4.5.2 raw I/O機能を適用したOpenTP1ファイルシステムの構築

ここでは,raw I/O機能を適用したOpenTP1ファイルシステムの構築方法について説明します。

Windows版OpenTP1では,Windowsのダイレクトディスクアクセス(raw I/O)を適用してOpenTP1ファイルシステム領域を作成できます。この機能をraw I/O機能といいます。raw I/O機能を適用すれば,パーティションまたは論理ドライブに対してファイルと同様にアクセスできます。

raw I/O機能は,次の用途で使用できます。

<この項の構成>
(1) OpenTP1ファイルシステムの構築手順
(2) OpenTP1ファイルの指定
(3) OpenTP1ファイルシステムの削除
(4) 系切り替え機能使用時の共有ディスクの設定

(1) OpenTP1ファイルシステムの構築手順

raw I/O機能を適用した領域にOpenTP1ファイルシステムを構築する手順を次に示します。

  1. 未フォーマット状態のパーティションを用意します。
    Windowsの[ディスクの管理]でパーティションを作成します。パーティションの作成方法については,Windowsの[ディスクの管理]のヘルプを参照してください。
  2. filmkfsコマンドを実行して,用意したパーティションまたは論理ドライブを,OpenTP1ファイルシステムとして使用できる状態に初期設定します。
    filmkfsコマンドの実行例を次に示します。

    filmkfs -s 512 -n 7 -l 100 X:

    この例では,Xドライブをraw I/O機能を適用したパーティション(raw I/Oパーティション)としています。
    filmkfsコマンドについては,「7. 運用コマンド」を参照してください。

raw I/O機能を適用した領域にOpenTP1ファイルシステムを構築する場合の注意事項を次に示します。

パーティションを用意するときの注意事項
  • パーティションには,ドライブ文字を割り当ててください。
  • raw I/O機能を適用できるドライブは,セクタ長512バイトの固定ディスクだけです。
filmkfsコマンドを実行するときの注意事項
  • raw I/O機能を適用する場合,filmkfsコマンドで必ず-sオプションを指定してください。また,-sオプションで指定するセクタ長には必ず512を指定してください。
  • filmkfsコマンドで指定するパーティションまたは論理ドライブのパス名には,「ドライブ文字 : 」を指定してください。「ドライブ文字 : 」の形式で指定されたパス名が,すでにフォーマットされたパーティションの場合,filmkfsコマンドはKFCA01537-Eメッセージを出力してエラーリターンします。

(2) OpenTP1ファイルの指定

raw I/Oパーティションとして割り当てたOpenTP1ファイルシステム領域は,「ドライブ文字 : 」の形式で表されます。OpenTP1ファイルを指定する場合は,通常のWindowsのファイルと同様に絶対パスで指定してください。

OpenTP1ファイルの指定例を次に示します。この例では,Xドライブをraw I/Oパーティションに割り当てています。

(3) OpenTP1ファイルシステムの削除

raw I/Oパーティションとして構築したOpenTP1ファイルシステムを完全に削除する場合は,Windowsの[ディスクの管理]を使用します。パーティションの削除方法については,Windowsの[ディスクの管理]のヘルプを参照してください。

(4) 系切り替え機能使用時の共有ディスクの設定

Windows Server 2003の場合は,raw I/Oパーティションとして構築したOpenTP1ファイルシステムを系切り替え機能で使用できます。なお,Windows Server 2008以降の場合は,raw I/Oパーティションを系切り替え機能で使用できません。

MSCSではraw I/Oパーティションを共有ディスクリソースに指定できません。このため,次の手順に従って,共有ディスクリソースを設定してください。

  1. raw I/Oパーティションと同一の物理ディスク内に,新しくNTFSパーティションを作成します。
    新しく作成したNTFSパーティションには,OpenTP1ファイルシステムを構築する必要はありません。
  2. 作成したNTFSパーティションをOpenTP1用のリソースグループの共有ディスクリソースに指定します。
  3. 共有ディスクリソースを汎用サービスOpenTP1の依存関係に設定します。