分散トランザクション処理機能 OpenTP1 プロトコル TP1/NET/HSC編

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3.1.6 メッセージの分割と組み立て

論理メッセージは,付けられる情報やデータの内容が,処理層によって異なります。また,ユーザが作成した固有のデータは,データの内容によってテキスト形態が異なります。

<この項の構成>
(1) 論理メッセージの扱い
(2) テキスト形態とUAPでのデータの扱い

(1) 論理メッセージの扱い

TP1/NET/HSCの論理メッセージは,複数のセグメントに分割できます。メッセージ送受信の関数で処理するセグメントの先頭には,MCFで使用するヘッダ領域があります。このヘッダ領域の長さによって,バッファ形式1バッファ形式2があります。通常はバッファ形式1を使用します。

OpenTP1システムのUAPで作成した論理メッセージは,TP1/Message Control,TP1/NET/HSC,通信管理の各処理層を介して相手システムに送信されます。相手システムからのメッセージの受信の場合は逆の順番になります。論理メッセージは,単独セグメントまたは複数セグメントのデータで構成されます。

処理層とデータの関係を次の図に示します。

図3-9 処理層とデータの関係(HSC2手順)

[図データ]

(a) 送信メッセージの場合
(b) 受信メッセージの場合

(2) テキスト形態とUAPでのデータの扱い

TP1/NET/HSCのHSC2手順で扱うテキスト形態と,それぞれについてのUAPでのデータの扱いを説明します。各テキスト形態は,16進数字で表現します。テキスト形態の数値は,次に示すようにメッセージ送信時は送信領域に設定し,メッセージ受信時は受信領域に設定されます。送信領域,受信領域については,「4. メッセージ送受信インタフェース」を参照してください。

また,TP1/NET/HSCを使用するUAPでは,アプリケーション起動をされた場合も同様に,「(a) テキスト形態の種別」に示すテキスト形態が設定されることを前提とします。したがって,TP1/NET/HSCを使用するUAPをアプリケーション起動する場合,テキスト形態を含めた形式でメッセージを編集する必要があります。

(a) テキスト形態の種別

テキスト形態の種別を次の図に示します。

図3-10 テキスト形態の種別(HSC2手順)

[図データ]

UAPおよび通信管理でのデータの扱いをテキスト形態の種別ごとに次の表に示します。

表3-2 UAPおよび通信管理でのデータの扱い(HSC2手順)

項番 テキスト形態 種別 動作種別 データの扱い
1. 通常テキスト UAP 送信 テキスト形態とヘッダを作成します。
TP1/NET/HSC 送信 テキスト形態を削除して通信管理へ送信要求をします。
受信 テキスト形態を付加します。
通信管理 送信 STX,ETX(またはETB)を付加します。
受信 STX,ETX(またはETB)を削除します。
2. 透過モードテキスト UAP 送信 テキスト形態と透過データを作成します。
TP1/NET/HSC 送信 テキスト形態を削除して通信管理へ送信要求をします。
受信 テキスト形態を付加します。
通信管理 送信 DLE,STX,DLEおよびETX(またはETB)を付加します。
受信 DLE,STX,DLEおよびETX(またはETB)を削除します。
3. 回線接続要求テキスト UAP 発信 ID交換をする場合,回線を接続するターミナルIDを設定し,sendで発信要求をします。TP1/NET/HSCは相手ターミナルIDに対応したダイヤル番号で通信管理に発信要求をします。
ID交換をしない場合,相手システムのダイヤル番号を設定し,sendで発信要求をします。相手システムのダイヤル番号は,1から100けたの符号なし整数(アスタリスク(*),プラス(+),ピリオド(.)を含む)で指定します。
4. 接続情報通知テキスト UAP 回線接続 ID交換をする場合,TP1/NET/HSCは,テキスト形態で回線接続の発信,着信の区分を通知します。接続した相手ターミナルIDは,ID交換時に相手システムから受信したIDをJIS8コードに変換して設定し,通知します。したがって,ユーザには1から15けたの英数字で通知されます。
ID交換をしない場合,テキスト形態だけ通知されます。

注※
ダイヤル番号の形式は次のとおりです。
V25.bisの場合:mmmmmmm
V21(通常発信)の場合:mmmmmmm+
V21(短縮ダイヤル,ペア型閉域)の場合:.nn+
  • mmmmmmm:1〜100けたの符号なし整数です。
  • nn:通信管理で回線網に登録する番号です。
(b) テキスト形態の数値表現と内容

送信するテキスト形態の数値表現と内容を表3-3に,受信するテキスト形態の数値表現と内容を表3-4に示します。

表3-3 送信するテキスト形態の数値表現と内容(HSC2手順)

項番 テキスト形態 数値表現(16進数字) 内容 注意事項
1. 通常テキスト 00000002 通常テキスト送信
00010002 通常テキスト送信後,EOTを送信 ブロック分割をする場合,最終テキストで指定。
2. 透過モードテキスト 00000004 透過モードテキスト送信
00010004 透過モードテキスト送信後,EOTを送信 ブロック分割をする場合,最終テキストで指定。
3. EOT送信要求テキスト 00010000 EOT送信要求 単独テキストで指定。
受信モードの場合,指定できません。
4. 回線切断要求テキスト 00020000 回線切断要求
(DLE・EOT)
単独テキストで指定。
5. 回線接続要求テキスト 00030000 回線接続要求 単独テキストで指定。

(凡例)
−:ありません。

注※
非同期モードで使用できるテキスト形態です。

表3-4 受信するテキスト形態の数値表現と内容(HSC2手順)

項番 テキスト形態 数値表現(16進数字) 内容
1. 通常テキスト 00000002 通常テキスト受信
2. 透過モードテキスト 00000004 透過モードテキスト受信
3. EOT受信テキスト 00010000 EOT受信
4. 回線切断要求テキスト 00020000 回線の切断
5. 接続情報通知テキスト 00040000 発信による回線接続
00050000 着信による回線接続

注※
非同期モードで使用できるテキスト形態です。