1:1系切り替え構成時のハードウェアの構成例を次の図に示します。
図1-21 1:1系切り替え構成時のハードウェアの構成例(AIX)
2:1系切り替え構成時のハードウェアの構成例を次の図に示します。
図1-22 2:1系切り替え構成時のハードウェアの構成例(AIX)
クラスタ型系切り替え構成時のハードウェアの構成例を次の図に示します。
図1-23 クラスタ型系切り替え構成時のハードウェアの構成例(AIX)
HAモニタを動作させるのに必要なハードウェアは,次の要素で構成されます。
実際に業務を処理するサーバマシンを,実行系と待機系とで1台ずつ使用します。
HAモニタを使用する前提機種を次に示します。
実行系と待機系のプロセサ間を接続して,実行系と待機系との間で,互いの系を監視するために使用します。また,系切り替えのための情報交換にも使用します。
監視パスには,次の種類があります。
監視パスが1本の場合,監視パスに障害が発生すると,HAモニタがそれを系障害と判断して系切り替えを実行するおそれがあります。このような単一点障害での系切り替えを避けるために,監視パスを必ず複線化してください。監視パスは3本まで複線化できます。監視パスを複線化しておくと,1本の監視パスに障害が発生しても,ほかのパスで系の監視を続行できます。
監視パスを複線化すると,系間での通信のたびに異なる監視パスを使用します。そのため,監視パス1本当たりの情報量の負荷も減らせます。
ただし,TCP/IP LANを複線化する場合,次に注意してください。
また,HAモニタの環境設定で優先的に使用する監視パスを指定すると,系間の通信には設定した監視パスを優先的に使用します。その監視パスに障害が発生すると,ほかの監視パスと交代して通信を続けます。
実行系と待機系のSP間を接続して,実行系で障害が発生した場合に,系の入出力のリセットを指示するために使用します。リセットパスを構成するためには,系切替機構が必要です。
リセットパスには,通信媒体ごとに次の種類があります。ユーザが適用する系切り替え構成や使用するマシンの機種によって決まります。
図1-24 リセットリンクの接続構成(AIX)
図1-25 リセット専用LAN(RS-232C LAN)の接続構成(AIX)
図1-26 リセット専用LAN(TCP/IP LAN)の接続構成(AIX)
図1-27 パーティション間で系切り替え構成にする場合のリセット専用LAN(TCP/IP LAN)の接続構成(AIX)
図1-28 リセットパスを二重化する場合のリセット専用LAN(TCP/IP LAN)の接続構成(AIX)
図1-29 異なるリセットパスを設定する例(AIX)
系切り替え時の情報の引き継ぎに使用します。共有ディスクは,それを使用するすべての系から接続し,LVMを使用して制御します。
ただし,HAモニタはディスク障害およびディスクアダプタなどのI/Oパスの障害を直接処理するものではありません。これらの障害へは,LVMによるディスクのミラーリング,またはSANRISEなどのRAIDデバイスおよびディスクパス切り替えソフトウェアなどによるI/Oパス冗長化によって,共有ディスクの単一点障害を防止する構成としてください。
LVMのミラーリングを使用する場合は,「付録E LVMミラーリングを使用する場合の注意事項」を参照してください。
HAモニタは,ボリュームグループ単位に共有ディスクの切り替えをします。したがって,複数の異なるサーバで系切り替え構成にする場合,各サーバが使用するデータは異なるボリュームグループに配置するよう共有ディスクを構成してください。
共有ディスクにSANRISEを使用する場合,HA Boosterによって共有ディスクの引き継ぎ処理が高速にできます。詳細は,マニュアル「Hitachi HA Booster Pack for AIX」を参照してください。
系間で共有しない,系固有のディスク装置として使用します。OSのファイルや,HAモニタの各種ファイルをインストールしておきます。HAモニタは,共有ディスクではなく,ローカルディスクから起動します。
また,ローカルディスクについても共有ディスクと同様,ディスクのミラーリングなどによって単一点障害を防止する構成にすることを推奨します。
HAモニタのコマンドを実行したり,出力されるメッセージを確認したりするために使用します。
実行系と待機系を接続するほか,クライアントとなるWSやPCと接続するために使用します。対応する系は,同じLAN上にLANアダプタで接続します。
系切り替え時には,次の方法で実行系から待機系にLANを切り替えます。
エイリアスIPアドレスを使用する方法については,「付録C エイリアスIPアドレス」を参照してください。
適用できるLANは,AIXがサポートするTCP/IP通信ができる次のLANです。
ただし,HAモニタは,HUBやLANアダプタなどのLAN障害を直接処理するものではありません。これらの障害へは,AIXのイーサチャンネルなどによるLANの冗長化によって,LANの単一点障害を防止する構成としてください。
HAモニタは,IPアドレス単位にLANの切り替えをします。したがって,複数の異なるサーバで系切り替え構成にする場合,各サーバが使用するエイリアスIPアドレスは異なるIPアドレスとなるようネットワークアドレスを構成してください。
回線切替装置を使用して,系切り替え時に通信回線を切り替えられます。ただし,切り替えの際には8回線単位でまとめて切り替えるので,1回線ごとの自動切り替えはできません。
回線切替装置を使用した通信回線との接続例を,次の図に示します。
図1-30 回線切替装置を使用した通信回線との接続例(AIX)
AIXの場合,回線切替装置は次の種類が使用できます。
回線切替装置を接続する際,次に注意してください。
ただし,HAモニタは回線アダプタや回線切替装置の障害を直接処理するものではありません。これらの障害へは,予備回線を用意する構成とし,障害時はアプリケーションによって予備回線へ切り替えるなど,通信回線の単一点障害を防止する構成にしてください。
HAモニタは,回線アダプタおよび回線切替装置単位に通信回線の切り替えをします。したがって,複数の異なるサーバで系切り替え構成にする場合,各サーバが使用する回線は異なる回線アダプタおよび回線切替装置へ接続するよう通信回線を構成してください。
HAモニタでは,ユーザがあらかじめユーザコマンドを作成しておくことで,その他のリソースも,共有リソースとして使用できます。ユーザコマンドを使用した共有リソースの制御については,「2.4.6 その他の共有リソースの制御」を参照してください。