5.8.3 スケールアウトの運用

スケールアウトを実行すると,新しいTP1/LiNKのノードを構築して,TP1/LiNKシステムのドメイン構成に新しいTP1/LiNKのノードを追加します。これによって,システム拡張に伴う作業を速やかに処理できます。

<この項の構成>
(1) スケールアウトの運用モデル
(2) スケールアウトのシナリオ構成
(3) スケールアウトとDPMを利用するTP1/LiNKの環境設定手順

(1) スケールアウトの運用モデル

スケールアウトを実行すると,新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオ,およびドメイン構成管理ノードを更新するシナリオが実行されます。スケールアウトを実行する場合の運用モデルを次の図に示します。

図5-14 スケールアウトの運用モデル

[図データ]

注※1
TP1/LiNK-Nの[RPC詳細設定]ダイアログボックスの[ネームサービス]タブの[ドメイン定義ファイルを使用する(F)]チェックボックスをオンにする
注※2
TP1/LiNK-A,TP1/LiNK-BおよびTP1/LiNK-Cの[システム環境設定]ウィンドウの[システムを構成するノード]欄にTP1/LiNK-Nを指定する

(2) スケールアウトのシナリオ構成

TP1/LiNKのスケールアウトでは,新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオを実行したあとに,ドメイン構成管理ノードを更新するシナリオを実行します。それぞれのシナリオについて説明します。

(a) 新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオ

新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオの実行順序を,次の図に示します。

図5-15 新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオの実行順序

[図データ]

注※
INST_DIRはOpenTP1_GetInstDirから引き継がれる変数です。

各シナリオテンプレートの説明を次の表に示します。

表5-7 新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオのシナリオテンプレート

項番シナリオテンプレートの名称説明
1OpenTP1_GetInstDir※1TP1/LiNKインストールフォルダ取得
2OpenTP1_MakeTP1Dir※1TP1/LiNKフォルダの作成
3OpenTP1_SetConfig※1TP1/LiNKの定義設定
4OpenTP1_ChangeNodeID※2ノード識別子の設定
5OpenTP1_Deploy※2TP1/LiNKの登録
6OpenTP1_MakeFileSystem※3TP1/LiNKファイルシステムの作成
7OpenTP1_Start※2TP1/LiNKの起動
8OpenTP1_StartUAP※2UAPの起動
注※1
ユーザが作成します。TP1/LiNKが提供するサンプルについては,「5.8.6 サンプルシナリオテンプレートの利用」を参照してください。
注※2
TP1/LiNKが提供します。詳細については,「付録B シナリオテンプレートの詳細」を参照してください。
注※3
XAリソースサービス機能を使用する場合にだけ必要です。XAリソースサービス機能を使用する場合は,XARファイル作成バッチファイル(%DCDIR%¥jp1_template¥examples¥tools¥dcj_mkfs.bat)を使用して,XARファイルを作成してください。XARファイル作成バッチファイルに指定する引数を次に示します。
・第1引数
[XAリソースサービス環境設定]ダイアログボックスの[オンライン用XARファイルを作成するフォルダ名(O)]に指定した値です。
・第2引数
[XAリソースサービス環境設定]ダイアログボックスの[バックアップ用XARファイルを作成するフォルダ名(B)]に指定した値です。
・第3引数
[システム環境設定]ウィンドウの[トランザクションブランチ数(B)]に指定した値です。
・第4引数
[XAリソースサービス環境設定]ダイアログボックスの[XARファイルのレコード長(R)]に指定した値です。
省略時は512が仮定されます。指定する場合は,第5引数を省略できません。
・第5引数
XARファイルサイズです。
省略時は1が仮定されます。指定する場合は,第4引数を省略できません。
XARファイルサイズは,次の算出式の値になります。
XARファイルサイズ(単位:メガバイト)=↑((レコード数+1)×レコード長)÷1048576↑
(凡例)
レコード数:第3引数の値
レコード長:第4引数の値
↑↑:小数点以下を切り上げます。

(b) ドメイン構成管理ノードを更新するシナリオ

ドメイン構成管理ノードを更新するときの前提条件を次に示します。

ドメイン構成管理ノードを更新するシナリオの実行順序を,次の図に示します。

図5-16 ドメイン構成管理ノードを更新するシナリオの実行順序

[図データ]

各シナリオテンプレートの説明を次の表に示します。

表5-8 ドメイン構成管理ノードを更新するシナリオのシナリオテンプレート

項番シナリオテンプレートの名称説明
1OpenTP1_AddNodeドメイン定義ファイルへの追加
2OpenTP1_UpdateDomainドメイン構成の更新

これらのシナリオテンプレートはTP1/LiNKが提供します。詳細については,「付録B シナリオテンプレートの詳細」を参照してください。

(3) スケールアウトとDPMを利用するTP1/LiNKの環境設定手順

スケールアウトを実行すると,TP1/LiNKの環境設定手順の一部を自動化できます。ここでは,スケールアウトとDPMのディスク複製機能を利用する場合の環境設定手順について説明します。手順1.~6.は,システム管理者(Administrators)の権限を持つユーザが実行してください。また,手順1.~4.はTP1/LiNKシステムのマスタコンピュータ(ディスク複製元)で,手順5.はDPMがインストールされているコンピュータで,手順6.~7.は新しく追加するTP1/LiNKのノード(ディスク複製先)で実行してください。

  1. hostsファイルに,TP1/LiNKシステムが使用するホスト名を登録します。
  2. OpenTP1管理者を登録します。
    詳細については,「2.1.1 セットアップの準備」を参照してください。
  3. TP1/LiNKのプログラムプロダクトをインストールします。
    TP1/LiNKのプログラムプロダクトをインストールするディスク(マスタディスク)は,必ずOSと同じディスクに作成してください。この場合にリソースマネジャを利用するときは,リソースマネジャを接続する必要があります。詳細については,「2.1.3 リソースマネジャの接続」を参照してください。
  4. スケールアウトで使用する,TP1/LiNKの環境設定をするためのファイルを作成します。
    詳細については,「5.8.6(3) サンプルシナリオテンプレートのカスタマイズ」を参照してください。
  5. DPMのディスク複製機能を利用して,TP1/LiNKシステムのマスタコンピュータからバックアップしたディスクを,新しく追加するTP1/LiNKのノードにリストアします。
    ディスク複製先のネットワークタイプは,DHCPではなく固定IPで割り当ててください。DPMの使用方法については,マニュアル「ServerConductor/DeploymentManager ユーザーズガイド」を参照してください。
  6. JP1/AJS - Agentをセットアップします。
    JP1/AJS - Agentのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド」,またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1」参照してください。
  7. スケールアウトを実行します。
    スケールアウトを実行すると,新しいTP1/LiNKのノードを追加するシナリオが実行されます。