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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


26.2.3 IPアドレスを引き継ぐかどうかでのホスト名の運用方法の違い

ホスト名の運用方法(指定方法)をIPアドレスを引き継ぐ場合と,引き継がない場合とに分けて説明します。

〈この項の構成〉

(1) HiRDB/シングルサーバの場合

(a) IPアドレスを引き継ぐ場合

IPアドレスを引き継ぐ場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は1:1系切り替え構成とします。

●システム構成例(IPアドレスを切り替える場合)

[図データ]

●システム構成例(LANアダプタを切り替える場合)

[図データ]

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA

pdunit -x hostC

pdstart -x hostA

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

pd_hostname=host1

rloginするときに指定するホスト名

hostA

運用コマンドに指定するホスト名

シングルサーバの場合

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

ユティリティ専用ユニットの場合

hostC

ユティリティに指定するホスト名

シングルサーバの場合

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

ユティリティ専用ユニットの場合

hostC

メッセージに表示されるホスト名

hostA

統計情報に表示されるホスト名

hostA

クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに指定するホスト名

hostA

注※ ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

(b) IPアドレスを引き継がない場合

IPアドレスを引き継がない場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は1:1系切り替え構成とします。

●システム構成例

[図データ]

ポイント

標準ホスト名を同じ(host1=host2)にすると,系の切り替わりをHiRDBが認識できません。したがって,標準ホスト名は異なる名称にしてください。

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA -c hostB

pdunit -x hostC

pdstart -x hostA

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

pd_hostname=host1

rloginするときに指定するホスト名

hostA又はhostB(実行系のホスト名を指定します)

運用コマンドに指定するホスト名※1

シングルサーバの場合

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

ユティリティ専用ユニットの場合

hostC

ユティリティに指定するホスト名

シングルサーバの場合

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

ユティリティ専用ユニットの場合

hostC

メッセージに表示されるホスト名

hostA

統計情報に表示されるホスト名

hostA

クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに指定するホスト名

hostA及びhostB※2

注※1

ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

注※2

クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。そうすれば,系が切り替わった後もPDHOSTオペランドの指定値を変更する必要はありません。ただし,実行系が現用系から予備系に切り替わると,UAPは一度現用系(待機系)に接続を試みて失敗した後に予備系(実行系)に接続するため,UAPの接続処理時間がその分だけ長くなります。この問題を解決するには,クライアント接続用のホスト名をエイリアスIPアドレスで設定し,そのIPアドレスを引き継ぐようにしてください。この場合のホスト名の指定方法については,「IPアドレスを引き継がない場合(クライアント接続用のIPアドレスだけを引き継ぐ場合)」を参照してください。

(c) IPアドレスを引き継がない場合(クライアント接続用のIPアドレスだけを引き継ぐ場合)

HiRDB/シングルサーバが使用するIPアドレスは引き継がないが,クライアント接続用のIPアドレスは引き継ぐ場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は1:1系切り替え構成とします。

●システム構成例

[図データ]

〔説明〕
  • hostA及びhostBはHiRDB/シングルサーバが使用するホスト名で,IPアドレスを引き継ぎません。

  • hostCはクライアント接続用のホスト名(エイリアスIPアドレス)で,IPアドレスを引き継ぎます。

    ポイント

    標準ホスト名を同じ(host1=host2)にすると,系の切り替わりをHiRDBが認識できません。したがって,標準ホスト名は異なる名称にしてください。

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA -c hostB

pdstart -x hostA

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

pd_hostname=host1

rloginするときに指定するホスト名

hostA又はhostB(実行系のホスト名を指定します)

運用コマンドに指定するホスト名

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

ユティリティに指定するホスト名

hostA(ホスト名を省略することをお勧めします)

メッセージに表示されるホスト名

hostA

統計情報に表示されるホスト名

hostA

クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに指定するホスト名

hostC

注※ ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

(2) HiRDB/パラレルサーバの場合

(a) IPアドレスを引き継ぐ場合

IPアドレスを引き継ぐ場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は相互系切り替え構成とします。

●システム構成例

[図データ]

