4.2.1 LANの状態設定ファイル
LANは,HAモニタがサーバ対応に接続,切り離しをするので,サーバごとにネットワークの設定用ファイルが必要です。HI-UX/WE2では通常はネットワークの自動起動用のファイル(/etc/brc.ipcファイル)を書き換えて設定しますが,HAモニタでは,LANの状態設定ファイルを作成して設定します。
/etc/brc.ipcファイルの詳細については,マニュアル「HI-UX/WE2 日立CSMA/CDネットワーク CD105(TCP/IP)」を参照してください。
LANの状態設定ファイルの種類を次に示します。
- サーバ識別名.upファイル:LANを接続する場合に使用します。
- サーバ識別名.downファイル:LANの切り離しをする場合に使用します。
これらのファイルは,サーバごとにHAモニタ環境設定用ディレクトリの下に作成します。ファイル名のサーバ識別名の部分は,サーバ対応の環境設定のaliasオペランドで指定した値にしてください。
HAモニタには,HAモニタサンプルファイル用ディレクトリの下に,server.upおよびserver.downというファイル名で,LANの状態設定ファイル用の記述サンプルファイルが用意されています。これらのファイルをHAモニタ環境設定用ディレクトリの下にコピーして書き換えることで,LANの状態設定ファイルを最初から作成する手間が省けます。また,ファイルには実行権限を与えてください。
LANの状態設定ファイルの内容は,HAモニタでのLANの切り替え方法で異なります。
ここでは,HAモニタでのLANの切り替え方法を説明します。
- <この項の構成>
- (1) MACアドレスを引き継ぐ方法
- (2) エイリアスIPアドレスを使用する方法
(1) MACアドレスを引き継ぐ方法
MACアドレスを引き継ぐ方法では,LANの状態設定ファイルには,ネットワークインタフェースの状態を設定します。なお,MACアドレスを引き継ぐ方法は,HI-UX/WE2の場合だけ適用できます。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,自ホスト名,およびブロードキャスト・アドレスを設定します。
MACアドレスを引き継ぐ方法の場合のサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
kill 'cat /etc/routed.pid'
/etc/ifconfig xxy 'zz....zz' up broadcast nnn.n.n.n -trailers
/etc/ifconfig xxy
if test -x /etc/routed
then
/etc/routed
fi |
- (凡例)
- xxy:インタフェース名(デバイス名「xx」とスロット番号「y」)
- zz....zz:自ホスト名
- nnn.n.n.n:ブロードキャスト・アドレス
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびIPアドレスを設定します。
MACアドレスを引き継ぐ方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/etc/ifconfig xxy delete nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxy:インタフェース名(デバイス名「xx」とスロット番号「y」)
- nnn.nnn.nnn.nnn:IPアドレス
(2) エイリアスIPアドレスを使用する方法
エイリアスIPアドレスを使用する方法では,LANの状態設定ファイルには,LANアダプタに追加するエイリアスIPアドレス,またはLANアダプタから削除するエイリアスIPアドレスを設定します。
(a) HI-UX/WE2の場合
HI-UX/WE2の場合,エイリアスIPアドレスの追加・削除には,HI-UX/WE2のifaddrsetコマンドを使用します。ifaddrsetコマンドについては,マニュアル「HI-UX/WE2 日立CSMA/CDネットワーク CD105(TCP/IP)」を参照してください。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,およびエイリアスIPアドレスを設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
/etc/ifaddrset xxy add nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxy:インタフェース名(デバイス名「xx」とスロット番号「y」)
- nnn.nnn.nnn.nnn:エイリアスIPアドレス
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびエイリアスIPアドレスを設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/etc/ifaddrset xxy delete nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxy:インタフェース名(デバイス名「xx」とスロット番号「y」)
- nnn.nnn.nnn.nnn:エイリアスIPアドレス
(b) AIXの場合
AIXの場合,エイリアスIPアドレスの追加・削除には,AIXのifconfigコマンドを使用します。ifconfigコマンドについては,AIXのマニュアルを参照してください。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,およびエイリアスIPアドレスを設定します。必要に応じてネットワークマスクおよびブロードキャスト・アドレスを設定してください。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx inet n.n.n.n alias netmask nn.nn.nn.nn broadcast nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- n.n.n.n:エイリアスIPアドレス
- nn.nn.nn.nn:ネットワークマスク
- nnn.nnn.nnn.nnn:ブロードキャスト・アドレス
