Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder コマンドリファレンス


34.2.2 DBエリア追加・変更オプションの形式

〈この項の構成〉

(1) 指定形式

次の操作のうち,実行したい操作のオペランドを1つだけ指定します。

DBエリアを追加する場合
〔set adb_mod_area_file_rthd_num = DBエリアファイルの作成処理を行うスレッド数〕
 
  adbaddarea
    -n データ用DBエリア名
  〔-p {4|8|16|32}〕
  〔-s {4|16|32}〕
  〔-v ブロックスペシャルファイル名〔,ブロックスペシャルファイル名〕…〕
  〔-q〕
  〔-i 初期確保サイズ〔,作成ファイル数〕〕
  〔-f データ用DBエリアファイルの格納先ディレクトリ名〕
  〔-g DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔DBエリアを削除する場合
  adbrmarea
    -n データ用DBエリア名
 
DBエリアを拡張する(DBエリアファイルを追加する)場合
〔set adb_mod_area_file_rthd_num = DBエリアファイルの作成処理を行うスレッド数〕
 
  adbexpandarea
    -n データ用DBエリア名
  〔-v ブロックスペシャルファイル名〔,ブロックスペシャルファイル名〕…〕
  〔-q〕
  〔-g DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔〕
  〔-i 初期確保サイズ〔,作成ファイル数〕〕

上記のDBエリア追加・変更オプションの指定規則は,サーバ定義と同じです。サーバ定義の指定規則については,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドサーバ定義の文法規則を参照してください。

(2) 指定形式の説明

(a) set形式

adb_mod_area_file_rthd_num = DBエリアファイルの作成処理を行うスレッド数

〜〈整数〉((1〜1,024))

データ用DBエリアファイルを同時に作成する処理リアルスレッド数の上限を指定します。

このオプションを省略した場合,処理リアルスレッド数は自動で決定されるため,通常はこのオプションを省略してください。

次に示す条件に当てはまる場合は,このオプションを指定して処理リアルスレッド数を制限すると,CPU切り替えのオーバヘッドを削減できることがあります。

  • 実際に使用される処理リアルスレッド数が,サーバマシンのCPUコア数より大き過ぎる場合

なお,このオプションに1を指定した場合,または2つ以上のリアルスレッドを使用できない場合,データ用DBエリアファイルは1つずつ作成されます。

メモ

実際に使用された処理リアルスレッドの数は,メッセージログファイルに出力されるKFAA96207-Iメッセージで確認できます。実際に使用される処理リアルスレッドの数は,作成されるDBエリアファイルの数,およびHADBサーバで使用できる処理リアルスレッドの最大数以下になります。

HADBサーバで使用できる処理リアルスレッドの最大数は,クライアントグループ機能を適用しているかどうかによって異なります。

  • クライアントグループ機能を適用していない場合

    サーバ定義のadb_sys_rthd_numオペランドの値

  • クライアントグループ機能を適用している場合

    マニュアルHADB システム構築・運用ガイドリソースの設計クライアントグループ機能を適用する際の考慮点グループの処理リアルスレッド数を設定する際の考慮点にある,クライアントグループ機能を適用した場合の処理リアルスレッド数の求め方を参照して求めてください。

(b) コマンド形式

実行したい操作に従って,次のようにオペランドを指定します。

  • データ用DBエリアを追加したい場合

    adbaddareaオペランドを指定してください。

  • データ用DBエリアを削除したい場合

    adbrmareaオペランドを指定してください。

  • データ用DBエリアを拡張したい(データ用DBエリアファイルを追加したい)場合

    adbexpandareaオペランドを指定してください。

adbaddarea

追加するデータ用DBエリアの定義を指定します。

追加するデータ用DBエリアのDBエリアファイルとして割り当てるファイルの種類によって,指定するオプションが異なります。オプションの指定の目安を次の表に示します。

表34‒1 データ用DBエリアファイルとして割り当てるファイルの種類と指定するオプションの目安

項番

オプション名

DBエリアファイルとして割り当てるファイル

オプションの説明

ブロックスペシャルファイル

レギュラーファイル

1

-n

データ用DBエリア名を指定するオプションです。

2

-p

データ用DBエリアのページサイズを指定するオプションです。

3

-s

データ用DBエリアの1セグメントの容量を指定するオプションです。

4

-v

×

データ用DBエリアファイルとして割り当てるブロックスペシャルファイル名を指定するオプションです。

5

-q

×

データ用DBエリアファイルをクイックモードで作成する場合に指定するオプションです。

6

-i

データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズと,作成するデータ用DBエリアファイルの数を指定するオプションです。

