付録C.1 HACMPによるクラスタリングシステムでの運用

DocumentBroker Serverは,HACMPを使用して,クラスタリングシステムで運用できます。

HACMPの詳細については,HACMPに関するマニュアルを参照してください。また,DocumentBroker Serverの前提プログラムおよび関連プログラムをクラスタリングシステム構成で運用する場合の詳細については,各プログラムのマニュアルを参照してください。

<この項の構成>
(1) システム構成例
(2) HACMPによるDocumentBroker Serverの運用
(3) HACMPによるクラスタリングシステムを使用する場合の環境設定の流れ
(4) DocumentBroker Serverの環境設定
(5) スクリプトの作成
(6) クラスタの定義
(7) リソースおよびリソース・グループの定義
(8) クラスタの検証
(9) クラスタサービスの起動
(10) 運用時の注意事項
(11) そのほかの注意事項

(1) システム構成例

HACMPを使用して,DocumentBroker Server環境をクラスタリングシステムで構成した例を,次の図に示します。

なお,以降,「付録C.1 HACMPによるクラスタリングシステムでの運用」内では,すべてこの構成例の内容を基に説明します。

図C-1 HACMPを使用したクラスタリングシステム構成例

[図データ]

HACMPを使用したクラスタリングシステム構成例でのクラスタ構成項目について,次の表に示します。

表C-1 クラスタ構成項目

項目
クラスタ名docbcluster
クラスタID1001
現用系ノードのIPアドレスとホスト名172.16.139.10 node1
現用系ノードのブートアドレスとエイリアス172.16.139.19 boot1
現用系ノードのスタンバイアドレスとエイリアス172.16.192.70 stby1
待機系ノードのIPアドレスとホスト名172.16.139.11 node2
待機系ノードのブートアドレスとエイリアス172.16.139.20 boot2
待機系ノードのスタンバイアドレスとエイリアス172.16.192.71 stby2
サービスアドレスとエイリアス172.16.139.16 svc
アプリケーション・サーバ名docbapsrv
共用ディスクのボリュームグループDocBrokerVG
リソース・グループ名docbresgrp
IPベース・ネットワークのネットワーク名netLAN1
非IPベース・ネットワークのネットワーク名netrs1

HACMPを使用したクラスタリングシステム構成例の特徴を次に示します。

(2) HACMPによるDocumentBroker Serverの運用

HACMPを使用したクラスタリングシステムによる運用では,HACMP環境にDocumentBroker ServerおよびHiRDBサーバを一つのアプリケーション・サーバとして登録します。HACMPを使用したクラスタリングシステムでDocumentBroker Serverを運用している場合,次に示す要因の系切り替えを設定できます。

なお,サーバ監視プロセスが消滅した場合だけ系を切り替える設定をするためには,アプリケーション・モニター機能を含んだHACMP/ESをインストールする必要があります。

注意
サービスプロセス(EDMService)が消滅した場合に系を切り替える設定をしないでください。サービスプロセスの消滅は,DocumentBroker Server自体が監視しているため,サービスプロセスが障害で消滅した場合はDocumentBroker Serverがサービスプロセスを再起動します。

(3) HACMPによるクラスタリングシステムを使用する場合の環境設定の流れ

HACMPによるクラスタリングシステムを使用する場合は,次の流れで環境設定を実行します。

環境設定を実行する前の準備
クラスタリング環境に必要な,共用ディスクの設定やネットワーク構成に関する設定をしてください。
  1. DocumentBroker Serverの環境設定をします。
  2. 始動スクリプト,停止スクリプトおよび監視スクリプトを作成します。
  3. クラスタを定義します。
  4. リソースおよびリソース・グループを定義します。
  5. クラスタを検証します。

(4) DocumentBroker Serverの環境設定

現用系ノードおよび待機系ノードのDocumentBroker Serverの環境を設定します。

(a) 注意事項

HACMPによるクラスタリングシステムを運用する場合は,次の点に注意して環境設定を実行してください。

DocumentBroker Serverの環境設定方法の詳細については,「3. 環境設定」を参照してください。前提プログラムおよび関連プログラムの環境設定方法については,それぞれのプログラムのマニュアルを参照してください。

