5.3.3 行データの帳票印刷

APから書式印刷をする場合,印刷用ファイルへ行データを出力するためにPROCEDURE DIVISIONで指定する文を次に示します。

また,APで行データをコーディングするときに,印刷時のずれを防ぐために設定する行データの属性と指定値を「(2) 行データの属性の設定」に示します。

<この項の構成>
(1) 書式印刷するときのPROCEDURE DIVISIONの指定
(2) 行データの属性の設定

(1) 書式印刷するときのPROCEDURE DIVISIONの指定

表5-7 PROCEDURE DIVISIONで指定する文

命令文内容
オープン
(OPEN文)
プリンタ出力用ファイルの処理を開始する準備をします。OPEN文のモードに出力専用(OUTPUT)を指定して実行します。
出力
(WRITE文)
レコードをプリンタ出力用ファイルに書き出します。明示的または間接的にADVANCING指定をします。
クローズ
(CLOSE文)
プリンタ出力用ファイルの処理を終了します。
注※ 
同じファイルに対するほかのWRITE文にADVANCING指定されていることを意味します。

(例)

[図データ]

(a) コーディング例の説明
  1. プリンタのオープン
    FILE-CONTROLで指定した出力先のプリンタをオープンします。
  2. プリンタへのレコードの書き出し
    • データ名で指定した領域の内容が行データに指定した領域に格納されたあと,行データを出力先のプリンタに書き出します。WRITE文で書き出されたレコードの内容は,使用できなくなります。
    • AFTER:ADVANCING以降の記述内容を実行したあと,WRITE文が実行されます。
    • BEFORE:WRITE文を実行したあと,ADVANCING以降の記述内容が実行されます。
    • ADVANCING:行送り(改行)または改ページを指定します。
    • n LINE(S):nに指定した分だけ改行します。nが1の場合は「1 LINE」になり,nが2以上の場合は「n LINES」になります。
    • 呼び名:CSP(改行しない),またはC01(改ページする)を指定します。
    • PAGE:改ページします。
  3. プリンタのクローズ
    オープンした出力先のプリンタをクローズします。

(2) 行データの属性の設定

書式印刷時にずれを生じさせないように,書式設計前にAPで行データの属性を決定しておきます。APで設定できる属性と指定値を次に示します。

表5-8 行データの属性と指定値

属性指定値内容
文字サイズ※15/7/9/12文字サイズを5,7,9,または12ポイントにして文字を配置します
文字の間隔※10文字の間隔を空けないで文字を配置します
1~7文字の間隔を1~7ポイントにして文字を配置します
書体※10文字の書体を元に戻します
1文字を明朝体にして配置します
2文字をゴシック体にして配置します
9文字をOCR体にして配置します※2
拡大指定あり横方向に2倍に拡大した文字を配置します
指定なし横方向の拡大を解除した文字を配置します
注※1 
属性の指定がない場合,上位の項目に属性の指定があるときは,その属性の指定値に戻して文字を配置します。上位の項目に属性の指定がないときは,ドローで定義した属性で文字を配置します。上位の項目とは,レベル番号が上位にあるデータ記述項を示します。
注※2 
OCR体は,文字サイズに9ポイントを指定したときだけ有効です。

APで属性を設定する場合,レコード名または一意名にCHARACTER TYPE句を指定します。CHARACTER TYPE句の形式を次に示します。

[図データ]

(a) 形式の説明
  1. POINT-l
    文字サイズを指定します。lに指定できる文字サイズは,5/7/9/12です。指定値の意味については,表5-8を参照してください。
  2. INTERVAL-m
    文字の間隔(字間値)を指定します。mに指定できる文字の間隔は,0~7です。指定値の意味については,表5-8を参照してください。
  3. FORMAT-n
    書体を指定します。nに指定できる書体は,0/1/2/9です。指定値の意味については,表5-8を参照してください。
  4. WIDE
    文字を横方向に2倍に拡大します。

CHARACTER TYPE句の詳細については,マニュアル「COBOL2002 言語 標準仕様編」またはマニュアル「COBOL85 言語」を参照してください。また,WRITE文の形式によって,レコード名のCHARACTER TYPE句を有効にするか,一意名のCHARACTER TYPE句を有効にするかが異なります。

(b) 「WRITE レコード名」の場合

WRITE レコード名」の場合は,レコード名にCHARACTER TYPE句があるときだけ,行データの印刷制御をします。WRITE文とCHARACTER TYPE句の関係を次に示します。

図5-10 WRITE文とCHARACTER TYPE句の関係(「WRITE レコード名」の場合)

[図データ]

  1. レコード名にCHARACTER TYPE句を宣言
    レコード名にCHARACTER TYPE句を宣言して,行データの印刷制御をします。
  2. プリンタへのレコード書き出し
    1行改行したあとに,行データをプリンタに出力します。行データの印刷制御は,レコード名で宣言したCHARACTER TYPE句での設定を使用します。
(c) 「WRITE レコード名 FROM 一意名」の場合

「WRITE レコード名 FROM 一意名」の場合は,一意名にCHARACTER TYPE句があるときだけ,行データの印刷を制御します。このとき,レコード名にCHARACTER TYPE句があっても無視されます。WRITE文とCHARACTER TYPE句の関係を次に示します。

図5-11 WRITE文とCHARACTER TYPE句の関係(「WRITE レコード名 FROM 一意名」の場合)

[図データ]

  1. レコード名の宣言
    レコード名を宣言します。
  2. 一意名にCHARACTER TYPE句を宣言
    一意名にCHARACTER TYPE句を宣言して,行データの印刷制御を実行します。
  3. プリンタへのレコードの書き出し
    1行改行したあとに,行データをプリンタに出力します。また,行データの印刷制御は,一意名で宣言したCHARACTER TYPE句での設定を使用します。