文書の実体であるコンテント(Wordやテキストエディタなどのアプリケーションプログラムで作成された文書ファイル)と,その形式を表すレンディションタイプ(MIME形式)の情報をあわせて,レンディションといいます。
バージョンなし文書とバージョン付き文書には,1個または複数のレンディションを登録して管理できます。一つの文書に対して同じ内容を表す複数のレンディションを登録して管理する機能のことを,マルチレンディション管理機能といいます。また,複数のレンディションを登録した文書を特に,マルチレンディション文書といいます。マルチレンディション文書は,一つの文書の内容を,対応するアプリケーションごとの複数の形式に変換した場合などに使用できます。
マルチレンディション管理機能では,次の2種類のレンディションを区別して扱います。
なお,このマニュアルでは,2種類のレンディションを合わせて,レンディションと呼びます。レンディションの種類によって説明が異なる場合は,それぞれ「マスタレンディション」,「サブレンディション」と記述して区別します。
マルチレンディション文書の管理例を次の図に示します。
図1-3 マルチレンディション文書の管理例
この図では,マルチレンディション文書のコンテントとして,同じ内容を表す複数の形式のファイルを登録しています。文書を編集するユーザはWord形式のファイル,Wordがインストールされていないマシンで文書を参照するユーザはHTML形式のファイル,配布用の文書を取得したいユーザはPDF形式のファイルをそれぞれダウンロードできます。このように,マルチレンディション文書では,ユーザの目的やユーザが使用するマシンの環境などの利用形態に応じて,適切なレンディションを指定して文書を利用できます。
また,マルチレンディション管理機能とアクセス制御機能を組み合わせて,マルチレンディション文書を管理できます。例えば,Word形式のファイルとPDF形式のファイルを登録して,文書を更新できるユーザにはWord形式のファイルを参照させて,文書の参照だけできるユーザにはPDF形式のファイルを参照させるというように,ユーザに設定するアクセス権によって,ユーザが参照できるコンテントを限定するという運用が考えられます。アクセス制御機能については,「1.2.13 アクセス制御機能」を参照してください。