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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 使用の手引 Windows(R)編


4.6.2 Oracleとの連携

ここでは,Oracleと連携するために必要な設定について説明します。

〈この項の構成〉

(1) Oracleの登録

OpenTP1システムにOracleを登録します。OpenTP1システムへのOracleの登録には,trnlnkrmコマンドを使用します。

Oracle Database 12cの場合のtrnlnkrmコマンドの実行例を次に示します。

trnlnkrm -a Oracle_XA -s xaosw -o oraxa12.lib

trnlnkrmコマンドについては,「7. 運用コマンド」を参照してください。また,trnlnkrmコマンドに指定する「RM名」,「RMスイッチ名」,「RM関連オブジェクト名」などについては,Oracleのマニュアルを参照してください。

trnlnkrmコマンドを実行する場合の注意事項を次に示します。

(2) 環境変数の設定

Oracleにアクセスするために,Oracleの環境変数に値を設定します。環境変数は,次に示すOpenTP1のシステム定義にputenv形式で設定します。

これらの定義例を次に示します。

putenv ORACLE_HOME c:\orant
putenv ORACLE_SID ORCL

OpenTP1のシステム定義については,「5. システム定義」を参照してください。設定が必要な環境変数名や設定値などについては,Oracleのインストール時の設定値や,Oracleのマニュアルを参照してください。

(3) トランザクションサービス定義の設定

トランザクションサービス定義のtrnstring定義コマンドで,リソースマネジャにアクセスするための情報を指定します。Oracleと連携する場合は,trnstring定義コマンドの-nオプション,-oオプション,-Oオプション,および必要に応じて-dオプションを指定してください。

-oオプション,および-Oオプションには,リソースマネジャへのアクセスに使用するxa_open関数用文字列を指定します。なお,xa_close関数用文字列(trnstring定義コマンドの-cオプション,および-Cオプションで指定)については,指定する必要はありません。

-oオプションで指定するトランザクションサービス用xa_open関数用文字列のuidには,次に示す権限を持つユーザを指定してください。

これらの権限がないユーザを指定した場合は,UAPの部分回復,およびOpenTP1システム再開始後のトランザクション回復処理が正常に行われないことがあります。Oracleのxa_open関数用文字列として指定する内容の詳細については,Oracleのマニュアルを参照してください。

トランザクションサービス定義の定義例を次に示します。

trnstring -n Oracle_XA \ 
-o "Oracle_XA+Acc=P/sys/change_on_install+SesTm=60" \
-O "Oracle_XA+Acc=P/scott/tiger+SesTm=60"

""で囲んだ文字列を継続行マーク(\)で区切って改行する場合は,次の行は必ず第1カラム目から記述し,スペースを開けないで文字列を続けてください。

注意事項

X/OpenのXAインタフェースを使用してOpenTP1からOracleにアクセスする場合に発生する障害の多くは,xa_open関数用文字列の定義誤りによって発生します。KFCA00901-Wメッセージが出力された場合には,xa_open関数用文字列の定義を見直してください。

(4) 複数のOracleにアクセスする場合の設定

OpenTP1から複数のOracleにアクセスする場合の設定について説明します。なお,複数のOracleのuidで一つのOracleにアクセスする場合も,複数のOracleにアクセスする場合と同様の設定をしてください。

  1. トランザクションサービス定義のtrnstring定義コマンドの-iオプションを定義して,「リソースマネジャ名称+リソースマネジャ拡張子」によって,複数のOracleを識別できるようにします。

  2. 1.で定義したリソースマネジャ拡張子を,ユーザサービス定義,またはユーザサービスデフォルト定義のtrnrmid定義コマンドの-iオプションで定義します。

    トランザクションサービス定義の定義例を次に示します。

    trnstring -n Oracle_XA -i s1 \
    -o "Oracle_XA+Acc=P/sys/change_on_install+SesTm=60" \
    -O "Oracle_XA+Acc=P/scott/tiger+SesTm=60"
    trnstring -n Oracle_XA -i s2 \
    -o "Oracle_XA+SqlNet=host01+Acc=P/sys/change_on_install+SesTm=60"\
    -O "Oracle_XA+SqlNet=host01+Acc=P/scott/tiger+SesTm=60"

    ユーザサービスデフォルト定義の定義例を次に示します。

    trnrmid -n Oracle_XA -i s1

    ユーザサービス定義の定義例を次に示します。

    trnrmid -n Oracle_XA -i s2

    trnrmid定義コマンドは,リソースマネジャ拡張子ごとに独立して定義が有効になります。したがって,ユーザサービスデフォルト定義にs1を,ユーザサービス定義にs2を指定した場合,ユーザサービス定義ではs1とs2の両方が有効になっています。

(5) UAPの翻訳と結合

OracleにアクセスするUAPを翻訳(コンパイル)および結合(リンケージ)する場合,trnmkobjコマンドで%DCDIR%\spool\trnrmcmd\userobj下に作成したトランザクション制御用オブジェクトをリンケージする必要があります。

コンパイルとリンケージの手順については,「3.2 UAPの翻訳と結合」,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成リファレンス」の該当する言語編,およびOracleのマニュアルを参照してください。trnmkobjコマンドについては,「7. 運用コマンド」を参照してください。

OracleにアクセスするUAP用トランザクション制御用オブジェクトの作成例を,C言語の場合とCOBOL言語の場合に分けて次に示します。

C言語の場合

trnmkobj -o rm_obj -r Oracle_XA

COBOL言語の場合

trnmkobj -o rm_obj -C "/Zl" -r Oracle_XA

(6) メイクファイルの例(C言語の場合)

