サーバ対応の環境を設定する定義ファイルは,HAモニタの環境設定用ディレクトリの下にserversというファイル名で作成します。
また,HAモニタサンプルファイル用ディレクトリの下にserversというファイル名の定義の記述サンプルファイルが用意されています。
このファイルをHAモニタの環境設定用ディレクトリにコピーし,書き換えて使用すると,定義ファイルを最初から作成する手間が省けます。
なお,この定義ファイルは系ごとに作成するため,定義の際には系間の整合性を取ってください。
サーバ対応の環境設定をする定義ファイルを,次に示します。
/* サーバ対応の環境設定 */ |
/* リソースサーバ対応の環境設定 */ |
適用OSによって各オペランドを使用できるかどうかが異なります。server定義文およびresource定義文のオペランドと適用OSの関係を表に示します。
表3-5 server定義文およびresource定義文のオペランドと適用OS
オペランド | 適用OS | ||||
---|---|---|---|---|---|
HI-UX/WE2 | AIX | HP-UX(PA-RISC) | HP-UX(IPF) | Linux(IPF) | |
name | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
alias | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
acttype | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
patrol | ○ 《10~60》 | ○ 《5~60》 | ○ 《5~60》 | ○ 《5~60》 | ○ 《5~60》 |
termcommand | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
initial | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
pairdown | ○ serv_slowは指定不可 | ○ | ○ | ○ | ○ |
group | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
switchtype | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
lp | ○ | × | × | × | × |
disk | ○ スペシャルファイル名を指定 | ○ ボリュームグループのパス名を指定 | ○ ボリュームグループのパス名を指定 | ○ ボリュームグループのパス名を指定 | ○ ボリュームグループのパス名を指定 |
port | ○ | × | ○ 入力ポートは指定不可 | × | × |
fddi | ○ | × | × | × | × |
hslink | ○ | × | × | × | × |
cd10 | ○ | × | × | × | × |
lan_updown | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
adp_recovery | ○ | × | × | × | × |
fs_name | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
fs_mount_dir | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
fs_mount_opt | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
fs_umount_retry | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
patrolcommand | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
servexec_retry | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
waitserv_exec | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
retry_stable | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
la | × | ○ | × | × | × |
hls | × | ○ | ○ | × | × |
hab_gid | × | ○ | × | × | × |
parent | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
switchbyfail | × | × | ○ | ○ | × |
dev_timelimit | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
vg_on_opt | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
vg_forced_varyon | × | ○ | × | × | × |
disconnect_atend | × | ○ | × | × | × |
lan_neck | × | × | ○ | ○ | × |
ip_neck | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
uoc_neck | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
vg_neck | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
fs_neck | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
actcommand | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
standbypri | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
deviceoff_order | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
(凡例) ○:使用できます。 ×:使用できません。
サーバ対応の環境設定では,サーバがHAモニタとのインタフェースを持つ場合と持たない場合,およびリソースサーバの場合とで,定義するオペランドが異なります。サーバの種類によるオペランドの組み合わせを次の表に示します。
表3-6 サーバの種類によるオペランドの組み合わせ
オペランド | HAモニタとのインタフェースを持つ場合 | HAモニタとのインタフェースを持たない場合 | リソースサーバの場合 |
---|---|---|---|
name | ◎ | ◎ | △ |
alias | ◎ | ◎ | ◎ |
acttype | ○ | ◎ | △ |
patrol | ◎ | △ | △ |
termcommand | △ | ○ | △ |
initial | ○ | ○ | ○ |
pairdown | ○ | △ | △ |
group | ○ | ○ | ◎ |
switchtype | ○ | △ | △ |
lp | ○ | ○ | △ |
disk | ○ | ○ | ○ |
port | ○ | ○ | ○ |
fddi | ○ | ○ | △ |
hslink | ○ | ○ | △ |
cd10 | ○ | ○ | △ |
lan_updown | ○ | ○ | ○ |
adp_recovery | ○ | △ | △ |
fs_name | ○ | ○ | ○ |
fs_mount_dir | ○ | ○ | ○ |
