Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


19.22.4 コールドスタンバイ構成の構築

クラウド環境でのコールドスタンバイ構成の構築手順について説明します。

<ここの操作説明の前提条件>
メモ
〈この項の構成〉

(1) HAモニタおよびDRBDのインストール

メモ

クラウドストレージ機能を使用する場合は,DRBDのインストールは不要です。

(2) HADBサーバとHADBクライアントのインストールおよび環境設定

(3) udevルールの設定

各インスタンスで使用するディスク(EBS(gp3))のデバイス名を固定するために,実行系と待機系でudevルールを設定してください。

手順

次のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. udevルールファイルを作成する

    /etc/udev/rules.dディレクトリ下に,ディスクのデバイス名を固定するためのudevルールファイル(/etc/udev/rules.d/99-hadb.rules)を作成してください。

    <udevルールファイルの指定例>

    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol085828a5533a9cbf9", SYMLINK+="hadb_db"          ...[a]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0230003acd65aafcc", SYMLINK+="hadb_workarea"    ...[b]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol08ee49cc31321bdd2", SYMLINK+="hadb_syndict"     ...[c]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol05baed37592db7abd", SYMLINK+="hadb_audit"       ...[d]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0db4be9c284a04033", SYMLINK+="hadb_mst"         ...[e]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0efe890a19d4b2330", SYMLINK+="hadb_dic"         ...[f]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0431a7bfcf7388f72", SYMLINK+="hadb_stbl"        ...[g]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0d5ca81d622e73022", SYMLINK+="hadb_tbl01"       ...[h]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol05405d4eea38470e7", SYMLINK+="hadb_idx01"       ...[i]
    ACTION=="add|change", SUBSYSTEMS=="block", ENV{ID_SERIAL}=="Amazon Elastic Block Store_vol0863f921719651f9d", SYMLINK+="hadb_wrk"         ...[j]

    [説明]

    1. DBディレクトリ用のファイルシステムで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    2. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    3. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    4. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    5. マスタディレクトリ用DBエリアで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    6. ディクショナリ用DBエリアで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    7. システム表用DBエリアで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    8. データ用DBエリア(ADBUTBL01)で使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    9. データ用DBエリア(ADBUIDX01)で使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    10. 作業表用DBエリアで使用するディスク(EBS(gp3))を指定します。

    重要

    クラウドストレージ機能を使用する場合,udevルールファイルには上記のj.だけを指定してください。

  2. 実行系と待機系のOSを再起動する

    設定したudevルールを反映させるために,実行系と待機系のOSを再起動してください。

(4) DRBDの環境設定

実行系と待機系で,DRBDの環境設定をしてください。DRBDの環境設定は,OSのスーパユーザで実施してください。

メモ

クラウドストレージ機能を使用する場合は,DRBDの環境設定は不要です。

次の表に示すブロックスペシャルファイルおよびディレクトリを,実行系と待機系で常に同期する必要があります。これらのブロックスペシャルファイル(ディレクトリの場合はそのディレクトリにマウントされているブロックスペシャルファイル)が同期対象となるようにDRBDの環境設定をしてください。

表19‒17 同期対象のファイルおよびディレクトリ

ファイル名またはディレクトリ名

種別

マスタディレクトリ用DBエリア

ブロックスペシャルファイル

ディクショナリ用DBエリア

システム表用DBエリア

データ用DBエリア

DBディレクトリ

ディレクトリ

作業用一時ファイルの格納先ディレクトリ

同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ※1

監査証跡の出力先ディレクトリ※2

注※1

同義語検索をする場合に必要です。

注※2

監査証跡機能を使用する場合に必要です。

DRBDの設定は,DRBD設定ファイル(/etc/drbd.conf)で制御しています。基本的に2つのファイル(global_common.confファイル,リソース管理ファイル)を準備して,その2つのファイルのパスをDRBD設定ファイル(/etc/drbd.conf)に記述することが推奨されています。これらのファイルの内容は,実行系と待機系で,正確に同じである必要があります。

(5) HAモニタの環境設定

実行系と待機系で,HAモニタの環境設定をしてください。

  1. 環境変数の設定

    19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(1) 環境変数の設定」を参照してください。

  2. sysdefファイルの指定

    19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(2) sysdefファイルの指定」を参照してください。

    ただし,クラウド環境では,次に示すオペランドの指定値が異なります。

    • public_cloud

      useを指定します。

    • cpudown

      standbyを指定します

    • fence_resetfence_scsi,およびfence_lan

      これらのオペランドは省略してください。

    • fence_network

      ネットワーク遮断による系切り替えをする場合は,useを指定します

      系のリセットによる系切り替えをする場合は,このオペランドを省略してください。

    メモ

    上記のオペランドの詳細については,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編HAモニタの環境設定(sysdef),およびマニュアルHAモニタ パブリッククラウド編パブリッククラウド環境固有のHAモニタの環境設定参照してください。

  3. serversファイルの指定

    19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(3) serversファイルの指定」を参照してください。

    ただし,クラウド環境では,次に示すオペランドの指定値が異なります。

    • patrolcommand

      このオペランドは省略してください。

    • ptrlcmd_ex

      HADB用の設定を記載したサーバの監視コマンドの絶対パスを指定します。

      サーバの監視コマンドはひな形を基に作成してください。作成方法については,「(6) HAモニタの各ファイルの指定例」の「(e) コマンド用環境変数定義ファイルおよび各コマンドファイルの指定例」,およびマニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編サーバの監視コマンドの作成を参照してください。