7

-f

データ用DBエリアファイル,またはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクを,DBディレクトリのサブディレクトリに格納したい場合に指定するオプションです。

8

-g

データ用DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔を指定するオプションです。

(凡例)

○:必ず指定するオプション,または指定を推奨するオプションです。

△:オプションの説明を読んで指定するかどうかを決定してください。

×:指定しないオプションです。

-n データ用DBエリア名

〜〈文字列〉((1〜30バイト))

追加するデータ用DBエリアの名称を指定します。データ用DBエリアファイルの名称は,このオプションで指定した名称と同じになります。

注意事項を次に示します。

  • DBエリア名に使用できる文字は,半角の英数字,下線(_),およびハイフン(-)です。また,先頭の文字は英字にする必要があります。

  • SQL文の予約語と同じ名称をDBエリア名に使用する場合は,DBエリア名を\"(バックスラッシュと二重引用符)で囲んでください。SQL文の予約語については,マニュアルHADB SQLリファレンス基本項目予約語を参照してください。

  • DBエリア名に英小文字を使用する場合,\"でDBエリア名を囲んでください。\"で囲まないと,DBエリア名の文字列はすべて英大文字と見なされます。

    (例)\"DBarea01\"

  • 既存のDBエリア名と重複する名称は指定できません。既存のDBエリア名を確認する場合は,HADB管理者が次に示すコマンドを実行してDBエリアのサマリ情報を出力し,DBエリア名(DBarea_name列)を確認してください。DBエリアのサマリ情報で出力される情報の詳細については,「13.3.2 DBエリアのサマリ情報で出力される項目の一覧」を参照してください。

    adbdbstatus

  • DBディレクトリ下のディレクトリ名と重複する名称は指定できません。

-p {4|8|16|32}

追加するデータ用DBエリアのページサイズをキロバイト単位で選択します。データ用DBエリアの設計時に見積もったページサイズを指定してください。データ用DBエリアのページサイズの見積もりについては,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドデータ用DBエリアのページサイズを決める際の考慮点を参照してください。

重要

-sオプションでデータ用DBエリアの1セグメントの容量に16メガバイト以上を選択した場合,-pオプションの選択値に関係なく,データ用DBエリアのページサイズは32キロバイトになります。

-s {4|16|32}

データ用DBエリアの1セグメントの容量をメガバイト単位で選択します。データ用DBエリアの設計時に見積もった1セグメントの容量を指定してください。データ用DBエリアの1セグメントの容量の見積もりについては,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドデータ用DBエリアの1セグメントの容量を決める際の考慮点を参照してください。

なお,データ用DBエリアのセグメントサイズは,「1セグメントの容量÷ページサイズ」で決定されます。例えば,1セグメントの容量として32メガバイトを選択した場合のセグメントサイズは,「32,768キロバイト÷32キロバイト=1,024ページ」になります。

-v ブロックスペシャルファイル名〔,ブロックスペシャルファイル名〕…

〜〈パス名〉((2〜255バイト))

データ用DBエリアファイルとしてブロックスペシャルファイルを割り当てる場合にこのオプションを指定します。このオプションには,DBエリアファイルに割り当てていないブロックスペシャルファイルの絶対パス名を,実体またはシンボリックリンクで指定します。

