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ノンストップデータベース HiRDB Version 9 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


11.8.5 HiRDBに関する準備

HiRDBに関する準備作業を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用する

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を適用してください。影響分散スタンバイレス型系切り替え機能については,「系切り替え機能の運用」を参照してください。

(2) トランザクションキューイング機能の適用要否を選択する

トランザクションキューイング機能を適用するかどうかを選択してください。適用要否の目安を次に示します。トランザクションキューイング機能については,次の箇所を参照してください。

(a) トランザクションキューイング機能を適用する場合の処理方式

トランザクションキューイング機能を適用する場合の処理方式を次に示します。

処理方式
  1. バックエンドサーバの移動時,移動対象のバックエンドサーバに対する新規トランザクションの開始を保留します。

  2. 移動対象のバックエンドサーバで処理中のトランザクションの終了を待ち合わせます。移動対象のバックエンドサーバで処理中のトランザクションがなくなった時点でバックエンドサーバを移動します。

  3. 1で保留中のトランザクションを開始します。

なお,トランザクションのキューイング待ち時間をpd_ha_trn_queuing_wait_timeオペランドで指定できます。長時間実行するトランザクションがあるため,バックエンドサーバの終了に時間が掛かる場合,この時間を超えるとトランザクションのキューイングが解除されて,バックエンドサーバの移動を中止します。この場合,1で保留中のトランザクションは再開されます。

(b) トランザクションキューイング機能を適用しない場合の処理方式

新規トランザクションの開始保留,及び実行中トランザクションの終了待ち合わせをしないで,バックエンドサーバを移動します。

(c) トランザクションキューイング機能のメリット及びデメリット

トランザクションキューイング機能のメリット及びデメリットを次の表に示します。

表11‒1 トランザクションキューイング機能のメリット及びデメリット

トランザクション

キューイング機能

の適用可否

メリット

デメリット

適用する場合

バックエンドサーバ移動時のトランザクションエラーを回避できます(バックエンドサーバの開始に時間が掛かる場合を除く)。

  • バックエンドサーバの移動中にトランザクションが滞留します。

  • バックエンドサーバの移動に掛かる時間が適用しない場合に比べて長くなります。

  • 長時間実行するトランザクションがある場合,バックエンドサーバの移動を中止します。

適用しない場合

  • バックエンドサーバの移動中にトランザクションが滞留しません。

  • 長時間実行するトランザクションがある場合でも,バックエンドサーバを移動できます。

  • バックエンドサーバの移動に掛かる時間が適用する場合に比べて短くなります。

  • バックエンドサーバの移動時に実行中のトランザクションがエラーになります。

  • バックエンドサーバの移動時に開始したトランザクションがエラーになります。

参考

トランザクションキューイング機能は,障害発生時の系切り替えにも適用されるため,系切り替え機能の運用も考慮して検討してください。

(d) トランザクションキューイング機能の設定方法

トランザクションキューイング機能を適用する場合は,pd_ha_transactionオペランドにqueuingを指定してください。

また,次に示す時間の合計をトランザクションのキューイング待ち時間としてpd_ha_trn_queuing_wait_timeオペランドに指定してください。

  • バックエンドサーバの移動時に発生するトランザクションの最大滞留時間

  • バックエンドサーバの移動シナリオのサーバ強制終了(pdstop -s -f コマンド入力時:KFPS01843-Iメッセージ出力とほぼ同時と考えてよい)から,サーバ開始完了(KFPS01813-Iメッセージ出力)までの時間

トランザクションキューイング機能を適用しない場合は,pd_ha_transactionオペランドにerrorを指定するか,又はこのオペランドを省略してください。