4.2.3 HAモニタの接続構成設定ファイルの作成

HAモニタでは,各HAモニタ間の接続構成を定義するための,接続構成設定ファイルが必要です。

接続構成設定ファイルはHAモニタの起動時に参照されます。接続されていないHAモニタがファイルに設定されていれば,再接続処理を実行し,ファイルに設定されたすべてのHAモニタ間を接続します。また,設定内容は,HAモニタ起動時およびmoncheckコマンド実行時にチェックします。

なお,接続構成設定ファイルは,HAモニタ環境設定用ディレクトリの下に,connectionというファイル名で作成します。HAモニタを接続しているすべての系で作成し,HAモニタの接続構成を変更した場合は,接続構成設定ファイルを再度作成する必要があります。

接続構成設定ファイルの作成方法には,自動作成と手動作成の二とおりがあります。ここでは,接続構成設定ファイルの自動作成方法と手動作成方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 接続構成設定ファイルの自動作成
(2) 接続構成設定ファイルの手動作成
(3) 接続構成設定ファイルの作成例

(1) 接続構成設定ファイルの自動作成

接続構成設定ファイルを作成する場合,自動で作成する方法をお勧めします。接続構成設定ファイルの自動作成方法は次のとおりです。

  1. 接続するHAモニタをすべて起動させる
    接続するHAモニタをすべて手動で起動させます。HAモニタはmonstartコマンドを実行することで起動します。
  2. HAモニタの接続ができたかどうかを確認する
    起動したHAモニタがすべて起動し接続ができたかどうかを確認します。monshowコマンドを実行することで確認できます。
  3. 接続するHAモニタをすべて停止させる(停止したと同時に接続構成設定ファイルがすべての系に作成される)
    接続するHAモニタをすべて手動で停止させます。HAモニタはmonstopコマンドを実行することで停止します。
  4. 自動作成された接続構成設定ファイルの内容を確認する
    自動作成された接続構成設定ファイルの内容が正しいかどうかを確認します。

自動で作成された接続構成ファイルは,すべての系で同じ内容です。ただし,構成を変更したり,削除したりすることはできません。また,自系および自系と監視し合う系にだけ直接監視パスを設定したい場合や,構成を変更したり,削除したりする場合は,手動で作成してください。なお,接続するHAモニタを増やしたい場合は,接続するHAモニタを同じようにすべて起動すると,自動で追加されます。

注意
自動でHAモニタを追加すると,それ以前に設定していた接続構成設定ファイルのコメント行以外の項目が変更されることがあります。

(2) 接続構成設定ファイルの手動作成

接続構成設定ファイルの手動作成する場合,接続構成はすべて同じため,接続構成設定ファイルは,一つの系で作成し,他系に複写する方法をお勧めします。

接続構成設定ファイルの形式は次のとおりです。

# HAモニタ接続構成の設定
ホスト名 {HRA ホストアドレス|LAN IPアドレス}[ pair];
        :

ホスト名
自系を含めた,接続されているすべての系のホスト名を指定します。ホスト名の指定順序は任意です。ホスト名はHAモニタの環境設定(sysdef)のnameオペランドで指定したホスト名を指定してください。
HRA ホストアドレス|LAN IPアドレス
監視パスのアドレスを指定します。
  • HRA ホストアドレス
    監視パスにRS-232C LANを使用している場合に,"HRA"に続けてHAモニタのホストアドレスを指定します。RS-232C LAN(HRA)は,HI-UX/WE2の場合だけ適用できます。
  • LAN IPアドレス
    監視パスにTCP/IP LANを使用している場合に,"LAN"に続けてLANのIPアドレスを指定します。
    監視パスを複線化している系では,HRAおよびLANのどちらか一つを指定するだけでかまいません。ただし,pairを指定する系では,実際に監視に使用しているすべての監視パスを指定してください。
pair
接続構成設定ファイルにホスト名を設定した系の中で,実際には自系と監視し合わない系がある場合があります。この場合,自系および自系と監視し合う系にだけpairを指定します。pairを指定すると,指定した系間でだけ監視パスのヘルスチェックやコマンドを実行できます。そのため,pairを指定しない場合と比較してヘルスチェックやコマンドの実行に掛かる時間が短縮されます。なお,pairの指定は自動作成では指定できません。必ず手動で作成してください。
pairを指定する場合のシステム構成例
  • 四つ以上の系間をRS-232C LANで接続する構成
    接続構成設定ファイルにすべての系を設定しているため,実際には自系と監視し合わない系が多く含まれることなります。この場合,指定した系のうち,自系および自系と監視し合う系にだけpairを指定しておきます。
  • クラスタ型切り替え構成
    HAモニタ/CLUSTERやHAモニタ/Connectionを使用している系では,HAモニタ間がすべて接続されているため,接続構成設定ファイルにはすべての系を設定する必要があります。この場合にも,自系および自系と監視し合う系にだけpairを指定しておきます。なお,HAモニタ/CLUSTERおよびHAモニタ/Connectionは,HI-UX/WE2の場合だけ適用できます。
pairを指定した系間でだけ実行されるコマンドを,次に示します。
  • monshowコマンド
  • monssuコマンド
  • monpathコマンド
  • monlinkコマンド
各パラメタの記述形式を,次に示します。

0ホスト名△1{HRA△1ホストアドレス|LAN△1IPアドレス}△1pair;↓

(凡例)
0:0個以上の空白またはタブを示します。
1:1個以上の空白またはタブを示します。
↓:改行コードを示します。

"#"を記述すると,"#"から改行コードまでがコメント行になります。行の最後には,";"を記述してください。
注意
  • pairを指定している接続構成設定ファイルの内容に誤りがあると,系間の接続構成を認識できなくなるため,正しく系切り替えができなくなります。
  • pairを指定している接続構成設定ファイルを使用すると,サーバの構成を動的に変更できなくなります。

(3) 接続構成設定ファイルの作成例

接続構成設定ファイルの作成例を次に示します。

すべての系が互いに監視し合う場合
すべての系が互いに監視し合う場合の接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。

図4-6 すべての系が互いに監視し合う場合の接続構成設定ファイルの作成例

[図データ]
監視し合わない系がある場合
監視し合わない系がある場合の接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。

図4-7 監視し合わない系がある場合の接続構成設定ファイルの作成例(HI-UX/WE2)

[図データ]
HAモニタ/CLUSTERまたはHAモニタ/Connectionを使用する場合
HAモニタ/CLUSTERまたはHAモニタ/Connectionを使用する場合の接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。

図4-8 HAモニタ/CLUSTERまたはHAモニタ/Connectionを使用する場合の接続構成設定ファイルの作成例(HI-UX/WE2)

[図データ]
監視し合わない系がある場合
監視パスがTCP/IP LANだけで,監視し合わない系がある場合の接続構成設定ファイルの作成例を,次の図に示します。

図4-9 監視し合わない系がある場合の接続構成設定ファイルの作成例(TCP/IP LAN)

[図データ]