(b) 現用系ノードでの環境設定

現用系ノードのDocumentBroker Serverの環境設定を実行する前に,共用ディスクのボリュームグループを活動化してください。共用ディスクのボリュームグループの活動化には,varyonvgコマンドを実行します。

環境設定は,通常の手順で実行してください。詳細については,「3. 環境設定」を参照してください。

環境設定が終了したら,待機系の環境設定に備えて,共用ディスクのボリュームグループを非活動化してください。共用ディスクのボリュームグループの非活動化には,varyoffvgコマンドを実行します。

(c) 待機系ノードでの環境設定

待機系ノードのDocumentBroker Serverの環境設定を実行する前に,共用ディスクのボリュームグループを活動化してください。共用ディスクのボリュームグループの活動化には,varyonvgコマンドを実行します。

待機系の環境設定は,現用系ノードの実行環境IDの値に応じて,次の手順で実行してください。

現用系ノードの実行環境IDが0の場合
  1. DocumentBroker Serverをインストールします。
  2. OSの環境設定をします。
  3. ユーザ管理機能を使用する場合の設定をします。
  4. 前提プログラムの環境設定をします。
  5. DocumentBroker Serverの実行環境を作成します。
  6. 現用系ノードのDocumentBroker Serverの実行環境のetcディレクトリ($DOCBROKERDIR/etc)下の内容(ファイルおよびディレクトリ)を,待機系のDocumentBroker Serverの実行環境のetcディレクトリ($DOCBROKERDIR/etc)にコピーします。
現用系ノードの実行環境IDが1~254の場合
  1. DocumentBroker Serverをインストールします。
  2. OSの環境設定をします。
  3. ユーザ管理機能を使用する場合の設定をします。
  4. 前提プログラムの環境設定をします。
  5. DocumentBroker Serverの実行環境を作成します。
  6. EDMPrintMeta -Fコマンド(メタ情報ファイルの出力)を実行します。
  7. EDMRegEnvId -r(DocumentBroker実行環境登録コマンド)を実行します。
    これによって,待機系ノードの実行環境を現用系ノードの実行環境とは異なる実行環境IDで登録されます。

環境設定が終了したら,共用ディスクのボリュームグループを非活動化してください。共用ディスクのボリュームグループの非活動化には,varyoffvgコマンドを実行します。

(5) スクリプトの作成

クラスタリングシステムを運用するためには,次のスクリプトを作成する必要があります。

これらのスクリプトを作成したら,現用系ノードおよび待機系ノードの次のディレクトリに格納してください。

スクリプトの格納先
DocumentBroker実行環境ディレクトリ/etc($DOCBROKERDIR/etc)下

ここでは,それぞれのスクリプトの作成手順と作成例を示します。作成例のスクリプトは,次の表に示す前提条件で作成されています。

表C-2 スクリプト作成例の前提

項目
始動スクリプトファイル名docb_start
停止スクリプトファイル名docb_stop
監視スクリプトファイル名docb_monitor
HiRDBサーバ実行環境ディレクトリ/home2/DocBroker/docbdb/HiRDB_P
DocumentBroker 実行環境ディレクトリ/home2/DocBroker/docbsv
SecureWay Directoryクライアントライブラリのパス/usr/lib
OSAGENT_PORT14555
osagent稼働ホストIPアドレス172.16.139.150
HiRDBサーバのホスト名(サービスアドレスを設定)svc
HiRDBサーバのポート番号20555
HiRDBサーバデータベースにアクセスするための
ユーザ名/パスワード
"root"/"root"

(a) 始動スクリプト(docb_start)

始動スクリプトは,次の順序で処理を実行するように作成してください。

  1. 各プログラムのディレクトリの設定
  2. TPBrokerが使用するポート番号とIPアドレスの設定
  3. HiRDBサーバ関連の環境変数の設定
  4. 環境変数PATHおよびLIBPATHの設定
  5. HiRDBサーバの起動
  6. DocumentBroker Serverの起動
  7. スクリプトを正常終了コード0でexit

