26.3.1 システム構成例
ここでは,系切り替え機能使用時のシステム構成例について説明します。
(1) HiRDB/シングルサーバの場合
HiRDB/シングルサーバの場合はシステム単位で系を切り替えます。HiRDB/シングルサーバのシステム構成例を次に示します。
(a) 1:1系切り替え構成の例
実行系と待機系が1:1で対応しているシステム構成を1:1系切り替え構成といいます。系が切り替わってもレスポンスタイムを保証したい場合にこの構成を適用します。ただし,待機系のサーバマシンのリソースは使用できません(どちらか片方のサーバマシンのリソースが使用できません)。HiRDB/シングルサーバに対する1:1系切り替え構成の例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
- 備考
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各サーバマシンにユティリティで使用する入出力装置が必要です。
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系が切り替わった後にユティリティを実行する場合,ユティリティの実行に必要な入出力ファイルを自サーバマシンに作成する必要があります。
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(b) 相互系切り替え構成の例
一つのサーバマシン内に実行系と待機系(ほかのHiRDB/シングルサーバの待機系)を持つ構成を相互系切り替え構成といいます。複数のHiRDB/シングルサーバを使用している場合に相互系切り替え構成を適用できます。サーバマシンのリソースを有効に利用したい場合にこの構成を適用してください。ただし,系が切り替わると,レスポンスタイムが低下します。
HiRDB/シングルサーバに対する相互系切り替え構成の例を次の図に示します。次の図の例は,二つのHiRDB/シングルサーバ(HiRDB/シングルサーバAとHiRDB/シングルサーバB)に対して相互系切り替え構成を適用しています。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
- 備考
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各サーバマシンにユティリティで使用する入出力装置が必要です。
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系が切り替わった後にユティリティを実行する場合,ユティリティの実行に必要な入出力ファイルを自サーバマシンに作成する必要があります。
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IPアドレスを引き継がない系切り替え構成で,ユティリティの制御文にホスト名を指定している場合,系が切り替わったときに,ホスト名を変更する必要があります。
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(c) マルチスタンバイ構成の例
一つの実行系に複数の待機系を持つシステム構成を,マルチスタンバイ構成といいます。実行系の障害が回復するまでの間に発生する,待機系の障害(多点障害)に備えたい場合にこの構成を適用します。待機系には優先度を付け,実行系に障害が発生したときは,一番優先度の高い待機系に切り替えます。なお,マルチスタンバイ構成は,IPアドレスを引き継ぐシステム構成の場合だけ適用できます。
HiRDB/シングルサーバに対するマルチスタンバイ構成の例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
(d) 複数のHiRDB/シングルサーバでユティリティ専用ユニットを共用する例
複数のHiRDB/シングルサーバでユティリティ専用ユニットを共用する例を次の図に示します。なお,ユティリティ専用ユニットは系切り替えできません。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
(e) HiRDB/シングルサーバと1:1でユティリティ専用ユニットを設置する例
HiRDB/シングルサーバと1:1でユティリティ専用ユニットを設置する例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
(f) HiRDB/シングルサーバとm:nでユティリティ専用ユニットを設置する例
HiRDB/シングルサーバとm:nでユティリティ専用ユニットを設置する例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
- 〔説明〕
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ユティリティ実行時のホスト名の指定で,使用するユティリティ専用ユニットを選択できます。
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複数のユティリティ専用ユニットを設置することで,システムの信頼性を向上できます。
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(2) HiRDB/パラレルサーバのシステム構成例
HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット単位で系を切り替えます。HiRDB/パラレルサーバのシステム構成例を次に示します。
(a) 1:1系切り替え構成の例
実行系ユニットと待機系ユニットが1:1で対応しているシステム構成を1:1系切り替え構成といいます。系が切り替わってもレスポンスタイムを保証したい場合にこの構成を適用します。ただし,待機系のサーバマシンのリソースは使用できません(どちらか片方のサーバマシンのリソースが使用できません)。HiRDB/パラレルサーバに対する1:1系切り替え構成の例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
(b) 相互系切り替え構成の例
一つのサーバマシン内に実行系と待機系(ほかのユニットの待機系)を持つ構成を相互系切り替え構成といいます。HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット単位で系を切り替えるため,HiRDB/シングルサーバと異なり,一つのHiRDB/パラレルサーバに対して相互系切り替え構成を適用できます。HiRDB/パラレルサーバに相互系切り替え構成を適用すると,一つのサーバマシン内に実行系ユニットと待機系ユニット(ほかのユニットの待機系ユニット)を配置できます。サーバマシンのリソースを有効に利用したい場合にこの構成を適用してください。ただし,系が切り替わると,レスポンスタイムが低下します。
HiRDB/パラレルサーバに対する相互系切り替え構成の例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。
相互系切り替え構成のHiRDBシステム定義の定義例については,マニュアル「HiRDB Version 9 システム定義」の「HiRDB/パラレルサーバの場合:スタンバイ型系切り替え機能使用時」を参照してください。
- 注意事項
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相互系切り替え構成(又は2:1系切り替え構成)をすると,一つのサーバマシン内で二つのユニットが稼働することがあります。このため,次に示す点に留意してください。
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HiRDB運用ディレクトリ名
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ポート番号
これらを同じサーバマシン内では,ユニットごとに異なる名称及び異なる番号にしてください。
また,IPアドレスを引き継がない場合は,更に次に示す点に留意してください。
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ホスト名及びIPアドレス
同じサーバマシン内ではホスト名及びIPアドレスをユニットごとに異なるものにしてください。
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ホスト名の正しい設定例,及び間違った設定例を次の図に示します。
このときのpdunitオペランドの指定例(正しい例)を次に示します。
pdunit -x hostA -u UNT1 ... -c hostAA pdunit -x hostB -u UNT2 ... -c hostBB
さらに,hostA,hostAA,hostB,hostBBのすべてで異なるIPアドレスに対するホスト名を設定する必要があります。
このときのpdunitオペランドの指定例(間違った例)を次に示します。
pdunit -x hostA -u UNT1 ... -c hostB pdunit -x hostB -u UNT2 ... -c hostA
- 〔説明〕
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相互系切り替え構成でIPアドレスを引き継がない場合は,pdunitオペランドの-x及び-cオプションに指定するホスト名はすべて異なる必要があります(同じホスト名を指定できません)。
(c) マルチスタンバイ構成の例(ユーザサーバホットスタンバイ限定)
一つの実行系ユニットに複数の待機系ユニットを持つシステム構成を,マルチスタンバイ構成といいます。実行系の障害が回復するまでの間に発生する,待機系の障害(多点障害)に備えたい場合にこの構成を適用します。待機系には優先度を付け,実行系に障害が発生したときは,一番優先度の高い待機系に切り替えます。なお,マルチスタンバイ構成は,IPアドレスを引き継ぐシステム構成の場合だけ適用できます。HiRDB/パラレルサーバに対するマルチスタンバイ構成の例を次の図に示します。
- 注※
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サーバモードで系切り替え機能を運用する場合に必要な製品です。ただし,クラスタソフトウェアがHAモニタの場合は必要ありません。