ここでは,DocumentBrokerを使用したシステムの概略について説明します。
DocumentBrokerは,分散オブジェクト環境での文書管理基盤フレームワークとして,文書管理に関するさまざまな機能を提供します。これによって,用途に合わせた各種業務システムを構築できます。また,ORBによる既存システムと連携した業務システムを構築できます。
(1) DocumentBrokerのシステムの構成
DocumentBrokerで構築する文書管理システムは,DocumentBrokerサーバとDocumentBrokerクライアントで構成されます。DocumentBrokerのシステムの構成を次の図に示します。
図1-13 DocumentBrokerのシステムの構成
DocumentBrokerサーバは,文書の管理機能の実現に必要なオブジェクトと,DocumentBrokerのメモリ空間である文書空間を提供します。DocumentBrokerクライアントは,クライアントアプリケーションの開発環境と,作成したクライアントアプリケーションの実行環境を提供します。DocumentBrokerクライアントでは,業務に対応したクライアントアプリケーションを構築し,それを実行することでDocumentBrokerサーバの機能を利用します。クライアントアプリケーションを実行し,DocumentBrokerサーバの文書空間上でデータベースに格納されているオブジェクトを操作することで,文書の参照や更新などの文書管理が実現します。DocumentBrokerサーバとDocumentBrokerクライアント間のオブジェクトのやり取りはCORBA通信によって実現します。また,システムの運用形態に応じて使用する各種の関連プログラムも提供しています。
(2) DocumentBrokerクライアントのインターフェース
クライアントアプリケーションの開発には,DocumentBroker Development Kitを使用します。
DocumentBroker Development Kitは,C++言語とJava言語に対応したクライアントアプリケーション開発用のクラスライブラリ,およびクライアントの実行環境を提供しています。
C++言語対応のクラスライブラリ(C++ クラスライブラリ)では,C++環境で動作するクライアントアプリケーションを開発・実行できます。DocumentBrokerで提供する機能のうち,マルチファイル管理機能,FileLink連携機能は,C++ クラスライブラリで開発したクライアントアプリケーションでしか使用できません。
Java言語対応のクラスライブラリ(Java クラスライブラリ)では,Java環境で動作するクライアントアプリケーションを開発・実行できます。また,Java クラスライブラリを使用して開発したサンプルのWebアプリケーションも提供しているため,このサンプルを参考にして,業務に適合したクライアントアプリケーションを開発できます。
次に,DocumentBrokerを使用したシステムでの,DocumentBrokerサーバを構成するプログラムと,DocumentBrokerクライアントを構成するプログラムについて説明します。