    • ptrlcmd_ex_inter

      3を指定します。

    • ptrlcmd_ex_retry

      0を指定します。

    • ptrlcmd_ex_tmout

      5を指定します。

    • scsi_devicedmmp_device

      これらのオペランドは省略してください。

    • rep_device

      (4) DRBDの環境設定」で「リソース管理ファイル(/etc/drbd.d/r0.res)」に定義したDRBDのリソース名を指定します。

      クラウドストレージ機能を使用する場合は,このオペランドは指定不要です。

    メモ

    上記のオペランドの詳細については,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編サーバ対応の環境設定(servers),およびマニュアルHAモニタ パブリッククラウド編パブリッククラウド環境固有のサーバの環境設定を参照してください。

  4. HAモニタの接続構成設定ファイル(connectionファイル)の作成

    接続構成設定ファイルを手動で作成してください。手動での作成方法については,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編HAモニタの接続構成設定ファイルの作成を参照してください。

    接続構成設定ファイルには,実行系および待機系に作成したsysdefファイルのnameオペランドに指定したホスト名と,監視パスに使用するIPアドレスの組を指定します。

  5. HAモニタのネットワーク遮断設定ファイル(fence_network.envファイル)の作成

    ネットワーク遮断による系切り替えをする場合は,ネットワーク遮断設定ファイルを作成してください。ネットワーク遮断の対象とする次のENIのIDを系ごとに列挙してください。ENIのIDは系ごとに異なるため,ネットワーク遮断設定ファイルの内容は各系で異なります。

    • クライアント-サーバ間ネットワーク用のENI

    • ディスクレプリケーションパス(DRBD用ネットワーク)用のENI

    ネットワーク遮断設定ファイルの作成方法については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】ネットワーク遮断設定ファイルの設定を参照してください。

  6. コマンド用環境変数定義およびコマンドの作成

    HAモニタとの連携のために,次のコマンド用環境変数定義およびコマンドを作成してください。

    • コマンド用環境変数定義

    • サーバの起動コマンド

    • サーバの停止コマンド

    • サーバの監視コマンド

    作成方法は,「19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(4) コマンド用環境変数定義およびコマンドの作成」を参照してください。

    ただし,クラウド環境では,サーバの監視コマンドファイルのひな形は$ADBDIR/sample/scripts/coldstandby_patrol_ex.shです。このひな形をコピーして該当個所を修正してください。サーバの監視コマンドファイルの指定例については,「(6) HAモニタの各ファイルの指定例」の「(e) コマンド用環境変数定義ファイルおよび各コマンドファイルの指定例」を参照してください。

(6) HAモニタの各ファイルの指定例

次のファイルの指定例を示します。

ここで説明する指定例は,クラウドストレージ機能を使用する場合は「図19‒6 クラウド環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用する場合)」のシステム構成を前提としています。

クラウドストレージ機能を使用しない場合は「図19‒7 クラウド環境でのコールドスタンバイ構成例(クラウドストレージ機能を使用しない場合)」のシステム構成を前提としています。

また,ネットワーク遮断による系切り替えをすることを前提としています。

(a) sysdefファイルの指定例

■実行系(hadb01)のsysdefファイルの指定例
environment  name hadb01,
             address 1,                 ...1
             patrol 60,
             lan path11,                ...2
             lanport HAmon1;            ...3
function     cpudown standby,
             pathpatrol 240,
             connect_retry 5:200,
             monbegin_restart nouse,
             termcmd_at_abort nouse,
             public_cloud use,          ...4
             fence_network use;         ...5

[説明]

  1. この系のリセット優先度を指定します。この系は,実行系のため,リセット優先度をいちばん高くする必要があるので1を指定します。

  2. HAモニタの監視パスとして使用するLANのホスト名を指定します。IPアドレス172.16.0.11に対応するホスト名path11を指定します。

  3. HAモニタの監視パスとして使用するLANのサービス名を指定します。ポート番号7777に対応するサービス名HAmon1を指定します。

  4. クラウド環境でHAモニタを使用するため,useを指定します。

  5. ネットワーク遮断による系切り替えをするため,useを指定します。

■待機系(hadb02)のsysdefファイルの指定例
environment  name hadb02,
             address 2,                 ...1
             patrol 60,
             lan path21,                ...2
             lanport HAmon1;            ...3
function     cpudown standby,
             pathpatrol 240,
             connect_retry 5:200,
             monbegin_restart nouse,
             termcmd_at_abort nouse,
             public_cloud use,          ...4
             fence_network use;         ...5

[説明]

  1. この系のリセット優先度を指定します。この系は,待機系のため,2を指定します。

  2. HAモニタの監視パスとして使用するLANのホスト名を指定します。IPアドレス172.16.0.12に対応するホスト名path21を指定します。

  3. HAモニタの監視パスとして使用するLANのサービス名を指定します。ポート番号7777に対応するサービス名HAmon1を指定します。

  4. クラウド環境でHAモニタを使用するため,useを指定します。

  5. ネットワーク遮断による系切り替えをするため,useを指定します。

(b) serversファイルの指定例(クラウドストレージ機能を使用する場合)

■実行系(hadb01)のserversファイルの指定例
server name /HADB/server,                                     ...1
       alias HADB,
       acttype monitor,
       lan_updown use,
       actcommand "/HADB/scripts/coldstandby_act.sh",         ...2
       termcommand "/HADB/scripts/coldstandby_term.sh",       ...3
       ptrlcmd_ex "/HADB/scripts/coldstandby_patrol_ex.sh",   ...4
       ptrlcmd_ex_inter 3,
       ptrlcmd_ex_retry 0,
       ptrlcmd_ex_tmout 5,
       servexec_retry 2,
       waitserv_exec yes,
       ip_neck use,
       uoc_neck nouse,
       initial online;                                         ...5

[説明]