始動スクリプトの作成例を次に示します。

始動スクリプトの作成例

#!/bin/sh

# 1. 各プログラムのディレクトリの設定
CPPDIR=/usr/vacpp
PDDIR=/home2/DocBroker/docbdb2/HiRDB_P
PDCONFPATH=${PDDIR}/conf
DOCBROKERDIR=/home2/DocBroker/docbsv
HICOMDIR=/opt/hitachi/common
TPDIR=/opt/TPBroker
DADIR=/opt/DABroker
PDCLDIR=/opt/HiRDB_P/client
export CPPDIR PDDIR PDCONFPATH DOCBROKERDIR HICOMDIR TPDIR DADIR PDCLDIR

# SecureWay Directory
# この項目はユーザ認証方式にLDAPを使用する場合に設定する
LDAPRTDIR=/usr/lib
export LDAPRTDIR
# 2. TPBrokerが使用するポート番号と
#     osagent稼働ホストIPアドレスの設定
OSAGENT_PORT=14555
OSAGENT_ADDR=172.16.139.150
export OSAGENT_PORT OSAGENT_ADDR

# 3. HiRDBサーバ関連の環境変数の設定
PDHOST=svc
PDNAMEPORT=20555
PDUSER='"root"/"root"'
export PDHOST PDNAMEPORT PDUSER

# 4. 環境変数PATHおよびLIBPATHの設定
#     ユーザ認証方式にLDAPを使用しない場合は
#     ${LDAPRTDIR}の設定は不要
PATH=${DOCBROKERDIR}/bin:${PDDIR}/bin:${PATH}
LIBPATH=${DOCBROKERDIR}/lib:${HICOMDIR}/lib:${TPDIR}/lib:${DADIR}/lib:${PDDIR}/lib:${PDCLDIR}/lib:${LDAPRTDIR}:${CPPDIR}/lib:${LIBPATH}
export PATH LIBPATH

# 5. HiRDBサーバの起動
$PDDIR/bin/pdstart

# 6. DocumentBroker Serverの起動
$DOCBROKERDIR/bin/EDMStart

# 7. 正常終了コード0でexit
 exit 0

(b) 停止スクリプト(docb_stop)

停止スクリプトは,次の順序で処理を実行するように作成してください。

  1. 各プログラムのディレクトリの設定
  2. TPBrokerが使用するポート番号とIPアドレスの設定
  3. HiRDBサーバ関連の環境変数の設定
  4. 環境変数PATHおよびLIBPATHの設定
  5. DocumentBroker Serverの停止
  6. HiRDBサーバの停止
  7. スクリプトを正常終了コード0でexit

停止スクリプトの作成例を次に示します。

停止スクリプトの作成例

#!/bin/sh

# 1. 各プログラムのディレクトリの設定
CPPDIR=/usr/vacpp
PDDIR=/home2/DocBroker/docbdb2/HiRDB_P
PDCONFPATH=${PDDIR}/conf
DOCBROKERDIR=/home2/DocBroker/docbsv
HICOMDIR=/opt/hitachi/common
TPDIR=/opt/TPBroker
DADIR=/opt/DABroker
PDCLDIR=/opt/HiRDB_P/client
export CPPDIR PDDIR PDCONFPATH DOCBROKERDIR HICOMDIR TPDIR DADIR PDCLDIR

# SecureWay Directory
# この項目はユーザ認証方式にLDAPを使用する場合に設定する
LDAPRTDIR=/usr/lib
export LDAPRTDIR
# 2. TPBrokerが使用するポート番号と
#     osagent稼働ホストIPアドレスの設定
OSAGENT_PORT=14555
OSAGENT_ADDR=172.16.139.150
export OSAGENT_PORT OSAGENT_ADDR

