13.15.6 例題6 RDエリアを年月日単位に循環させて割り当てる場合(マトリクス分割の場合)
ハッシュ関数HASHZを使用したマトリクス分割表を定義して,KESSAI表に2011年7月31日〜9月1日の1か月+2日分のデータを保持している状態で,最も古い2011年7月31日のデータをRDエリア単位に削除し,新しい2011年9月2日のデータを格納する例を説明します。なお,ここでのマトリクス分割表は,次のように分割しているものとします。
-
第1次元は,SCODE列でキーレンジ分割する。第1次元の分割数は3とし,境界値として100及び200を指定する。
-
第2次元は,JDATE列でハッシュ分割する。第2次元の分割数は33とし,ハッシュ関数としてHASHZを指定する。
-
JDATE列のデータ型はCHAR(8)で,年月日を‘YYYYMMDD’の形式で格納する。
RDエリアを年月日単位に循環させて割り当てる場合(マトリクス分割の場合)の例を次の図に示します。
注1 RDエリア名の(m)は,分割条件指定順序を示しています。
注2 KESSAI表は,次のように定義されているものとします。
CREATE TABLE KESSAI (DNO CHAR(6), TCODE CHAR(5), SCODE CHAR(4) NOT NULL, JDATE CHAR(8) NOT NULL) PARTITIONED BY MULTIDIM (SCODE(('100'),('200')), FIX HASH HASHZ BY JDATE) IN ((RDA1,RDA2,RDA3,RDA4,RDA5,RDA6,RDA7,RDA8,RDA9,RDA10 ,RDA11,RDA12,RDA13,RDA14,RDA15,RDA16,RDA17,RDA18,RDA19,RDA20 ,RDA21,RDA22,RDA23,RDA24,RDA25,RDA26,RDA27,RDA28,RDA29,RDA30 ,RDA31,RDA32,RDA33),(RDA34,RDA35,RDA36,RDA37,RDA38,RDA39,RDA40 ,RDA41,RDA42,RDA43,RDA44,RDA45,RDA46,RDA47,RDA48,RDA49,RDA50 ,RDA51,RDA52,RDA53,RDA54,RDA55,RDA56,RDA57,RDA58,RDA59,RDA60 ,RDA61,RDA62,RDA63,RDA64,RDA65,RDA66),(RDA67,RDA68,RDA69,RDA70 ,RDA71,RDA72,RDA73,RDA74,RDA75,RDA76,RDA77,RDA78,RDA79,RDA80 ,RDA81,RDA82,RDA83,RDA84,RDA85,RDA86,RDA87,RDA88,RDA89,RDA90 ,RDA91,RDA92,RDA93,RDA94,RDA95,RDA96,RDA97,RDA98,RDA99));
- 〈この項の構成〉
(1) 削除対象の2011年7月31日のデータが格納されているRDエリア名を特定します
次のどちらかの方法でRDエリア名を特定します。
(a) 表分割ハッシュ関数p_rdb_dbhashを使用する方法
(i) 表分割ハッシュ関数の実行
HiRDBが提供する表分割ハッシュ関数を使用して,削除対象の2011年7月31日のデータが格納されているRDエリア名を特定します。表分割ハッシュ関数の引数を次に示します。なお,表分割ハッシュ関数については,マニュアル「HiRDB Version 9 UAP開発ガイド」を参照してください。
項番 |
引数 |
指定値 |
---|---|---|
1 |
hashcode(ハッシュ関数コード) |
p_rdb_HASHZ(99) |
2 |
ncol(分割キーの列数) |
1 |
3 |
collst(分割キーの指定順序とデータ型コード,データ長コード) |
データ型コード:PDSQL_CHAR データ長コード:8 |
4 |
dadlst(分割キーに格納するデータ) |
項番3のデータ型の値 |
5 |
ndiv(表の分割数) |
33 |
6 |
ncspace(HiRDBサーバで使用する各国文字の全角空白文字) |
ncspace[0]:0x81 ncspace[1]:0x40 |
7 |
flags(空白変換レベル,DECIMAL型の符号正規化機能の使用有無) |
0 |
8 |
rdno(分割条件指定順序,又は分割キー内通番) |
なし |
- 注
-
文字コード種別,空白変換レベル,及びDECIMAL型の符号正規化機能は,すべて省略しているものとします。
上記の表分割ハッシュ関数を実行すると,分割条件指定順序としてrdno=1が返ってきます。
(ii) SQLの実行
表分割ハッシュ関数の結果を基に,次のSQLを実行し,RDエリア名を特定します。
SELECT RDAREA_NAME,DCVALUES FROM MASTER.SQL_DIV_TABLE WHERE TABLE_SCHEMA='USER1' /* ユーザ名 */ AND TABLE_NAME='KESSAI' /* ハッシュ分割表名 */ AND MOD(DIV_NO-1,33)+1 = 1 /* RDエリア定義順序 */
上記のSQLを実行すると,次に示すように削除対象のRDエリア名としてRDA1,RDA34及びRDA67が返ってきます。
RDAREA_NAME DCVALUES※ ------------------------------ ---------------------- RDA1 100 RDA34 200 RDA67 *********************
- 注※
-
DCVALUES列も同時に検索することによって,RDエリアが第1次元のどの分割に対応するかの情報も得られます。
(b) CREATE PUBLIC FUNCTIONを定義しておく方法
(i) CREATE PUBLIC FUNCTIONの定義
ハッシュ関数HASHZの場合,次のSQLをあらかじめ定義しておくことでRDエリアを特定できます。
CREATE PUBLIC FUNCTION HASHZ (IDATE VARCHAR(8)※, /* ‘YYYYMMDD’ */ NDIV INT) /* 分割列数 */ RETURNS INT BEGIN RETURN MOD(DAYS(DATE(IDATE,'yyyymmdd'),NDIV)+1; /* HASHZによる戻り値 */ END END_FUNC;