注意事項を次に示します。

  • LVMで作成したブロックスペシャルファイルか,または/dev/disk/で始まる固定されたデバイス名を,HADBのパス名規則に従って指定してください。

  • 指定するブロックスペシャルファイル名は重複しないようにしてください。

  • DBエリアファイルに割り当て済みのブロックスペシャルファイルを,新しいDBエリアファイルとして割り当てることはできません。

  • LVM設定時にこのオプションに指定するブロックスペシャルファイルの数(1つのDBエリアを構成するLVの個数)の目安については,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドLVM設定時の考慮点を参照してください。

  • -iオプションに指定する作成ファイル数と同じ数のブロックスペシャルファイルを指定してください。指定したブロックスペシャルファイルの数が作成ファイル数より少ない場合,adbmodareaコマンドがエラーになります。

このオプションを指定した場合,DBディレクトリ下にはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクが作成されます。

重要

ブロックスペシャルファイルを割り当てた方が,レギュラーファイルを割り当てたときより性能向上が期待できます。

ただし,ブロックスペシャルファイルを割り当てると,ブロックスペシャルファイル内の既存データは消去されます。データを消去してよいか判断できない場合は,ブロックスペシャルファイルを割り当てないでください。

また,OSにマウントされているブロックスペシャルファイルを割り当てることはできません。割り当てるブロックスペシャルファイルはアンマウントしておく必要があります。

-q

データ用DBエリアファイルをクイックモードで作成する場合にこのオプションを指定します。このオプションを指定すると,データ用DBエリアファイルの作成処理に掛かる時間を短縮できます。

-qオプションは,初期化対象のファイルがブロックスペシャルファイルの場合に適用されます。

メモ

クイックモードでデータ用DBエリアファイルを作成した場合,管理ページ(ファイルサイズなどの情報を格納しているページ)だけを作成し,データを格納するページは作成されません。そのため,データ用DBエリアファイルの作成処理に掛かる時間を短縮できます。

-i 初期確保サイズ〔,作成ファイル数

データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズと,作成するデータ用DBエリアファイル数を指定します。

  • 初期確保サイズ

    〜〈英字および数字〉((0K〜127P))《0K》

    データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズを,K(キロバイト),M(メガバイト),G(ギガバイト),T(テラバイト),P(ペタバイト)の単位表記付きで指定します。指定した初期確保サイズに従って,データ用DBエリアファイルのファイルサイズが決まります。ただし,初期確保時のページの配置によって,このオプションに指定した初期確保サイズの値どおりには,データ用DBエリアファイルのファイルサイズが確保されないことがあります。

    データ用DBエリアファイルの種類によって,初期確保サイズの目安が異なります。このため,異なる種類のデータ用DBエリアファイルを同時に作成しないでください。データ用DBエリアファイルの種類に応じた初期確保サイズの目安を次の表に示します。

    表34‒2 データ用DBエリアファイルの種類と初期確保サイズの目安

    項番

    データ用DBエリアファイルの種類

    初期確保サイズの指定値の目安

    1

    レギュラーファイル

    初期確保サイズ×作成ファイル数」の値が「データ用DBエリアファイルを配置するファイルシステムの空き容量」未満になる範囲で,任意の値を指定してください。具体的な数値については,ディスクの空き容量の消費量やadbmodareaコマンドの実行時間を考慮し,判断してください。

    2

    ブロックスペシャルファイル

    物理ボリューム(物理ブロックが静的に割り当てられた通常のブロックスペシャルファイル)

    割り当てる物理ボリュームの容量がすべて同じ場合は,1ボリューム分の容量を初期確保サイズに指定してください。

    容量が異なる物理ボリュームの同時割り当ては推奨しません。しかし,もし容量が異なる物理ボリュームを同時に割り当てる必要がある場合は,いちばん小さいボリュームの容量を指定してください。

    3

    仮想ボリューム(シンプロビジョニングと呼ばれるストレージ仮想化技術を適用したブロックスペシャルファイル)

