この章では，HiRDB/Developer's Kitを使用して，UAPを作成・実行する手順について説明しています。

HiRDBのUAP開発では，ソースプログラム中にSQLを直接記述できるという特長があります。これを，埋込み型UAPといいます。ここでは，HiRDBの埋込み型UAPをコンパイルして実行するまでの，一とおりの手順を理解していただくことを目的としています。なお，Java言語での埋込み型UAPには，静的埋込み型UAPである SQLJを使用します。

埋込み型UAPのほかに，HiRDBが提供するODBCドライバやJDBCドライバを使用する方法があります。ODBCドライバやJDBCドライバを使用したUAP開発については，マニュアル「HiRDB Version 7 UAP開発ガイド（UNIX(R)/Windows(R)用）」を参照してください。

注意

言語仕様や開発環境など，一般的なプログラミングの知識については，ここでは説明していません。また，HiRDBのプログラミングインターフェースについても説明していません。HiRDBのプログラミングインターフェースについては，マニュアル「HiRDB Version 7 UAP開発ガイド（UNIX(R)/Windows(R)用）」を参照してください。

HiRDBのUAPを作成するには，C言語，COBOL言語，またはJava言語を使用します。どれかの言語仕様を知っていると，よりスムーズにこの章を理解できます。

この章では手順を中心に説明していますので，言語仕様を知らない方でも，一とおりの作業ができるようになっています。ただし，アプリケーション開発環境のインストールやコンパイルの方法に関しては，該当製品のマニュアルを参照していただくことになります。

ここでは，HiRDB/クライアントでUAPを開発します。「6. クライアントを接続してみましょう」でクライアントの環境設定が終了していることが前提になります。

以降の節では，作成するUAPの仕様（7.2節）と，言語ごとのUAP作成方法（7.3節，7.4節，7.5節）を説明しています。UAPの作成方法に関しては，C言語を使用する方は「7.3 C言語でアプリケーションを作成する」を，COBOL言語を使用する方は「7.4 COBOL言語でアプリケーションを作成する」を，Java言語を使用する方は「7.5 Java言語（SQLJ）でアプリケーションを作成する」をお読みください。

HiRDBのUAPを作成する手順を，図7-1に示します。どのプログラム言語を使用した場合も，同様の手順でコンパイル・実行できます。

図7-1　UAP作成の流れ

UAPをコンパイルするには，コンパイラ（開発環境）が必要です。UAP開発には，表7-1の開発環境を使用できます。

表7-1　使用できる言語と開発環境

OS	言語	開発環境
HP-UX	C言語／C++言語	ANSI規格に準拠したC/C++コンパイラ
	COBOL言語	HP-UX11.0 COBOL85 Version 3.0以降 HP-UX11i COBOL85 Version 3.0 03-03-/A以降
	OOCOBOL言語	HP-UX11.0 OOCOBOL Version 3.0 03-01以降 HP-UX11i OOCOBOL Version 3.0 03-03以降
	Java言語	JDK 1.2.2-04以降
HI-UX/WE2	C言語／C++言語	ANSI規格に準拠したC/C++コンパイラ
	COBOL言語	COBOL85
	OOCOBOL言語	OOCOBOL
Solaris	C言語／C++言語	ANSI規格に準拠したC/C++コンパイラ
	COBOL言語	他社COBOL Solaris 2.6 COBOL85 Version 3.0 03-00以降 Solaris 7 COBOL85 Version 3.0 03-01以降 Solaris 8 COBOL85 Version 3.0 03-02以降 Solaris 9 COBOL85 Version 3.0 03-05-/A以降
	Java言語	JDK 1.3.0-01以降
AIX 5L	C言語／C++言語	ANSI規格に準拠したC/C++コンパイラ
	COBOL言語	AIX 5L V5.1 COBOL85 Version 3.0 03-03以降 AIX 5L V5.2 COBOL85 Version 3.0 03-05-/D以降
	OOCOBOL言語	OOCOBOL Version 3.0 03-03以降
	Java言語	JDK 1.3以降
Linux	C言語／C++言語	ANSI規格に準拠したC/C++コンパイラ，gcc，g++
	COBOL言語	COBOL85 Version 3.0 03-04以降
	Java言語	JDK 1.3.0-01以降

使用する言語に応じて開発環境を選択し，インストールしてください。インストールの方法に関しては，該当製品のマニュアルを参考にしてください。なお，このマニュアルでは次の開発環境を使用します。

• 最適化C（C言語の場合）
• COBOL85（COBOL言語の場合）
• JDK 1.4.0（Java言語の場合）

このマニュアルでは，CUI（Character User Interface）ベースのアプリケーションをコマンドでコンパイルする方法を紹介します。このため，開発環境のバージョンが異なる場合でも，同様の手順でコンパイルおよび実行できます。