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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


15.8.2 RDエリアの自動増分を適用する場合の留意事項

RDエリアの自動増分を適用する場合の留意事項について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 増分セグメント数

一つの業務中に頻繁に自動増分が発生しないように増分セグメント数を決定してください。

(2) 自動増分の抑止

RDエリアの自動増分を適用していても,自動増分が抑止される場合があります。その要因と主な対処方法を次の表に示します。

表15‒6 RDエリアの自動増分が抑止される要因と主な対処方法

要因

主な対処方法

HiRDBファイルシステム領域を作成したディスクの容量不足が発生しました。

pd_rdarea_extension_file=allの場合,RDエリアの構成ファイルすべてが抑止状態となるまではRDエリアの自動増分は抑止されません。最終ファイルが抑止状態になると,RDエリアの自動増分が抑止されます。ただし,構成ファイルをすべて同じディスクに配置している場合は,自動増分できないまま最終ファイルまで切り替わるため,早急に対処を行ってください。

対処手順を次に示します。

  1. ディスクの容量を確認し,ディスクの増設などを行います。

  2. データベース再編成ユティリティ(pdrorgコマンド)で,表及びインデクスを再編成します。

  3. データベース構成変更ユティリティ(pdmodコマンド)のexpand rdarea文でRDエリアを拡張します。

  4. 自動増分を適用したRDエリアのHiRDBファイルシステム領域が通常ファイルの場合,HiRDB管理者及びルートユーザでのOSのシステム資源の制限値を,HiRDBファイルシステム領域のサイズより大きな値又は無制限にしてください。

HiRDBファイルシステム領域の最大増分回数(エクステント数の上限)を超えました。

pd_rdarea_extension_file=allの場合,RDエリアの構成ファイルすべてが抑止状態となるまではRDエリアの自動増分は抑止されません。最終ファイルが抑止状態になると,RDエリアの自動増分が抑止されます。ただし,構成ファイルをすべて同じHiRDBファイルシステム領域に配置している場合は,自動増分できないまま最終ファイルまで切り替わるため,早急に対処を行ってください。

対処手順は「HiRDBファイルシステム領域の増分回数が上限に達したときの対処方法」を参照してください。

HiRDBファイルの最大増分回数(エクステント数の上限)を超えました。

pd_rdarea_extension_file=allの場合,RDエリアの構成ファイルすべてが抑止状態となるまではRDエリアの自動増分は抑止されません。最終ファイルが抑止状態になると,RDエリアの自動増分が抑止されます。

対処手順は「HiRDBファイルの増分回数が上限に達したときの対処方法」を参照してください。

RDエリアの状態が,更新可能バックアップ閉塞状態又は更新可能バックアップ閉塞状態(WAITモード)になっています。

pdrelsコマンドでRDエリアの閉塞を解除してください。

RDエリアがインメモリ化されています。

インメモリデータバッファとRDエリアの同期を取ってからインメモリ化を解除してください。詳細については,マニュアル「HiRDB Version 9 バッチ高速化機能」を参照してください。

ユーザLOB用RDエリアの最終HiRDBファイルが更新凍結状態です。

対処手順を次に示します。

  1. データベース構成変更ユティリティ(pdmodコマンド)のexpand rdarea文でRDエリアを拡張します。

  2. pddbfrz -dコマンドを実行して,HiRDBファイルの更新凍結状態を解除します。

注※

RDエリアの状態が,更新可能バックアップ閉塞状態又は更新可能バックアップ閉塞状態(WAITモード)の場合,RDエリアの自動増分が抑止されます。そのため,これらの閉塞状態中に新規ページの確保が発生する大量データの追加又は更新業務の実行は避けてください。ただし,pd_rdarea_extension_timingオペランドにuseを指定している場合,更新可能バックアップ閉塞状態のため,RDエリアの自動増分が抑止されても,データ追加によるページ不足エラーになるまで,空きセグメント(増分セグメント数分)を利用できます。このため,pd_rdarea_extension_timingオペランドにnouseを指定している場合よりも業務への影響を軽減できます。

(3) 更新トランザクションの実行時間

RDエリアの自動増分中は,そのRDエリアの最終HiRDBファイルに対して排他が掛かります。そのため,自動増分中のRDエリアにある表やインデクスを更新(データ追加も含む)するトランザクションは待ち状態になります。また,自動増分時にHiRDBファイルシステム領域を初期化する設定(pd_rdarea_expand_formatオペランドにYを指定)をしている場合,初期化によるディスクへの入出力が発生するため,その分トランザクションの実行時間が長くなります。これらの原因によって,次に示す理由でトランザクションがキャンセルされることがあります。

そのため,次に示す項目を監視している場合は,RDエリアの構成情報(ページサイズ,セグメントサイズ,増分セグメント数),及びHiRDBファイルシステム領域を配置しているディスクの入出力性能から自動増分に掛かる処理時間を考慮して値を設定してください。

自動増分に掛かる処理時間の目安の見積もり式(単位:秒)を次に示します。

該当するRDエリアのページサイズ×(A×増分セグメント数+B)÷C

A:自動増分時にHiRDBファイルシステム領域を初期化する場合はセグメントサイズ,初期化しない場合は0

B:自動増分時に作成するディレクトリページ数

C:HiRDBファイルシステム領域を作成したディスクの入出力性能(1秒当たりの入出力バイト数)

(4) リアルタイムSANレプリケーションを使用している場合

リアルタイムSANレプリケーションでハイブリッド方式を適用している場合,RDエリアの自動増分が発生すると,リモートサイトへのデータベースの同期待ち合わせを行います。このため,1回の増分で2秒以上のオーバヘッドが掛かることがあります。