  1. サーバディレクトリの絶対パスを指定します。

  2. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの起動コマンドの絶対パスを指定します。

  3. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの停止コマンドの絶対パスを指定します。

  4. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの監視コマンドの絶対パスを指定します。

  5. 実行系とするため,onlineを指定します。

■待機系(hadb02)のserversファイルの指定例
server name /HADB/server,                                     ...1
       alias HADB,
       acttype monitor,
       lan_updown use,
       actcommand "/HADB/scripts/coldstandby_act.sh",         ...2
       termcommand "/HADB/scripts/coldstandby_term.sh",       ...3
       ptrlcmd_ex "/HADB/scripts/coldstandby_patrol_ex.sh",   ...4
       ptrlcmd_ex_inter 3,
       ptrlcmd_ex_retry 0,
       ptrlcmd_ex_tmout 5,
       servexec_retry 2,
       waitserv_exec yes,
       ip_neck use,
       uoc_neck nouse,
       initial standby;                                        ...5

[説明]

  1. サーバディレクトリの絶対パスを指定します。

  2. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの起動コマンドの絶対パスを指定します。

  3. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの停止コマンドの絶対パスを指定します。

  4. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの監視コマンドの絶対パスを指定します。

  5. 待機系とするため,standbyを指定します。

(c) serversファイルの指定例(クラウドストレージ機能を使用しない場合)

ここで説明している例は,ファイルシステムにxfsを使用していることを前提としています。xfs以外のファイルシステムを使用する場合は,OSのmountコマンドのオプションがここで説明している例とは異なります。

■実行系(hadb01)のserversファイルの指定例
server name /HADB/server,                      ...1
       alias HADB,
       acttype monitor,
       disk /dev/vg_hadb01:                    ...2
            /dev/vg_hadb02:
            /dev/vg_hadb03:
            /dev/vg_hadb04,
       lan_updown use,
       fs_name /dev/vg_hadb01/hadb_db:         ...3
               /dev/vg_hadb02/hadb_workarea:
               /dev/vg_hadb03/hadb_syndict:
               /dev/vg_hadb04/hadb_audit,
       fs_mount_dir /HADB/db:                  ...4
                    /mnt/workarea:
                    /mnt/syndict:
                    /mnt/audit,
       fs_mount_opt "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":               ...5
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev",
       actcommand "/HADB/scripts/coldstandby_act.sh",                   ...6
       termcommand "/HADB/scripts/coldstandby_term.sh",                 ...7
       ptrlcmd_ex "/HADB/scripts/coldstandby_patrol_ex.sh",             ...8
       ptrlcmd_ex_inter 3,
       ptrlcmd_ex_retry 0,
       ptrlcmd_ex_tmout 5,
       servexec_retry 2,
       waitserv_exec yes,
       ip_neck use,
       uoc_neck nouse,
       vg_neck use:nouse:nouse:use,   ...9
       fs_neck use:nouse:nouse:use,   ...10
       initial online,                ...11
       rep_device r0;                 ...12

[説明]

  1. サーバディレクトリの絶対パスを指定します。

  2. 次のディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGの絶対パスを指定します。

    • DBディレクトリ

    • 作業用一時ファイルを格納するディレクトリ

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ(同義語検索を行う場合に作成するディレクトリです)

    • 監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に作成するディレクトリです)

  3. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムを構築したLVの絶対パスを指定します。

  4. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムをマウントするマウントポイントの絶対パスを指定します。

  5. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムをマウントするためのmountコマンドのオプションを指定します。

  6. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの起動コマンドの絶対パスを指定します。

  7. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの停止コマンドの絶対パスを指定します。

  8. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの監視コマンドの絶対パスを指定します。

  9. 次のように指定します。

    • DBディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,useを指定します。

    • 作業用一時ファイルを格納するディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,nouseを指定します。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,nouseを指定します。

    • 監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,useを指定します。

  10. 次のように指定します。

    • DBディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,useを指定します。

    • 作業用一時ファイルを作成するファイルシステムに対しては,nouseを指定します。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,nouseを指定します。

    • 監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,useを指定します。

  11. 実行系とするため,onlineを指定します。

  12. DRBDのリソース管理ファイル(/etc/drbd.d/r0.res)のリソース名(r0)を指定します。

■待機系(hadb02)のserversファイルの指定例
server name /HADB/server,                      ...1
       alias HADB,
       acttype monitor,
       disk /dev/vg_hadb01:                    ...2
            /dev/vg_hadb02:
            /dev/vg_hadb03:
            /dev/vg_hadb04,
       lan_updown use,
       fs_name /dev/vg_hadb01/hadb_db:         ...3
               /dev/vg_hadb02/hadb_workarea:
               /dev/vg_hadb03/hadb_syndict:
               /dev/vg_hadb04/hadb_audit,
       fs_mount_dir /HADB/db:                  ...4
                    /mnt/workarea:
                    /mnt/syndict:
                    /mnt/audit,
       fs_mount_opt "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":               ...5
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev":
                    "-t xfs -o defaults,noatime,_netdev",
       actcommand "/HADB/scripts/coldstandby_act.sh",                   ...6
       termcommand "/HADB/scripts/coldstandby_term.sh",                 ...7
       ptrlcmd_ex "/HADB/scripts/coldstandby_patrol_ex.sh",             ...8
       ptrlcmd_ex_inter 3,
       ptrlcmd_ex_retry 0,
       ptrlcmd_ex_tmout 5,
       servexec_retry 2,
       waitserv_exec yes,
       ip_neck use,
       uoc_neck nouse,
       vg_neck use:nouse:nouse:use,   ...9
       fs_neck use:nouse:nouse:use,   ...10
       initial standby,               ...11
       rep_device r0;                 ...12

[説明]