# 3. HiRDBサーバ関連の環境変数の設定
PDHOST=svc
PDNAMEPORT=20555
PDUSER='"root"/"root"'
export PDHOST PDNAMEPORT PDUSER

# 4. 環境変数PATHおよびLIBPATHの設定
# ユーザ認証方式にLDAPを使用しない場合は${LDAPRTDIR}の設定は不要
PATH=${DOCBROKERDIR}/bin:${PDDIR}/bin:${PATH}
LIBPATH=${DOCBROKERDIR}/lib:${HICOMDIR}/lib:${TPDIR}/lib:${DADIR}/lib:${PDDIR}/lib:${PDCLDIR}/lib:${LDAPRTDIR}:${CPPDIR}/lib:${LIBPATH}
export PATH LIBPATH

# 5. DocumentBroker Serverの停止
$DOCBROKERDIR/bin/EDMStop

# 6. HiRDBサーバの停止
$PDDIR/bin/pdstop -f -q

# 7. 正常終了コード0でexit
 exit 0

(c) 監視スクリプト(docb_monitor)

監視スクリプトは,次の順序で処理を実行するように作成してください。

  1. SIGTERM受け付け時にスクリプトを終了するように動作変更します。
  2. DocumentBroker実行環境ディレクトリを設定します。
  3. DocumentBroker実行環境ディレクトリから実行されたサーバ監視プロセス(EDMDaemon)が存在しているかを確認して,サーバ監視プロセスが消滅していたら0以外の終了コードでexitします。サーバ監視プロセスが存在していたら正常終了コード0でexitします。

監視スクリプトの作成例を次に示します。なお,ここでは,サーバ監視プロセス(EDMDaemon)が消滅していた場合の終了コードを255としています。

監視スクリプトの作成例

#!/bin/sh

# 1. SIGTERM受け付け時にスクリプトを終了するよう動作変更
trap exit SIGTERM

# 2. DocumentBroker実行環境ディレクトリの設定
DOCBROKERDIR=/home2/DocBroker/docbsv
export DOCBROKERDIR

# 3. DocumentBroker実行環境ディレクトリから実行された
#      EDMDaemonプロセスが存在しているかを確認して,
#      EDMDaemonプロセスが消滅していたら0以外の終了コード
#      (ここでは255)でexit。
#      存在していたら正常終了コード0でexit。
STATUS=`ps -ef | grep ${DOCBROKERDIR} | grep EDMDaemon | grep -v grep | wc -l`
if [ ${STATUS} -ne 1 ]
then
   exit 255
else
   exit 0
fi

(6) クラスタの定義

ここでは,DocumentBroker Serverをクラスタとして定義する方法について説明します。

クラスタは,smitコマンドを使用して定義します。smitコマンドについての詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

クラスタの定義は,現用系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,すべての手順を実行します。どちらかのノードで実行したあとで,定義の同期を取ることで,もう一方のノードに定義情報を反映します。

以降の説明では,現用系ノードで定義を実行して,定義終了後に待機系ノードの同期を取る手順について説明します。各手順内で,太字で示した個所は,入力または選択する必要がある項目です。なお,説明中の値は,図B-1のシステムの場合の指定値です。ご使用の環境に合わせて入力または選択してください。

なお,各手順で設定または選択する項目の詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

(a) クラスタ定義の追加(現用系ノードで実行)

DocumentBroker Serverをクラスタとして定義する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_cluster.add

    クラスタ定義を追加するための画面が表示されます。
  2. 「クラスターID」および「クラスター名」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    クラスターID[1001]
    クラスター名[docbcluster]
  3. ENTERキーを押します。
    クラスタ定義が追加されます。

(b) クラスタノードの追加(現用系ノードで実行)

クラスタ定義にノードを追加する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_nodes.add

    クラスタノードを追加するための画面が表示されます。
  2. 「ノード名」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    ノード名[node1 node2]
  3. ENTERキーを押します。
    クラスタノードが追加されます。

(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)

IPベース・ネットワークを追加する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_nets_add_net

