3.16.3 スケールアウトの運用

スケールアウトを実行すると,新しいOpenTP1ノードを構築して,OpenTP1システムのドメイン構成に新しいOpenTP1ノードを追加します。これによって,システム拡張に伴う作業を速やかに処理できます。

<この項の構成>
(1) スケールアウトの運用モデル
(2) スケールアウトのシナリオ構成
(3) スケールアウトとDPMを利用するOpenTP1の環境設定手順

(1) スケールアウトの運用モデル

スケールアウトを実行すると,新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオ,およびドメイン構成を更新するシナリオが実行されます。

(a) ドメイン構成管理ノードを使用した場合

ドメイン構成管理ノードを使用してスケールアウトを実行する場合の運用モデルを次の図に示します。

図3-43 スケールアウトの運用モデル(ドメイン構成管理ノードを使用した場合)

[図データ]

ドメイン構成管理ノードを使用してスケールアウトを実行する場合の手順を次に示します。

  1. 新規追加ノードの構築シナリオ(a)を実行し,OpenTP1-Cを構築します。
  2. OpenTP1-N(ドメイン構成管理ノード)に対してドメイン構成の更新シナリオ(b)を実行し,OpenTP1-Cをドメイン構成に追加します。
(b) ドメイン構成管理ノードを使用しない場合

ドメイン構成管理ノードを使用しないでスケールアウトを実行する場合の運用モデルを次の図に示します。

図3-44 スケールアウトの運用モデル(ドメイン構成管理ノードを使用しない場合)

[図データ]

この運用モデルでは,システム内のドメイン構成をノードがお互いに設定し合って管理します。新しくOpenTP1ノードを構築したあと,ほかのノードが新規ノードを認識できるように,すべてのノードに対してドメイン構成を更新します。

ドメイン構成管理ノードを使用しないでスケールアウトを実行する場合の手順を次に示します。

  1. 新規追加ノードの構築シナリオ(a)を実行し,OpenTP1-Dを構築します。
  2. OpenTP1-A,B,Cに対してそれぞれドメイン構成の更新シナリオ(b)を実行し,OpenTP1-Dをドメイン構成に追加します。
  3. OpenTP1-Dに対してドメイン構成の更新シナリオ(b)を実行し,システム内の他ノード(OpenTP1-A,B,C)をドメイン構成に追加します。

(2) スケールアウトのシナリオ構成

OpenTP1のスケールアウトでは,新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオを実行したあとに,ドメイン構成を更新するシナリオを実行します。

それぞれのシナリオについて説明します。

(a) 新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオ

新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオの実行順序を,次の図に示します。

図3-45 新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオの実行順序

[図データ]

各シナリオテンプレートの説明を次の表に示します。

表3-35 新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオのシナリオテンプレート

項番シナリオテンプレートの名称説明
1OpenTP1_MakeTP1Dir※1OpenTP1ディレクトリの作成
2OpenTP1_SetConfig※1OpenTP1の定義設定
3OpenTP1_ChangeNodeID※2ノードIDの設定
4OpenTP1_Deploy※2OpenTP1の登録
5OpenTP1_MakeFileSystem※1OpenTP1ファイルシステムの作成
6OpenTP1_Start※2OpenTP1の起動
7OpenTP1_StartUAP※2UAPの起動
注※1
ユーザが作成します。OpenTP1が提供するサンプルについては,「3.16.6 サンプルシナリオテンプレートの利用」を参照してください。
注※2
OpenTP1が提供します。詳細については,「付録M シナリオテンプレートの詳細」を参照してください。

(b) ドメイン構成を更新するシナリオ

ドメイン構成を更新するときの前提条件を次に示します。

ドメイン構成を更新するシナリオの実行順序を,次の図に示します。

図3-46 ドメイン構成を更新するシナリオの実行順序

[図データ]

各シナリオテンプレートの説明を次の表に示します。

表3-36 ドメイン構成を更新するシナリオのシナリオテンプレート

項番シナリオテンプレートの名称説明
1OpenTP1_AddNodeドメイン定義ファイルへの追加
2OpenTP1_UpdateDomainドメイン構成の更新

これらのシナリオテンプレートはOpenTP1が提供します。詳細については,「付録M シナリオテンプレートの詳細」を参照してください。

(3) スケールアウトとDPMを利用するOpenTP1の環境設定手順

スケールアウトを実行すると,OpenTP1の環境設定手順の一部を自動化できます。ここでは,スケールアウトとDPMのディスク複製機能を利用する場合の環境設定手順について説明します。手順1.~8.は,スーパユーザが実行してください。また,手順1.~5.はOpenTP1システムのマスタコンピュータ(ディスク複製元)で,手順6.はDPMがインストールされているコンピュータで,手順7.~9.は新しく追加するOpenTP1ノード(ディスク複製先)で実行してください。

  1. /etc/hostsファイルに,OpenTP1システムが使用するホスト名を登録します。
  2. OpenTP1管理者を登録します。
    詳細については,「1.2.1 OpenTP1管理者の登録」を参照してください。
  3. OpenTP1グループを設定します。
    詳細については,「1.2.2 OpenTP1グループの設定」を参照してください。
  4. OpenTP1のプログラムプロダクトをインストールします。
    OpenTP1のプログラムプロダクトをインストールするディスク(マスタディスク)は,必ずOSと同じディスクに作成してください。
  5. スケールアウトで使用する,OpenTP1の環境設定をするためのファイルを作成します。
    詳細については,「3.16.6(3) サンプルシナリオテンプレートのカスタマイズ」を参照してください。
  6. DPMのディスク複製機能を利用して,OpenTP1システムのマスタコンピュータからバックアップしたディスクを,新しく追加するOpenTP1ノードにリストアします。
    ディスク複製先のネットワークタイプは,DHCPではなく固定IPで割り当ててください。DPMの使用方法については,マニュアル「JP1/ServerConductor/Deployment Manager」を参照してください。
  7. JP1/AJS - Agentをセットアップします。
    JP1/AJS - Agentのセットアップ方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 構築ガイド」を参照してください。
  8. OpenTP1ファイルシステムにrawデバイスを割り当てます。
    OpenTP1ファイルシステムをキャラクタ型スペシャルファイルで運用する場合は,スケールアウトでのOpenTP1ファイルシステムの初期設定を自動的に処理するために,OpenTP1ファイルシステムにrawデバイスを割り当てます。
  9. スケールアウトを実行します。
    スケールアウトを実行すると,新しいOpenTP1ノードを追加するシナリオが実行されます。このシナリオが実行されると,次に示す処理を自動的に実行できます。
    1. OpenTP1ディレクトリの作成
    2. システム定義の作成
    3. OpenTP1のOSへの登録
    4. OpenTP1ファイルシステムの初期設定
    5. OpenTP1ファイルの作成