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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


26.6.1 HiRDBの運用方法の違いは?

系切り替え機能を使用する場合は,使用しない場合に比べて次に示す運用方法が異なります。

〈この項の構成〉

(1) HiRDBの開始方法

実行系及び待機系HiRDBをクラスタソフトウェアのコマンド(HAモニタの場合はmonbeginコマンド)で開始します。なお,次に示すような理由でHiRDBが開始できない場合は,障害の原因を取り除いた後にpdstart(HiRDB/パラレルサーバの場合はpdstart -q)コマンドでHiRDBを開始してください。

注意事項
  • pdstart -r又はpdstart -Rコマンドを実行する前に共有リソースを活性化してください。

  • pdstart -r又はpdstart -Rコマンドを実行する場合は,実行系及び待機系HiRDBを終了した後にpdstart -r又はpdstart -Rコマンドを実行してください。pdstart -r又はpdstart -RコマンドでHiRDBを開始した場合,HiRDBは系切り替えの対象になりません。データベースの回復処理などが終了した後に,一度HiRDBを終了してから実行系及び待機系HiRDBを開始してください。

  • HiRDB/パラレルサーバの場合,システムマネジャのあるユニットでpdstartコマンドを実行してシステム全体を開始するのではなく,すべてのユニットをユニットごとに開始する必要があります。系切り替えの対象にするユニット(pd_ha_unit = nouseを指定しないユニット)は,ユニットごとにクラスタソフトウェアのコマンドでユニットを開始してください。系切り替えの対象にしないユニット(pd_ha_unit = nouseを指定したユニット)は,クラスタソフトウェアのコマンドで開始できません。この場合,該当するユニットのサーバマシンに直接ログインしてpdstart -qコマンドを実行してください。

MC/ServiceGuard使用時の注意事項

HiRDBの終了モードが異常終了の場合,MC/ServiceGuardのパッケージのステータスがup又はrunningになっています。この場合,pdstartコマンドでHiRDBを単独で再開始してください。

(2) HiRDBの終了方法

HiRDBの終了方法(モニタモードの場合)を次の表に示します。

表26‒26 HiRDBの終了方法(モニタモードの場合)

条件

終了方法

実行系及び待機系の両方を終了する場合

  1. pdstopコマンドで実行系HiRDBを終了します。

  2. クラスタソフトウェアのコマンド(HAモニタの場合はmonendコマンド)で実行系及び待機系の両方を終了します。

待機系だけを終了する場合

クラスタソフトウェアのコマンド(HAモニタの場合はmonsbystpコマンド)で待機系を終了します。

HAモニタ使用時の注意事項

server定義文のtermcommandオペランドにHiRDBを強制終了するコマンドを指定している場合,pdstopコマンドでHiRDBを終了しないでHAモニタのmonendコマンドでサーバを終了すると,HiRDBは強制終了されます。このため,次回のHiRDBの開始モードは再開始になります。したがって,サーバを終了する場合は,pdstopコマンドでHiRDBを終了(正常終了又は計画停止)した後にサーバを終了するようにしてください。

MC/ServiceGuard使用時の注意事項

pdstopコマンドでHiRDBを終了しないでMC/ServiceGuardのコマンドでパッケージを終了すると,パッケージ停止時に実行するシェルスクリプト内のpdstopコマンドでHiRDBが終了するため,HiRDBは強制終了されます。このため,次回のHiRDBの開始モードは再開始になります。パッケージを終了する場合は,pdstopコマンドでHiRDBを終了(正常終了又は計画停止)した後にパッケージを終了するようにしてください。

PowerHA使用時の注意事項

pdstopコマンドでHiRDBを終了しないでPowerHAのコマンドでリソース・グループを終了すると,登録したシェルスクリプト内のpdstopコマンドでHiRDBが終了するため,HiRDBは強制終了されます。このため,次回のHiRDBの開始モードは再開始になります。したがって,リソース・グループを終了する場合は,pdstopコマンドでHiRDBを終了(正常終了又は計画停止)した後にサーバを終了するようにしてください。

LifeKeeper使用時の注意事項

pdstopコマンドでHiRDBを終了しないでLifeKeeperのコマンドでリソースを終了すると,登録したシェルスクリプト内のpdstopコマンドでHiRDBが終了するため,HiRDBは強制終了されます。このため,次回のHiRDBの開始モードは再開始になります。したがって,リソースを終了する場合は,pdstopコマンドでHiRDBを終了(正常終了又は計画停止)した後にリソースを終了するようにしてください。

(3) 状態の確認

(a) ユニット,及びサーバの稼働状態

系切り替え機能適用時のユニット,及びサーバの稼働状態確認方法を次の表に示します。

表26‒27 系切り替え機能適用時のユニット,及びサーバの稼働状態確認方法

コマンド

出力情報

pdls -d svr

  • ホスト名(系切り替え後も現用系ホスト名を表示)