    IPベース・ネットワークを追加するための画面が表示されます。
  2. 「ネットワーク名」,「ネットワークタイプ」,「サブネット」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    ネットワーク名[netLAN1]
    ネットワーク属性共用
    ネットワーク・タイプ[ether]
    サブネット[172.16.192.0/24 172.16.139.0/24]
  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・ネットワークが設定されます。

(d) 非IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)

非IPベース・ネットワークを追加する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit config_nets_add_nonip.cmdhdr

    非IPベース・ネットワークを追加するための画面が表示されます。
  2. 「ネットワーク名」と「ネットワークタイプ」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    ネットワーク名[netrs1]
    ネットワーク・タイプ[rs232]
  3. ENTERキーを押します。
    非IPベース・ネットワークが設定されます。

(e) IPベース・アダプターの追加(現用系ノードで実行)

IPベース・アダプターを追加します。ここでは,現用系ノードで実行します。

追加するアダプターは,ブートアダプター,スタンバイアダプターおよびサービスアダプターです。これらのアダプターを,現用系ノードおよび待機系ノードに対して追加します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。

    netLAN1   ( 172.16.192.0  172.16.139.0 )

  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターIPラベル」,「アダプターの機能」,「アダプターIPアドレス」,「ノード名」および「Netmask」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター IP ラベル[boot1]
    ネットワーク・タイプether
    ネットワーク名netLAN1
    アダプターの機能[ブート]
    アダプター IP アドレス[172.16.139.19]
    アダプターのハードウェア・アドレス[]
    ノード名[node1]
    Netmask[255.255.255.0]
  5. ENTERキーを押します。
    現用系ノードにブートアダプターが追加されます。
  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。

    netLAN1   ( 172.16.192.0  172.16.139.0 )

  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターIPラベル」,「アダプターの機能」,「アダプターIPアドレス」,「ノード名」および「Netmask」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター IP ラベル[boot2]
    ネットワーク・タイプether
    ネットワーク名netLAN1
    アダプターの機能[ブート]
    アダプター IP アドレス[172.16.139.20]
    アダプターのハードウェア・アドレス[]
    ノード名[node2]
    Netmask[255.255.255.0]
  5. ENTERキーを押します。
    待機系ノードにブートアダプターが追加されます。
  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。

    netLAN1   ( 172.16.192.0  172.16.139.0 )

  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターIPラベル」,「アダプターの機能」,「アダプターIPアドレス」,「ノード名」および「Netmask」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター IP ラベル[stby1]
    ネットワーク・タイプether
    ネットワーク名netLAN1
    アダプターの機能[スタンバイ]
    アダプター IP アドレス[172.16.192.70]
    アダプターのハードウェア・アドレス[]
    ノード名[node1]
    Netmask[255.255.255.0]
  5. ENTERキーを押します。
    現用系ノードにスタンバイアダプターが追加されます。
  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。

    netLAN1   ( 172.16.192.0  172.16.139.0 )

  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターIPラベル」,「アダプターの機能」,「アダプターIPアドレス」,「ノード名」および「Netmask」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター IP ラベル[stby2]
    ネットワーク・タイプether
    ネットワーク名netLAN1
    アダプターの機能[スタンバイ]
    アダプター IP アドレス[172.16.192.71]
    アダプターのハードウェア・アドレス[]
    ノード名[node2]
    Netmask[255.255.255.0]
  5. ENTERキーを押します。
    待機系ノードにスタンバイアダプターが追加されます。
  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(c) IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。

    netLAN1   ( 172.16.192.0  172.16.139.0 )

  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターIPラベル」,「アダプターIPアドレス」および「Netmask」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター IP ラベル[svc]
    ネットワーク・タイプether
    ネットワーク名netLAN1
    アダプターの機能[サービス]
    アダプター IP アドレス[172.16.139.16]
    アダプターのハードウェア・アドレス[]
    ノード名[]
    Netmask[255.255.255.0]
  5. ENTERキーを押します。
    サービスアダプターが追加されます。

(f) 非IPベース・アダプターの追加(現用系ノードで実行)

