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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 コマンドリファレンス(UNIX(R)用)


2.101.1 pdrisechkの形式と規則

〈この項の構成〉

(1) 機能

リアルタイムSANレプリケーションを適用するために必要なシステム定義の内容と,HiRDBファイルに対応したペア論理ボリュームグループのペア属性,ペアステータス,及びフェンスレベルの整合性をチェックします。

なお,このコマンドを実行する前に,RAID Managerが稼働中であるかどうかを確認してください。

(2) 実行者

HiRDB管理者が実行できます。

(3) 形式

 pdrisechk 〔-d {all|db|sys}〕 〔{-u ユニット識別子|-s サーバ名}〕 〔-l〔-n〕〕 〔-r〕

(4) オプション

(a) -d {all|db|sys}

チェックするファイルの区分を指定します。

all:RDエリア及びシステムファイル

db:RDエリア

sys:システムファイル

(b) -u ユニット識別子 〜<識別子>((4文字))

チェックするユニットのユニット識別子を指定します。-u,及び-sオプションを共に省略した場合,HiRDB全体をチェック対象とします。

(c) -s サーバ名 〜<識別子>((1〜8))

チェックするサーバのサーバ名を指定します。

(d) -l

ログ同期方式の場合に,ログ適用サイトのシステム構成が正しいかどうかをチェックします。

(e) -n

副ステータスファイルの状態をチェックしない場合に指定します。-nオプションは,-lオプションを指定している場合に指定できます。

(f) -r

ログ同期方式の場合に,ペア論理ボリュームグループに対してシステムログ適用化を実行できるシステム構成かどうかをチェックします。

(5) 規則

  1. pdrisechkコマンドは,HiRDBの稼働に関係なく実行できます。

  2. pdrisechkコマンドは,$PDCONFPATH/pdsysのHORCMINSTオペランドに指定したRAID Managerのインスタンスが,pdrisechkコマンドを実行したサイトですべて稼働中の場合に実行できます。

  3. pdrisechkコマンドは,シングルサーバ又はシステムマネジャがあるサーバマシンで実行してください。

  4. pdrisechkコマンドは,$PDCONFPATH下のシステム定義ファイルの内容をチェックします。

    なお,$PDCONFPATHは,ユニット制御情報定義ファイルのPDCONFPATHオペランドに指定した値です(指定がない場合は$PDDIR/conf)。

  5. pdrisechkコマンドは,システム共通定義のHORCMINSTに指定したRAID Managerのインスタンスに問い合わせます。システム共通定義にHORCMINSTオペランドを指定しないでpdrisechkコマンドを実行した場合,環境変数HORCMINSTの値をRAID Managerのインスタンス番号と仮定して動作します。

  6. 全同期方式,ハイブリッド方式,及びログ同期方式の場合の,チェック対象となるファイル区分と-dオプションの関係について次の表に示します。なお,全非同期方式の場合は,-dオプションの指定値に関係なくすべてのファイル区分について構成を確認します。

    表2‒26 チェック対象となるファイル区分と-dオプションの関係

    ファイル区分

    対象となるペア論理ボリュームグループ名

    -dオプションの指定値

    all又は省略

    sys

    db

    DB

    aaaa_bb....bb_DB

    ×

    LOG

    aaaa_bb....bb_LOG

    ×

    SPD

    aaaa_bb....bb_SPD

    ×

    USTS

    aaaa_cccc_USTS

    ×

    SSTS

    aaaa_bb....bb_SSTS

    ×

    (凡例)

    aaaa:HiRDB識別子

    bb....bb:サーバ名

    cccc:ユニット識別子

    ○:チェックします。

    ×:チェックしません。

  7. pdrisechkコマンドのチェック項目とリアルタイムSANレプリケーションの処理方式との関係を次の表に示します。

    表2‒27 pdrisechkコマンドのチェック項目とリアルタイムSANレプリケーションの処理方式との関係

    項番

    チェック項目

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    全同期方式

    全非同期方式

    ハイブリッド方式

    ログ同期方式

    1

    リアルタイムSANレプリケーションを使用する場合に必要なオペランドを指定しているか

    2

    付加PPについて,リアルタイムSANレプリケーションを使用するときにセットアップが必要な付加PPをセットアップしているか

    ×

    3

    サイト状態が次に示す状態であるか

    -lオプション指定時:

    「ログ適用」又は「準備」

    -lオプション省略時:

    「業務」又は「準備」

    ×

    ※1

    4

    更新コピーが必要なペア論理ボリュームグループがすべてそろっているか

    5

    項番4のペア論理ボリュームグループのボリューム属性について,pdrisechkコマンドを実行したサイト側が,表「pdrisechkコマンドがチェックするボリューム属性一覧(-lオプションあり)」,及び表「pdrisechkコマンドがチェックするボリューム属性一覧(-lオプションなし)」に示すボリューム属性か

    6

    項番4のペア論理ボリュームグループのペアステータスについて,pdrisechkコマンドを実行したサイト側が,表「pdrisechkコマンドがチェックするペアステータス一覧」に示すペアステータスか

    7

    項番4のペア論理ボリュームグループのフェンスレベルについて,表「pdrisechkコマンドがチェックするフェンスレベル一覧」に示すフェンスレベルか

    8

    すべての副ステータスファイルが初期状態になっていないか

    ×

    ※2

    (凡例)

    ○:チェックします。

    ×:チェックしません。

    注※1

    系切り替え機能を適用したHiRDBで,予備系でpdrisechkコマンドを実行した場合,サイト状態を特定できないため,サイト状態はチェックされません。KFPS04692-Wメッセージが表示され,処理が続行されます。