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA -u UNT1

pdunit -x hostB -u UNT2

pdunit -x hostC -u UNT3

pdunit -x hostD -u UNT4

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

ユニット1

pd_hostname=host1

ユニット2

pd_hostname=host2

ユニット3

pd_hostname=host3

ユニット4

pd_hostname=host4

rloginするときに指定するホスト名

BES1があるサーバマシンにrloginする場合

hostC

BES2があるサーバマシンにrloginする場合

hostD

運用コマンドに指定するホスト名

BES1に対して運用コマンドを実行する場合

hostC

BES2に対して運用コマンドを実行する場合

hostD

ユティリティに指定するホスト名

BES1に対してユティリティを実行する場合

hostC

BES2に対してユティリティを実行する場合

hostD

メッセージに表示されるホスト名

BES1に対するメッセージの場合

hostC

BES2に対するメッセージの場合

hostD

統計情報に表示されるホスト名

BES1に対する統計情報の場合

hostC

BES2に対する統計情報の場合

hostD

次に示すクライアント環境定義に指定するホスト名

  • PDHOST

  • PDFESHOST

hostA

注※ ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

(b) IPアドレスを引き継がない場合

IPアドレスを引き継がない場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は相互系切り替え構成とします。

●システム構成例

[図データ]

ポイント

標準ホスト名を同じ(host1=host2,host3=host4)にすると,系の切り替わりをHiRDBが認識できません。したがって,標準ホスト名は異なる名称にしてください。

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA -u UNT1 -c hostAA

pdunit -x hostB -u UNT2 -c hostBB

pdunit -x hostC -u UNT3 -c hostCC

pdunit -x hostD -u UNT4 -c hostDD

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

ユニット1

pd_hostname=host1

ユニット2

pd_hostname=host2

ユニット3

pd_hostname=host3

ユニット4

pd_hostname=host4

rloginするときに指定するホスト名

BES1があるサーバマシンにrloginする場合

hostC又はhostD(実行系のホスト名を指定します)

BES2があるサーバマシンにrloginする場合

hostC又はhostD(実行系のホスト名を指定します)

運用コマンドに指定するホスト名※1

BES1に対して運用コマンドを実行する場合

hostC

BES2に対して運用コマンドを実行する場合

hostD

ユティリティに指定するホスト名

BES1に対してユティリティを実行する場合

hostC

BES2に対してユティリティを実行する場合

hostD

メッセージに表示されるホスト名

BES1に対するメッセージの場合

hostC

BES2に対するメッセージの場合

hostD

統計情報に表示されるホスト名

BES1に対する統計情報の場合

hostC

BES2に対する統計情報の場合

hostD

次に示すクライアント環境定義に指定するホスト名

  • PDHOST

  • PDFESHOST

hostA及びhostB※2

注※1

ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

注※2

システムマネジャのユニットがIPアドレスを引き継がない場合,クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。フロントエンドサーバのユニットがIPアドレスを引き継がない場合,クライアント環境定義のPDFESHOSTオペランドに現用系及び予備系のホスト名を指定してください。そうすれば,系が切り替わった後もPDHOST,PDFESHOSTオペランドの指定値を変更する必要はありません。ただし,実行系が現用系から予備系に切り替わると,UAPは一度現用系(待機系)に接続を試みて失敗した後に予備系(実行系)に接続するため,UAPの接続処理時間がその分だけ長くなります。この問題を解決するには,クライアント接続用のホスト名をエイリアスIPアドレスで設定し,そのIPアドレスを引き継ぐようにしてください。この場合のホスト名の指定方法については,「IPアドレスを引き継がない場合(クライアント接続用のIPアドレスだけを引き継ぐ場合)」を参照してください。

(c) IPアドレスを引き継がない場合(クライアント接続用のIPアドレスだけを引き継ぐ場合)

HiRDB/パラレルサーバが使用するIPアドレスは引き継がないが,クライアント接続用のIPアドレスは引き継ぐ場合のホスト名の運用方法(指定方法)を次に示します。システム構成は相互系切り替え構成とします。

●システム構成例

[図データ]

〔説明〕
  • hostAはユニット1(現用系)が使用するホスト名で,IPアドレスを引き継ぎません。hostAAはユニット1(待機系)が使用するホスト名です。

  • hostBはユニット2(現用系)が使用するホスト名で,IPアドレスを引き継ぎません。hostBBはユニット2(待機系)が使用するホスト名です。

  • hostCはユニット3(現用系)が使用するホスト名で,IPアドレスを引き継ぎません。hostCCはユニット3(待機系)が使用するホスト名です。

  • hostDはユニット4(現用系)が使用するホスト名で,IPアドレスを引き継ぎません。hostDDはユニット4(待機系)が使用するホスト名です。

  • hostX〜hostZはクライアント接続用のホスト名(エイリアスIPアドレス)で,IPアドレスを引き継ぎます。

    ポイント

    標準ホスト名を同じ(host1=host2,host3=host4)にすると,系の切り替わりをHiRDBが認識できません。したがって,標準ホスト名は異なる名称にしてください。