  1. サーバディレクトリの絶対パスを指定します。

  2. 次のディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGの絶対パスを指定します。

    • DBディレクトリ

    • 作業用一時ファイルを格納するディレクトリ

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリ(同義語検索を行う場合に作成するディレクトリです)

    • 監査証跡の出力先ディレクトリ(監査証跡機能を使用する場合に作成するディレクトリです)

  3. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムを構築したLVの絶対パスを指定します。

  4. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムをマウントするマウントポイントの絶対パスを指定します。

  5. 2.で示したディレクトリを作成するファイルシステムをマウントするためのmountコマンドのオプションを指定します。

  6. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの起動コマンドの絶対パスを指定します。

  7. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの停止コマンドの絶対パスを指定します。

  8. コールドスタンバイ構成で使用するサーバの監視コマンドの絶対パスを指定します。

  9. 次のように指定します。

    • DBディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,useを指定します。

    • 作業用一時ファイルを格納するディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,nouseを指定します。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,nouseを指定します。

    • 監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステムがあるVGに対しては,useを指定します。

  10. 次のように指定します。

    • DBディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,useを指定します。

    • 作業用一時ファイルを作成するファイルシステムに対しては,nouseを指定します。

    • 同義語辞書ファイルの格納ディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,nouseを指定します。

    • 監査証跡の出力先ディレクトリを作成するファイルシステムに対しては,useを指定します。

  11. 待機系とするため,standbyを指定します。

  12. DRBDのリソース管理ファイル(/etc/drbd.d/r0.res)のリソース名(r0)を指定します。

(d) HAモニタの接続構成設定ファイルの指定例

HAモニタの接続構成設定ファイル(connectionファイル)の指定例を次に示します。指定内容はすべての系で同じにしてください。

hadb01 LAN 172.16.0.11;     ...1
hadb02 LAN 172.16.0.12;     ...2
[説明]
  1. 実行系(hadb01)の監視パスで使用するIPアドレス172.16.0.11を指定します。

  2. 待機系(hadb02)の監視パスで使用するIPアドレス172.16.0.12を指定します。

HAモニタの接続構成設定ファイルの指定方法の詳細については,マニュアルHAモニタ Linux(R)(x86)編HAモニタの接続構成設定ファイルの作成を参照してください。

(e) コマンド用環境変数定義ファイルおよび各コマンドファイルの指定例

コマンド用環境変数定義ファイルの指定例

指定例については,「19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(5) 各ファイルの指定例(系のリセットを使用する場合)」の「(c) コマンド用環境変数定義ファイルの指定例」を参照してください。

サーバの起動コマンドファイルの指定例

クラウドストレージ機能を使用しない場合の指定例については,「19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(5) 各ファイルの指定例(系のリセットを使用する場合)」の「(d) サーバの起動コマンドファイルの指定例」を参照してください。

クラウドストレージ機能を使用する場合の指定例を次に示します。この例では,サーバの起動コマンドを/HADB/scripts/coldstandby_act.shに格納しています。指定内容は,実行系と待機系で同じにしてください。

<クラウドストレージ機能を使用する場合の指定例>

#!/bin/sh

# Sample of the actcommand for HADB

SU=/bin/su
MOUNT=/bin/mount
ECHO=/bin/echo

# Setting environment variables for HADB
source /HADB/scripts/coldstandby.env        ...1

# Mount the file system (EFS)
$MOUNT -t nfs -o nfsvers=4.1,rsize=1048576,wsize=1048576,hard,timeo=600,retrans=2,noresvport fs-0456f138cb4f7f9c3.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com:/ /HADB/db        ...2
$MOUNT -t nfs -o nfsvers=4.1,rsize=1048576,wsize=1048576,hard,timeo=600,retrans=2,noresvport fs-0456f138cb4f7f9c4.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com:/ /mnt/workarea   ...3
$MOUNT -t nfs -o nfsvers=4.1,rsize=1048576,wsize=1048576,hard,timeo=600,retrans=2,noresvport fs-0456f138cb4f7f9c5.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com:/ /mnt/audit      ...4

# Execute adbstart command
$SU - $ADBMGR -c "$ECHO y|$ADBDIR/bin/adbstart"

# always 0 return
exit 0
[説明]

下線部分を追加または修正します。

  1. source文にコマンド用環境変数定義の絶対パス/HADB/scripts/coldstandby.envを指定します。

  2. /HADB/dbをマウントポイントとし,系切り替え対象のファイルシステムであるDBディレクトリ用のファイルシステム(EFS)をマウントします。

  3. /mnt/workareaをマウントポイントとし,系切り替え対象のファイルシステムである作業用一時ファイルを格納するファイルシステム(EFS)をマウントします。

  4. /mnt/auditをマウントポイントとし,系切り替え対象のファイルシステムである監査証跡ファイルの出力先となるファイルシステム(EFS)をマウントします

ーバの停止コマンドファイルの指定例

クラウドストレージ機能を使用しない場合の指定例については,「19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(5) 各ファイルの指定例(系のリセットを使用する場合)」の「(e) サーバの停止コマンドファイルの指定例」を参照してください。

クラウドストレージ機能を使用する場合の指定例を次に示します。この例では,サーバの停止コマンドを/HADB/scripts/coldstandby_term.shに格納しています。指定内容は,実行系と待機系で同じにしてください。

<クラウドストレージ機能を使用する場合の指定例>

#!/bin/sh

# Sample of the termcommand for HADB

STS_ACTIVE="ACTIVE"
STS_STOP="STOP"
STS_STARTING="STARTING"
STS_STOPPING="STOPPING"
STS_ABORT="ABORT"
STS_QUIESCE="QUIESCE"
STS_OFFLINE="OFFLINE"
STS_CHGMODE="CHGMODE"
STS_STOPWAIT="STOPWAIT"
STS_COREDUMP="COREDUMP"
STS_FORCE="FORCE"
STS_MAINTNCE="MAINTNCE"