    仮想ボリュームを16テラバイト未満で使用する場合は,0Kを指定します。

    仮想ボリュームを16テラバイト以上使用する可能性がある場合は,使用する予定の容量を指定します。ただし,16テラバイト以上の使用が想定されるケースでは,仮想ボリュームの割り当てを推奨しません。16テラバイト以上の容量を指定すると,最初から大量の物理ブロックが必要となり,仮想ボリュームのメリットである初期導入コストの削減効果を十分に得られないためです。

    注※ シンプロビジョニングの詳細については,ストレージ製品のマニュアルなどを参照してください。

    メモ

    データ用DBエリアファイルのファイルサイズは,-iオプションの指定値のとおりに確保されないことがあります。理由を次に示します。

    データ用DBエリアファイルは,次に示すページから構成されています。

    • ディレクトリページ

    • セグメント(表のデータやインデクスを格納するページ群)

    -iオプションでデータ用DBエリアファイルのファイルサイズを指定すると,指定したサイズに収まるように,各ページが配置されます。ただし,ディレクトリページやセグメントの途中で,-iオプションで指定したサイズに達する場合,次のようにページ数が調整されます。

    • データ用DBエリアファイルの先頭部分には,連続するディレクトリページが必ず作成されます。そのため,データ用DBエリアファイルのファイルサイズの最小値(約5.4メガバイト)よりも小さい値を指定した場合は,値が切り上げられます。

    • セグメントを構成するページは,セグメント単位(1つのセグメントを構成するページ数の単位)で管理されます。そのため,1セグメントの途中で指定したファイルサイズを超えないよう,ページ数が調整されます。例えば,8個目のセグメントの途中で指定したファイルサイズを超える場合,8個目のセグメントは作成されません(7個のセグメントが作成されます)。

    データ用DBエリアファイルのディレクトリページおよびセグメントについては,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドDBエリアの構造(セグメントとページ)ページページの種類にあるディレクトリページ群の存在とディレクトリページの配置の説明を参照してください。

  • 作成ファイル数

    〜〈整数〉((1〜1,024))《1》(単位:個)

    作成するデータ用DBエリアファイル数を指定します。

    -vオプションを指定する場合は,作成ファイル数と-vオプションに指定するブロックスペシャルファイルの数を同じにしてください。

-iオプションの指定によって確保される初期確保サイズを,例を使って説明します。

(例)

adbaddarea -n NEWAREA -i 2G,3

この場合,データ用DBエリア(NEWAREA)にデータ用DBエリアファイルが3つ作成され,各データ用DBエリアファイルに2ギガバイトの初期確保サイズが確保されます。したがって,NEWAREAの初期確保サイズは,合計6ギガバイトになります。

なお,-iオプションの指定に従って確保しようとした初期確保サイズが上限を超えた場合,adbmodareaコマンドがエラーになります。このとき,KFAA96228-Eメッセージが出力されるため,メッセージに従って-iオプションの指定を変更してください。

重要

DBエリアファイルの自動増分の上限値を超える大容量のブロックスペシャルファイルを割り当てた場合,ブロックスペシャルファイル内に使用できない領域が発生するため,adbmodareaコマンドの実行時に警告メッセージKFAA96244-Wが出力されます。ブロックスペシャルファイルの容量のほぼ限界まで領域を使用したい場合は,KFAA96244-Wメッセージに記載されている対策に従ってください。

DBエリアファイルの自動増分の上限値は,初期確保サイズの指定値によって決まります。初期確保サイズの指定値を16テラバイトの倍数に切り上げた値が1DBエリアファイルの自動増分の上限値になります。例えば,初期確保サイズに20テラバイトを指定した場合,そのDBエリアファイルの自動増分の上限値は32テラバイトになります。

なお,使用できない領域をあとから使用できるようにする方法はありません。

1つのDBエリアに小容量と大容量のブロックスペシャルファイルを割り当てる場合,ブロックスペシャルファイルごとに異なる初期確保サイズを指定して,ブロックスペシャルファイルを初期化してください。例を次に示します。

(例)追加するDBエリアAREA1に次の2つのブロックスペシャルファイルを割り当てます。

  • /dev/mapper/vg_10TB_1(容量10テラバイト)

  • /dev/mapper/vg_30TB_1(容量30テラバイト)