項目

指定するホスト名

システム共通定義に指定するホスト名

pdunit -x hostA -u UNT1 -c hostAA

pdunit -x hostB -u UNT2 -c hostBB

pdunit -x hostC -u UNT3 -c hostCC

pdunit -x hostD -u UNT4 -c hostDD

ユニット制御情報定義に指定するホスト名

ユニット1

pd_hostname=host1

ユニット2

pd_hostname=host2

ユニット3

pd_hostname=host3

ユニット4

pd_hostname=host4

rloginするときに指定するホスト名

BES1があるサーバマシンにrloginする場合

hostC又はhostD(実行系のホスト名を指定します)

BES2があるサーバマシンにrloginする場合

hostC又はhostD(実行系のホスト名を指定します)

運用コマンドに指定するホスト名

BES1に対して運用コマンドを実行する場合

hostC

BES2に対して運用コマンドを実行する場合

hostD

ユティリティに指定するホスト名

BES1に対してユティリティを実行する場合

hostC

BES2に対してユティリティを実行する場合

hostD

メッセージに表示されるホスト名

BES1に対するメッセージの場合

hostC

BES2に対するメッセージの場合

hostD

統計情報に表示されるホスト名

BES1に対する統計情報の場合

hostC

BES2に対する統計情報の場合

hostD

クライアント環境定義に指定するホスト名

PDHOST

hostZ

PDFESHOST

hostX又はhostY(接続するフロントエンドサーバのホスト名を指定します)

注※ ホスト名の代わりにユニット識別子が指定できます。

(3) クライアント環境定義の指定

スタンバイ型系切り替え機能の場合はクライアント環境定義の指定に注意が必要です。

(a) HiRDB/シングルサーバの場合

IPアドレスを引き継ぐ場合はクライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系のホスト名を指定してください。IPアドレスを引き継がない場合は現用系及び予備系の両方のホスト名を指定してください。

(b) HiRDB/パラレルサーバの場合

システムマネジャのユニットがIPアドレスを引き継ぐ場合は,クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに現用系のホスト名(システムマネジャのホスト名)を指定してください。IPアドレスを引き継がない場合は現用系及び予備系の両方のホスト名を指定してください。

フロントエンドサーバのユニットがIPアドレスを引き継ぐ場合は,PDFESHOSTオペランドに現用系のホスト名(フロントエンドサーバのホスト名)を指定してください。IPアドレスを引き継がない場合は現用系及び予備系の両方のホスト名を指定してください。PDHOST及びPDFESHOSTオペランドについては,マニュアル「HiRDB Version 9 UAP開発ガイド」を参照してください。

(4) HiRDBシステム定義及びクライアント環境定義のホスト名の指定例

ここでは,スタンバイ型系切り替え機能を使用するときのホスト名の指定例を説明します。

(a) IPアドレスを引き継ぐ場合

HiRDBシステム定義及びクライアント環境定義の指定例(ホスト名の指定例)を次に示します。

●システム共通定義

pdunit -x pkghost -u UNT1 -d /hirdb_x             1

●ユニット制御情報定義

set pd_hostname = mainhost                        2

●クライアント環境定義

export PDHOST = pkghost                           3
〔説明〕
  1. pdunitオペランドの-xオプションには再配置可能なIPアドレスのホスト名を指定します。

  2. pd_hostnameオペランドには現用系のホスト名を指定します。

  3. クライアント環境定義のPDHOSTオペランドに,再配置可能なIPアドレスのホスト名(HiRDB/パラレルサーバの場合はシステムマネジャのホスト名)を指定します。

    なお,マルチフロントエンドサーバの場合は,PDFESHOSTオペランドに再配置可能なIPアドレスのホスト名(フロントエンドサーバのホスト名)を指定します。

(b) IPアドレスを引き継がない場合

HiRDBシステム定義及びクライアント環境定義の指定例(ホスト名の指定例)を次に示します。

●システム共通定義

pdunit -x mainhost -u UNT1 -d /hirdb/pddir_s -c reservedhost      1

●ユニット制御情報定義

set pd_hostname = mainhost                                        2

●クライアント環境定義

export PDHOST = mainhost,reservedhost                             3
〔説明〕
  1. pdunitオペランドの-xオプションには現用系のホスト名を指定します。-cオプションには予備系のホスト名を指定します。

  2. pd_hostnameオペランドには現用系のホスト名を指定します。

  3. クライアント環境定義のPDHOSTオペランドには,現用系と予備系の両方のホスト名(HiRDB/パラレルサーバの場合はシステムマネジャのホスト名)を指定します。

    なお,マルチフロントエンドサーバの場合は,PDFESHOSTオペランドに現用系と予備系の両方のホスト名(フロントエンドサーバのホスト名)を指定します。