1.2.5 文書の構成管理機能

実用書やマニュアルなどの出版物は,複数の章から構成されています。また,各章は,文字,図,表などから構成されています。出版物の章の構成が多くなって,各章を構成する文字,図,表などが多くなるほど,出版物の構成を保ちながら管理することが困難になっていきます。このような場合,DocumentBrokerは,出版物の構成を保ったままコンテナで管理できます。

構成管理機能では,管理している文書やコンテナの,ある時点でのバージョン構成の状態を管理します。例えば,管理する複数の文書が,それぞれ異なるタイミングでバージョンアップする場合などに,構成管理機能を使用します。各文書のバージョン管理によって,常に最新の状態の文書を管理したり,執筆が完了した文書のバージョンを固定して管理したりできます。さらに,ある時点でのコンテナ内のすべての文書を固定しておきたい場合は,コンテナ自体のバージョンを上げることで,コンテナをバージョン管理できます。

構成を管理するコンテナを,構成管理コンテナといいます。これに対して,構成を管理しないコンテナを,バージョンなしコンテナといいます。

構成管理コンテナは,それ自身のバージョンを保持するバージョン付き構成管理コンテナと,バージョンを保持しないバージョンなし構成管理コンテナに分けられます。

バージョン付き構成管理コンテナによる文書の管理例を次の図に示します。

図1-6 バージョン付き構成管理コンテナによる文書の管理例

[図データ]

この図では,二つの章で構成される文書の各章をバージョン付き文書として管理しています。そして,これらの複数の章を表すバージョン付き文書を「書籍A」というバージョン付き構成管理コンテナにまとめて関連づけて,発行時期で管理しています。

バージョン付き構成管理コンテナ「第1版」では,5月21日に発行した書籍Aの構成を管理しているため,1章,2章共にV1.0の状態(5月21日に発行した時点での構成)で固定して管理しています。一方,改訂作業のために,この書籍を構成する文書(1章および2章)を編集する場合は,毎日の作業履歴として文書のバージョンを管理しながら,改訂作業が終了するまで常に最新バージョンを一括して管理する必要があります。したがって,バージョン付き構成管理コンテナをバージョンアップして(第2版),常に最新のバージョンを参照するように設定します。

なお,バージョンなし構成管理コンテナは,それ自身のバージョンを保持しないで,ある時点での文書全体の構成だけを管理します。したがって,構成管理コンテナで管理されている文書全体を版(バージョン)として管理しない場合は,バージョンなし構成管理コンテナを利用できます。