分散トランザクション処理機能 OpenTP1 システム定義

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システム環境定義

形式

set形式

 
〔set mode_conf=AUTO|MANUAL1|MANUAL2〕
〔set static_shmpool_size=静的共用メモリの総量〕
〔set dynamic_shmpool_size=動的共用メモリの最大使用時の総量〕
〔set shmpool_attribute=free|fixed〕
〔set user_command=ユーザ環境設定コマンド〕
〔set server_count=最大サーバ数〕
〔set user_server_ha=Y|N〕
〔set system_terminate_watch_time=システム終了監視時間〕
〔set start_scheduling_timing=BEFORE|AFTER〕
〔set system_init_watch_time=システム初期化の待ち時間〕
〔set user_command_online=システム開始完了コマンド〕
〔set preend_warning_watch_time=終了準備警告監視時間〕
〔set user_command_online_tp1mngr_id=Y|N

コマンド形式

なし。

putenv形式

 
〔putenv DCCONFPATH 定義ファイルの格納ディレクトリ〕
〔putenv DCADMDEBUG 0|1〕
〔putenv DCUAPCONFPATH ユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルの格納ディレクトリ〕
 

dcputenv形式

 
〔dcputenv DCCONFPATH 定義ファイルの格納ディレクトリ〕
〔dcputenv DCUAPCONFPATH ユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルの格納ディレクトリ〕
 

機能

OpenTP1システムの実行環境を定義します。

プロセスサービスがOpenTP1システム開始時にシステム環境定義を読み込みます。

システム環境定義を変更した場合,OpenTP1を正常終了してdcresetコマンドを実行してください。

説明

set形式のオペランド

mode_conf=AUTO|MANUAL1|MANUAL2

 〜《MANUAL2》

OpenTP1システムの開始方法を指定します。

AUTO
自動開始になります。
MANUAL1
手動開始になります。ただし,前回のOpenTP1システムが異常終了した場合は,自動的に再開始します。
MANUAL2
手動開始になります。

前回の終了モード(正常終了・強制正常終了・計画停止A・計画停止B・強制停止・異常終了)とここで指定する開始方法の組み合わせによって開始形態が決まります。

前回の終了モードと,mode_confオペランドの指定値の組み合わせによる開始形態の違いを,次に示します。

開始形態の決定条件 開始形態
前回の終了モード mode_confオペランドの指定値 開始方法 開始モード
正常終了 AUTO 手動1 正常開始
MANUAL1 手動
MANUAL2
強制正常終了 AUTO 手動1 正常開始
MANUAL1 手動
MANUAL2
計画停止A AUTO 手動1 再開始
MANUAL1 手動 再開始3
MANUAL2
計画停止B AUTO 手動1 再開始
MANUAL1 手動 再開始3
MANUAL2
強制停止 AUTO 手動1 再開始
MANUAL1 手動 再開始3
MANUAL2
異常終了 AUTO 自動 再開始
MANUAL1 自動2
MANUAL2 手動 再開始3
系切り替え構成の際のmode_confの指定内容については,マニュアル「OpenTP1 解説」の系切り替えの手順に関する記述を参照してください。
注※1
OS起動時は自動開始となります。
注※2
OS起動時は手動開始となります。
注※3
dcstart -nコマンドで強制的な正常開始もできます。ただし,強制的に正常開始すると,前回仕掛り中の情報は失われます。

static_shmpool_size=静的共用メモリの総量

 〜〈符号なし整数〉((0〜1945600))《4096》(単位:キロバイト)

OpenTP1システムで,システムサービスがシステム開始から終了までの間,占有する共用メモリ(以後,静的共用メモリといいます)の総量を指定します。

静的共用メモリの総量は,dynamic_shmpool_size指定値との合計が,1945600を超えないように指定する必要があります。

必要に応じて起動するシステムサービスがある場合は,その容量も含めて指定します。

なお,HP-UX版の32ビット版のOpenTP1を使用する場合,次の点に注意してください。

dynamic_shmpool_size=動的共用メモリの最大使用時の総量

 〜〈符号なし整数〉((0〜1945600))《4096》(単位:キロバイト)

OpenTP1システムで,システムサービスがワークエリアイメージで動的にアクセスする共用メモリ(以後,動的共用メモリといいます)の最大使用時の総量を指定します。

動的共用メモリの最大使用時の総量は,static_shmpool_size指定値との合計が,1945600を超えないように指定する必要があります。

必要に応じて起動するシステムサービスがある場合は,その容量も含めて指定します。

なお,HP-UX版の32ビット版のOpenTP1を使用する場合,上限値の1945600を1038336に読み替えてください。また,システム全体で使用できる共用メモリサイズに制限があります。詳細については,システム環境定義のstatic_shmpool_sizeオペランドの説明を参照してください。

shmpool_attribute=free|fixed

 〜《free》

OpenTP1システムでは,静的共用メモリと動的共用メモリを合わせて,システムサービス用共用メモリプールとして確保します。このシステムサービス用共用メモリプールをメモリ上に固定するかどうかを指定します。

