サーバの共有ディスクとしてSANRISEシリーズを用い,ShadowImageを利用した運用の中で,副ボリュームを系切り替えの対象に含む場合の運用について次に示します。
通常ShadowImageは,正ボリュームおよび副ボリュームの二つのディスクボリュームを用い,正ボリュームのデータを副ボリュームにコピーし,二重化した状態を保ちます(ペア状態)。このとき,正ボリュームと副ボリュームの内容は完全に一致しています。ここで,正ボリュームで通常業務を実行し,副ボリュームでバックアップを取得するなど,別々の運用をするタイミングで二重化を解除します(ペア分割)。
このとき副ボリュームには,PVIDごと正ボリュームの内容がコピーされているため,副ボリュームに新規PVIDを割り当てた上で副ボリュームでの運用をします。副ボリュームでの運用が終了すると,正ボリュームおよび副ボリュームを再びペア状態に戻します。
ShadowImageの概要を,次の図に示します。
図D-1 ShadowImageの概要
HiRDB Version7では,SANRISEシリーズのMRCF,またはShadowImage機能を用いて,DBの更新ができるオンライン再編成を実現しています。
通常は正ボリュームにて正規業務を実行していますが,DB再編成のタイミングで正規業務を副ボリュームに引き継ぎ,正ボリュームでDB再編成し,再編成終了後に,DB追い付き反映機能を用いて正規業務を正ボリュームに切り戻します。
HiRDBの更新ができるオンライン再編成の運用の流れを,次の図に示します。
図D-2 HiRDBの更新ができるオンライン再編成の運用の流れ
サーバがShadowImageを用い,副ボリュームで運用しているタイミングでサーバに系切り替えが発生した場合,副ボリュームの運用を待機系に引き継げません。これは,ペア分割の際に副ボリュームに割り当てられた新規PVIDを待機系が認識していないためです。
副ボリューム運用を待機系に引き継がせるためには,ペア分割のあと,待機系に副ボリュームの新規PVIDを反映し,現用系および待機系それぞれが副ボリュームを認識できるようにする操作が必要です。このあと,HAモニタの共有リソースとして,副ボリュームを追加する操作が必要となります。このあと,副ボリュームでの運用が終了したあとは,HAモニタの制御から副ボリュームを削除する必要があります。ShadowImageを用いた場合の運用手順の概要を次の図に示します。
図D-3 ShadowImageを用いた場合の運用手順の概要
ShadowImageを用いたサーバの副ボリューム運用として,HiRDBの更新ができるオンライン再編成を例に挙げ,正常な副ボリューム運用中の系切り替えをするための手順例を次に示します。HA Boosterを用いる場合と用いない場合とで手順が若干異なります。
なお,AIXの場合の,HiRDBの更新ができるオンライン再編成は,HDLMの導入が前提となっているため,次の手順ではHDLMも導入している状態での運用手順例を示します。
HA Boosterを用いない場合の,構成例および運用手順を次の図に示します。
図D-4 HA Boosterを用いない場合の構成例
HA Boosterを用いない場合の運用手順を次の図に示します。
図D-5 HA Boosterを用いない場合の運用手順例
(凡例)
(% コマンド フォーマット):実行するコマンドを表します。
HA Boosterを用いる場合の構成例および運用手順例を次の図に示します。
HA Boosterを用いる場合は,副ボリュームをHA Boosterの制御グループに追加する手順が必要です。
図D-6 HA Boosterを用いる場合の構成例
HA Boosterを用いる場合の運用手順を次の図に示します。
図D-7 HA Boosterを用いる場合の運用手順例
待機系に副ボリュームの反映を実行中,障害による系切り替えが発生した場合は,次の運用をします。