5.1.1 入力メッセージの編集とアプリケーション名の決定

入力メッセージ編集UOCは,受信した論理メッセージをユーザ任意の形式に変換します。また,受信した論理メッセージを基に,ユーザ任意のアプリケーション名を決定できます。

UOCは,MHPを起動するメッセージのセグメントを受信すると起動します。ただし,MCFイベント発生時と,UAPからのアプリケーションプログラム起動時はUOCは起動しません。

ユーザは,MCFメイン関数でUOC関数アドレスを設定します。また,必要に応じてMCF通信構成定義でメッセージ編集用バッファグループ番号(mcftalccn -e msgbuf)を定義します。

<この項の構成>
(1) 入力メッセージの編集
(2) アプリケーション名の決定
(3) UOCエラーリターン処理
(4) UOCパラメタ不正の場合の処理
(5) OpenTP1への組み込み方法

(1) 入力メッセージの編集

受信したメッセージが格納されている受信バッファ,およびMCF通信構成定義で指定した編集バッファを引き渡します。UOCでは,これらのバッファを使用して,入力メッセージの編集ができます。

また,UAPに通知するメッセージのセグメントは,受信バッファ,または編集バッファのどちらかに格納されたものを使用できます。どちらのセグメントを使用するかは,UOCから返されるリターンコードによって選択できます。

(2) アプリケーション名の決定

該当するMCFに入力メッセージ編集UOCが登録されている場合,論理メッセージの編集と同時にアプリケーション名を決定できます。

アプリケーション名は,入力メッセージ編集UOCが登録されていれば,UOCで決定します。入力メッセージ編集UOCが登録されていなければ,MCF通信構成定義(mcftalcle -v)で指定したアプリケーション名を採用します。さらに,PVCの場合で,MCF通信構成定義(mcftalcle -v)でも指定されていないときは,メッセージの先頭から8バイト以内をアプリケーション名とします。

入力メッセージ編集UOCでアプリケーション名を決定する場合のアプリケーション名の形式は,アプリケーション名格納領域の先頭から,'¥0'の手前までの1~8バイトの英数字です。先頭から9バイト目までに'¥0'がないときは,アプリケーション名を不正とし,不正アプリケーション名検出通知イベント(ERREVT1)をUAPに通知します。

メッセージの先頭からアプリケーション名を決定する場合(PVC)のアプリケーション名の形式は,メッセージの先頭から,空白の手前までの1~8バイトの英数字です。先頭から9バイト目までに空白がないとき,または先頭に空白がある場合は,アプリケーション名を不正とし,不正アプリケーション名検出通知イベント(ERREVT1)をUAPに通知します。

アプリケーション名の決定の処理を次の図に示します。

図5-1 アプリケーション名の決定の処理

[図データ]

MCF通信構成定義(mcftalccn -o)で"ctlheader=use"を指定した場合,必ず入力メッセージ編集UOCかMCF通信構成定義(mcftalcle -v)でアプリケーション名を決定してください。

(3) UOCエラーリターン処理

UOCからDCMCF_UOC_MSG_NGでリターンした場合,MCFはメッセージログを出力し,障害通知イベント(CERREVT)を通知します。

UOCで障害を検出し,エラー処理UAPを起動したい場合は,ユーザ任意のエラー処理UAPのアプリケーション名を設定します。このとき,MCFにはDCMCF_UOC_MSG_OK,またはDCMCF_UOC_MSG_OK_RCVでリターンします。この場合,MCFは正常なメッセージとして処理するため,受信メッセージの破棄などの障害処理はしません。

(4) UOCパラメタ不正の場合の処理

UOCで設定した値に不正があった場合,MCFはメッセージログを出力し,障害通知イベント(CERREVT)を通知します。

(5) OpenTP1への組み込み方法

スタート関数(dc_mcf_svstart)を発行するMCFメイン関数に,作成したUOCの関数アドレスを設定します。入力メッセージの編集UOCの関数アドレスは任意に決められます。UOC関数をコンパイルして生成したUOCオブジェクトファイルを,UOC関数を登録したMCFメイン関数と結合して,TP1/NET/X25の実行形式プログラムを生成します。MCFメイン関数の詳細については,「8.2 MCFメイン関数の作成」を参照してください。