ここでは,DocumentBrokerのオブジェクト,クラスおよびプロパティの関係について説明します。
(1) DocumentBrokerオブジェクトとDMAオブジェクトの関係
DocumentBrokerでは,文書および文書を管理する仕組みをオブジェクトの概念で表現します。DocumentBrokerの文書空間上に存在する文書やコンテナなどのオブジェクト(DocumentBrokerオブジェクト)は,データベース上に実体が存在するオブジェクトです。
DocumentBrokerでは,DMAのオブジェクトモデルに基づいたオブジェクト(DMAオブジェクト)を使用して文書を管理しており,DocumentBrokerオブジェクトは,複数のDMAオブジェクトを包含した形で構成されます。
図2-1 DocumentBrokerオブジェクトとDMAオブジェクトの関係
このマニュアルでは,DocumentBrokerオブジェクトを構成するDMAオブジェクトのうち,最上位に当たるオブジェクトをトップオブジェクトといいます。
DMAオブジェクトには,文書として表現するためのオブジェクト,文書をまとめるコンテナの役目をするオブジェクト,文書のバージョンを管理するためのオブジェクトなどがあります。DocumentBrokerでは,文書管理の用途に応じて,複数のDMAオブジェクトを,文書やコンテナなどのまとまった一つのオブジェクトとして扱います。
(2) DocumentBrokerのクラスとDMAクラスの関係
DMAオブジェクトに対応するクラスがDMAクラスです。一つのDMAオブジェクトは,一つのDMAクラスを基に作成されます。DMAクラスには,文書を表すオブジェクトのクラス,コンテナを表すオブジェクトのクラスなどがあります。DocumentBrokerでは,DMAが規定する文書管理に必要なオブジェクトを作成するためのDMAクラス(クラス名がdmaClass_で始まるクラス)に加えて,拡張した機能を持つDMAクラス(クラス名がedmClass_で始まるクラス)を独自に提供しています。例えば,構成管理機能を持つDMAオブジェクトは,DocumentBrokerが拡張したDMAクラスを基に作成されます。
DocumentBrokerでは,文書管理に必要な複数のDMAクラスをまとめたクラスを提供しています。また,DocumentBroker Development Kitでは,文書管理に必要な操作をメソッドとして提供しています。DocumentBrokerのクラスを基にDocumentBrokerオブジェクトを作成することで,その機能を実現するために必要なDMAオブジェクトが作成され,メソッドを実行してDocumentBrokerオブジェクトを操作することで,その操作に必要なプロパティがDMAオブジェクトに設定されます。したがって,文書を表すDocumentBrokerオブジェクトを操作することで,文書を表すオブジェクト,文書の表現形式を管理するオブジェクト,文書のコンテントデータを管理するオブジェクトなどの複数のDMAオブジェクトを包含した,一つの文書が操作できます。
図2-2 DocumentBrokerでのオブジェクトの操作