6.2 HiRDBファイルシステム領域

表,インデクス,障害発生時にシステムの状態を回復させるのに必要な情報など,HiRDBの様々な情報を格納するためのHiRDB専用のファイルをHiRDBファイルといいます。また,HiRDBファイルを作成する領域のことをHiRDBファイルシステム領域といいます。HiRDBファイルシステム領域は,システムファイルやRDエリアなどを構成するHiRDB専用のファイルを作成する前に準備しておく必要があります。

<この節の構成>
(1) HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係
(2) HiRDBファイルシステム領域に使用するファイル
(3) HiRDBファイルシステム領域の種類
(4) HiRDBファイルシステム領域の作成方法
(5) ラージファイル

(1) HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係

OSが入出力処理をするディスクは連続領域ごとに分割され,それぞれの領域をパーティションといいます。それぞれのパーティションをOSが提供するファイルシステム領域又はHiRDBファイルシステム領域に使用できます。HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係を次の図に示します。

図6-1 HiRDBファイルシステム領域とOSが提供するファイルシステム領域の関係

[図データ]

(2) HiRDBファイルシステム領域に使用するファイル

HiRDBファイルシステム領域はキャラクタ型スペシャルファイル上又は通常ファイル上に作成できます。

通常ファイルは,カーネルバッファを経由してデータを入出力しますが,キャラクタ型スペシャルファイルは,HiRDBのバッファから直接データを入出力します。キャラクタ型スペシャルファイルの使用を基本と考えていますが,次に示す場合は通常ファイルの方が性能が優れています。

ただし,通常ファイルはシステムダウンに弱いため,次に示すファイルは必ずキャラクタ型スペシャルファイルに作成してください。

また,系切り替え機能を使用する場合,共有ディスク装置に作成するHiRDBファイルシステム領域にはキャラクタ型スペシャルファイルを使用してください。通常ファイルを使用すると,系切り替え発生時に更新内容が失われるおそれがあります。なお,キャラクタ型スペシャルファイルはプリフェッチ機能を使えるため,大量検索主体の表も高速に検索できます。

(3) HiRDBファイルシステム領域の種類

HiRDBファイルシステム領域は,次の表に示す種類ごとに作成することをお勧めします。各HiRDBファイルシステム領域の設計方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

表6-2 HiRDBファイルシステム領域の種類

HiRDBファイル
システム領域
の種類
オプション説明
RDエリア用DBRDエリア(リスト用RDエリアを除く)を作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。
共用RDエリア用SDB共用RDエリアを作成するHiRDBファイルシステム領域です。共用RDエリアを使用する場合に必要です。
システムファイル用SYSシステムログファイル,シンクポイントダンプファイル,及びステータスファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。
監査証跡ファイル用監査証跡ファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。セキュリティ監査機能を使用する場合に必要です。
作業表用ファイル用WORK作業表用ファイルを作成するHiRDBファイルシステム領域です。必須です。
ユティリティ用UTLユティリティで使用するファイル(バックアップファイル,アンロードデータファイル,アンロードログファイル,インデクス情報ファイル,又は差分バックアップ管理ファイル)を作成するHiRDBファイルシステム領域です。
リスト用RDエリア用WORKリスト用RDエリアを作成するHiRDBファイルシステム領域です。絞込み検索をするときに必要です。
注※
pdfmkfsコマンドでHiRDBファイルシステム領域を作成するときに指定する-kオプションの指定値です。
参考
Linux版でLVM上のキャラクタ型スペシャルファイルを使用する場合,Linux AS 4又はLinux ES 4以降が対象になります。

(4) HiRDBファイルシステム領域の作成方法

pdfmkfsコマンドでHiRDBファイルシステム領域を作成します。

参考
HiRDBの初期導入時,次に示す環境設定支援ツールを使用すると,入力した情報を基にHiRDBファイルシステム領域が作成されます。
  • 簡易セットアップツール

HiRDBファイルシステム領域の作成方法については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(5) ラージファイル

HiRDBファイルシステム領域の最大長は約2ギガバイトです。これを超えるHiRDBファイルシステム領域を作成する場合は,HiRDBファイルシステム領域をラージファイルとして作成する必要があります。ラージファイルとして作成すると,HiRDBファイルシステム領域の最大長が次の表のようになります。

表6-3 HiRDBファイルシステム領域の最大長

HiRDBの種類条件HiRDBファイルシステム領域の
最大長(単位:メガバイト)
HP-UX版ラージファイル未使用通常ファイル2,047
キャラクタ型スペシャルファイル
ラージファイル使用通常ファイル1,048,575
キャラクタ型スペシャルファイル
Solaris版ラージファイル未使用通常ファイル2,047
キャラクタ型スペシャルファイル
ラージファイル使用通常ファイル1,048,575
キャラクタ型スペシャルファイル
AIX版ラージファイル未使用通常ファイル2,047
キャラクタ型スペシャルファイル
ラージファイル使用通常ファイル(JFS)65,411
通常ファイル(JFS2)1,048,575
キャラクタ型スペシャルファイル
Linux版ラージファイル未使用通常ファイル2,047
キャラクタ型スペシャルファイル
ラージファイル使用通常ファイル1,048,575
キャラクタ型スペシャルファイル
ラージファイルの作成方法
ラージファイルを作成する方法は,通常のHiRDBファイルシステム領域の作成方法と変わりありません。pdfmkfsコマンドの-nオプションで,ラージファイルとするHiRDBファイルシステム領域のサイズ(2ギガバイト以上)を指定するだけです。ただし,ラージファイルを使用する場合はpd_large_file_useオペランドにYを指定,又は指定を省略する必要があります。