AWK=/bin/awk
ECHO=/bin/echo
PS=/bin/ps
KILL=/bin/kill
GREP=/bin/grep
UMOUNT=/bin/umout
SU=/bin/su
READLINK=/bin/readlink

# Setting environment variables for HADB
source /HADB/scripts/coldstandby.env         ...1

# Resolve the path for adbsrvd
ADBSRVD=`$READLINK -e $ADBDIR/bin/adbsrvd`
if [ $? -ne 0 ]
then
  exit 0
fi

# Execute adbstop command
GET_STS=`$SU - $ADBMGR -c "$ADBDIR/bin/adbls -d srv 2>/dev/null" | $GREP -v SVID | $AWK '{ if ($1 ~ /[0-9]+/) { print $2 } else { print $1 } }'`

case "$1" in
"-e" )
  # Normal stop operations of active system.
  # (when the monend command is executed.)
  if [ "$GET_STS" = "$STS_ACTIVE"   -o "$GET_STS" = "$STS_STARTING" -o \
       "$GET_STS" = "$STS_STOPPING" -o "$GET_STS" = "$STS_QUIESCE"  -o \
       "$GET_STS" = "$STS_OFFLINE"  -o "$GET_STS" = "$STS_CHGMODE"  -o \
       "$GET_STS" = "$STS_STOPWAIT" -o "$GET_STS" = "$STS_MAINTNCE" ]
  then
    $SU - $ADBMGR -c "$ECHO y|$ADBDIR/bin/adbstop --force"
    STOPRES=$?
    if [ $STOPRES -ne 0 -a $STOPRES -ne 4 ]
    then
      ADB_ID=`$SU - $ADBMGR -c "$PS x" | $GREP $ADBSRVD | $GREP -v $GREP | $AWK '{print $1}'`
      if [ "$ADB_ID" != "" ]
      then
        $SU - $ADBMGR -c "$KILL $ADB_ID"
      fi
    fi
  fi

  ;;
"-w" )
  # Plan stop operations of active system.
  # (when the monswap command is executed.)
  if [ "$GET_STS" = "$STS_ACTIVE"   -o "$GET_STS" = "$STS_STARTING" -o \
       "$GET_STS" = "$STS_STOPPING" -o "$GET_STS" = "$STS_QUIESCE"  -o \
       "$GET_STS" = "$STS_OFFLINE"  -o "$GET_STS" = "$STS_CHGMODE"  -o \
       "$GET_STS" = "$STS_STOPWAIT" -o "$GET_STS" = "$STS_MAINTNCE" ]
  then
    $SU - $ADBMGR -c "$ECHO y|$ADBDIR/bin/adbstop --force"
    STOPRES=$?
    if [ $STOPRES -ne 0 -a $STOPRES -ne 4 ]
    then
      ADB_ID=`$SU - $ADBMGR -c "$PS x" | $GREP $ADBSRVD | $GREP -v $GREP | $AWK '{print $1}'`
      if [ "$ADB_ID" != "" ]
      then
        $SU - $ADBMGR -c "$KILL $ADB_ID"
      fi
    fi
  fi

  ;;
"-c" )
  # Retry operations of active system.
  # (Before the act_command is resterted.)
  $SU - $ADBMGR -c "adbinfoget -l -o $ADBINFODIR"

  ;;
esac

# stop HADB
if [ "$GET_STS" = "$STS_STARTING" ]
then
  ADB_ID=`$SU - $ADBMGR -c "$PS x" | $GREP $ADBSRVD | $GREP -v $GREP | $AWK '{print $1}'`
  $SU - $ADBMGR -c "$KILL $ADB_ID"
  
  exit 0
fi

# Wait for end of HADB
while [ "$GET_STS" = "$STS_ACTIVE"   -o "$GET_STS" = "$STS_STARTING" -o \
        "$GET_STS" = "$STS_STOPPING" -o "$GET_STS" = "$STS_QUIESCE"  -o \
        "$GET_STS" = "$STS_OFFLINE"  -o "$GET_STS" = "$STS_CHGMODE"  -o \
        "$GET_STS" = "$STS_STOPWAIT" -o "$GET_STS" = "$STS_COREDUMP" -o \
        "$GET_STS" = "$STS_MAINTNCE" ]
do
  GET_STS=`$SU - $ADBMGR -c "$ADBDIR/bin/adbls -d srv 2>/dev/null" | $GREP -v SVID | $AWK '{ if ($1 ~ /[0-9]+/) { print $2 } else { print $1 } }'`
  sleep 1
done

# Unmount the file system (EFS)
$UMOUNT /HADB/db                ...2
$UMOUNT /mnt/workarea           ...3
$UMOUNT /mnt/audit              ...4

exit 0
[説明]

下線部分を追加または修正します。

  1. source文にコマンド用環境変数定義の絶対パス/HADB/scripts/coldstandby.envを指定します。

  2. 系切り替え対象のファイルシステムであるDBディレクトリ用のファイルシステム(EFS)をアンマウントします。

  3. 系切り替え対象のファイルシステムである作業用一時ファイルを格納するファイルシステム(EFS)をアンマウントします。

  4. 系切り替え対象のファイルシステムである監査証跡ファイルを出力するファイルシステム(EFS)をアンマウントします。

サーバの監視コマンドファイルの指定例

この例では,サーバの監視コマンドを/HADB/scripts/coldstandby_patrol_ex.shに格納しています。指定内容は,実行系と待機系で同じにしてください。

