論理メッセージは,付けられる情報やデータの内容が,処理層によって異なります。また,ユーザが作成した固有のデータは,データの内容によってテキスト形態が異なります。
TP1/NET/HSCの論理メッセージは,複数のセグメントに分割できます。メッセージ送受信の関数で処理するセグメントの先頭には,MCFで使用するヘッダ領域があります。このヘッダ領域の長さによって,バッファ形式1とバッファ形式2があります。通常はバッファ形式1を使用します。
OpenTP1システムのUAPで作成した論理メッセージは,TP1/Message Control,TP1/NET/HSC,通信管理の各処理層を介して相手システムに送信されます。相手システムからのメッセージの受信の場合は逆の順番になります。論理メッセージは,単独セグメントまたは複数セグメントのデータで構成されます。
処理層とデータの関係を次の図に示します。
図3-9 処理層とデータの関係(HSC2手順)
TP1/NET/HSCのHSC2手順で扱うテキスト形態と,それぞれについてのUAPでのデータの扱いを説明します。各テキスト形態は,16進数字で表現します。テキスト形態の数値は,次に示すようにメッセージ送信時は送信領域に設定し,メッセージ受信時は受信領域に設定されます。送信領域,受信領域については,「4. メッセージ送受信インタフェース」を参照してください。
また,TP1/NET/HSCを使用するUAPでは,アプリケーション起動をされた場合も同様に,「(a) テキスト形態の種別」に示すテキスト形態が設定されることを前提とします。したがって,TP1/NET/HSCを使用するUAPをアプリケーション起動する場合,テキスト形態を含めた形式でメッセージを編集する必要があります。
テキスト形態の種別を次の図に示します。
図3-10 テキスト形態の種別(HSC2手順)
UAPおよび通信管理でのデータの扱いをテキスト形態の種別ごとに次の表に示します。
表3-2 UAPおよび通信管理でのデータの扱い(HSC2手順)
項番 | テキスト形態 | 種別 | 動作種別 | データの扱い |
---|---|---|---|---|
1. | 通常テキスト | UAP | 送信 | テキスト形態とヘッダを作成します。 |
TP1/NET/HSC | 送信 | テキスト形態を削除して通信管理へ送信要求をします。 | ||
受信 | テキスト形態を付加します。 | |||
通信管理 | 送信 | STX,ETX(またはETB)を付加します。 | ||
受信 | STX,ETX(またはETB)を削除します。 | |||
2. | 透過モードテキスト | UAP | 送信 | テキスト形態と透過データを作成します。 |
TP1/NET/HSC | 送信 | テキスト形態を削除して通信管理へ送信要求をします。 | ||
受信 | テキスト形態を付加します。 | |||
通信管理 | 送信 | DLE,STX,DLEおよびETX(またはETB)を付加します。 | ||
受信 | DLE,STX,DLEおよびETX(またはETB)を削除します。 | |||
3. | 回線接続要求テキスト | UAP | 発信 | ID交換をする場合,回線を接続するターミナルIDを設定し,sendで発信要求をします。TP1/NET/HSCは相手ターミナルIDに対応したダイヤル番号※で通信管理に発信要求をします。 ID交換をしない場合,相手システムのダイヤル番号※を設定し,sendで発信要求をします。相手システムのダイヤル番号※は,1から100けたの符号なし整数(アスタリスク(*),プラス(+),ピリオド(.)を含む)で指定します。 |
4. | 接続情報通知テキスト | UAP | 回線接続 | ID交換をする場合,TP1/NET/HSCは,テキスト形態で回線接続の発信,着信の区分を通知します。接続した相手ターミナルIDは,ID交換時に相手システムから受信したIDをJIS8コードに変換して設定し,通知します。したがって,ユーザには1から15けたの英数字で通知されます。 ID交換をしない場合,テキスト形態だけ通知されます。 |
送信するテキスト形態の数値表現と内容を表3-3に,受信するテキスト形態の数値表現と内容を表3-4に示します。
表3-3 送信するテキスト形態の数値表現と内容(HSC2手順)
項番 | テキスト形態 | 数値表現(16進数字) | 内容 | 注意事項 |
---|---|---|---|---|
1. | 通常テキスト | 00000002※ | 通常テキスト送信 | - |
00010002 | 通常テキスト送信後,EOTを送信 | ブロック分割をする場合,最終テキストで指定。 | ||
2. | 透過モードテキスト | 00000004※ | 透過モードテキスト送信 | - |
00010004 | 透過モードテキスト送信後,EOTを送信 | ブロック分割をする場合,最終テキストで指定。 | ||
3. | EOT送信要求テキスト | 00010000 | EOT送信要求 | 単独テキストで指定。 受信モードの場合,指定できません。 |
4. | 回線切断要求テキスト | 00020000 | 回線切断要求 (DLE・EOT) | 単独テキストで指定。 |
5. | 回線接続要求テキスト | 00030000 | 回線接続要求 | 単独テキストで指定。 |
表3-4 受信するテキスト形態の数値表現と内容(HSC2手順)
項番 | テキスト形態 | 数値表現(16進数字) | 内容 |
---|---|---|---|
1. | 通常テキスト | 00000002※ | 通常テキスト受信 |
2. | 透過モードテキスト | 00000004※ | 透過モードテキスト受信 |
3. | EOT受信テキスト | 00010000 | EOT受信 |
4. | 回線切断要求テキスト | 00020000 | 回線の切断 |
5. | 接続情報通知テキスト | 00040000 | 発信による回線接続 |
00050000 | 着信による回線接続 |