    注※2

    チェック対象となるペア論理ボリュームグループは,-d,-u,-sオプションの指定によって決まります。

    表2‒28 pdrisechkコマンドがチェックするボリューム属性一覧(-lオプションあり)

    ペア論理ボリュームグループ名

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    全同期方式,又はハイブリッド方式

    全非同期方式

    ログ同期方式

    -rオプションあり

    -rオプションなし

    aaaa_bb....bb_DB

    S-VOL

    S-VOL

    SMPL

    aaaa_bb....bb_LOG

    S-VOL

    aaaa_bb....bb_SPD

    aaaa_cccc_USTS

    aaaa_bb....bb_SSTS

    aaaa_ALL

    S-VOL

    (凡例)

    aaaa:HiRDB識別子

    bb....bb:サーバ名

    cccc:ユニット識別子

    −:該当しません。

    表2‒29 pdrisechkコマンドがチェックするボリューム属性一覧(-lオプションなし)

    ペア論理ボリュームグループ名

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    全同期方式,又はハイブリッド方式

    全非同期方式

    ログ同期方式

    -rオプションあり

    -rオプションなし

    aaaa_bb....bb_DB

    P-VOL

    P-VOL

    SMPL

    aaaa_bb....bb_LOG

    P-VOL

    aaaa_bb....bb_SPD

    aaaa_cccc_USTS

    aaaa_bb....bb_SSTS

    aaaa_ALL

    P-VOL

    (凡例)

    aaaa:HiRDB識別子

    bb....bb:サーバ名

    cccc:ユニット識別子

    −:該当しません。

    表2‒30 pdrisechkコマンドがチェックするペアステータス一覧

    ペア論理ボリュームグループ名

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    全同期方式,又はハイブリッド方式

    全非同期方式

    ログ同期方式

    -rオプションあり

    -rオプションなし

    aaaa_bb....bb_DB

    PAIR

    PAIR

    aaaa_bb....bb_LOG

    PAIR

    aaaa_bb....bb_SPD

    aaaa_cccc_USTS

    aaaa_bb....bb_SSTS

    aaaa_ALL

    PAIR

    (凡例)

    aaaa:HiRDB識別子

    bb....bb:サーバ名

    cccc:ユニット識別子

    −:該当しません。

    表2‒31 pdrisechkコマンドがチェックするフェンスレベル一覧

    ペア論理ボリュームグループ名

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    全同期方式

    ハイブリッド方式

    ログ同期方式

    保護モード=data

    保護モード=never

    保護モード=data

    保護モード=never

    保護モード=data

    保護モード=never

    -rオプションあり

    -rオプションなし

    -rオプションあり

    -rオプションなし

    aaaa_bb....bb_DB

    data

    never

    async

    async

    data

    never

    aaaa_bb....bb_LOG

    data

    data

    data

    never

    aaaa_bb....bb_SPD

    aaaa_cccc_USTS

    aaaa_bb....bb_SSTS

    (凡例)

    aaaa:HiRDB識別子

    bb....bb:サーバ名

    cccc:ユニット識別子

    −:該当しません。

    注※

    全非同期方式の場合は,aaaa_ALLに対して,asncとなります。

  8. 副ステータスファイルは初期状態かどうかチェックされます。チェックの有無は,リアルタイムSANレプリケーションの処理方式,及びオプションの指定の有無によって異なります。副ステータスファイルの初期状態をチェックする条件を次の表に示します。

    表2‒32 副ステータスファイルの初期状態をチェックする条件

    リアルタイムSANレプリケーションの処理方式

    オプションの指定

    副ステータスファイルのチェック

    -d

    -l

    -r又は-n

    -s

    ユニット用副ステータスファイル

    サーバ用副ステータスファイル

    ログ同期方式

    ALL,SYS,又は指定なし

    指定あり

    指定あり

    ×

    ×

    指定なし

    指定なし

    指定あり

    ×

    指定なし

    ×

    ×

    DB

    ログ同期方式以外

    (凡例)

    ○:チェックしません。

    ×:チェックします。

    −:該当しません。

(6) 注意事項

  1. pdrisechkコマンドのリターンコードは,0の場合は正常終了,8の場合は異常終了となります。8の場合は,その前に出力されているメッセージを参照してエラー要因を取り除いてください。

  2. pdrisechkコマンドの結果は,KFPS05815-Iメッセージで表示されます。

  3. pdrisechkコマンドは,KFPS05815-Iメッセージで表示されるコマンド終了コード(end code)がOKになるまで,出力されたエラーメッセージに従って対策し,再実行してください。

  4. 検知したエラーによっては,検知時点でチェックを中止します。出力されたエラーメッセージに対して適切な対策をして,再度コマンドを実行した場合でも,新たなエラーメッセージを出力することがあります。

  5. 系切り替え機能を適用したHiRDBの場合,pdrisechkコマンドは,常に現用系のシステム定義を基にリアルタイムSANレプリケーションの構成確認をします。したがって,ユニット及びサーバが現用系以外で稼働している状態で,pdrisechkコマンドを実行したときの実行結果は保証できません。HiRDBが稼働中の場合は,すべてのユニット及びサーバが,現用系で稼働しているときにpdrisechkコマンドを実行してください。

  6. チェック対象にフロータブルサーバが含まれる場合,KFPS01896-E及びKFPS04680-Eを出力することがありますが,無視してください。フロータブルサーバに対応するペア論理ボリュームグループについてだけチェックをしたい場合は,-dオプションにsysを指定してください。

  7. ログ同期方式以外で-rオプションを指定した場合,及びログ同期方式でログ適用状態以外で-rオプションを指定した場合はエラーになります。システムログ適用化については,マニュアル「HiRDB Version 9 ディザスタリカバリシステム 構築・運用ガイド」を参照してください。