メモ

サーバの監視コマンドファイルの指定は,クラウドストレージ機能を使用するかどうかに関係なく同じになります。

<サーバの監視コマンドファイルの指定例>

#!/bin/sh

# Sample of the ptrlcmd_ex for HADB

SU=/bin/su

# Setting environment variables for HADB
source /HADB/scripts/coldstandby.env                ...1

# Execute adbmonitor command for active system
$SU - $ADBMGR -c "'$ADBDIR'/bin/adbmonitor -n -i"
ADBMONRES=$?
if [ "$ADBMONRES" = "0" -o "$ADBMONRES" = "4" ]
then
  exit 0
else
  exit $ADBMONRES
fi
[説明]

下線部分を修正します。

  1. source文にコマンド用環境変数定義の絶対パス/HADB/scripts/coldstandby.envを指定します。

(7) HAモニタの起動設定

HAモニタの起動設定については,「19.3.4 HAモニタの環境設定」の「(7) HAモニタの起動設定」を参照してください。

(8) DRBD用のシェルスクリプト群の展開

HAモニタでDRBDを使用する場合,HAモニタが提供しているDRBD用のシェルスクリプト群を展開する必要があります。詳細については,マニュアルHAモニタ パブリッククラウド編【AWS】【Azure】レプリケーションソフト(DRBD)用のシェルスクリプト群の展開を参照してください。

メモ

クラウドストレージ機能を使用する場合は,DRBD用のシェルスクリプト群の展開は不要です。

(9) データベースの作成(クラウドストレージ機能を使用する場合)

データベースの作成作業の流れを次に示します。

  1. 各ファイルシステムを作成する

  2. 実行系のデータベースを初期設定する

  3. 待機系のデータベースを初期設定する

  4. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

  5. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

  6. 共有するファイルシステムを構築する

各作業を以降で説明します。

(a) 各ファイルシステムの作成

AWSのマネジメントコンソールなどを使用して,各ファイルシステム用のEFSを作成してください。

(b) 実行系のデータベースの初期設定

実行系のデータベースの初期設定の手順を説明します。

手順

  1. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

    実行系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。

    1. DBディレクトリ用のマウントポイントを作成する

      mkdir -p /HADB/db
    2. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

      mount  -t nfs -o nfsvers=4.1,rsize=1048576,wsize=1048576,hard,timeo=600,retrans=2,noresvport fs-0456f138cb4f7f9c3.efs.ap-northeast-1.amazonaws.com:/ /HADB/db
    3. DBディレクトリのオーナーを変更する

      使用するHADB管理者とHADB管理グループを指定します。HADB管理者をadbmanager,HADB管理グループをadbgroupとしたコマンド例を次に示します。

      chown adbmanager.adbgroup /HADB/db
  2. データベースを初期設定する

    実行系でadbinitコマンド実行して,実行系のデータベースを初期設定してください。adbinitコマンドの初期設定オプションの指定例を次に示します。

    この操作は,HADB管理者のOSユーザで実行してください。

    set adb_init_dbarea_initialize = Y
    set adb_init_cld_aws_region = ap-northeast-1           ...a
    set adb_init_cld_aws_bucket = adbbucket                ...b
    set adb_init_cld_cache_path = /HADB/ADBCCH             ...c
    adbinitdbarea -n ADBUTBL01 -p 32 -s 32                 ...d
    adbinitdbarea -n ADBUIDX01 -p 32 -s 32                 ...d

    [説明]

    1. S3オブジェクトの格納先のリージョン名(ap-northeast-1)を指定します。

    2. S3オブジェクトの格納先のS3バケット名(adbbucket)を指定します。

    3. キャッシュファイルの格納先ディレクトリ名(/HADB/ADBCCH)を指定します。

    4. データ用DBエリアの定義を指定します。DBエリアのページサイズには32キロバイト,セグメントサイズには32メガバイトを指定します。

    メモ

    adb_init_wrk_blk_pathオペランドの指定は不要です。

    重要

    DBディレクトリ用のマウントポイントにDBディレクトリ用のファイルシステムがマウントされていることを確認してください。

  3. DBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントする

    実行系で,次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。

    umount /HADB/db

(c) 待機系のデータベースの初期設定

待機系のデータベースの初期設定の手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

    待機系でDBディレクトリ用のファイルシステムをマウントしてください。実行系と同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

    メモ

    待機系では,DBディレクトリ用のファイルシステムのマウントポイントを作成するだけで,adbinitコマンドは実行しません。

  2. DBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントする

    待機系でDBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントしてください。

メモ

ファイルシステムをマウントまたはアンマウントする方法については,「(b) 実行系のデータベースの初期設定」を参照してください。

(d) 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムのマウントおよびアンマウント

作業用一時ファイルを格納するファイルシステムの構築手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 実行系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    実行系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系で同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

  2. 待機系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    待機系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系で同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

メモ

ファイルシステムをマウントまたはアンマウントする方法については,「(b) 実行系のデータベースの初期設定」を参照してください。

(e) 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムのマウントおよびアンマウント

監査証跡機能を使用する場合は,ここで説明する作業を実施してください。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 実行系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    実行系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系で同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

  2. 待機系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    待機系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系で同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

メモ

ファイルシステムをマウントまたはアンマウントする方法については,「(b) 実行系のデータベースの初期設定」を参照してください。

(f) 共有するファイルシステムの構築

共有するファイルシステムを構築する手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 共有するファイルシステムを実行系で構築する

    実行系と待機系で,次に示すファイルシステムを共有します。

    • データインポートで使用する入力ファイルを格納するファイルシステム

    • ADB_CSVREAD関数で使用するCSVファイルを格納するファイルシステム(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

