DocumentBrokerサーバに接続するDocumentBrokerクライアントが異なるマシン上に存在する場合,DocumentBrokerサーバとDocumentBrokerクライアントの間のファイル転送には,ファイル転送機能を使用する必要があります。例えば,DocumentBrokerで管理している文書のファイルを異なるクライアントマシンに取得したり,異なるクライアントマシンに存在するファイルをDocumentBrokerの文書として登録したりする場合に,ファイル転送が発生します。
ファイル転送機能は,DocumentBrokerクライアントで開始したファイル転送サービスが提供しています。ただし,ファイル転送サービスを使用するには,DocumentBrokerクライアントでの環境設定が必要です。
(1) ファイル転送サービス開始モード
ファイル転送サービスには,次の二つの開始モードがあります。
(a) 静的モード
クライアントアプリケーションがファイル転送サービスを使用する前に,ファイル転送サービスをコマンドによって明示的に開始するモードです。
(b) 動的モード
クライアントアプリケーションで最初にファイル転送サービスを使用する時点で,ファイル転送サービスが自動的に開始されるモードです。
このモードは,クライアントアプリケーションを実行するときにプロセスが起動されるため,クライアントアプリケーションの処理時間が多く掛かります。
(2) ファイル転送サービスのプロセス構成
ファイル転送サービスのプロセス構成について,次の表に示します。なお,「(静的モードの場合)」とあるプロセスは,開始モードが静的モードの場合だけ使用するプロセスです。これらのプロセス間の通信には,メッセージキューを利用しています。
表3-9 ファイル転送サービスのプロセス構成
プロセス名 | 機能概要 |
---|---|
ファイル転送サービス開始 | ファイル転送サービスを開始する(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービス監視 | ファイル転送サービスを監視する(静的モードの場合)。 |
ファイル転送サービス | ファイル転送サービスを提供する。 |
ファイル転送サービス停止 | ファイル転送サービスを停止する(静的モードの場合)。 |
(a) ファイル転送サービス開始プロセス(静的モードの場合)
ファイル転送サービスを,静的モードで開始するプロセスです。
このプロセスは,静的モードのファイル転送サービス開始コマンド(FtpSvStart)を実行したときに生成され,ファイル転送サービス監視プロセスを起動します。そして,ファイル転送サービス監視プロセスから起動完了メッセージの応答を確認すると終了します。
(b) ファイル転送サービス監視プロセス(静的モードの場合)
静的モードで開始されたファイル転送サービスプロセスを管理するプロセスです。
静的モードのファイル転送サービス開始コマンド(FtpSvStart)で指定した数のファイル転送サービスプロセスを起動します。そのあと,ファイル転送サービスプロセスの動作状況を監視して,ファイル転送サービスプロセスが終了した場合は再起動します。さらに,ファイル転送サービスを使用するクライアントアプリケーションに対して,最適なファイル転送サービスプロセスを割り当てます。
このプロセスは,ファイル転送サービス開始プロセスによって生成されます。ファイル転送サービス開始制御プロセスからの終了要求メッセージを受信すると,ファイル転送サービスプロセスに終了要求メッセージを通知し,ファイル転送サービスプロセスの終了を確認すると停止します。
(c) ファイル転送サービスプロセス
ファイル転送サービスを提供するプロセスです。
このプロセスは,同時に複数実行できます。
(d) ファイル転送サービス停止プロセス(静的モードの場合)
静的モードで開始されたファイル転送サービスを停止するプロセスです。
このプロセスは,静的モードのファイル転送サービス停止コマンド(FtpSvStop)を実行したときに生成され,ファイル転送サービス監視プロセスに対して終了要求メッセージを送信します。ファイル転送サービス監視プロセスからの終了完了メッセージの応答を確認すると終了します。
(3) 静的モードと動的モードの違い
静的モードと動的モードの違いを,次の表に示します。
表3-10 静的モードと動的モードの違い
項目 | 静的モード | 動的モード |
---|---|---|
開始方法および停止方法 | 手動(コマンド)でファイル転送サービスを開始または停止する。 | クライアントアプリケーション実行時に自動的にファイル転送サービスが開始または停止される。 |
ファイル転送サービスプロセス割り当て単位 | 文書空間への接続単位 | クライアントアプリケーションプロセス単位 |
DocumentBrokerサーバのファイルにアクセスするときのアクセス権 | ファイル転送サービス開始実行ユーザのアクセス権 | クライアントアプリケーションプロセス実行ユーザのアクセス権 |
DocumentBrokerサーバから転送されるファイルの所有者 | ファイル転送サービス開始実行ユーザ | クライアントアプリケーションプロセス実行ユーザ |