手順

  1. adbmodareaコマンドでDBエリアAREA1を追加します。このとき,次のようにDBエリア追加・変更オプションを指定し,/dev/mapper/vg_10TB_1のファイルを初期化します。

    adbaddarea -n AREA1 ... -i 10T -v /dev/mapper/vg_10TB_1

  2. adbmodareaコマンドでDBエリアAREA1を拡張します。このとき,次のようにDBエリア追加・変更オプションを指定し,/dev/mapper/vg_30TB_1のファイルを追加します。

    adbexpandarea -n AREA1 ... -i 30T -v /dev/mapper/vg_30TB_1

上記の手順1.で2つのブロックスペシャルファイルを同時に初期化した場合,初期確保サイズには10テラバイトを超える値を指定できないため,DBエリアファイルの自動増分の上限値は16テラバイトになります。この場合,30テラバイトのブロックスペシャルファイルは,DBエリアファイルの自動増分の上限値である16テラバイトまでしか使用されません。

-f データ用DBエリアファイルの格納先ディレクトリ名

〜〈パス名〉((1〜70バイト))

データ用DBエリアファイルまたはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクを格納するサブディレクトリを,DBディレクトリ直下からの相対パス名で指定します。このサブディレクトリの直下に,DBエリア名と同名のデータ用DBエリアファイルまたはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクが作成されます。

このオプションを指定しない場合,データ用DBエリアファイルまたはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクは,DBディレクトリの直下に格納されます。

このオプションの指定例を次に示します。

(例)

adbaddarea -n NEWAREA -f DB02/

この場合,DBディレクトリの直下にDB02というサブディレクトリが作成され,そのサブディレクトリの直下に,ファイル名NEWAREAのデータ用DBエリアファイルまたはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクが作成されます。

このオプションを指定する際の注意事項を次に示します。

  • 相対パス名の先頭のスラッシュ(/)は指定不要です。

  • 半角英字で始まりスラッシュ(/)で終わる,半角の英数字,下線(_),ハイフン(-)だけで構成されているパス名を指定してください。パス名がスラッシュで終わらない場合,末尾に自動でスラッシュが追加されます。このとき,指定できるパス名は69バイトまでになります。

  • DBエリアファイルの格納先ディレクトリ名に英小文字を使用する場合,ディレクトリ名を\"(バックスラッシュと二重引用符)で囲んでください。\"で囲まないと,DBエリアファイルの格納先ディレクトリ名の文字列は,すべて英大文字と見なされます。

    (例)\"Db02/\"

  • DBディレクトリ下のディレクトリ以下のパスは指定できません。

  • DBエリア名と同名の中間ディレクトリを含むパスを指定していると,ディレクトリやファイルの作成に失敗する場合があります。このため,DBエリアファイルが作成される位置に,同名のディレクトリが配置されないように注意してください。

-g DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔

〜〈整数〉((0〜100))《0》(単位:%)

データ用DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージを出力する場合にこのオプションを指定します。

メッセージの出力間隔を%単位で指定します。例えば,このオプションに30を指定した場合,DBエリアの作成処理が30%,60%,および90%完了したときに進捗状況を知らせるKFAA96232-Iメッセージが出力されます。

なお,このオプションを省略した場合,または0を指定した場合,進捗状況を知らせるメッセージは出力されません。

adbrmarea

削除するDBエリアの定義を指定します。

-n データ用DBエリア名

〜〈文字列〉((1〜30バイト))

削除するデータ用DBエリアの名称を指定します。

次に示すDBエリアの名称を指定した場合は,DBエリアを削除できません。

  • データ用DBエリア以外のDBエリア

  • 最後の1つであるデータ用DBエリア

  • 表またはインデクスが格納されているデータ用DBエリア

    DBエリアに格納されている表またはインデクスの調べ方については,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドディクショナリ表の検索を参照してください。

注意事項を次に示します。

  • 削除するDBエリア名がSQL文の予約語と同じ場合は,DBエリア名を\"(バックスラッシュと二重引用符)で囲んでください。SQL文の予約語については,マニュアルHADB SQLリファレンス基本項目予約語を参照してください。

