2.4.6 ポート構成

通信相手が同一のクラスタグループ内のサーバであるかどうかによって,ポート構成が異なります。ここでは,同一のクラスタグループ内のサーバと通信する場合,および同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合について,ポート構成例を説明します。

<この項の構成>
(1) 同一のクラスタグループ内のサーバと通信する場合の構成
(2) 同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合の構成
(3) マルチキャストループバック受信(同一のクラスタグループ内での自マシンに対するマルチキャスト送信)有無

(1) 同一のクラスタグループ内のサーバと通信する場合の構成

クラスタグループ内の各サーバには,クラスタグループ定義のclgrpdef定義コマンドを定義する必要があります。クラスタグループ定義では,同一のクラスタグループ内での通信で使用するポート番号,マルチキャストアドレス,送信UDPグループなどを指定します。各サーバのクラスタグループ定義は,次の項目を除いて同じ値を指定します。

同一のクラスタグループ内で通信する場合の定義例を次の図に示します。

図2-28 同一のクラスタグループ内で通信する場合の定義例

[図データ]

説明
送信側プロセスでは,次のように定義します。
  • UDPグループ情報関連定義のmyudpsnddef定義コマンドに,送信UDPグループAとして扱うポート番号,10001,10002,および10003を指定します。
  • UDPグループ情報関連定義のclgrpdef定義コマンドの送信UDPグループ名に,送信UDPグループAを指定します。また,受信用ポートのポート番号として10004を指定します。
受信側プロセスでは,次のように定義します。
  • clgrpdef定義コマンドで受信用のポート番号として10004を指定します。

(2) 同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合の構成

同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合(例えば,HAサーバとCLサーバ間,CLサーバと別のCLサーバ間での通信)は,通信先情報をあて先UDPグループ(受信側プロセスにとっての受信UDPグループ)として,eeudpdef定義コマンドで定義します。

あて先UDPグループを定義する場合,該当するあて先グループへのメッセージ送信に使用する送信UDPグループ,および該当するあて先グループからの送達確認受信で使用する受信UDPグループを定義します。省略した場合は,デフォルトの送信UDPグループ,および受信UDPグループが使用されます。

同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合の定義の組み合わせ例を,次の表および図に示します。

表2-11 同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合の定義の組み合わせ例

組み合わせあて先UDPグループ名送信UDPグループ名受信UDPグループ名
1あて先UDPグループA送信UDPグループA受信UDPグループA
2あて先UDPグループB送信UDPグループA受信UDPグループB

図2-29 同一のクラスタグループ外のサーバと通信する場合の定義の組み合わせ例

[図データ]

説明
送信側プロセスでは,次のように定義します。
  • UDPグループ情報関連定義のmyudpsnddef定義コマンドに,送信UDPグループAとして扱うポート番号10001,10002,および10003を指定します。
  • UDPグループ情報関連定義のmyudprcvdef定義コマンドを二つ定義し,それぞれの定義に受信UDPグループAとしてポート番号10004,受信UDPグループBとしてポート番号10005,および10006を指定します。
  • UDPグループ情報関連定義のeeudpdef定義コマンドを二つ定義し,それぞれの定義のあて先UDPグループ名に,あて先UDPグループA,およびあて先UDPグループBを指定します。また,それぞれのあて先UDPグループに対して,送受信に利用する送信UDPグループおよび受信UDPグループを指定します。
受信側プロセスでは,次のように定義します。
  • eeudpdef定義コマンドで受信用のポート番号として10007および10008を指定します。

(3) マルチキャストループバック受信(同一のクラスタグループ内での自マシンに対するマルチキャスト送信)有無

マルチキャストループバック受信とは,マルチキャストでメッセージを送信する場合に,自マシンを送信対象とすることで,自マシンから送信したメッセージを自マシンで受信することをいいます。マルチキャストループバック受信を行うかどうかは,UDPグループ情報関連定義のmyudpsnddef定義コマンドで選択できます。

■マルチキャストループバック受信をありに設定する場合
マルチキャストによるサービス要求時に,該当するサービスを処理するXTCが同一マシン上に存在する場合は,ループバック受信をあり(-kオプションを指定)に設定してください。
■マルチキャストループバック受信をなしに設定する場合
CLサーバの場合,ループバック受信をありに設定すると,自マシンから送信したメッセージを自マシンで受信し,破棄するという不要な受信処理が発生します。そのため,ループバック受信をなし(-kオプションを省略)に設定することをお勧めします。

上記の二つの条件が重なった場合,次のどちらかの対策をする必要があります。