非IPベース・アダプターを追加します。ここでは,現用系ノードで実行します。

非IPベース・アダプターは,現用系ノードおよび待機系ノードに対して追加します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add_nonip.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(d) 非IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。
    netrs1
  3. ENTERキーを押します。
    非IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプター・ラベル」,「デバイス名」および「ノード名」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター・ラベル[serial1]
    ネットワーク・タイプrs232
    ネットワーク名netrs1
    デバイス名[/dev/tty2]
    ノード名[node1]
  5. ENTERキーを押します。
    現用系ノードにブートアダプターが追加されます。
  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_config_ads_add_nonip.select

    新規アダプターを追加するネットワークを選択するための画面が表示されます。
  2. アダプターを追加するネットワークを選択します。
    ここでは,「(d) 非IPベース・ネットワークの追加(現用系ノードで実行)」で追加したネットワークを選択します。
    次のネットワークを選択します。
    netrs1
  3. ENTERキーを押します。
    IPベース・アダプターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「アダプターラベル」,「デバイス名」および「ノード名」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アダプター・ラベル[serial2]
    ネットワーク・タイプrs232
    ネットワーク名netrs1
    デバイス名[/dev/tty2]
    ノード名[node2]
  5. ENTERキーを押します。
    待機系ノードに非IPベース・アダプターが追加されます。

(g) クラスタ・トポロジーの同期(現用系ノードで実行)

クラスタ・トポロジーを同期させて,現用系ノードと待機系ノードを同期させる方法について説明します。これによって,現用系ノードで実行した定義が待機系ノードに反映されます。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit configchk.dialog

    クラスタ・トポロジーを同期させるための画面が表示されます。
  2. クラスタ・トポロジーについて指定します。
    次のようになっていることを確認します。
    項目
    クラスター検証エラーを無視する[いいえ]
    エミュレートまたは実際[実際]
    クラスターの検証をスキップする[いいえ]
  3. ENTERキーを押します。
    クラスタ・トポロジーが同期されて,現用系ノードで定義した内容が待機系ノードに反映されます。

(7) リソースおよびリソース・グループの定義

ここでは,クラスタ内のリソースおよびリソース・グループを定義する方法を説明します。

リソースおよびリソース・グループは,smitコマンドを使用して定義します。smitコマンドについての詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

リソースおよびリソース・グループの定義は,現用系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,すべての手順を実行します。どちらかのノードで実行したあとで,定義の同期を取ることで,もう一方のノードに定義情報を反映します。

以降の説明では,現用系ノードで定義を実行して,定義終了後に待機系ノードの同期を取る手順について説明します。各手順内で,太字で示した個所は,入力または選択する必要がある項目です。なお,説明中の値は,図B-1のシステムの場合の指定値です。ご使用の環境に合わせて入力または選択してください。

各手順で設定または選択する項目の詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

(a) リソース・グループの追加(現用系ノードで実行)

DocumentBroker Server用のリソース・グループを追加する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_add_grp

    リソース・グループを追加するための画面が表示されます。
  2. 「リソース・グループ名」,「ノード関係」および「参加ノード名/デフォルト・ノード優先順位」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    リソース・グループ名[docbresgrp]
    ノード関係ローテート
    参加ノード名/デフォルト・ノード優先順位[node1 node2]
    注※
    「ローテート」または「カスケード」を選択してください。
  3. ENTERキーを押します。
    リソース・グループが追加されます。

(b) アプリケーション・サーバの追加(現用系ノードで実行)

DocumentBroker Serverを登録するアプリケーション・サーバを追加する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit claddserv.dialog

    アプリケーション・サーバを追加するための画面が表示されます。
  2. 「サーバ名」,「始動スクリプト」および「停止スクリプト」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    サーバ名[docbapsrv]
    始動スクリプト[/home2/DocBroker/docbsv/etc/docb_start]
    停止スクリプト[/home2/DocBroker/docbsv/etc/docb_stop]
  3. ENTERキーを押します。
    アプリケーション・サーバが追加されます。

