6.4.9 クライアント側で発生した障害情報の取得
DocumentBrokerの運用中に障害が発生した場合,障害の種類を切り分けたり障害の原因を究明したりするために,トレースなどのトラブルシュート情報を取得する必要があります。
クライアント側で発生した障害に関する障害情報を取得するには,クライアント側の障害情報取得コマンド(EDMGetRasCL)を使用できます。このコマンドを使用すると,必要なトラブルシュート情報を指定したディレクトリに退避できます。
ここでは,クライアント側の障害情報取得コマンド(EDMGetRasCL)を実行して取得できる障害情報の種類,構成および取得情報のカスタマイズ方法について説明します。
Java クラスライブラリが出力するトレースファイルは取得の対象ではありません。
- <この項の構成>
- (1) 取得できる障害情報の種類
- (2) 障害情報が出力されるファイル
- (3) 取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)
(1) 取得できる障害情報の種類
クライアント側の障害情報取得コマンド(EDMGetRasCL)で取得できる障害情報について,次に示します。
なお,これらの情報のうち,どの情報を取得するかは,クライアント側の障害情報取得コマンド(EDMGetRasCL)実行時にオプションとして指定する収集種別によって指定できます。
- $_HIEDMS_FTPDIR/spool下の全ファイル
ファイル転送サービスの保守情報を取得できます。
このディレクトリ下のファイルは,環境変数「_HIEDMS_FTPDIR」が設定されている場合だけ取得できます。
- $_HIEDMS_FTPDIR/etc下の全ファイル
ファイル転送サービスのユーザ環境情報を取得できます。
このディレクトリ下のファイルは,環境変数「_HIEDMS_FTPDIR」が設定されている場合だけ取得できます。
- $_HIEDMS_FTPDIR/tmp下の全ファイル
ファイル転送サービスのテンポラリファイルを取得できます。
このディレクトリ下のファイルは,環境変数「_HIEDMS_FTPDIR」が設定されている場合だけ取得できます。
- クライアントおよびファイル転送サービスのトレースファイル
クライアントおよびファイル転送サービスのトレースファイルを取得できます。
取得するトレースファイルは,次の順序で検索されます。
- $_HIEDMS_TRACE_DIR
- $DOCBROKERDIR/spool
- /var/DocBroker/spool/client
- カレントディレクトリ
環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」を設定していない場合は,getrascustom.iniファイルに出力先を指定することをお勧めします。
- 詳細エラーログファイル
クライアントが出力する詳細エラーログファイルを取得できます。
環境変数「DBR_DETAIL_ERRORLOG_DIR」が設定されている場合だけ取得できます。文書空間で使用する文字コード種別がUTF-8の場合,環境変数「DBR_DETAIL_ERRORLOG_DIR」には,印刷可能なASCIIコードで値を設定してください。
- OS情報
次の情報を取得できます。
- uname -aコマンドの実行結果情報
- lslpp -lコマンドの実行結果情報(AIXの場合)
- rpm -q -a コマンドの実行結果情報(Linuxの場合)
- /etc/hostsファイル
- 環境情報
envコマンドによって出力される情報を取得できます。
- TPBrokerのトレース($VBROKER_ADM/../log下の全ファイル)
TPBrokerのトレース情報を取得できます。この情報は,TPBrokerの環境変数「VBROKER_ADM」が設定されている場合だけ取得できます。なお,この環境変数が設定されていない場合,取得できません。
- getrascustom.iniの[Path]セクションで指定されたファイル
getrascustom.iniの[Path]セクションで指定されたファイルを取得できます。
詳細については,「(3)取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)」を参照してください。
- DocumentBroker Development KitおよびDocumentBroker Runtimeのバージョン情報(DocBro_Version.txt)
DocumentBroker Development KitおよびDocumentBroker Runtimeのバージョン情報を取得できます。
(2) 障害情報が出力されるファイル
障害情報は,コマンド実行時にオプションとして指定した出力先ディレクトリ下に作成される,次のファイルに出力されます。
- EDMCL_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.tar.Z(AIXの場合)またはEDM_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.tar.gz (Linuxの場合)
取得した障害情報を圧縮したファイルです。
- EDMCL_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.txt
EDMGetRasCLコマンド内で発行されるOSのコマンドの実行結果を格納したファイルです。
ファイル名の文字列の意味は次のとおりです。
- <ホスト名>
- コマンドを実行したホスト名(最大64バイト)を表す文字列です。
- <YYYYMMDDhhmmss>
- コマンドを実行した時刻を表す文字列です。
- YYYY:西暦年号(4けた),MM:月(2けた),DD:日(2けた),hh:時(2けた),mm:分(2けた),ss:秒(2けた)で構成されます。
(3) 取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)
取得する障害情報の種類をカスタマイズする場合は,クライアントの障害情報取得カスタマイズファイル(getrascustom.ini)を編集します。このファイルは,次のディレクトリに格納されています。
- getrascustom.iniの格納ディレクトリ(クライアント側)
/opt/HiEDMS/client/etc
このファイルの記述内容については,サーバ側の障害情報の取得コマンドで使用するgetrascustom.iniと同じです。詳細については,「6.4.8(3) 取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)」を参照してください。
なお,クライアント側の障害情報の取得コマンド(EDMGetRasCL)で参照されるgetrascustom.iniを編集する場合,次の手順で編集してください。
- getrascustom.iniをローカルディレクトリにコピーします。
- コピーしたgetrascustom.iniを編集して保存します。
- 編集が完了したgetrascustom.iniを格納したディレクトリのフルパスを,環境変数「_HIEDMS_GETRAS_INI」として設定します。
文書空間で使用する文字コード種別がUTF-8の場合は,印刷可能なASCIIコードで値を設定してください。