2.1 適用業務の検討
DocumentBrokerは,基幹業務での文書管理システムの構築を支援します。この文書管理システムによって膨大な量の文書として蓄積されているデータを扱うことができるとともに,文書管理を基幹業務プロセスの一環として組み込むことで業務の効率を高めます。この節では,DocumentBrokerを使用した文書管理システムの導入時に検討していただきたいことについて説明します。
- 適用業務の分析
- 文書管理システムを適用する基幹業務の性質についての分析が必要です。検索機能を充実させたシステムが必要な業務か,手書きの書類を大量にデータとして登録する業務か,文書のライフサイクル管理が必要な業務か,異なる業務間の連携が必要な業務か,などといった基幹業務の性質について分析してください。
- 導入するプログラムの検討
- 適用業務の分析結果を基に,何を目的とした文書管理システムを構築するか,どの機能を使用するかを明確にして,その機能の実現に必要な前提プログラムおよび関連プログラムの導入について検討してください。
- DocumentBrokerの機能については,「1.2 DocumentBrokerの機能」を参照してください。また,XML文書管理機能とアクセス制御機能の詳細については,「2.5 XML文書管理機能を使用したシステム構築の検討」,または「2.6 アクセス制御機能を使用したシステム構築の検討」を参照してください。
- 機能の実現に必要なプログラムとシステム構成については,「1.3 DocumentBrokerのシステム構成」を参照してください。
- 動作環境や機能のサポート範囲などは製品ごとに異なります。各製品のマニュアルを参照してこれらの内容を十分に確認した上で,必要なプログラムを導入して,業務内容に最も適した機能を持つ文書管理システムを構築してください。
- 業務で扱う文書の分析
- 文書管理システムの導入時には,企業や組織の基幹的な業務で扱っている文書についての分析が必要です。これらの文書の種類は非常に多く,組織や部門ごとに異なった文書を扱っています。このため,現行の業務内容でそれぞれの文書が果たしている役割について,よく分析する必要があります。分析する場合の要点を次に示します。
- 文書の特性についての分析
管理する対象となる文書の作成と業務との関係について分析します。例えば,「文書の作成方法」については,「一つの文書は複数人で作成する」,「XMLで作成する」,「文書をバージョン管理する」などといったことを分析します。この場合,扱っている文書の目的,作成者と作成方法,文書の利用方法,文書と業務との関係,文書同士の関係などを分析する必要があります。
- 文書のライフサイクルについての分析
基幹業務で扱っている文書のライフサイクルを分析します。この場合,「作成中/審査中/承認済/公開中/更新中」といった業務での文書の状態や,状態ごとの「作成/レビュー/審査/承認/公開/改訂/破棄」のようなイベントの実施形式などについてそれぞれ分析する必要があります。
- 文書に付加する情報の検討
- 対象の文書の分析結果を基にして,管理する文書に付加する情報を検討します。この作業では,管理する文書を種類ごとに分類して,それぞれに必要な付加情報を検討します。例えば,製品の設計ドキュメントを管理する場合は,「設計者名」,「開発完了予定日」,「特許情報」などの情報をあわせて管理することを検討します。なお,DocumentBrokerでは,「文書」は「クラス」に相当し,「付加情報」は「プロパティ」に相当します。したがって,ここでは,管理する文書の種類ごとにサブクラスを作成するとともに,文書の種類ごとに必要な付加情報については,各サブクラスにプロパティを追加していきます。
- 文書の管理方法の検討
- DocumentBrokerでは,文書の管理方法によって,使用するオブジェクトが異なります。例えば,文書のバージョンを管理する場合はバージョン付き文書を,コンテナ機能を使用して文書をまとめて管理する場合はコンテナを,構成管理機能を利用して文書のバージョン構成を管理する場合は,構成管理コンテナを使用します。また,例えば,コンテナ機能を使用する場合は,コンテナに具体的でわかりやすい名称を付けるためのプロパティを追加することが考えられます。関連づけの種類ごとに,サブクラスを追加して,そのサブクラスを基にコンテナを作成していくような運用も考えられます。このように,文書の管理方法に合わせて,作成するオブジェクトについて検討し,管理方法に合わせたクラスおよびプロパティを効果的に定義する必要があります。
- 文書管理に使用するオブジェクトとオブジェクトの構成については,「2.2 文書管理に使用するオブジェクト」を参照してください。
- また,クラスおよびプロパティの追加については,「2.3 追加するクラスおよびプロパティの検討」を参照してください。
- 文書空間で使用する文字コード種別の分析
- 文書管理システムで使用する文字コード種別を分析し,文書空間で使用する文字コード種別を選択します。
- 文字コード種別は,文書の付加情報やファイル名に使用する文字コード種別に応じて,Shift-JISまたはUTF-8を選択してください。
- 文書空間で使用する文字コード種別の検討については,「2.4 文書空間で使用する文字コード種別の検討」を参照してください。