(c) リソース・グループの属性変更(現用系ノードで実行)

DocumentBroker Server用に追加したリソース・グループの属性を変更する方法について説明します。ここでは,現用系ノードで実行します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit cm_cfg_res.select

    リソース・グループを選択するための画面が表示されます。
  2. リソース・グループを選択します。
    ここでは,「(a) リソース・グループの追加(現用系ノードで実行)」で追加したノードを選択します。
    次のリソース・グループを選択します。

    docbresgrp

  3. ENTERキーを押します。
    リソース・グループのリソースおよび属性の変更と,表示をするための画面が表示されます。
  4. 「サービスIPラベル」,「ボリューム・グループ」および「アプリケーションサーバ」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    リソース・グループ名docbresgrp
    ノード関係ローテート
    参加ノード名/デフォルト・ノード優先順位node1 node2
    動的ノード優先順位[]
    サービス IP ラベル[svc]
    ファイルシステム (デフォルトは「すべて」)[]
    ファイルシステムの整合性検査fsck
    ファイルシステムの回復メソッドシリアル
    エクスポートするファイルシステム/ディレクトリー[]
    NFS マウントするファイルシステム/ディレクトリー[]
    NFS マウント用ネットワーク[]
    ボリューム・グループ[DocBrokerVG]
    コンカレント・ボリューム・グループ[]
    ロー・ディスク PVID[]
    Connections サービス[]
    Fast Connect サービス[]
    テープ・リソース[]
    アプリケーション・サーバ[docbapsrv]
    高可用性通信リンク[]
    その他のデータ[]
    ボリューム・グループの自動インポートいいえ
    インアクティブ・テークオーバーをアクティブにするいいえ
    フォールバックなしカスケードを使用可能にするいいえ
    9333 ディスク・フェンシングをアクティブにするいいえ
    SSA ディスク・フェンシングをアクティブにするいいえ
    IP 構成の前にファイルシステムをマウントするいいえ

  5. ENTERキーを押します。
    リソース・グループの属性が変更されます。

(d) アプリケーション・サーバの追加(現用系ノードで実行)

DocumentBroker ServerのサービスをHACMPに監視させて,サービスがダウンした時にフェ-ルオーバさせるためのモニターを追加する方法について説明します。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit clappserv_to_custom_monitor.select

    モニターするアプリケーション・サーバを選択するための画面が表示されます。
  2. モニターするアプリケーション・サーバを選択します。
    ここでは,「(b)アプリケーション・サーバの追加(現用系ノードで実行)」で追加したアプリケーション・サーバを選択します。
    次のアプリケーション・サーバを選択します。

    docbapsrv

  3. ENTERキーを押します。
    ユーザ定義アプリケーション・モニターを追加するための画面が表示されます。
  4. 「モニター・メソッド」(監視スクリプト),「モニター間隔」,「モニターを停止するシグナル」,「安定化間隔」,「再始動カウント」,「再始動間隔」,「アプリケーション障害時のアクション」を指定します。
    次のように指定します。
    項目
    アプリケーション・サーバ名docbapsrv
    モニター・メソッド[/home2/DocBroker/docbsv/etc/docb_monitor]
    モニター間隔[30]※1
    モニターを停止するシグナル[15]※2
    安定化間隔[600]※3
    再始動カウント[0]※2
    再始動間隔[0]※2
    アプリケーション障害時のアクション[fallover]※2
    通知メソッド[]
    クリーンアップ・メソッド[/home2/DocBroker/docbsv/etc/docb_stop]
    再始動メソッド[/home2/DocBroker/docbsv/etc/docb_start]
    注※1
    「10」秒以上を指定してください。
    注※2
    必ずこの値を指定してください。
    注※3
    「60」秒以上を指定してください。
  5. ENTERキーを押します。
    アプリケーション・モニターが追加されます。

(e) クラスタ・リソースの同期化

クラスタ・リソースについて,現用系ノードと待機系ノードを同期させる方法について説明します。これによって,現用系ノード実行した定義が待機系ノードに反映されます。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit clsyncnode.dialog

