8.1 障害の種類と対応処理

TP1/NET/User Agentの障害発生時の処理について,次に示す障害の種類ごとに説明します。

<この節の構成>
(1) コネクション(アソシエーション)障害
(2) UA(論理端末)障害
(3) 入力メッセージ編集UOCの障害
(4) 入力キュー,スケジュールサービス,ネームサービス,またはRPCの障害
(5) 出力キューおよび出力メッセージ編集UOCの障害
(6) ジャーナル障害
(7) 送信バッファ障害
(8) 受信バッファ障害
(9) 編集バッファ障害
(10) UAP障害
(11) MCFの障害
(12) OpenTP1の障害

(1) コネクション(アソシエーション)障害

コネクション障害の発生個所に応じたTP1/NET/User Agentの障害処理については,「8.2 コネクション障害」を参照してください。

表8-1 コネクション障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • UA層論理矛盾
  • 下位層障害
  • リトライオーバ
  • mcftdctcn -fコマンド入力
など
  1. 各UAの障害処理をします(「(2) UA(論理端末)障害」参照)。
  2. CERREVT(コネクション障害)を起動します。
  3. コネクション障害を通知するメッセージログ(KFCA13102-E)を出力します。
  4. コネクションを解放します。
運用コマンド(mcftactcn)を入力して,再びコネクションを確立します。

(2) UA(論理端末)障害

表8-2 UA障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • UA障害
  • UA層検出異常
  • タイムアウト
  • mcftdctleコマンド入力
など
  1. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  2. CERREVT(UA障害)を起動します。
  3. 論理端末を閉塞します。
  4. UA(論理端末)の端末タイプに従って処理します。※1
運用コマンド(mcftactle)を入力して,UA開局処理をします。
受信メッセージと論理端末の端末タイプの不一致
  1. 受信メッセージを破棄します。2
  2. 相手システムにUERRを送信します。
  3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  4. CERREVT(UA障害)を起動します。
  5. 論理端末を閉塞します。
相手システムとの構成を見直してください。
送信メッセージと論理端末の端末タイプの不一致dc_mcf_send,dc_mcf_reply,dc_mcf_sendrecv,dc_mcf_recvsyncがエラーリターンします。UAPで後処理をする必要があります。
UA再開局処理の失敗
  1. 該当するUAを縮退させます。
  2. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  3. CERREVT(UA障害)を起動します。
  4. 論理端末を閉塞します。
障害要因を取り除いたあと,運用コマンド(mcftactcn)を入力して,再びコネクションを確立します。
注※1
論理端末の端末タイプごとの処理内容を次の表に示します。
論理端末の端末タイプTP1/NET/User Agentの処理
reply問い合わせメッセージ(UINQ)受信障害の場合は,受信メッセージを無効にします。
応答メッセージ(UREP)送信障害の場合は,次に示す処理をします。
  1. 送信メッセージを送信済み扱いにします。
  2. 送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
request一方送信メッセージ(UINQ)送信障害,および一方送信メッセージ(UREP)受信障害の場合は,次に示す処理をします。
  1. 一方送信メッセージ(UINQ)の先頭セグメントからの再送準備をします。
  2. 送信中断を通知するメッセージログ(KFCA10608-W)を出力します。
UA再開局後,一方送信メッセージ(UINQ)を再送します。
送信完了通知(UINF)送信障害です。
request(send-recv時)一方送信メッセージ(UINQ)送信障害,および一方送信メッセージ(UREP)受信障害の場合は,問い合わせメッセージ(UINQ)を送信済みにし,UAPにエラーリターンします。
送信完了通知(UINF)送信障害です。
send一方送信メッセージ(UBRD)送信障害,および送信完了通知(UINF)受信障害の場合は,次に示す処理をします。
  1. 一方送信メッセージ(UBRD)の先頭セグメントからの再送準備をします。
  2. 送信中断を通知するメッセージログ(KFCA13108-W)を出力します。
UA再開局後,一方送信メッセージ(UBRD)を再送します。
receive一方送信メッセージ(UBRD)受信障害の場合は,一方送信メッセージを無効にします。
処理完了通知(UINF)送信障害です。
注※2
1論理メッセージの組み立て以前に不一致が検出されるため,ERREVTは起動しません。

