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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 運用と操作


付録E.3 レスポンス統計情報

〈この項の構成〉

(1) レスポンス統計情報の詳細

レスポンス統計情報の詳細を次の表に示します。

表E‒4 レスポンス統計情報の詳細

項目

詳細内容

RPC種別

ジャーナルを出力したノードから該当するサービスに対して呼び出したRPCの,種別ごとの呼び出し回数

レスポンスタイム※1

dc_rpc_callを呼び出してから応答電文を受け取るまでの時間。ただし,次に示すとおり,時間はフラグによって異なります。

DCNOFLAGS(同期応答型RPC):dc_rpc_callを呼び出してから応答電文を受け取るまでの時間

DCRPC_CHAINED(連鎖RPC):dc_rpc_callを呼び出してから応答電文を受け取るまでの時間

DCRPC_NOWAIT(非同期応答型RPC):dc_rpc_callを呼び出してから応答をout領域に書き込むまでの時間

DCRPC_NOREPLY(非応答型RPC):取得しません。

サービス実行時間※2

サービス関数の実行時間。非応答型RPCの場合は取得しません。

サービス待ち時間※2

スケジュールキューに要求が入ってから取り出されるまでの時間。非応答型RPCの場合は取得しません。

注※1

レスポンスタイムとは次の時間を表します。

レスポンスタイム=サービス実行時間+サービス待ち時間+通信時間

サービス実行時間とサービス待ち時間には,通信時間は含まれません。

注※2

MHPのサービス実行時間,およびサービス待ち時間は取得されません。

なお,レスポンス統計情報では,成功したRPCについてだけ回数を数えています。タイムアウトなどでエラーになったRPCについては回数に含みません。

(2) レスポンス統計情報の出力結果例

サービスの実行形態によって,レスポンス統計情報の出力結果が異なります。実行形態ごとの統計情報の例を次に示します。

(a) サービスの要求元とは別ノードにサービスがある場合

サービスの要求元とは別ノードにサービスがある場合の例を次の図に示します。

図E‒1 サービスの要求元とは別ノードにサービスがある場合の例

[図データ]

図E-1の各ホストで取得されたジャーナルを編集すると,ホストごとのレスポンス統計情報の出力結果は次のようになります。

●ホストAのジャーナルを編集した場合

[図データ]

注※1

図E-1のt10−t1の値が入ります。

注※2

図E-1のt9−t3の値が入ります。

注※3

図E-1のt3−t2の値が入ります。

出力項目について説明します。

RPC種別ごとの件数

ホストAからサービスグループAのサービスAに対して,同期応答型で1回呼び出したことを表しています。

レスポンスタイム

ホストAのSUPがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間です。

サービス実行時間

サービスグループAのサービスAが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

サービス待ち時間

ホストAのSUPからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

●ホストBのジャーナルを編集した場合

[図データ]

注※1

0が入ります。

注※2

図E-1のt9−t3の値が入ります。

注※3

図E-1のt3−t2の値が入ります。

注※4

図E-1のt8−t4の値が入ります。

注※5

図E-1のt7−t6の値が入ります。

注※6

図E-1のt6−t5の値が入ります。

出力項目について説明します。

サービスグループAのサービスA
RPC種別ごとの件数

ホストBからサービスグループAのサービスAを1回も呼び出していないことを表しています。

レスポンスタイム

ホストAのSUPがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間ですが,ホストBのジャーナルを編集しているため,この値は取得できません。そのため0が入ります。

サービス実行時間

サービスグループAのサービスAが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

サービス待ち時間

ホストAのSUPからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

サービスグループBのサービスB
RPC種別ごとの件数

ホストBからサービスグループBのサービスBに対して,同期応答型で1回呼び出したことを表しています。

レスポンスタイム

ホストBのSPP Aがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間です。

サービス実行時間

サービスグループBのサービスBが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

サービス待ち時間

ホストBのSPP Aからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

●ホストCのジャーナルを編集した場合

[図データ]

注※1

0が入ります。

注※2

図E-1のt7−t6の値が入ります。

注※3

図E-1のt6−t5の値が入ります。

出力項目について説明します。

RPC種別ごとの件数

ホストCからサービスグループBのサービスBを1回も呼び出していないことを表しています。

レスポンスタイム

ホストBのSPP Aがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間ですが,ホストCのジャーナルを編集しているため,この値は取得できません。そのため0が入ります。

