3.15 複数の実行環境を構築する場合の設定
この節では,複数の実行環境から,同一の文書空間にアクセスする場合の実行環境の構築方法について説明します。DocumentBrokerでは,使用ユーザ数や単位時間あたりのトランザクション数の増加などのシステム負荷を軽減するために,一つのデータベースに複数のDocumentBrokerサーバの実行環境を配置したシステム構成を構築できます。これによって,システム全体の負荷分散が実現できます。
- <この節の構成>
- (1) 新規に実行環境を構築する場合
- (2) 実行環境を変更する場合
- (3) 実行環境を削除する場合
(1) 新規に実行環境を構築する場合
複数の実行環境から同一文書空間にアクセスするために,新規に実行環境を構築する手順を次に示します。なお,次の手順では,接続する文書空間にアクセスする実行環境がすでに構築されていることが前提です。
- DocumentBrokerの実行環境作成コマンド(EDMSetup -m create)を実行して,新規にDocumentBrokerの実行環境を作成する。
なお,DocumentBrokerの実行環境の作成については,「3.6 DocumentBrokerの実行環境の作成」を参照してください。
- slocalreg.iniファイル,DocumentSpace構成定義ファイル,および実行環境ディレクトリ/etc/edms.iniを設定する。
このとき,同一文書空間として使用したい実行環境のDocumentSpace構成定義ファイルのSerialIdエントリと同じ値を,次のエントリに指定します。
- ServiceObjectIDエントリ(slocalreg.iniファイル)
- SerialIdエントリ(DocumentSpace構成定義ファイルの[Entry0001]セクション)
- dmaProp_DocSpaceIdエントリ(実行環境ディレクトリ/etc/edms.iniの[dmaClass_DocSpace]セクション)
また,DocumentSpace構成定義ファイルに定義されている次のエントリの値を変更してください。
- ErrFlagOfObjectOperationエントリ
- EnbFncFlagOfObjectOperationエントリ
変更後の値が,メタ情報初期設定コマンド(EDMInitMeta)を実行したDocumentBroker実行環境のDocumentSpace構成定義ファイルで指定されている値になるようにします。
DocumetSpace構成定義ファイルについては,「4.2 DocumentSpace構成定義ファイル(docspace.ini)」を参照してください。
- メタ情報ファイルの出力コマンド(EDMPrintMeta -F)を実行する。
- DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -r)を実行する。
これによって,新規に構築した実行環境から同一文書空間にアクセスできるようになります。
(2) 実行環境を変更する場合
別マシンへの実行環境の移動や,実行環境ディレクトリのパスの変更によって実行環境を変更する場合の手順を次に示します。
なお,変更する実行環境の実行環境識別子の値によって,手順が異なります。実行環境識別子は,DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -l)で確認してください。
- 変更後のDocumentBrokerの実行環境を作成する。
- 変更前の実行環境ディレクトリ/etcに格納されているファイルを,変更後の実行環境ディレクトリ/etcに移動する。
- 変更後の実行環境で,メタ情報ファイルの出力コマンド(EDMPrintMeta -F)を実行する。
- 実行環境識別子が1~254の場合,DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -u)を実行する。
実行環境識別子が「0」の場合,この作業は必要ありません。
- 変更前の実行環境で,実行環境の削除(EDMSetup -m delete)を実行する。
(3) 実行環境を削除する場合
実行環境を削除する手順を次に示します。
- DocumentBroker実行環境の情報の登録コマンド(EDMRegEnvId -d)を実行する。
ただし,削除しようとする実行環境で,すでにOIIDが割り当てられているオブジェクトが作成されていた場合,実行環境は削除できません。