  • 削除するDBエリア名に英小文字が含まれる場合は,DBエリア名を\"で囲んでください。\"で囲まないと,DBエリア名の文字列はすべて英大文字と見なされます。

    (例)\"DBarea01\"

adbexpandarea

拡張する(データ用DBエリアファイルを追加する)DBエリアの定義を指定します。

拡張するデータ用DBエリアを構成しているファイルの種類によって,指定するオプションが異なります。オプションの指定の目安を次の表に示します。

表34‒3 拡張するデータ用DBエリアを構成しているファイルの種類と指定するオプションの目安

項番

オプション名

拡張するデータ用DBエリアを構成しているファイル

オプションの説明

ブロックスペシャルファイル

レギュラーファイル

1

-n

データ用DBエリア名を指定するオプションです。

2

-v

×

データ用DBエリアファイルとして割り当てるブロックスペシャルファイル名を指定するオプションです。

3

-q

×

データ用DBエリアファイルをクイックモードで作成する場合に指定するオプションです。

4

-i

データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズと,作成するデータ用DBエリアファイルの数を指定するオプションです。

5

-g

データ用DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔を指定するオプションです。

(凡例)

○:必ず指定するオプション,または指定を推奨するオプションです。

△:オプションの説明を読んで指定するかどうかを決定してください。

×:指定しないオプションです。

重要

1つのDBエリア内に,レギュラーファイルとブロックスペシャルファイルを混在させないようにしてください。拡張するデータ用DBエリアに1つでもブロックスペシャルファイルのDBエリアファイルがある場合は,必ず-vオプションを指定してください。また,レギュラーファイルのDBエリアファイルだけで構成されるデータ用DBエリアには,-vオプションを指定できません。

-n データ用DBエリア名

〜〈文字列〉((1〜30バイト))

拡張する(DBエリアファイルを追加する)データ用DBエリアの名称を指定します。

注意事項を次に示します。

  • 拡張するDBエリア名がSQL文の予約語と同じ場合は,DBエリア名を\"(バックスラッシュと二重引用符)で囲んでください。SQL文の予約語については,マニュアルHADB SQLリファレンス基本項目予約語を参照してください。

  • 拡張するDBエリア名に英小文字が含まれる場合は,DBエリア名を\"で囲んでください。\"で囲まないと,DBエリア名の文字列はすべて英大文字と見なされます。

    (例)\"DBarea01\"

-v ブロックスペシャルファイル名〔,ブロックスペシャルファイル名〕…

〜〈パス名〉((2〜255バイト))

データ用DBエリアファイルとしてブロックスペシャルファイルを割り当てる場合にこのオプションを指定します。このオプションには,DBエリアファイルに割り当てていないブロックスペシャルファイルの絶対パス名を,実体またはシンボリックリンクで指定します。

注意事項を次に示します。

  • 拡張するデータ用DBエリアに1つでもブロックスペシャルファイルのDBエリアファイルがある場合は,必ずこのオプションを指定してください。また,レギュラーファイルのDBエリアファイルだけで構成されるデータ用DBエリアには,このオプションを指定できません。

  • LVMで作成したブロックスペシャルファイルか,または/dev/disk/で始まる固定されたデバイス名を,HADBのパス名規則に従って指定してください。

  • 指定するブロックスペシャルファイル名は重複しないようにしてください。

  • DBエリアファイルに割り当て済みのブロックスペシャルファイルを,新しいDBエリアファイルとして割り当てることはできません。

  • LVM設定時にこのオプションに指定するブロックスペシャルファイルの数(1つのDBエリアを構成するLVの個数)の目安については,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドLVM設定時の考慮点を参照してください。

  • -iオプションに指定する作成ファイルと同じ数のブロックスペシャルファイルを指定してください。指定したブロックスペシャルファイルの数が作成ファイル数より少ない場合,adbmodareaコマンドがエラーになります。