free
システムサービス用共用メモリプールをメモリ上に固定しません。
実装するメモリ容量によっては,共用メモリのページングが発生するため,性能に悪影響を及ぼす場合があります。
fixed
システムサービス用共用メモリプールをメモリ上に固定します。
共用メモリのページングが発生しないため,共用メモリのアクセスによる性能への悪影響を防止できます。
ただし,実装するメモリ容量によっては,共用メモリ以外のテキストやデータセグメントなどのページングが頻繁に発生する場合があるため,実装するメモリや全使用容量に対する共用メモリプールの占める割合を検討してください。
fixedは,OSがHP-UXまたはSolarisの場合だけ指定できます。なお,Solarisの場合,ご使用の環境によってはfixedを指定できないことがあります。詳細については,「リリースノート」を参照してください。

user_command=ユーザ環境設定コマンド

 〜〈パス名〉

OpenTP1の開始処理の最初に,実行するユーザ環境設定コマンドをパス名で指定します。ユーザ環境設定コマンドを指定すると,共用メモリの確保やファイルの初期化など,UAP全体の環境をOpenTP1の開始処理の最初に設定できます。

user_commandオペランド,およびuser_command_onlineオペランドに指定されたコマンドの,実行タイミングを次に示します。

[図データ]

ユーザ環境設定コマンドの実行環境は次のとおりです。

server_count=最大サーバ数

 〜〈符号なし整数〉((32〜4096))《64》

同一マシン内でシステム終了までに起動するサーバ数を指定します。

サーバ数は,OpenTP1システムで動作する全システムサービス,およびdcsvstartコマンドで指定するユーザサーバの数の合計値を指定します。同一名称のユーザサーバを複数回起動しても1として数えます。マルチサーバの場合は,サーバ数1と見なします。

user_server_ha=Y|N

 〜《N》

系切り替え時,システムサーバの起動を待たないで,待機系のユーザサーバを起動するかどうかを指定します。

Y
システムサーバの起動を待たないで,ユーザサーバを起動します。
N
システムサーバの起動を待って,ユーザサーバを起動します。

system_terminate_watch_time=システム終了監視時間

 〜〈符号なし整数〉((0〜65535))《3600》(単位:秒)

dcstopコマンドでOpenTP1を終了する時の監視時間を指定します。指定した監視時間内にOpenTP1が終了しない場合は,OpenTP1は強制停止します。

0を指定した場合,終了時間は監視されません。

システムジャーナルサービス定義のjnl_auto_unloadオペランドにYを指定して自動アンロード機能を使用する場合は,アンロードに掛かる時間を考慮して,system_terminate_watch_timeオペランドの値を指定してください。

start_scheduling_timing=BEFORE|AFTER

 〜《AFTER》

システム開始時に,RPCの受け付けの開始時期を指定します。

BEFORE
全ユーザサーバの起動前に,RPCの受け付けを開始します。BEFOREを指定した場合,RPCがユーザサーバ未起動のためにエラーになることがあります。
AFTER
全ユーザサーバの起動後に,RPCの受け付けを開始します。AFTERを指定した場合,全ユーザサーバが起動されるまでRPCはエラーになります。

このオペランドにBEFOREを指定した場合,ユーザサービス定義,ユーザサービスデフォルト定義のhold_recoveryオペランドの指定に関係なく,システム全面回復時にユーザサーバの閉塞状態は引き継がれません。システム全面回復時にユーザサーバの閉塞状態を引き継ぐ場合は,スケジュールサービス定義のscd_hold_recoveryオペランドにFを指定してください。各オペランドの指定による閉塞状態の引き継ぎについては,スケジュールサービス定義のscd_hold_recoveryオペランドを参照してください。

system_init_watch_time=システム初期化の待ち時間

 〜〈符号なし整数〉((0〜65535))(単位:秒)

OpenTP1のシステム開始処理のうち,user_commandの実行を含めたシステム初期化処理(システムサービス開始前の初期化処理)の待ち時間の最大値を指定します。

0を指定した場合は,システム初期化処理が終わるまで無限に待ち続けます。

省略した場合は,システム共通定義のwatch_timeオペランドの値を仮定します。

user_command_online=システム開始完了コマンド

 〜〈パス名〉

OpenTP1が起動を完了するときに実行するシステム開始完了コマンドをパス名で指定します。システム開始完了コマンドを指定すると,dcstatsコマンドなどの再開始で引き継がれないプロセスをOpenTP1の起動が完了するときに起動できます。

dcstartコマンドは,システム開始完了コマンドの完了を待ち合わせます。非同期に実行することで,dcstartコマンドを先に進めたい場合は,コマンドの最後に'&'を付けてください。

user_command_onlineオペランドに指定したプログラムが環境変数を必要とする場合,シェルスクリプトファイルに,プログラムが必要とする環境変数を宣言しておき,そのシェルスクリプトファイルをuser_command_onlineオペランドに指定することをお勧めします。シェルスクリプトファイルに,プログラムが必要とする環境変数を宣言していないと,システム構成を変更するなどの要因で,環境変数が引き継がれなくなったとき,OpenTP1の動作に影響を及ぼすことがあります。

