Hitachi

Hitachi Advanced Data Binder システム構築・運用ガイド


10.3.4 バックアップの運用例(ShadowImageを使用)

ここでは,日立ディスクアレイシステムのボリュームレプリケーション機能であるShadowImageを使用したバックアップの運用例について説明します。

ShadowImageを使用すると,バックアップの取得およびバックアップからの回復に掛かる時間を短縮できます。ShadowImageについては,マニュアルShadowImage ユーザーズガイドを参照してください。

〈この項の構成〉

(1) ShadowImageを使用するときの注意事項

隠蔽モード(-m noread)を指定してペアを生成しないでください。

(2) ディレクトリの構成例

次に示すディレクトリをすべてバックアップの取得対象として,ShadowImageの正ボリュームに格納することとします。

(3) バックアップの取得

ここでは,ShadowImageを使用してバックアップを取得する運用例について説明します。

図10‒5 ShadowImageを使用したバックアップの取得例

[図データ]

条件
  • データベースの初期設定後,一度以上HADBサーバを開始している

  • 更新不可状態の実表がないことを確認している

  • データベースの更新を抑止するために,HADBサーバの稼働モードを静止モードに変更する

  • バックアップの種類はフルバックアップとする

  • DBディレクトリ,アーカイブディレクトリ,および同義語辞書ファイルの格納ディレクトリのバックアップを取得する

手順

  1. ペアを同期する

    ペアの同期を開始してください。ペアの同期に時間が掛かることがあるため,HADBサーバの稼働モードを静止モードに変更する前に,ペアボリュームの同期を開始しておくことを推奨します。

  2. HADBサーバの稼働モードを静止モードに変更する

    adbchgsrvmode --quiescenceコマンドを実行して,HADBサーバの稼働モードを静止モードに変更してください。静止モードに変更したら,ペアの同期が完了するまで待ってください。

  3. ペアを分割する

    ペアの同期が完了したら,バックアップの取得が完了したため,ペアを分割してください。これで,ペアの同期を開始した時点のバックアップが,副ボリュームに保持されます。

  4. HADBサーバの稼働モードを通常モードに変更する

    adbchgsrvmode --normalコマンドを実行して,HADBサーバの稼働モードを通常モードに変更してください。これで,ShadowImageを使用したバックアップの取得は完了です。

(4) バックアップからの回復

ここでは,「(3) バックアップの取得」で取得したバックアップからデータベースを回復する運用例について説明します。

図10‒6 ShadowImageを使用したバックアップからの回復例

[図データ]

手順

  1. HADBサーバを終了する

    バックアップから回復する前に,HADBサーバを終了します。次に示すHADBのコマンドを実行して,HADBサーバを終了してください。

    adbstop
  2. アンマウントする

    正ボリュームに格納されたファイルシステムをアンマウントしてください。

  3. バックアップから回復する

    ペアを逆同期して,バックアップから回復します。副ボリュームの内容を正ボリュームに同期してください。

    重要

    正ボリュームの内容を副ボリュームに同期しないように注意してください。

  4. ペアを分割する

    ペアの逆同期が完了したら,バックアップからの回復が完了したため,ペアを分割してください。

  5. マウントする

    手順2.でアンマウントしたファイルシステムをマウントしてください。

  6. HADBサーバを開始する

    次に示すHADBのコマンドを実行して,HADBサーバを開始してください。

    adbstart
  7. HADBサーバの状態を確認する

    HADBサーバを開始したら,HADBサーバの稼働モードが通常モードになっているかどうかを確認します。次に示すコマンドを実行して,HADBサーバの状態を確認してください。

    adbls -d srv

    実行結果のSTATUSの項目を確認してください。STATUSACTIVEになっていれば,稼働モードが通常モードになっています。