メモリの大容量化や,64ビットOSの普及といった背景もあり,操作対象のデータをすべてメモリ上に保持してデータ処理を行うインメモリデータ処理技術は,トランザクション処理を高速化する手段として注目されつつあります。磁気ディスク装置にデータを格納するディスク型DBとは異なり,メモリ上にデータを配置,処理するデータベース(インメモリDB)では,磁気ディスク装置に対する入出力処理が発生しないため,トランザクション処理を高速化できるからです。
一方,インメモリDBには,その特性上,予期しないシステムダウンなどの障害が発生した場合に,データの消失をどのようにして防ぐかという大きな課題があります。特に,ミッションクリティカルなシステムでは,インメモリDBによる高速化に加え,高信頼性と高可用性が必須要件となります。
TP1キャッシュ機能では,システムを多重化してクラスタリングを行うことで,信頼性と可用性を確保します。多重化されたシステムが協調して動作することによって,業務処理を行っているシステム(実行系)に障害が発生してもデータやメッセージを保持したまま,バックアップシステム(待機系)で業務処理を継続できます。TP1キャッシュ機能でのデータ保持の概要を次の図に示します。
図1-3 TP1キャッシュ機能でのデータ保持の概要
TP1キャッシュ機能は,高信頼性,高可用性を兼ね備えた高速データ処理基盤として,ミッションクリティカルなシステムでも使用できます。