サービス実行時間

サービスグループBのサービスBが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

サービス待ち時間

ホストBのSPP Aからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

各ホストのジャーナルと,ジャーナルから得られるレスポンス統計情報の関係は次のようになります。

  • ホストAのジャーナルを編集すると,ホストBで動作したSPP Aの統計情報を得られます。

  • ホストBのジャーナルを編集すると,ホストCで動作したSPP Bの統計情報を得られます。

  • ホストBのジャーナルを編集しても,SPP Aの統計情報は得られません。

  • ホストCのジャーナルを編集しても,SPP Bの統計情報は得られません。

(b) 自ノード内でサービスを実行する場合

自ノード内でサービスを実行する場合の例を次の図に示します。

図E‒2 自ノード内でサービスを実行する場合の例

[図データ]

図E-2のホストで取得されたジャーナルを編集すると,レスポンス統計情報の出力結果は次のようになります。

[図データ]

注※1

図E-2のt10−t1の値が入ります。

注※2

図E-2のt9−t3の値が入ります。

注※3

図E-2のt3−t2の値が入ります。

注※4

図E-2のt8−t4の値が入ります。

注※5

図E-2のt7−t6の値が入ります。

注※6

図E-2のt6−t5の値が入ります。

出力項目について説明します。

サービスグループAのサービスA
RPC種別ごとの件数

自ノードからサービスグループAのサービスAに対して,同期応答型で1回呼び出したことを表しています。

レスポンスタイム

SUPがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間です。

サービス実行時間

サービスグループAのサービスAが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

イベント回数は,SUP側とSPP A側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。

サービス待ち時間

SUPからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

イベント回数は,SUP側とSPP A側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。

サービスグループBのサービスB
RPC種別ごとの件数

自ノードからサービスグループBのサービスBに対して,同期応答型で1回呼び出したことを表しています。

レスポンスタイム

SPP Aがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間です。

サービス実行時間

サービスグループBのサービスBが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

イベント回数は,SPP A側とSPP B側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。

サービス待ち時間

SPP Aからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

イベント回数は,SPP A側とSPP B側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。

(c) クライアントから実行する場合

クライアントからサービスを実行する場合の例を次の図に示します。

図E‒3 クライアントからサービスを実行する場合の例

[図データ]

図E-3のホストで取得されたジャーナルを編集すると,レスポンス統計情報の出力結果は次のようになります。

[図データ]

注※1

0が入ります。

注※2

図E-3のt9−t3の値が入ります。

注※3

図E-3のt3−t2の値が入ります。

注※4

図E-3のt8−t4の値が入ります。

注※5

図E-3のt7−t6の値が入ります。

注※6

図E-3のt6−t5の値が入ります。

出力項目について説明します。

サービスグループAのサービスA
RPC種別ごとの件数

自ノードからサービスグループAのサービスAを1回も呼び出していないことを表しています。クライアントが同一ノード内であっても,クライアントはレスポンス統計情報を取得できないため,回数として数えられません。

レスポンスタイム

CUPがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間ですが,クライアントはレスポンス統計情報を取得できないため,この値は取得できません。そのため0が入ります。

サービス実行時間

サービスグループAのサービスAが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

サービス待ち時間

CUPからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

サービスグループBのサービスB
RPC種別ごとの件数

自ノードからサービスグループBのサービスBに対して,同期応答型で1回呼び出したことを表しています。

レスポンスタイム

SPP Aがdc_rpc_callを呼び出して応答を受け取るまでの時間です。

サービス実行時間

サービスグループBのサービスBが処理を開始してから,応答送信をするまでの時間です。ただし,応答送信をした際の通信時間は含まれません。

イベント回数は,SPP A側とSPP B側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。

サービス待ち時間

SPP Aからの要求が,スケジュールキューに入ってから取り出されるまでの時間です。

イベント回数は,SPP A側とSPP B側の両方にrpc_response_statistics=Yが指定されているため,2となっています。

平均値についても,(最大値+最小値)÷2の値となっています。