(3) 入力メッセージ編集UOCの障害

表8-3 入力メッセージ編集UOCの障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • UOCエラーリターン
  • UOC指定誤り
  1. UOCエラーを通知するメッセージログ(KFCA10611-E),UOC指定誤りを通知するメッセージログ(KFCA10620-E),およびアプリケーション不正を通知するメッセージログ(KFCA10610-E)を出力します。
  2. UA(論理端末)の端末タイプに従って処理します。
UOCの処理を見直してください。
注※
論理端末の端末タイプごとの処理内容を次の表に示します。
論理端末の端末タイプTP1/NET/User Agentの処理
reply
  1. 相手システムにUERRを送信します。
  2. CERREVT(UOC障害)を起動します。
  3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  4. 論理端末を閉塞します。
request
  1. 相手システムにUERRを送信します。
  2. CERREVT(UOC障害)を起動します。
  3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  4. 送信メッセージ(UINQ)は送信済み扱いとします。
  5. 論理端末を閉塞します。
request(send-recv時)
  1. 相手システムにUERRを送信します。
  2. CERREVT(UOC障害)を起動します。
  3. UAPにエラーリターンします。
  4. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  5. 送信メッセージ(UINQ)は送信済み扱いとします。
  6. 論理端末を閉塞します。
send該当しません。
receive
  1. 相手システムにUERRを送信します。
  2. CERREVT(UOC障害)を起動します。
  3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  4. 論理端末を閉塞します。

(4) 入力キュー,スケジュールサービス,ネームサービス,またはRPCの障害

表8-4 入力キュー,スケジュールサービス,ネームサービス,またはRPCの障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • アプリケーション閉塞
  • サービス閉塞
  • アプリケーション名不正1
  • 入力キュー書き込み障害(メモリ含む)
  1. 入力キュー障害を通知するメッセージログ(KFCA10604-E)を出力します。
  2. 入力メッセージの種類に従って次に示す処理をします。
    通信メッセージ入力障害の場合は,ERREVT1またはERREVT2を起動します。
    ERREVT1,ERREVT2,ERREVT3,ERREVT4,またはERREVTAの場合は,メッセージを破棄します。
    CERREVT,COPNEVT,またはCCLSEVTの場合は,イベントを破棄します。
障害要因を取り除いてください。
アプリケーション名の形式不正
  1. アプリケーション不正を通知するメッセージログ(KFCA10610-E)を出力します。
  2. 相手システムにUERRを送信します。
アプリケーション名の形式を見直してください。
同期メッセージリターン時障害※2
  1. 同期エラーを通知するメッセージログ(KFCA10606-E)を出力します。
  2. UAPではタイムアウトが発生します。
  3. リターンの種類に従って次に示す処理をします。
    正常にリターンした場合は,次のように処理します。
    1. 相手システムにUERRを送信します。
    2. CERREVTを起動します。
    3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
    4. 論理端末を閉塞します。
    エラーリターンした場合は,無視して処理を続けます。
障害要因を取り除いたあと,運用コマンド(mcftactcn)を入力して,再びコネクションを確立します。
注※1
アプリケーション名の形式が不正の場合,ERREVT1を起動します。このERREVT1に対する応答メッセージを送信しなかった場合,相手システムにUERRを送信後,CERREVTを起動します。
注※2
RPCだけで発生する障害です。