システム開始完了コマンドの実行環境を次に示します。

preend_warning_watch_time=終了準備警告監視時間

 〜〈符号なし整数〉((0〜65535))《180》(単位:秒)

dcstopコマンドの終了準備処理で警告メッセージKFCA01859-Wを出力するまでの時間を指定します。0を指定した場合は時間監視をしません。

user_command_online_tp1mngr_id=Y|N

 〜《N》

user_command_onlineオペランドに指定したシステム開始完了コマンドをOpenTP1管理者のUID/GIDで実行するかどうかを指定します。

Y
システム開始完了コマンドをOpenTP1管理者のUID/GIDで実行します。
N
システム開始完了コマンドのUID/GIDは,次に示すUID/GIDで実行されます。
  • OpenTP1管理者でdcstartコマンド実行した場合:OpenTP1管理者のUID/GID
  • 開始方法を自動開始で起動した場合:スーパユーザのUID/GID(0/0)
  • dcmstartコマンドで開始した場合:スーパユーザのUID/GID(0/0)
  • 待機系が系切り替えによって起動した場合:OpenTP1管理者のUID,スーパユーザのGID(0)
注※
開始方法を自動開始にする方法については,マニュアル「OpenTP1 運用と操作」を参照してください。

コマンド形式

なし。

putenv形式のオペランド

DCCONFPATH 定義ファイルの格納ディレクトリ

 〜〈パス名〉《$DCDIR/conf》

各定義ファイルが格納されているディレクトリの絶対パス名を246バイト以下で指定します。ただし,環境変数は指定できません。

標準とは別のディレクトリ下にある定義ファイルのディレクトリを変更するときなどに使用します。

ただし,システム環境定義ファイル'env'を格納するディレクトリは変更できません。DCCONFPATHを指定する場合でも,システム環境定義ファイル'env'だけは$DCDIR/confになければなりません。

DCADMDEBUG 0|1

 〜《0》

デバッグ情報を取得するかどうかを定義します。

OpenTP1ではUAPがダウンした場合,OpenTP1の障害情報を取得するためにnetstatコマンドを発行します。netstatコマンドはUAPが連続ダウンした場合には複数投入されるので,構成によってはCPUを使い過ぎてマシン負荷が大きくなることがあります。CPU利用率を抑えたいときは,このオペランドの指定を1にしてください。

0
サーバダウン時に取得するnetstatの情報を出力します。
1
サーバダウン時に取得するnetstatの情報を出力しません。

DCUAPCONFPATH ユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルの格納ディレクトリ

 〜〈パス名〉

特定のユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルだけを,DCCONFPATH環境変数で指定したディレクトリ以外のディレクトリに格納したい場合,そのディレクトリの絶対パス名を246バイト以下で指定します。ただし,環境変数は指定できません。

DCCONFPATH環境変数とDCUAPCONFPATH環境変数で指定したディレクトリの両方にユーザサービスデフォルト定義ファイルを格納していた場合,DCCONFPATH環境変数で指定したディレクトリに格納しているユーザサービスデフォルト定義が優先されます。

dcputenv形式のオペランド

DCCONFPATH 定義ファイルの格納ディレクトリ

 〜〈パス名〉

各定義ファイルが格納されているディレクトリの絶対パス名を指定します。環境変数を指定した場合,その値も取得します。指定するパス名は,環境変数の値も含め246バイト以下としてください。

標準とは別のディレクトリ下にある定義ファイルのディレクトリを変更するときなどに使用します。

DCUAPCONFPATH ユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルの格納ディレクトリ

 〜〈パス名〉

特定のユーザサービス定義ファイルまたはユーザサービスデフォルト定義ファイルだけを,DCCONFPATH環境変数で指定したディレクトリ以外のディレクトリに格納したい場合,そのディレクトリを絶対パス名で指定します。

ディレクトリ名に環境変数を指定した場合,その値も取得します。指定するパス名は,環境変数の値も含め246バイト以下としてください。

DCCONFPATH環境変数とDCUAPCONFPATH環境変数で指定したディレクトリの両方にユーザサービスデフォルト定義ファイルを格納していた場合,DCCONFPATH環境変数で指定したディレクトリに格納しているユーザサービスデフォルト定義が優先されます。

注意事項

従来どおり,ユーザサービス定義ファイルがDCCONFPATH環境変数に指定したディレクトリにある場合,そのディレクトリのユーザサービス定義ファイルが有効となります。

ログイン環境に,DCCONFPATH環境変数およびDCUAPCONFPATH環境変数を定義している場合は,ここで定義したものと同じ定義値にしてください。