付録H TP1/LiNK Q&A

TP1/LiNKを操作する上で疑問が起こりやすい内容について,Q&A形式で説明します。TP1/LiNKを使うときの問題解決のヒントとして活用してください。

 


Q.1

OpenTP1管理者を決めなければいけないのはなぜですか。OSの最高権限を持つユーザ(システム管理者など)がOpenTP1管理者を兼ねてはいけませんか。

A.1
システム管理者(Administrators)以上の権限があるユーザはすべてTP1/LiNKを操作できるので,Windowsで認証できるようにする必要があります。
また,OpenTP1管理者のパスワードが第三者に簡単に変更されないようにしておくことも重要です。

Q.2

TP1/LiNKを開始すると,システムメッセージが次々と表示されますが,どのメッセージが表示された時点でTP1/LiNKの開始処理が正常に終わったことになるのでしょうか。

A.2
TP1/LiNKが正常に開始したことを知らせるのは,メッセージID KFCA01809-Iです。次にKFCA00806-Iが表示されて,ユーザサーバへのスケジュールが開始します。したがって,KFCA00806-Iが表示されることで,TP1/LiNKの開始処理が正常に終わったと見なしてください。

Q.3

アプリケーション(ユーザサーバ)の常駐プロセス数と非常駐プロセス数は,幾つずつ指定するのが適切でしょうか。

A.3
次に示す内容を参考にしてください。
常駐プロセス数の指定数
TP1/LiNKの稼働中に,そのユーザサーバへ同時にサービスが要求されたときに,同時に実行したい数を指定してください。
非常駐プロセス数の指定数
TP1/LiNKの処理がピークに達して,一定時間サービス要求が増えるときに,増える分のサービス数を指定してください。指定した数のプロセスがサービスの滞留数に応じて起動され,サービス要求を処理します。サービスの滞留数が減ってくると非常駐プロセスは停止されるため,オンラインの負荷が低いときには資源を節約できます。
サービスの滞留数の指定数
サービスの滞留数は,dc_rpc_call関数がタイムアウトになる時間(180秒)内にシステムで処理できる分の数を指定してください。
ユーザサーバのプロセスが常駐プロセスだけのときと,非常駐プロセスがあるときでは,次のように処理が異なります。
  • 常駐プロセスだけのとき(非常駐プロセスがない)
    サービスの滞留数で指定した数のサービス要求を,TP1/LiNKのシステムに滞留させます。先に処理しているサービス要求が終了してから,順次滞留しているサービス要求を処理します。
  • 非常駐プロセスを指定してあるとき
    (サービスの滞留数×起動プロセス数(常駐+非常駐))で示す数だけのサービス要求をTP1/LiNKのシステムに滞留させ,サービスの滞留数の値まで滞留した時点で,非常駐プロセスがサービス要求を処理します。

Q.4

常駐プロセスと非常駐プロセスが起動するタイミングはいつですか。

A.4
次に示します。
常駐プロセスの起動と停止
TP1/LiNKと一緒に開始する指定のユーザサーバは,TP1/LiNKの開始処理が終わったときに常駐プロセスの起動が完了します。TP1/LiNKと一緒に開始しないユーザサーバは,ユーザサーバをオンライン中に開始するコマンドが正常に実行できたときに常駐プロセスの起動が完了します。常駐プロセスは,ユーザサーバが停止するとき(オペレータが停止するコマンドを実行,またはTP1/LiNKが終了するとき)に停止します。
非常駐プロセスの起動と停止
クライアントUAPからdc_rpc_call関数でサービスを要求され,次に示す条件をすべて満たしたときに,非常駐プロセスが起動します。
  • 該当するユーザサーバの常駐プロセスがすべて処理中である。
  • サービスの滞留数が,指定した値に達した。
非常駐プロセスは,サービスの滞留数が指定した値以下になると,処理を終えたプロセスから順次停止します。

Q.5

SPPとSUPの運用の違いは何ですか。

A.5
SPPとSUPでは,開始方法には違いはありません。どちらもTP1/LiNKと一緒に開始させたり,TP1/LiNKの実行中に任意に開始させたりできます。開始させたあとには,SPPとSUPで違いがあります。
SPPは,TP1/LiNKのサービスを実現するアプリケーションです。そのため,効率的にサービス要求を処理できるように,複数のプロセスで実行できます(マルチサーバ)。また,クライアントからのサービス要求に意図的にエラーを返して不要な再実行を防げるように,SPPを閉塞したりオンライン中に終了したりできます。
SUPは,TP1/LiNKのサーバでクライアントの役割だけをするアプリケーションです。一つのプロセスだけで実行するため,マルチサーバは使えません。また,SUPを閉塞させることもできません。