(5) 出力キューおよび出力メッセージ編集UOCの障害

表8-5 出力キューおよび出力メッセージ編集UOCの障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • 出力キュー読み込み障害(メモリ含む)
  • UOCエラーリターン
  • UOC指定誤り
  1. UOCエラーを通知するメッセージログ(KFCA10611-E),UOC指定誤りを通知するメッセージログ(KFCA10620-E),および出力キュー障害を通知するメッセージログ(KFCA10605-E)を出力します。
  2. UA(論理端末)の端末タイプに従って処理します。
障害要因を取り除いてください。
  • メッセージ送信済み障害
  • メッセージリセット障害
メッセージ送信後の障害を通知するメッセージログ(KFCA10617-E)を出力します。処理を続けます。
注※
論理端末の端末タイプごとの処理内容を次の表に示します。
論理端末の端末タイプTP1/NET/User Agentの処理
reply
  1. 該当するメッセージを送信済み扱いとし,送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
  2. 相手システムにUERRを送信します。
  3. UA障害を通知するメッセージログ(KFCA13103-E),およびUA閉局を通知するメッセージログ(KFCA13115-I)を出力します。
  4. CERREVT(出力キュー障害)を起動します。
  5. 論理端末を閉塞します。
request
  1. 該当するメッセージを送信済み扱いとし,送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
  2. 該当するメッセージを破棄し,次メッセージのサービスをします。
request(send-recv時)
  1. 該当するメッセージを送信済み扱いとし,送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
  2. UAPにエラーリターンします。
  3. 該当するメッセージを破棄し,次メッセージのサービスをします。
send
  1. 該当するメッセージを送信済み扱いとし,送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
  2. 該当するメッセージを破棄し,次メッセージのサービスをします。
receive該当しません。

(6) ジャーナル障害

表8-6 ジャーナル障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
ジャーナル取得障害(AJ/IJ/OJ)ジャーナル障害を通知するメッセージログ(KFCA10609-E)を出力します。処理を続けます。

(7) 送信バッファ障害

表8-7 送信バッファ障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
サイズ不足出力キュー読み込み障害として扱います。
  1. 出力障害を通知するメッセージログ(KFCA10605-E),および送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-W)を出力します。
  2. 論理端末を閉塞します。
  3. CERREVT(メッセージ出力障害)を起動します。
システム定義を修正してください。
バッファ数不足出力キュー読み込み障害として扱います。
  1. バッファ不足を通知するメッセージログ(KFCA10618-E),および送信破棄を通知するメッセージログ(KFCA10607-E)を出力します。
  2. コネクションを解放します。
  3. CERREVT(バッファ取得障害)を起動します。
システム定義を修正してください。

(8) 受信バッファ障害

表8-8 受信バッファ障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
サイズ不足
  1. 不正データ受信を通知するメッセージログ(KFCA13274-E)を出力します。
  2. コネクションを解放します。
  3. CERREVT(受信障害)を起動します。
相手システムとの構成を見直してください。
バッファ数不足
  1. バッファ不足を通知するメッセージログ(KFCA13213-E)を出力します。
  2. コネクションを解放します。
  3. CERREVT(受信障害)を起動します。
システム定義を修正してください。

(9) 編集バッファ障害

表8-9 編集バッファ障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
サイズ不足ありません。必要に応じて,UOCでエラーリターンしてください。
バッファ数不足
  1. バッファ不足を通知するメッセージログ(KFCA10618-E)を出力します。
  2. 障害の発生した処理に応じて,次に示す処理をします。
    送信処理の場合は,次のように処理します。
    1. 送信中断を通知するメッセージログ(KFCA13608-W)を出力します。
    2. 送信メッセージを再送します。
    受信処理の場合は,受信メッセージを破棄します。
  3. コネクションを解放します。
  4. CERREVT(バッファ取得障害)を起動します。
システム定義を修正してください。

(10) UAP障害

表8-10 UAP障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • UAP異常終了
  • rollback(UAP 終了指定)呼び出し
reply型の論理端末を使用している場合は,相手システムにUERRを送信します。UAPを見直してください。

(11) MCFの障害

表8-11 MCFの障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
  • 内部論理矛盾
  • 他PPとのインタフェースエラー
  1. KFCA13197-E,KFCA13198-E,またはKFCA13199-Eを出力します。
  2. メモリダンプを出力します。
  3. 必要に応じて,MCFのプロセスを異常終了します(回復できる場合は終了しません)。
保守情報($DCDIR/spoolディレクトリ以下)を退避してください。
  • MCFプログラムエラー
  • UOCプログラムエラー
OSによるコアダンプを出力します。保守情報($DCDIR/spoolディレクトリ以下)を退避してください。

(12) OpenTP1の障害

表8-12 OpenTP1の障害発生時の処理

障害の内容TP1/NET/User Agentの処理ユーザの処理
OpenTP1異常終了OSによるコアダンプを出力します。保守情報($DCDIR/spoolディレクトリ以下)を退避してください。