- 注※
-
列のデータはCHAR(8)ですが,パラメタはVARCHARでなければ文字列定数を指定した呼び出しができません。
(ii) SQLの実行
次のSQLで,2011年7月31日のデータがどこに入っているのかを検索します。
SELECT RDAREA_NAME,DCVALUES FROM MASTER.SQL_DIV_TABLE WHERE TABLE_SCHEMA='USER1' /* ユーザ名 */ AND TABLE_NAME='KESSAI' /* ハッシュ分割表名 */ AND MOD(DIV_NO-1,33)+1=HASHZ('20110731',33) /* RDエリア定義順序 */
上記のSQLを実行すると,次に示すように削除対象のRDエリア名としてRDA1,RDA34及びRDA67が返ってきます。
RDAREA_NAME DCVALUES※ ------------------------------ ---------------------- RDA1 100 RDA34 200 RDA67 *********************
- 注※
-
DCVALUES列も同時に検索することによって,RDエリアが第1次元のどの分割に対応するかの情報も得られます。
(2) pdholdコマンドでアンロード対象RDエリアを閉塞します
pdhold -r RDA1 pdhold -r RDA34 pdhold -r RDA67
(3) pdrorgコマンドでKESSAI表のRDA1,RDA34及びRDA67のデータをアンロードします
pdrorg -k unld -t KESSAI -r RDA1 unload_control_file1
pdrorg -k unld -t KESSAI -r RDA34 unload_control_file34
pdrorg -k unld -t KESSAI -r RDA67 unload_control_file67
- 〔説明〕
-
-k:アンロードをするためunldを指定します。
-t:アンロードする表の名称を指定します。
-r:特定のRDエリアだけアンロードするため,対象となるRDエリア名を指定します。
unload_control_file:pdrorgコマンドの制御情報ファイル名を指定します。制御情報ファイルの内容を次に示します。
- <RDA1の場合>
unload bes1:/pdrorg/unload_file1 /* bes1:アンロードデータファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdrorg/unload_file1:アンロードデータファイルの名称 */
- <RDA34の場合>
unload bes1:/pdrorg/unload_file34 /* bes1:アンロードデータファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdrorg/unload_file34:アンロードデータファイルの名称 */
- <RDA67の場合>
unload bes1:/pdrorg/unload_file67 /* bes1:アンロードデータファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdrorg/unload_file67:アンロードデータファイルの名称 */
(4) pdloadコマンドでRDA1,RDA34及びRDA67に対して0件のデータロードをします
最も古い2011年7月31日のデータ(RDA1,RDA34及びRDA67のデータ)を削除するため,0件のデータロードを実行します。
pdload -d KESSAI load_control_file1
pdload -d KESSAI load_control_file34
pdload -d KESSAI load_control_file67
- 〔説明〕
-
-d:既存のデータを削除してからデータロードをするために指定します。
KESSAI:データロードする表の名称を指定します。
load_control_file:pdloadコマンドの制御情報ファイル名を指定します。制御情報ファイルの内容を次に示します。
- <RDA1の場合>
source RDA1 bes1:/pdload/load_file1 /* RDA1:0件のデータをデータロードするRDエリアの名称 */ /* bes1:ロードする0件データファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdload/load_file1:ロードする0件データファイルの名称 */
- <RDA34の場合>
source RDA34 bes1:/pdload/load_file34 /* RDA34:0件のデータをデータロードするRDエリアの名称 */ /* bes1:ロードする0件データファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdload/load_file34:ロードする0件データファイルの名称 */
- <RDA67の場合>
source RDA67 bes1:/pdload/load_file67 /* RDA67:0件のデータをデータロードするRDエリアの名称 */ /* bes1:ロードする0件データファイルがあるサーバの名称 */ /* /pdload/load_file67:ロードする0件データファイルの名称 */
分割表に,分割していない非分割インデクスを定義している場合,pdloadコマンド実行後に非分割インデクスを一括作成してください。
(5) pdrelsコマンドでRDエリアの閉塞を解除します
pdrels -r RDA1 pdrels -r RDA34 pdrels -r RDA67
コマンドの実行後,UAPなどで2011年9月2日のデータを挿入すると,RDA1,RDA34,RDA67にデータが格納されます。
なお,コマンドの実行後,実行結果が正しいかどうか確認することをお勧めします。コマンドの実行結果の確認方法については,マニュアル「HiRDB Version 9 コマンドリファレンス」を参照してください。