2.3.4 系リセット不可時の自動系切り替え

ここでは,リセットパスの障害などの理由から,系リセットができなかった場合の動作について説明します。

<この項の構成>
(1) 系リセット不可時の動作
(2) リセットパス障害時の動作
(3) 監視パスおよびリセットパスの信頼性の確保
(4) HI-UX/WE2の場合の環境設定

(1) 系リセット不可時の動作

実行系が電源断などの系障害の場合,実行系からリセット応答がなく系リセットによる実行系の停止が確認できないため,待機系の待機サーバは系切り替え待ち状態となります。したがって,業務を続行するためには,オペレータの介入が必要になり,システムの稼働率が低下します。

この場合でも自動系切り替えができます。このような系障害の検出は,監視パスを使用した他系からのaliveメッセージが指定した系障害監視時間を超えても受信されず,かつリセットパスを使用した系リセットの応答がない場合,実行系は動作不可の系障害と判断し,HAモニタが系切り替えを開始します。系リセット不可時の動作を,次の図に示します。

図2-21 系リセット不可時の動作

[図データ]

(2) リセットパス障害時の動作

リセットパスが障害の状態で系障害が発生した場合,リセット応答がない要因がリセットパスの障害によるものか,または実行系が停止しているものかを判断できません。系リセットの失敗として,待機系の待機サーバは系切り替え待ち状態となります。この場合,速やかに障害を取り除き,リセットパスを復旧させてください。

リセットパス障害時の動作を,次の図に示します。

図2-22 リセットパス障害時の動作

[図データ]

(3) 監視パスおよびリセットパスの信頼性の確保

系リセット不可時の系障害の検出には,監視パスおよびリセットパスの信頼性が重要です。すべての監視パスおよびリセットパスが同時に障害となった場合,HAモニタはヘルスチェックによるリセットパスの障害検出ができず,実行系と待機系とで同じ実行サーバが複数稼働するおそれがあります。したがって,次の注意事項を基に監視パスおよびリセットパスの信頼性を確保してください。

(4) HI-UX/WE2の場合の環境設定

HI-UX/WE2の場合,系リセット不可時の自動系切り替え機能を使用するかどうかをHAモニタの環境設定のnorsp_cntオペランドに指定します。また,この機能を使用する場合はリセットパスの障害を早期に検出するよう,リセットパスのヘルスチェック間隔を2分に設定してください。

HI-UX/WE2の場合,監視パスは,異なる種類(例えば,RS-232C LANとTCP/IP LANなど)で複線化し,リセットパスとは共用しないでください。