Q.6

システムの運用中に,ディスク容量に空きがなくなることがあります。TP1/LiNKが使うファイルのうち,削除して差し支えないファイルはどれでしょうか。

A.6
TP1/LiNKが使うファイルのうち,次に示すファイルは削除しても運用には差し支えありません。ただし,いったん削除したファイルは回復できませんので注意してください。
  • UAPトレースファイル(%DCDIR%¥spool¥save¥trc¥フォルダ下のユーザサーバ名.nnnファイル(nnnはプロセスID))
  • RPCトレースファイル(%DCDIR%¥spool¥rpctr1,rpctr2,rpctrl,および%DCDIR%¥spool¥save¥rpctrc¥フォルダ下のファイル)
  • 共用メモリダンプファイル(%DCDIR%¥spool¥shmdump)
  • 退避コアファイル(%DCDIR%¥spool¥save¥フォルダ下のファイル)

Q.7

TP1/LiNKで使うデータのうち,バックアップを取る必要があるものを教えてください。

A.7
2.2.3 バックアップを取得しておくフォルダ」で説明したファイルは,バックアップを取得しておくことをお勧めします。
バックアップを取るときは,TP1/LiNKをいったん停止させてください。TP1/LiNKの稼働中にバックアップを取るのは避けてください。

Q.8

TP1/LiNKで使う環境変数には,どのようなものがありますか。

A.8
TP1/LiNKでは,"DC"で始まる環境変数を使っています。TP1/LiNKで使う代表的な環境変数と,変数に定義してある内容を示します。
  • DCDIR(OpenTP1ホームディレクトリ)
  • DCCONFPATH(TP1/LiNKの定義ファイルを格納するフォルダ)
  • DCSVNAME(ユーザサーバ名)
  • DCSVGNAME(サービスグループ名(SPPの場合だけ参照できます))
そのほかにも,環境変数PATHには,TP1/LiNKのコマンドのサーチパスが設定してあります。これらの環境変数はすべてTP1/LiNKで設定されます。運用中にこれらの値を変更(再設定)しないでください。
環境変数を参照する時は,OSの機能を使ってください。

Q.9

TP1/LiNKを組み込んでセットアップするときに,環境変数DCDIRを設定する必要はありますか。

A.9
TP1/LiNKの組み込み時にはDCDIRを参照しないので,設定しておく必要はありません。A.8で示す環境変数は,TP1/LiNKのセットアップの過程で自動的に設定されます。

Q.10

トランザクションの処理からほかのマシンのユーザサーバへサービスを要求するとトランザクションの処理を拡張できますが,どの範囲まで拡張できますか。

A.10
TP1/LiNKまたはTP1/Server Baseのユーザサーバの場合は,トランザクション属性に指定しておけば,システム間にわたる処理をトランザクションにできます。これ以外のマシン間で通信する場合は,トランザクション処理にはできません。なお,TP1/LiNKでは一つのトランザクションブランチから生成する子トランザクションブランチ(発行するdc_rpc_call関数)の最大数は32です。

Q.11

TP1/LiNKとTP1/Server Baseでは,何が異なるのでしょうか。

A.11
TP1/LiNKは,OpenTP1システムを比較的小規模な部門に適用できるようにしています。そのため,TP1/Server Baseに比べ,使える機能に制限があります。より大規模なシステムでオンライントランザクション機能を構築する場合には,TP1/Server Baseへのアップグレードをお勧めします。TP1/Server Baseが使える適用OSについては,OpenTP1のマニュアルを参照するか,当社社員または当社営業部員にお尋ねください。

Q.12

TP1/LiNKで使うデータベースのセキュリティは,どのように管理しているのでしょうか。

A.12
TP1/LiNKでは,データベースのアクセスでセキュリティのチェックはしていません。DBMSやOSで使えるセキュリティの機能で対処してください。

Q.13

マニュアルやヘルプのほかにTP1/LiNKに関する情報を知りたいときには,どうしたらよいですか。

A.13
当社社員または当社営業部員にお尋ねください。