fs_mount_opt | ○ | ○ | ○ |
fs_umount_retry | ○ | ○ | ○ |
patrolcommand | △ | ○ | △ |
servexec_retry | △ | ○ | △ |
waitserv_exec | △ | ○ | △ |
retry_stable | △ | ○ | △ |
la | ○ | ○ | ○ |
hls | ○ | ○ | ○ |
hab_gid | ○ | ○ | ○ |
parent | ○ | ○ | △ |
switchbyfail | ○ | ○ | △ |
dev_timelimit | ○ | ○ | ○ |
vg_on_opt | ○ | ○ | ○ |
vg_forced_varyon | ○ | ○ | ○ |
disconnect_atend | ○ | ○ | ○ |
lan_neck | ○ | ○ | ○ |
ip_neck | ○ | ○ | ○ |
uoc_neck | ○ | ○ | ○ |
vg_neck | ○ | ○ | ○ |
fs_neck | ○ | ○ | ○ |
actcommand | △ | ○ | △ |
standbypri | ○ | ○ | ○ |
deviceoff_order | ○ | ○ | ○ |
(凡例)
◎:定義します(省略できません)。
○:定義します(省略した場合,仮定値を設定します)。
△:定義しません(定義しても無視されます)。
サーバを定義します。server定義文のオペランドを,次に示します。
表3-7 実行するコマンドと渡される引数の関係
実行するコマンド | 渡される引数 |
---|---|
実行サーバ停止連絡コマンド(monendコマンド) | -e |
計画系切り替えコマンド(monswapコマンド) | -w |
サーバ障害時の再起動前処理 | -c |
図3-1 サーバの切り替え種別の指定と連動系切り替えの関係
表3-8 サーバの切り替え種別の組み合わせとHAモニタの処理の関係
HAモニタの処理 | サーバの切り替え種別の組み合わせ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
exchangeだけ | exchangeとno_exchange | no_exchangeだけ | ||||
グループ内で稼働中のサーバ | グループ内で稼働中のサーバ | |||||
あり | なし | あり | なし | |||
サーバ障害発生時 | exchange指定のサーバ | 連動系切り替え | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | - | - |
no_exchange指定のサーバ | - | 連動系切り替え待ち※1 | 単独で系切り替え※3 | 連動系切り替え待ち※1 | 単独で系切り替え※3 | |
サーバスローダウン発生時 | exchange指定のサーバ | 連動系切り替え | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | - | - |
no_exchange指定のサーバ | - | 以降の指定に従う※2 | 単独で系切り替え※3 | 以降の指定に従う※2 | 単独で系切り替え※3 | |
系障害発生時 | exchange指定のサーバ | 連動系切り替え | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | - | - |
no_exchange指定のサーバ | - | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | |
計画系切り替え時 | exchange指定のサーバ | 連動系切り替え | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | - | - |
no_exchange指定のサーバ | - | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 | 連動系切り替え | 単独で系切り替え※3 |
(凡例)-:組み合わせとしてあり得ません。
注※1 待機サーバは,待機系で起動を完了した状態でサーバグループの連動系切り替えを待ちます。ユーザが,monactコマンドでこの待機サーバを実行サーバとして起動するか,サーバグループが連動系切り替えをする(自動系切り替えまたはmonswapコマンドでの計画系切り替え)まで待ち続けます。
注※2 cancelを指定している場合は,サーバを異常終了させます。待機サーバは連動系切り替え待ち状態になります。no_cancelを指定している場合は,サーバの状態監視を続けます。待機サーバは連動系切り替え待ち状態にはなりません。
注※3 待機系に,同じサーバグループに属する連動系切り替え待ち状態の待機サーバがあれば,同時に実行サーバとして起動させます。
現用系のportオペランド:port /dev/tty21#A |
現用系のcd10オペランド:cd10 he0:he1,… |
現用系のcd10オペランド:cd10 he2:he3,… |
表3-9 adp_recoveryオペランドの指定値の長所と短所
指定値 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
manual | 障害が発生したアダプタや,そのアダプタを使用しているサーバの状態から,ユーザが対処方法を選択できます。 | 自動回復でないため,ユーザの判断による対処が必要です。 |
switch | サーバの状態(待機サーバの有無など)に関係なく,障害を回復できます。 | クラスタスイッチを切り替えるため,正常に通信している(アダプタ障害が発生していない)系のサーバにも影響を与えます。 |
server | クラスタスイッチを切り替えないため,正常に通信している系のサーバに影響を与えません。 | 待機サーバがないと実行できません。また,HAモニタとのインタフェースを持たないサーバでは,計画系切り替えが実行できません。 |
表3-10 複数のサーバ間でadp_recoveryオペランドの指定値が異なる場合の回復方法
サーバ1での指定値 | サーバ2での指定値 | ||
---|---|---|---|
manual | switch | server | |
manual | M | W | X |
switch | W | W | W |
server | X | W | V |
(凡例)
M:サーバ1,2とも"manual"指定で回復します。
V:サーバ1,2とも"server"指定で回復します。
W:サーバ1,2とも"switch"指定で回復します。
X:"manual"を指定したサーバでは,メッセージだけを出力します。"server"を指定したサーバは"server"指定で回復します。ただし,"server"を指定したサーバに待機サーバがない場合,またはHAモニタとのインタフェースを持たないサーバを使用している場合は,サーバ1,2とも"switch"指定で回復します。
注 サーバが三つ以上あり,すべての指定が混在する場合は,"switch"指定で回復します。
fs_name /dev/vg01/lvol1:/dev/vg02/lvol1, |
fs_name /dev/vg01/lvol1:/dev/vg02/lvol1, |
現用系のhlsオペランド:hls /dev/tty2#001A |
disk /dev/vg01 :/dev/vg02 , |
リソースサーバを定義します。resource定義文のオペランドを,次に示します。リソースサーバについては,「2.6 複数サーバで共有リソースを共用する構成でのリソースサーバの管理」を参照してください。
各オペランドはサーバ対応の環境設定であるserver定義文と同様であるため,それらの説明については,server定義文の同一オペランドの説明を参照してください。ここでは,server定義文と違いのあるオペランドについて説明します。