3.8.4 性能検証用トレースに関する運用
OpenTP1は,OpenTP1で動作するサービスの主なイベントで,性能検証用トレース情報を取得しています。性能検証用トレース情報は,性能検証およびトラブルシュートの効率向上を目的とします。
prfgetコマンドでトレース情報を取得し,prfedコマンド,またはdcalzprfコマンドで編集出力します。prfgetコマンドは,性能検証用トレース情報をバイナリ形式でUNIXファイルに出力します。prfedコマンド,またはdcalzprfコマンドは,バイナリ形式のトレース情報をキャラクタ形式に編集出力します。prfedコマンド,またはdcalzprfコマンドは,トレース情報の詳細を見るために使用します。
性能検証用トレース情報取得機能の特長は次のとおりです。
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ノードおよびプロセスをわたる場合でもトレースを追うことができます。
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APIの単位でなく,内部のイベント単位でトレースを取得するので,どの処理が性能ネックか検証できます。
各トレース情報がいつ取得されたかは,出力されたイベントIDで識別します。イベントIDとトレース情報取得のタイミングについては,「付録L.1 性能検証用トレースの取得情報」を参照してください。
また,性能検証用トレースの利用例を「付録L.3 性能検証用トレース情報の解析例」に記載してあります。併せてご参照ください。
なお,この機能は,TP1/Extension 1をインストールしていることが前提です。TP1/Extension 1をインストールしていない場合の動作は保証できませんので,ご了承ください。
- 注意事項
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通常再開始,ホットスタンバイでは,トレース情報は引き継がれません。
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性能検証用トレース取得機能では,オンラインの性能に影響がないように,トレース取得での排他は行われません。このため,マルチプロセッサ環境でトレース取得の競合が発生した場合,トレース情報が抜けたり,不正なトレース情報が取得されることがあります。不正なトレース情報は,prfedコマンド,またはdcalzprfコマンドでトレース情報を編集すると,エラーレコードとして表示されます。
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性能検証用トレース取得機能での,性能検証用トレースファイル運用の流れを次の図に示します。
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オンライン中に出力されるprfトレースデータは$DCDIR/spool/dcprfinf下にprf_nnn※1というファイル名で取得されます。一つのファイルの容量は,prf_file_sizeオペランドで指定した値です。また,ファイルの世代数はprf_file_countオペランドで指定した値です。オンライン中は一つのファイル容量がいっぱいになるとスワップしてトレースを取得します。
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OpenTP1の終了処理時には,$DCDIR/spool/save下にあるprf_nnn.bk2※2をprf_nnn.bk1※2に移します。
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$DCDIR/spool/dcprfinf下のprf_nnn※1を$DCDIR/spool/save下にprf_nnn.bk2※2としてコピーします。
- 注※1
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nnn:性能検証用トレース定義のprf_file_countオペランドで指定した値を上限とした001から始まる値です。
- 注※2
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nnn:バックアップ元のファイル名に対応した値です。
(1) OpenTP1で取得する性能検証用トレース
OpenTP1では性能検証用トレースとして次の表に示すトレースを取得します。これらを総称して性能検証用トレースと呼びます。また,性能検証用トレースデータを取得するファイルを性能検証用トレースファイルと呼びます。
トレース名称 |
性能検証用トレースファイル名 |
---|---|
性能検証用トレース |
prf_nnn※ |
XAR性能検証用トレース |
_xr_nnn※ |
JNL性能検証用トレース |
_jl_nnn※ |
LCK性能検証用トレース |
_lk_nnn※ |
MCF性能検証用トレース |
_mc_nnn※ |
NAMイベントトレース |
_nm_001,_nm_002,_nm_003 |
プロセスサービスイベントトレース |
_pr_001,_pr_002,_pr_003 |
FILイベントトレース |
_fl_001,_fl_002,_fl_003 |
TRNイベントトレース |
_tr_nnn※ |
(2) 性能検証用トレースファイルのバックアップ機能
OpenTP1の性能検証用トレース取得機能では,トレースデータの誤消去による調査時の資料不足を防止するため,OpenTP1の終了時にトレースファイルのバックアップを取得しています。トレースファイルのバックアップを取得するメリットおよびデメリットは次のとおりです。
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メリット
OpenTP1終了時に,取得済みのトレースデータをバックアップすることで資料の誤消去による調査資料不足を防止できる。
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デメリット
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バックアップするためにディスク領域が必要になる。
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OpenTP1の終了に時間が掛かる。
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(3) 性能検証用トレースファイルのバックアップの抑止
性能検証用トレースファイルのバックアップ機能はメリットがある一方,定義によってはデメリットの方が大きくなる場合があります。メリットよりデメリットの方が大きい場合は,バックアップを抑止できます。この場合,OpenTP1は自動的にバックアップを取得しないため,運用に当たって性能検証用トレースファイルをバックアップするようにしなければなりません。
性能検証用トレースファイルのバックアップを抑止する場合は,障害調査などの場合に資料不足にならないように,十分に検討することをお勧めします。