このオプションを指定した場合,DBディレクトリ下にはブロックスペシャルファイルへのシンボリックリンクが作成されます。

重要

ブロックスペシャルファイルを割り当てた方が,レギュラーファイルを割り当てたときより性能向上が期待できます。

ただし,ブロックスペシャルファイルを割り当てると,ブロックスペシャルファイル内の既存データは消去されます。データを消去してよいか判断できない場合は,ブロックスペシャルファイルを割り当てないでください。

また,OSにマウントされているブロックスペシャルファイルを割り当てることはできません。割り当てるブロックスペシャルファイルはアンマウントしておく必要があります。

-q

データ用DBエリアファイルをクイックモードで作成する場合にこのオプションを指定します。このオプションを指定すると,データ用DBエリアファイルの作成処理に掛かる時間を短縮できます。

-qオプションは,初期化対象のファイルがブロックスペシャルファイルの場合に適用されます。

メモ

クイックモードでデータ用DBエリアファイルを作成した場合,管理ページ(ファイルサイズなどの情報を格納しているページ)だけを作成し,データを格納するページは作成されません。そのため,データ用DBエリアファイルの作成処理に掛かる時間を短縮できます。

-i 初期確保サイズ〔,作成ファイル数

データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズと,作成するデータ用DBエリアファイル数を指定します。

  • 初期確保サイズ

    〜〈英字および数字〉((0K〜127P))《0K》

    データ用DBエリアファイルの1ファイル当たりの初期確保サイズを,K(キロバイト),M(メガバイト),G(ギガバイト),T(テラバイト),P(ペタバイト)の単位表記付きで指定します。指定した初期確保サイズに従って,データ用DBエリアファイルのファイルサイズが決まります。ただし,初期確保時のページの配置によって,このオプションに指定した初期確保サイズの値どおりには,データ用DBエリアファイルのファイルサイズが確保されないことがあります。

    データ用DBエリアファイルの種類によって,初期確保サイズの目安が異なります。このため,異なる種類のデータ用DBエリアファイルを同時に作成しないでください。データ用DBエリアファイルの種類に応じた初期確保サイズの目安を次の表に示します。

    表34‒4 データ用DBエリアファイルの種類と初期確保サイズの目安

    項番

    データ用DBエリアファイルの種類

    初期確保サイズの指定値の目安

    1

    レギュラーファイル

    初期確保サイズ×作成ファイル数」の値が「データ用DBエリアファイルを配置するファイルシステムの空き容量」未満になる範囲で,任意の値を指定してください。具体的な数値については,ディスクの空き容量の消費量やadbmodareaコマンドの実行時間を考慮し,判断してください。

    2

    ブロックスペシャルファイル

    物理ボリューム(物理ブロックが静的に割り当てられた通常のブロックスペシャルファイル)

    割り当てる物理ボリュームの容量がすべて同じ場合は,1ボリューム分の容量を初期確保サイズに指定してください。

    容量が異なる物理ボリュームの同時割り当ては推奨しません。しかし,もし容量が異なる物理ボリュームを同時に割り当てる必要がある場合は,いちばん小さいボリュームの容量を指定してください。

    3

    仮想ボリューム(シンプロビジョニングと呼ばれるストレージ仮想化技術を適用したブロックスペシャルファイル)

    仮想ボリュームを16テラバイト未満で使用する場合は,0Kを指定します。

    仮想ボリュームを16テラバイト以上使用する可能性がある場合は,使用する予定の容量を指定します。ただし,16テラバイト以上の使用が想定されるケースでは,仮想ボリュームの割り当てを推奨しません。16テラバイト以上の容量を指定すると,最初から大量の物理ブロックが必要となり,仮想ボリュームのメリットである初期導入コストの削減効果を十分に得られないためです。

    注※ シンプロビジョニングの詳細については,ストレージ製品のマニュアルなどを参照してください。

    メモ

    データ用DBエリアファイルのファイルサイズは,-iオプションの指定値のとおりに確保されないことがあります。理由を次に示します。

    データ用DBエリアファイルは,次に示すページから構成されています。

    • ディレクトリページ

    • セグメント(表のデータやインデクスを格納するページ群)

