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OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 クライアント使用の手引 TP1/Client/J編


2.2.5 ノード間負荷バランス機能

OpenTP1では,RPCによる要求が特定のノードに集中しないようにノード間で負荷を分散する機能があります。これをノード間負荷バランス機能といいます。

ノード間負荷バランス機能を使用するためには,負荷分散の前提として次の条件を満たしている必要があります。

ここでは,OpenTP1のノード間負荷バランス機能を使用する場合のTP1/Client/J側,TP1/Server側の関連する定義,処理,およびRPCの処理を説明します。

〈この項の構成〉

(1) サーバ側の判断で負荷分散を行う場合

TP1/Serverのスケジュールサービスが,ノードのスケジュール状態に応じて,より効率的に処理できるノードへ負荷を分散させます。

(a) TP1/Client/J側の定義

TP1/Client/J環境定義にdcscddirect=Yを指定します。

これによって,TP1/Client/J側はTP1/Serverのスケジュールサービスに負荷分散を依頼できます。TP1/Client/J側の定義では,どのOpenTP1ノードのスケジュールサービスに判断を依頼するかを指定します。

この場合,スケジュールを依頼するOpenTP1ノードが複数ある場合,dchostオペランドに指定された順番にスケジュールを依頼します。dchostオペランドに指定された順番ではなく,スケジュールを依頼するTP1/Serverをランダムに選択するには,TP1/Client/J環境定義にdchostselect=Yを指定します。

(b) TP1/Server側の定義

TP1/Server側の定義では,次のどちらかの設定をする必要があります。

  • スケジュールサービス定義のオペランドに次の指定をする。

    scd_this_node_first = N (デフォルト)

    scd_announce_server_status = Y (デフォルト)

  • スケジュールサービス定義を省略する。

(2) サーバからの負荷情報からクライアント側で判断する場合

この機能を使用する場合は,次の定義を指定してください。

この指定によって,クライアント側で,サーバから得たサーバの負荷レベルを基に,サービス要求を行うOpenTP1ノードを決めてRPCを実行します。

この場合,クライアントでは窓口となるTP1/Serverのネームサービスにサービス情報を問い合わせたあと,サーバの負荷レベルを含むサービス情報を,TP1/Client/J環境定義dccacheオペランドに指定された大きさのキャッシュ領域に一時的に保持します。

クライアントからのRPC実行時に,このキャッシュ領域中に該当するサービス情報が存在する場合には,窓口となるTP1/Serverのネームサービスに対してサービス情報の問い合わせを行いません。

クライアントではLRU(Least Recently Used)方式でキャッシュを管理しているため,キャッシュ領域が不足した場合には参照されていないサービス情報から順に削除します。また,TP1/Client/J環境定義dccltcachetimオペランドに指定した有効時間が過ぎたサービス情報は,RPC実行時にキャッシュ領域から削除され,ネームサービスに対してサービス情報を問い合わせます。

TP1/Client/J環境定義dccacheオペランドの指定値を大きくすると,多くのサービス情報を格納でき,窓口となるTP1/Serverのネームサービスとの通信回数を削減できます。その反面,多くのキャッシュ領域中からサービス情報を検索するのでオーバヘッドが掛かります。

TP1/Client/J環境定義dccacheオペランドの指定値を小さくすると,キャッシュ領域に該当するSPPの各ノードのサービス情報が入りきらないことがあります。その場合は,クライアントから再度RPCを実行しても,キャッシュ領域に入りきらなかったノードのSPPに対してはRPC要求を実行しません。

TP1/Client/J環境定義dccltcachetimオペランドの指定値を小さくすると,古いサービス情報はただちに削除され,窓口となるTP1/Serverのネームサービスに新しいサービスス情報を問い合わせます。この場合,常に最新のサービス情報をキャッシュ領域に保持できるため,サーバの負荷に応じてRPC要求を振り分けられます。その反面,ネームサービスとの通信回数が増え,また,キャッシュ領域の書き換え処理にもオーバヘッドが掛かります。

TP1/Client/J環境定義dccltcachetimオペランドの指定値を大きくすると,窓口となるTP1/Serverのネームサービスとの通信回数を削減できます。その反面,SPPの状態変化への対応が遅れるため,起動していないSPPに対してRPC要求を実行してしまうことがあります。この場合は,別のSPPに対してRPC要求を実行する前に,キャッシュ領域中の該当するサービス情報を削除し,窓口となるTP1/Serverのネームサービスに対して,該当するサービス情報の削除要求をします。

(3) ノード間負荷バランス機能とリモートAPI機能を組み合わせた場合の動作

ノード間負荷バランス機能とリモートAPI機能を使用した場合,サーバ側の判断で負荷分散を行います。