    • 監査証跡ファイルを出力するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

    これらのファイルシステムをEFSで構築してください。

  2. ファイルシステムを共有化する

    実行系と待機系で共有するファイルシステムを共有してください。

    1.で作成したファイルシステムを,実行系と待機系で同じパスとなるようにマウントしてください。実行系と待機系の両方でこの作業を実施してください。

(10) データベースの作成(クラウドストレージ機能を使用しない場合)

データベースの作成作業の流れを次に示します。

  1. データベースを初期同期する

  2. 各ファイルシステム用のVGおよびLVを作成する

  3. 実行系のデータベースを初期設定する

  4. 待機系のデータベースを初期設定する

  5. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを構築する

  6. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムを構築する(同義語検索をする場合に必要な作業)

  7. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムを構築する(監査証跡機能を使用する場合に必要な作業)

  8. 共有するファイルシステムを構築する

各作業を以降で説明します。

(a) データベースの初期同期

データベースの初期同期の手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. DRBDのメタデータを作成する

    実行系および待機系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm create-md r0

    DRBD論理デバイスの下位デバイスにDRBD用のメタデータが作成されます。

  2. DRBDのリソースを有効化する

    実行系および待機系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm up r0
  3. DRBDのロールをプライマリに変更する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm primary --force r0

    DRBDロールをプライマリにして,リソースの初期フル同期が実行されます。

  4. DRBDの状態を確認する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm status r0

    同期が完了していることを確認してください。コマンドの実行結果がすべてUpToDateの場合,リソースの同期が完了しています。

(b) 各ファイルシステム用のVGおよびLVの作成

各ファイルシステム用のVGは,リソース管理ファイル(/etc/drbd.d/r0.res)で定義したDRBD論理デバイスをPVとして作成します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 各ファイルシステム用のDRBD論理デバイス(/dev/drbd1/dev/drbd4)に対して,pvcreateコマンドを実行する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    pvcreate /dev/drbd1
    pvcreate /dev/drbd2
    pvcreate /dev/drbd3
    pvcreate /dev/drbd4
  2. /etc/lvm/lvm.confファイルを編集する

    実行系の/etc/lvm/lvm.confファイルに,次の下線部分を追加してください。

    devices {
      …
      filter = [ "a|drbd.*|", "r|.*|" ]
    }
  3. vgscanコマンドを実行する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    vgscan
  4. /etc/lvm/lvm.confファイルを編集する

    実行系の/etc/lvm/lvm.confファイルの内容を次のように変更してください。

    write_cache_state = 0
  5. /etc/lvm/cache/.cacheを削除する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    rm -f /etc/lvm/cache/.cache
  6. 実行系のDRBDロールをセカンダリに変更する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm secondary r0
  7. 待機系のDRBDロールをプライマリに変更する

    待機系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm primary r0
  8. 実行系と同様に,待機系でも手順1.~手順5.を実施する

  9. 各VGを作成する

    待機系で次のコマンドを実行してください。

    vgcreate vg_hadb01 /dev/drbd1
    vgcreate vg_hadb02 /dev/drbd2
    vgcreate vg_hadb03 /dev/drbd3
    vgcreate vg_hadb04 /dev/drbd4
  10. 各LVをVG上に作成する

    待機系で次のコマンドを実行してください。

    lvcreate -n hadb_db -l 100%FREE vg_hadb01
    lvcreate -n hadb_workarea -l 100%FREE vg_hadb02
    lvcreate -n hadb_syndict -l 100%FREE vg_hadb03
    lvcreate -n hadb_audit -l 100%FREE vg_hadb04
    vgscan
  11. 各VGを非活性化する

    待機系で次のコマンドを実行してください。

    vgchange -a n /dev/vg_hadb01
    vgchange -a n /dev/vg_hadb02
    vgchange -a n /dev/vg_hadb03
    vgchange -a n /dev/vg_hadb04
  12. 待機系のDRBDロールをセカンダリに変更する

    待機系で次のコマンドを実行してください。

    drbdadm secondary r0
  13. 各VG(vg_hadb01vg_hadb04)を認識させる

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    pvscan --cache
    vgscan

(c) 実行系のデータベースの初期設定

実行系のデータベースの初期設定の手順を説明します。

  1. DBディレクトリ用のファイルシステムを初期化する

    実行系で次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。

    1. 実行系をプライマリノードにする

      drbdadm primary r0
    2. DBディレクトリ用のファイルシステムで使用するVGを活性化する

      vgchange -a y /dev/vg_hadb01
    3. DBディレクトリ用のファイルシステムを初期化する

      mkfs -t xfs /dev/vg_hadb01/hadb_db

      DBディレクトリ用のLV(/dev/vg_hadb01/hadb_db)を,xfsのファイルシステムで初期化する場合の例です。

    4. DBディレクトリ用のファイルシステムで使用するVGを非活性化する

      vgchange -a n /dev/vg_hadb01
    5. 実行系をセカンダリノードにする

      drbdadm secondary r0
  2. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

    実行系で次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。

    1. DBディレクトリ用のマウントポイントを作成する

      mkdir -p /HADB/db
    2. 実行系をプライマリノードにする

      drbdadm primary r0
    3. DBディレクトリ用のファイルシステムで使用するVGを活性化する

      vgchange -a y /dev/vg_hadb01
    4. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

      mount /dev/vg_hadb01/hadb_db /HADB/db -t xfs -o defaults,noatime,_netdev
    5. DBディレクトリのオーナーを変更する