  • ユニットの稼働状態

  • サーバの稼働状態

(b) 系の状態確認

系切り替え機能適用時の系の状態の確認方法を次の表に示します。

表26‒28 系切り替え機能適用時の系の状態の確認方法

コマンド

出力情報

pdls -d ha

  • 現用系のホスト名及び状態(実行中/待機中/停止)

  • 予備系のホスト名及び状態(実行中/待機中/停止)

    このコマンドでは,IPアドレスを引き継がない場合だけ待機系のホスト名及び状態を確認できます。※1

monshow(HAモニタ使用時だけ)

  • 自系のホスト名及び状態※2

  • 他系のホスト名及び状態※2

注※1

IPアドレスを引き継ぐ場合はクラスタソフトウェアのコマンドで系の状態を確認してください。表示される情報については,各クラスタソフトウェアのマニュアルを参照してください。

注※2

monshowコマンドで表示する状態については,HAモニタのマニュアルを参照してください。

(c) コマンド又はユティリティを実行できるか確認する方法

現用系のシステムマネジャユニットでpdls -d svrコマンドを実行してください。

  • 現用系で実行したpdls -d svrコマンドの終了ステータスが0の場合

    現用系が実行系のため,現用系でコマンド又はユティリティを実行してください。

  • 現用系で実行したpdls -d svrコマンドの終了ステータスが8の場合,又はpdls -d svrコマンドが実行できない場合(リモートシェル実行不可,ログイン不可など)

    予備系が実行系の可能性があります。予備系のシステムマネジャユニットで,pdls -d svrコマンドを実行し,予備系が実行系になっていることを確認してください。

  • 現用系又は予備系で実行したpdls -d svrコマンドの終了ステータスが4の場合

    一部のユニットが停止しているか,HiRDBが開始処理中又は終了処理中の可能性があります。

    一部のユニットが停止している場合は,停止中のユニットを開始してください。障害でユニットが停止している場合は,syslogfileに出力されたメッセージを参照して障害原因を取り除いた後に,停止中のユニットを開始してください。

    HiRDBが開始処理中又は終了処理中の場合は,5秒程度の間隔でpdls -d svrコマンドを終了ステータスが4でなくなるまで繰り返し実行してください。pd_system_complete_wait_timeオペランドに指定した時間を目安に,pdls -d svrコマンドを繰り返し実行してください。

(4) 統計ログファイルの運用

スタンバイ型系切り替え機能の場合,統計ログファイルはpdstj1とpdstj2の二つのファイルから構成されています。これらのファイルは現用系と予備系にそれぞれ自動的に作成されます。したがって,HiRDB管理者は合計四つのファイルで運用する必要があります。現用系と予備系の統計ログファイルは共用化できません。

(a) アンロード統計ログファイルの作成

系切り替えが発生すると,統計ログファイルが各サーバマシンに分散して作成されるため,特定のサーバマシンにアンロード統計ログファイルを作成してください。次に示すタイミングでアンロード統計ログファイルを作成することをお勧めします。

  • HiRDBを開始したとき

  • 統計ログファイルがスワップしたとき

  • 系切り替えが発生したとき

系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(スタンバイ型系切り替え(モニタモード)の場合)を次の図に示します。

図26‒87 系切り替え機能使用時のアンロード統計ログファイルの作成例(スタンバイ型系切り替え(モニタモード)の場合)

[図データ]

ポイント

統計ログファイル名は各サーバマシンで同じになります。そのまま同じ名称でアンロード統計ログファイルを作成しないようにしてください。HiRDBが提供するシェルスクリプト(pdstjacm)を使用する場合も,同じ名称にならないようにシェルスクリプトを変更して使用してください。

(b) 系が切り替わった後の統計情報の取得処理

系の切り替わり後,切り替え先のHiRDBで統計情報を取得するかどうかは,次に示すオペランドの指定に従います。

  • pd_statistics

  • pdstbegin

pd_statisticsオペランドにA若しくはYを指定している場合,又はpdstbeginオペランドを指定している場合は,系が切り替わった直後から統計情報を取得します。

なお,pdstbeginコマンドで統計情報の取得を開始した場合に系切り替えが発生すると,切り替え先のHiRDBでは統計情報を取得しません。統計情報を取得するには,切り替え先のHiRDBでpdstbeginコマンドを実行する必要があります。

また,切り替え先のHiRDBで,pdstj1とpdstj2のどちらの統計ログファイルを使用するかは,切り替え先のHiRDBが決定します。使用する統計ログファイルの決定手順は系切り替え機能を使用しない場合と同じです。

(c) 統計解析ユティリティの実行

作成したアンロード統計ログファイルを入力情報として,統計解析ユティリティを実行してください。ただし,障害などで系が切り替わった場合,切り替わる直前の統計ログはファイルに正しく取得されていません。このため,統計解析ユティリティを実行しても誤差が生じることがありますので,この点を考慮した上でチューニングなどに使用してください。