6.4.8 サーバ側で発生した障害情報の取得
DocumentBrokerの運用中に障害が発生した場合,障害の種類を切り分けたり障害の原因を究明したりするために,トレースなどのトラブルシュート情報を取得する必要があります。
サーバ側で発生した障害に関する障害情報を取得するには,サーバ側の障害情報取得コマンド(EDMGetRas)を使用できます。このコマンドを使用すると,必要なトラブルシュート情報を,指定したディレクトリに退避できます。
ここでは,サーバ側の障害情報取得コマンド(EDMGetRas)を実行して取得できる情報の種類,構成および取得情報のカスタマイズ方法について説明します。
- <この項の構成>
- (1) 取得できる障害情報の種類
- (2) 障害情報が出力されるファイル
- (3) 取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)
(1) 取得できる障害情報の種類
サーバ側の障害情報取得コマンド(EDMGetRas)で取得できる障害情報について,次に示します。
なお,これらの情報のうち,どの情報を取得するかは,サーバ側の障害情報取得コマンド(EDMGetRas)実行時にオプションとして指定する収集種別によって指定できます。
- $DOCBROKERDIR/spool下の全ファイル
システム保守情報を取得できます。
- $DOCBROKERDIR/etc下の全ファイル
ユーザ環境情報を取得できます。
- $DOCBROKERDIR/tmp下の全ファイル
テンポラリファイルを取得できます。
- $_HIEDMS_TRACE_DIR下の全ファイル
トレースファイルを取得できます。
このディレクトリ下のファイルは,環境変数「_HIEDMS_TRACE_DIR」が設定されている場合だけ取得できます。なお,この環境変数が設定されていない場合,トレースファイルは,$DOCBROKERDIR/spool下に出力されています。
- 詳細エラーログファイル
クライアントが出力する詳細エラーログファイルを取得できます。
環境変数「DBR_DETAIL_ERRORLOG_DIR」が設定されている場合だけ取得できます。文書空間で使用する文字コード種別がUTF-8の場合,環境変数「DBR_DETAIL_ERRORLOG_DIR」には,印刷可能なASCIIコードで値を設定してください。
- OS情報
次の情報を取得できます。
- uname -aコマンドの実行結果情報
- lslpp -lコマンドの実行結果情報(AIXの場合)
- rpm -q -a コマンドの実行結果情報(Linuxの場合)
- /etc/hostsファイル
- 環境情報
envコマンドによって出力される情報を取得できます。
- TPBrokerのトレース($VBROKER_ADM/../log下の全ファイル)
TPBrokerのトレース情報を取得できます。この情報は,TPBrokerの環境変数「VBROKER_ADM」が設定されている場合だけ取得できます。なお,この環境変数が設定されていない場合,取得できません。
- getrascustom.iniの[Path]セクションで指定されたファイル
getrascustom.iniの[Path]セクションで指定されたファイルを取得できます。
詳細については,「(3)取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)」を参照してください。
- DocumentBroker Serverのバージョン情報(DocBro_Version.txt)
DocumentBroker Serverのバージョン情報を取得できます。
(2) 障害情報が出力されるファイル
障害情報は,コマンド実行時にオプションとして指定した出力先ディレクトリ下に作成される,次のファイルに出力されます。
- EDM_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.tar.Z(AIXの場合)またはEDM_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.tar.gz (Linuxの場合)
取得した障害情報を圧縮したファイルです。
- EDM_<ホスト名>_<YYYYMMDDhhmmss>.txt
EDMGetRasコマンド内で発行されるOSコマンドの実行結果を格納したファイルです。
ファイル名の文字列の意味は次のとおりです。
- <ホスト名>
- コマンドを実行したホスト名(最大64バイト)を表す文字列です。
- <YYYYMMDDhhmmss>
- コマンドを実行した時刻を表す文字列です。
- YYYY:西暦年号(4けた),MM:月(2けた),DD:日(2けた),hh:時(2けた),mm:分(2けた),ss:秒(2けた)で構成されます。
(3) 取得する障害情報のカスタマイズ(getrascustom.ini)
取得する障害情報の種類をカスタマイズする場合は,サーバの障害情報取得カスタマイズファイル(getrascustom.ini)を編集します。このファイルは,次のディレクトリに格納されています。
- getrascustom.iniの格納ディレクトリ(サーバ側)
実行環境ディレクトリ/etc
getrascustom.iniの構成について説明します。
同一名称のセクションを複数指定した場合,最初に指定したセクションが有効になります。また,指定できないセクションを指定した場合,その指定は無視されます。
なお,各エントリの値として指定できるエントリ値の長さは,1,023バイトまでです。「;」で始まる行はコメント行として扱われます。
- [Path]セクション
- コマンドで取得する情報以外に取得したい情報がある場合に指定します。
- 「エントリ名=フルパス」の形式で指定してください。エントリ名は,32バイト以内の文字列で指定してください。
- 指定したパスがファイルの場合は,そのファイルだけを収集します。ディレクトリの場合は,そのディレクトリを階層ごと収集します。
- [Path]セクションで指定した情報は,次のファイルに出力されます。
- getrascustom.iniの記述例
[Path]
syslog=/var/adm/syslog