      使用するHADB管理者とHADB管理グループを指定してオーナーを変更してください。HADB管理者をadbmanager,HADB管理グループをadbgroupとしたコマンド例を次に示します。

      chown adbmanager.adbgroup /HADB/db
  3. データベースを初期化する

    実行系でadbinitコマンド実行して,実行系のデータベースを初期化してください。adbinitコマンドの初期設定オプションの指定例を次に示します。

    この操作は,HADB管理者のOSユーザで実行してください。

    set adb_init_dbarea_initialize = Y
    set adb_init_mst_blk_path = /dev/drbd5           ...a
    set adb_init_dic_blk_path = /dev/drbd6           ...b
    set adb_init_stbl_blk_path = /dev/drbd7          ...c
    adbinitdbarea -n ADBUTBL01 -i 2G -v /dev/drbd8   ...d
    adbinitdbarea -n ADBUIDX01 -i 2G -v /dev/drbd9   ...e

    [説明]

    1. マスタディレクトリ用DBエリアに対応するDRBD論理デバイスのパス(/dev/drbd5)を指定します。

    2. ディクショナリ用DBエリアに対応するDRBD論理デバイスのパス(/dev/drbd6)を指定します。

    3. システム表用DBエリアに対応するDRBD論理デバイスのパス(/dev/drbd7)を指定します。

    4. データ用DBエリアADBUTBL01に対応するDRBD論理デバイスのパス(/dev/drbd8)を指定します。

    5. データ用DBエリアADBUIDX01に対応するDRBD論理デバイスのパス(/dev/drbd9)を指定します。

    メモ

    adb_init_wrk_blk_pathオペランドの指定は不要です。

    重要

    DBディレクトリ用のマウントポイントにDBディレクトリ用のファイルシステムがマウントされていることを確認してください。

  4. DBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントする

    実行系で次のコマンドをOSのスーパユーザで実行してください。

    1. DBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントする

      umount /dev/vg_hadb01/hadb_db
    2. DBディレクトリ用のファイルシステムで使用するVGを非活性化する

      vgchange -a n /dev/vg_hadb01
    3. 実行系をセカンダリノードにする

      drbdadm secondary r0

(d) 待機系のデータベースの初期設定

待機系のデータベースの初期設定の手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. DBディレクトリ用のファイルシステムをマウントする

    待機系でDBディレクトリ用のファイルシステムをマウントしてください。実行系と同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

    メモ

    待機系では,DBディレクトリ用のファイルシステムのマウントポイントを作成するだけで,adbinitコマンドは実行しません。

  2. DBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントする

    待機系でDBディレクトリ用のファイルシステムをアンマウントしてください。

メモ

(e) 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムの構築

作業用一時ファイルを格納するファイルシステムの構築の手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを初期化する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    1. 実行系をプライマリノードにする

      drbdadm primary r0
    2. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムで使用するVGを活性化する

      vgchange -a y /dev/vg_hadb02
    3. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムを初期化する

      mkfs -t xfs /dev/vg_hadb02/hadb_workarea

      作業用一時ファイルを格納するLV(/dev/vg_hadb02/hadb_workarea)を,xfsのファイルシステムで初期化する場合の例です。

    4. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムで使用するVGを非活性化する

      vgchange -a n /dev/vg_hadb02
    5. 実行系をセカンダリノードにする

      drbdadm secondary r0
  2. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    実行系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

  3. 作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    待機系で,作業用一時ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

メモ

(f) 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムの構築

同義語検索をする場合は,ここで説明する作業を実施してください。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムを初期化する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    1. 実行系をプライマリノードにする

      drbdadm primary r0
    2. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムで使用するVGを活性化する

      vgchange -a y /dev/vg_hadb03
    3. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムを初期化する

      mkfs -t xfs /dev/vg_hadb03/hadb_syndict

      同義語辞書ファイルを格納するLV(/dev/vg_hadb03/hadb_syndict)を,xfsのファイルシステムで初期化する場合の例です。

    4. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムで使用するVGを非活性化する

      vgchange -a n /dev/vg_hadb03
    5. 実行系をセカンダリノードにする

      drbdadm secondary r0
  2. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    実行系で,同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

  3. 同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    待機系で,同義語辞書ファイルを格納するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

メモ

(g) 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムの構築

監査証跡機能を使用する場合は,ここで説明する作業を実施してください。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムを初期化する

    実行系で次のコマンドを実行してください。

    1. 実行系をプライマリノードにする

      drbdadm primary r0
    2. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムで使用するVGを活性化する

      vgchange -a y /dev/vg_hadb04
    3. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムを初期化する

      mkfs -t xfs /dev/vg_hadb04/hadb_audit

      監査証跡ファイルを出力するLV(/dev/vg_hadb04/hadb_audit)を,xfsのファイルシステムで初期化する場合の例です。

    4. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムで使用するVGを非活性化する

      vgchange -a n /dev/vg_hadb04
    5. 実行系をセカンダリノードにする

      drbdadm secondary r0
  2. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    実行系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

  3. 監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントおよびアンマウントする

    待機系で,監査証跡ファイルを出力するファイルシステムをマウントしたあとにアンマウントしてください。実行系と待機系が同じパスになるようにマウントポイントを作成してください。

メモ

(h) 共有するファイルシステムの構築

共有するファイルシステムを構築する手順を説明します。

手順

以下のすべての操作は,OSのスーパユーザで実行してください。

  1. 共有するファイルシステムを実行系で構築する

    実行系と待機系で,次に示すファイルシステムを共有します。

    • データインポートで使用する入力ファイルを格納するファイルシステム

    • ADB_CSVREAD関数で使用するCSVファイルを格納するファイルシステム(ADB_CSVREAD関数を使用した検索をする場合に必要)

    • 監査証跡ファイルを出力するファイルシステム(監査証跡機能を使用する場合に必要)

    これらのファイルシステムをEFSで構築してください。

  2. ファイルシステムを共有化する

    実行系と待機系で共有するファイルシステムを共有してください。

    1.で作成したファイルシステムを,実行系と待機系で同じパスとなるようにマウントしてください。実行系と待機系の両方でこの作業を実施してください。