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびエイリアスIPアドレスを設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx inet n.n.n.n delete |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- n.n.n.n:エイリアスIPアドレス
(c) HP-UX(PA-RISC)の場合
HP-UX(PA-RISC)の場合,エイリアスIPアドレスの追加・削除には,HP-UX(PA-RISC)のifconfigコマンドを使用します。ifconfigコマンドについては,HP-UX(PA-RISC)のマニュアルを参照してください。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,IPインデックス番号,およびエイリアスIPアドレスを設定します。必要に応じてネットワークマスクおよびブロードキャスト・アドレスを設定してください。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx:y inet n.n.n.n netmask nn.nn.nn.nn broadcast nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号
- n.n.n.n:エイリアスIPアドレス
- nn.nn.nn.nn:ネットワークマスク
- nnn.nnn.nnn.nnn:ブロードキャスト・アドレス
一つのインタフェースで複数のエイリアスIPアドレスを使用する場合は,各エイリアスIPアドレスに対応して異なるIPインデックス番号を設定します。
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびIPインデックス番号を設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx:y inet 0.0.0.0 |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号
- LANアダプタの二重化との関係
LANアダプタの二重化を使用している場合,LANの状態設定ファイルには現用LANアダプタのインタフェース名を指定してください。
(d) HP-UX(IPF)の場合
HP-UX(IPF)の場合,エイリアスIPアドレスの追加・削除には,HP-UX(IPF)のifconfigコマンドを使用します。ifconfigコマンドについては,HP-UX(IPF)のマニュアルを参照してください。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,IPインデックス番号,およびエイリアスIPアドレスを設定します。必要に応じてネットワークマスクおよびブロードキャスト・アドレスを設定してください。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx:y inet n.n.n.n netmask nn.nn.nn.nn broadcast nnn.nnn.nnn.nnn |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号
- n.n.n.n:エイリアスIPアドレス
- nn.nn.nn.nn:ネットワークマスク
- nnn.nnn.nnn.nnn:ブロードキャスト・アドレス
一つのインタフェースで複数のエイリアスIPアドレスを使用する場合は,各エイリアスIPアドレスに対応して異なるIPインデックス番号を設定します。
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびIPインデックス番号を設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/usr/sbin/ifconfig xxx:y inet 0.0.0.0 |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号
- LANアダプタの二重化との関係
LANアダプタの二重化を使用している場合,LANの状態設定ファイルには現用LANアダプタのインタフェース名を指定してください。
(e) Linux(IPF)の場合
Linux(IPF)の場合,エイリアスIPアドレスの追加・削除には,Linux(IPF)のifconfigコマンドおよびarpingコマンドを使用します。ifconfigコマンドおよびarpingコマンドについては,Linux(IPF)のマニュアルを参照してください。
- サーバ識別名.upファイルの設定
サーバ識別名.upファイルには,系固有のインタフェース名,IPインデックス番号,およびエイリアスIPアドレスを設定します。必要に応じてネットワークマスクおよびブロードキャスト・アドレスを設定してください。また,Linux(IPF)では,エイリアスIPアドレスを追加したあと,arpingコマンドを実行します。arpingコマンドの実行によって,ARPリクエストがブロードキャストされ,IPアドレスとMACアドレスのマッピングが更新されます。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.upファイルの内容を,次に示します。
/sbin/ifconfig xxx:y inet n.n.n.n netmask nn.nn.nn.nn broadcast nnn.nnn.nnn.nnn
/sbin/arpnig -U -c 2 -I xxx n.n.n.n |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号
- n.n.n.n:エイリアスIPアドレス
- nn.nn.nn.nn:ネットワークマスク
- nnn.nnn.nnn.nnn:ブロードキャスト・アドレス
一つのインタフェースで複数のエイリアスIPアドレスを使用する場合は,各エイリアスIPアドレスに対応して異なるIPインデックス番号を設定します。
- サーバ識別名.downファイルの設定
サーバ識別名.downファイルには,系固有のインタフェース名,およびIPインデックス番号を設定します。
エイリアスIPアドレスを使用する方法でのサーバ識別名.downファイルの内容を,次に示します。
/sbin/ifconfig xxx:y down |
- (凡例)
- xxx:インタフェース名
- y:IPインデックス番号