2.5.1 マルチスタンバイ機能とは

マルチスタンバイ機能とは,一つの実行サーバに対して,複数の待機サーバを準備するための機能です。複数の待機サーバを準備することで,現用系の障害が復旧するまでの間も,システムの障害に備えることができます。例えば,系切り替え中に待機系で障害が発生した場合にも別の待機系に系切り替えができます。

マルチスタンバイ機能を使用するかどうかは,HAモニタの環境設定のmultistandbyオペランドで指定します。なお,マルチスタンバイ機能を使用できるのは,AIX,HP-UX(PA-RISC),HP-UX(IPF),およびLinux(IPF)の場合です。

<この項の構成>
(1) 系切り替え先の決定方法
(2) サーバの系切り替え
(3) ハードウェア構成

(1) 系切り替え先の決定方法

マルチスタンバイ機能を使用する場合,実行系に障害が発生したときにどの待機系の待機サーバに切り替えるかを示す優先度を指定します。障害発生時には,指定された優先度に従ってHAモニタが系切り替え先を決定します。

優先度は,サーバ対応の環境設定のstandbypriオペランドで指定します。待機サーバの優先度には,各系で異なる値を指定してください。実行サーバの優先度は,いちばん高い優先度0が自動的に設定されます。

マルチスタンバイ機能で系切り替え先の決定を次の図に示します。

図2-80 マルチスタンバイ機能での系切り替え先の決定

[図データ]

実行サーバで障害が発生したら,待機系のうちいちばん高い優先度を持つ待機サーバに系切り替えされます。

HAモニタが系切り替えをするには,待機サーバが起動完了していることが前提になります。起動完了していない待機サーバは,切り替え先の候補になりません。

(2) サーバの系切り替え

マルチスタンバイ機能を使用する系切り替え構成での,サーバの系切り替えについて説明します。

(a) 自動系切り替え

マルチスタンバイ機能を使用する場合,実行サーバに障害が発生すると,サーバ対応の環境設定に指定された優先度に従って,HAモニタが自動的に系切り替えをします。

(b) 計画系切り替え

マルチスタンバイ機能を使用する場合,オペレータがHAモニタのコマンドを実行して系切り替えをするとき,複数の待機系の中でいちばん優先度が高い系に系切り替えされます。

任意の系の待機サーバを実行サーバとして起動するには,いったん実行サーバを停止して別の系で待機サーバを起動するか,切り替え先の待機サーバより優先度の高い待機サーバをいったん停止させたあとで計画系切り替えをしてください。

(c) 連動系切り替え

マルチスタンバイ機能を使用する場合も,複数サーバを一括して切り替える連動系切り替えができます。サーバごとに,複数の待機系の中でいちばん優先度が高い系に対して系切り替えをします。

マルチスタンバイ機能を使用する場合は,系切り替え先が複数あるため,次の点に注意してください。

(3) ハードウェア構成

マルチスタンバイ機能を使用する系切り替え構成では,次の条件を満たすハードウェア構成にしてください。