現用LANアダプタの障害を検出した場合は,現用LANアダプタのIPアドレスを予備LANアダプタに引き継いで切り替えます。切り替え後は,障害が発生した現用LANアダプタは,予備LANアダプタとなり現用LANアダプタの障害に備えます。
予備LANアダプタの障害を検出した場合は,障害メッセージを出力するだけで切り替え動作はしません。また,障害メッセージは一度出力すると,以降は障害が回復するまで出力しません。予備LANアダプタの障害回復を検出すると,HAモニタはLANアダプタの接続回復を示すメッセージKAMN492-Iを出力します。障害回復メッセージは一度出力すると,以降は障害となるまで出力しません。
monshowコマンドで各LANアダプタの稼働状態,およびどちらが現用LANアダプタとして動作しているかを表示できます。
LANアダプタを二重化した構成と,障害が発生した場合のLANアダプタの状態について説明します。
LANアダプタの二重化制御は同一系内で有効な機能です。例えばここで説明する構成では,予備系のLANアダプタも二重化されていますが,予備系を二重化しない構成や,系間でLANアダプタ名称が異なる構成にもできます。
LANアダプタを二重化した場合の構成とLANアダプタの状態を次の図に示します。
図2-74 LANアダプタを二重化した場合の構成とLANアダプタの状態
LANアダプタを二重化した構成で,現用系のLANアダプタに障害が発生した場合のLANアダプタの状態を次の図に示します。
図2-75 現用系でのLANアダプタ障害発生時のLANアダプタの状態
LANアダプタを二重化した構成で,系障害のために系切り替えが発生したあとのLANアダプタの状態を次の図に示します。
図2-76 系障害による系切り替え発生後のLANアダプタの状態
系切り替え時,予備系の系2現用LANアダプタが障害の場合も,系2予備LANアダプタに自動的に切り替わります。
図2-77 複数IPアドレスの切り替え