4.5.3 HBAの交換

LUに対して複数の稼働状態のパスがある場合,交換するHBAを経由するパスだけを閉塞状態にして,そのほかのパスを使用してアクセスを続けることで,アプリケーションを運用したままHBAを交換できます。

HBAを交換する手順を次に示します。

  1. HDLM動作ODM設定ユティリティ(dlmodmset)を実行して,NPIVオプションの設定を確認します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmodmset -o

    実行結果の例を次に示します。

    Inquiry Log             : on
    Inquiry Log File Size   : 1000
                  :
                  :
    IO Statistics           : off
    NPIV Option             : off
    OS Error Log Output     : off

    NPIV Option」の行を確認してください。
  2. 交換するHBAを経由するパスをOffline(C)状態にします。
    手順1で確認したdlmodmsetユティリティのNPIVオプションの内容に応じて,次のコマンドを実行します。
    • NPIVオプションが「off」の場合
      HBAアダプタ番号とバス番号を指定して,次のコマンドを実行します。この実行例は,HBAアダプタ番号「01」,バス番号「02」のHBAを経由するパスをOffline(C)状態にする場合の例です。
      # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr offline -hba 01.02
    • NPIVオプションが「on」の場合
      fscsi番号を使用して,次のコマンドを実行します。この実行例は,fscsi番号「3」(fscsi3)を経由するパスをOffline(C)状態にする場合の例です。
      # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr offline -hba 00.03
  3. 次に示すコマンドを実行して,交換するHBAに関連するパスを削除します。
    交換するHBAのデバイス名(fscsiデバイス)を指定して削除します。nfscsiデバイスのインスタンス番号です。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmHBAdel fscsin

  4. ストレージシステム側にLUNセキュリティを設定している場合は,交換後のHBAのWWNをLUNセキュリティに追加します。
  5. 次に示すコマンドを実行します。

    # diag

  6. 表示されたメニューから[Task Selection]を選択します。
  7. [Hot Plug Task]を選択します。
  8. [PCI Hot Plug Manager]を選択します。
  9. PCIホット・プラグ・スロットリストを選択し,HBAを交換するPCIスロットを確認します。
    [図]
    網掛けの部分がHBAを交換するPCIスロットです。
  10. デバイスの構成解除を選択し,デバイス名に交換するデバイスを入力します。
    [図]
  11. PCIホット・プラグ・アダプタの交換/取り外しを選択します。
    交換するHBAを選択します。
  12. 次のメッセージが表示されたらHBAを交換します。
    [図]
    HBAの交換が完了したら,ケーブルを接続して,Enterキーを入力します。
  13. 次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。

    # cfgmgr -l fcsn

    HBAを交換したPCIスロットのデバイス名(fcsデバイス)を指定して再構成します。nfcsデバイスのインスタンス番号です。
  14. HDLM構成管理ユティリティ(dlmcfgmgr)を実行して,HDLMデバイスを構成します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmcfgmgr

  15. ストレージシステム側にLUNセキュリティを設定している場合は,交換前のHBAのWWNをLUNセキュリティから削除します。
  16. 次のコマンドを実行して,パス情報を確認します。

    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path

    パス情報の詳細については,「6.7 view 情報を表示する」を参照してください。
注意事項
上記の手順に従わないで,次の条件をすべて満たす状態でHBAをすべて交換した場合,ホスト再起動後にボリュームグループが活動化できなくなります。
  • 交換するHBAを経由するパスを管理対象とするHDLMデバイスで構成するボリュームグループを活動化したまま,ホストをシャットダウンした。
  • HDLMのリザーブレベルがON(2)に設定されている。
  • LU単位リザーブ機能で,HDLMデバイスのdlmrsvlevel属性がsystemに設定されている。
    注※
    一部のHBAを交換した場合は,ホスト再起動後にボリュームグループが活動化されて,交換後のHBAを経由するパスのSCSIデバイスが追加されます。ただし,交換前のHBAを経由するパスのSCSIデバイスが定義済み状態で残るため,必要に応じて削除してください。
ボリュームグループを活動化するためには,次の操作を実行してください。
  1. ストレージシステム側にLUNセキュリティを設定している場合は,交換後のHBAのWWNをLUNセキュリティに追加します。
  2. ホストを起動します。
  3. 次のコマンドを実行して,交換前のHBAを経由するHDLMデバイスを削除します。
    # rmdev -dl dlmfdrvn
    nはHDLMデバイスのインスタンス番号です。
  4. ストレージシステム側にLUNセキュリティを設定している場合は,交換前のHBAのWWNをLUNセキュリティから削除します。
  5. 次のコマンドを実行して,デバイスを再構成します。
    # cfgmgr -l fcsn
    HBAを交換したPCIスロットのデバイス名(fcsデバイス)を指定して再構成します。nfcsデバイスのインスタンス番号です。
  6. HDLM構成管理ユティリティ(dlmcfgmgr)を実行して,HDLMデバイスを再構成します。
    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmcfgmgr
  7. 次のコマンドを実行して,パス情報を確認します。
    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr view -path
    パス情報の詳細については,「6.7 view 情報を表示する」を参照してください。
  8. HDLMパーシステントリザーブ解除ユティリティ(dlmpr)を実行して,該当するボリュームグループを構成するLUのリザーブを解除します。
    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmpr -c hdiskn hdiskn ...
  9. HDLMボリュームグループ操作ユティリティ(dlmvaryonvg)を実行して,該当するボリュームグループを活動化します。
    # /usr/DynamicLinkManager/bin/dlmvaryonvg ボリュームグループ名