    クラスタ・リソースを同期させるための画面が表示されます。
  2. クラスタ・リソースの同期化について指定します。
    次のようになっていることを確認します。
    項目
    クラスター検証エラーを無視する[いいえ]
    クラスター・リソースを構成/構成解除する[はい]
    エミュレートまたは実際[実際]
    クラスターの検証をスキップする[いいえ]
  3. ENTERキーを押します。
    クラスタ・リソースが同期されて,現用系ノードで定義した内容が待機系ノードに反映されます。

(8) クラスタの検証

クラスタのトポロジーとリソース構成を検証する方法について説明します。

クラスタは,smitコマンドを使用して検証します。smitコマンドについての詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

クラスタの検証は,現用系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,すべての手順を実行します。

ここでは,現用系ノードで定義を実行する手順について説明します。各手順内で,太字で示した個所は,入力または選択する必要がある項目です。なお,説明中の値は,図B-1のシステムの場合の指定値です。ご使用の環境に合わせて入力または選択してください。

各手順で設定または選択する項目の詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit clverify

    実行する項目を選択するための画面が表示されます。
  2. 「クラスターの検証」を選択します。
  3. ENTERキーを押します。
    クラスタを検証するための画面が表示されます。
  4. クラスタの検証方法について指定します。
    次のようになっていることを確認します。
    項目
    基本 HACMP 検証メソッド
    (トポロジー,リソース,両方,どちらでもない)
    両方
    ユーザー定義の検証メソッド[]
    エラー件数[]
    出力を保管するためのログ・ファイル[]
  5. ENTERキーを実行します。
    クラスタのトポロジーおよびリソースの構成の内容が検証されます。

(9) クラスタサービスの起動

ここでは,クラスタサービスの起動方法について説明します。クラスタサービスの起動では,現用系ノードおよび待機系ノードそれぞれのクラスタサービスを起動させて利用できるようにして,DocumentBroker Serverを開始します。

クラスタサービスは,smitコマンドを使用して始動します。smitコマンドについての詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

クラスタサービスの始動は,現用系ノードおよび待機系ノードの両方で実行します。なお,クラスタサービスを始動する前に,共用ディスクのボリュームグループを非活動化してください。

  1. 次の形式でsmitコマンドを実行します。

    smit clstart

    クラスタサービスを始動するための画面が表示されます。
  2. 始動方法を指定します。
    次のようになっていることを確認します。
    項目
    即時始動,システム再始動時に始動,または両方即時
    始動時にメッセージをブロードキャストするいいえ
    クラスター・ロック・サービスを始動するいいえ
    クラスター情報デーモンを始動するはい
    Reacquire resources after forced down ?いいえ

(10) 運用時の注意事項

ここでは,HACMPによるクラスタリングシステムを運用する場合の注意事項について説明します。

(a) 起動・終了の運用

HACMPによるクラスタリングシステムを運用する場合,DocumentBroker Serverを起動・終了は,HACMPを使用して実行してください。

クラスタサービスを使用してDocumentBroker Serverを起動した場合にEDMStopコマンドで終了しようとすると,システムが不正な状態になります。これは,サーバ監視プロセス(EDMDaemon)が消滅することで,DocumentBroker Serverを登録したアプリケーション・サーバに障害が発生したとHACMPにみなされるためです。

(b) 運用コマンド・統計解析ツール・トラブルシュートコマンドの運用

運用コマンド,統計解析ツールおよびトラブルシュートコマンドは,現用系ノードで実行してください。待機系ノードでは,これらのコマンドおよびツールは実行できません。

(c) 計画的な系切り替えの運用

計画的な系切り替えは,HACMPによって実行してください。詳細については,HACMPのマニュアルを参照してください。

(11) そのほかの注意事項

HiRDBのクライアントの環境変数PDISLLVLには,値を設定しないか,または「2」を設定してください。

HiRDBのクライアントの環境変数の詳細については,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。