    -iオプションでデータ用DBエリアファイルのファイルサイズを指定すると,指定したサイズに収まるように,各ページが配置されます。ただし,ディレクトリページやセグメントの途中で,-iオプションで指定したサイズに達する場合,次のようにページ数が調整されます。

    • データ用DBエリアファイルの先頭部分には,連続するディレクトリページが必ず作成されます。そのため,データ用DBエリアファイルのファイルサイズの最小値(約5.4メガバイト)よりも小さい値を指定した場合は,値が切り上げられます。

    • セグメントを構成するページは,セグメント単位(1つのセグメントを構成するページ数の単位)で管理されます。そのため,1セグメントの途中で指定したファイルサイズを超えないよう,ページ数が調整されます。例えば,8個目のセグメントの途中で指定したファイルサイズを超える場合,8個目のセグメントは作成されません(7個のセグメントが作成されます)。

    データ用DBエリアファイルのディレクトリページおよびセグメントについては,マニュアルHADB システム構築・運用ガイドDBエリアの構造(セグメントとページ)ページページの種類にあるディレクトリページ群の存在とディレクトリページの配置の説明を参照してください。

  • 作成ファイル数

    〜〈整数〉((1〜1,023))《1》(単位:個)

    作成するデータ用DBエリアファイル数を指定します。

    -vオプションを指定する場合は,作成ファイル数-vオプションに指定するブロックスペシャルファイルの数を同じにしてください。

    また,次の計算式の値を超える値は指定できません。

    1,024−拡張するデータ用DBエリアの現在のDBエリアファイル数

-iオプションの指定によって確保される初期確保サイズを,例を使って説明します。

(例)

adbexpandarea -n OLDAREA -i 2G,3

この場合,データ用DBエリア(OLDAREA)にデータ用DBエリアファイルが3つ追加され,各データ用DBエリアファイルに2ギガバイトの初期確保サイズが確保されます。したがって,OLDAREAに追加するDBエリアファイルの初期確保サイズは,合計6ギガバイトになります。

なお,-iオプションの指定に従って確保しようとした初期確保サイズが上限を超えた場合,adbmodareaコマンドがエラーになります。このとき,KFAA96228-Eメッセージが出力されるため,メッセージに従って-iオプションの指定を変更してください。

重要

初期確保サイズに小さい値を指定して,16テラバイトを超える大容量のブロックスペシャルファイルを追加した場合,自動増分の上限を超える領域が使用できなくなります。この領域を使用できるようにするには,追加したブロックスペシャルファイルを初期化し直す必要があります。ただし,拡張対象のDBエリアに消去したくないデータが格納されている場合,追加したブロックスペシャルファイルを初期化する手順が複雑になります。

ブロックスペシャルファイルの全領域が使用できなくなるような指定をしている場合は,adbmodareaコマンドの実行時にKFAA96246-Qメッセージ(DBエリアの拡張をこのまま実行するかどうかの確認メッセージ)が出力されます。このメッセージが出力された場合は,nまたはNを応答してDBエリアの拡張をいったん中止し,初期確保サイズの指定値を見直すことを推奨します。

-g DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージの出力間隔

〜〈整数〉((0〜100))《0》(単位:%)

データ用DBエリアファイルの作成処理の進捗状況を知らせるメッセージを出力する場合にこのオプションを指定します。

メッセージの出力間隔を%単位で指定します。例えば,このオプションに30を指定した場合,DBエリアの拡張処理が30%,60%,および90%完了したときに進捗状況を知らせるKFAA96232-Iメッセージが出力されます。

なお,このオプションを省略した場合,または0を指定した場合,進捗状況を知らせるメッセージは出力されません。

(3) DBエリア追加・変更オプションのひな形

DBエリア追加・変更オプションのひな形($ADBDIR/sample/conf/adbmodarea.opt)があります。DBエリア追加・変更オプションを作成する場合は,このひな形を利用してください。