C言語でSPPを作成する場合のメイクファイルの例を示します。

(a) ソースファイル名

メイクファイルの例中で使用するソースファイル名を次に示します。

  • C言語で作成したUAPのソースプログラム名:

    • exmain.c(メイン関数)

    • exsv1.c(サービス関数1)

    • exsv2.c(サービス関数2)

    • exproc.pc(pcファイル)

  • RPCインタフェース定義ファイル名:ex.def

(b) メイクファイルの例

メイクファイルの例を次に示します。

NODEBUG = 1
!include <ntwin32.mak>
#TP1TEST Make File
SYSLIB = $(conlibsdll)
TP1LIB = [libdam.lib]※1 [libtam.lib]※2 libbetran.lib
ORACLELIB = oraxa12.lib
 
all:TP1TEST.exe
#コンパイル 
exmain.obj:exmain.c
        $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c
exsv1.obj:exsv1.c
        $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c
exsv2.obj:exsv2.c 
        $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c
ex_sstb.obj:ex_sstb.c 
        $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c
exproc.obj:exproc.c 
        $(cc) $(cflags) $(cvarsdll) $*.c
#スタブソースファイルの作成
ex_sstb.c:ex.def
        $(DCDIR)\bin\stbmake $?
#プリコンパイルの実行
exproc.c:exproc.pc
        $(ORACLE_HOME)\bin\proc release_cursor=yes $?
#リンケージ
TP1TEST.exe: exmain.obj exsv1.obj exsv2.obj ex_sstb.obj exproc.obj
        $(link) $(conflags) -out:$*.exe $** \
        [$(DCDIR)\spool\trnrmcmd\userobj\rm_obj.obj \]※3
        $(TP1LIB) $(SYSLIB) $(ORACLELIB)
注※1

libdam.libは,TP1/FS/Direct Accessを使用する場合だけ指定してください。

注※2

libtam.libは,TP1/FS/Table Accessを使用する場合だけ指定してください。

注※3

TP1/FS/Direct AccessまたはTP1/FS/Table Accessを使用する場合には,trnmkobjコマンドでトランザクション制御用オブジェクトを作成するときに,「OpenTP1_DAM」または「OpenTP1_TAM」を追加してください。

(7) メイクファイルの例(COBOL言語の場合)

COBOL言語でSPPを作成する場合のメイクファイルの例を示します。

(a) ソースファイル名

メイクファイルの例中で使用するソースファイル名を次に示します。

  • COBOL2002で作成したUAPのソースプログラム名:main.cbl

  • COBOL2002で作成したUAPのサービスプログラム名:sev1.cbl

  • COBOL2002で作成したUAPのサービスプログラム名:sev2.cbl

  • pcoファイル名1:exprocb1.pco

  • pcoファイル名2:exprocb2.pco

  • RPCインタフェース定義ファイル名:ex.def

(b) メイクファイルの例

メイクファイルの例を次に示します。

!include <ntwin32.mak>
#TP1TEST Make File
CBLFG1 = -Compile,NoLink -Comp5 -Lib,CUI -SQL,ODBC -Main,System
CBLFG2 = -Compile,NoLink -Comp5 -Lib,CUI -SQL,ODBC
SYSLIB = $(conlibsdll)
TP1LIB = [libdam.lib]※1 [libtam.lib]※2 libbetran.lib
ORACLELIB = oraxa12.lib
CCBL = ccbl2002
LK = ccbl2002 -Lib,CUI
 
all:TP1TEST.exe
#コンパイル
main.obj:main.cbl
        $(CCBL) $(CBLFG1) main.cbl
sev1.obj:sev1.cbl
        $(CCBL) $(CBLFG2) sev1.cbl
sev2.obj:sev2.cbl
        $(CCBL) $(CBLFG2) sev2.cbl
exprocb1.obj:exprocb1.cbl
        $(CCBL) $(CBLFG2) exprocb1.cbl
exprocb2.obj:exprocb2.cbl
        $(CCBL) $(CBLFG2) exprocb2.cbl
ex_sstb.obj:ex_sstb.c
        $(cc) $(cflags) /Zl $(cvarsdll) $*.c
#スタブソースファイルの作成
ex_sstb.c:ex.def
        $(DCDIR)\bin\stbmake $?
#プリコンパイルの実行
exprocb1.cbl:exprocb1.pco
        $(ORACLE_HOME)\bin\procob release_cursor=yes $?
exprocb2.cbl:exprocb2.pco
        $(ORACLE_HOME)\bin\procob release_cursor=yes $?
#リンケージ
TP1TEST.exe: main.obj sev1.obj sev2.obj ex_sstb.obj \
             exprocb1.obj exprocb2.obj
        $(LK) -OutputFile $*.exe $** \
        [$(DCDIR)\spool\trnrmcmd\userobj\rm_obj.obj \]※3
        $(TP1LIB) $(SYSLIB) $(ORACLELIB)
注※1

libdam.libは,TP1/FS/Direct Accessを使用する場合だけ指定してください。

注※2

libtam.libは,TP1/FS/Table Accessを使用する場合だけ指定してください。

注※3

TP1/FS/Direct AccessまたはTP1/FS/Table Accessを使用する場合には,trnmkobjコマンドでトランザクション制御用オブジェクトを作成するときに,「OpenTP1_DAM」または「OpenTP1_TAM」を追加してください。

(8) Oracleとの連携時の注意事項