4.3.17 稼働統計情報の出力

アンロードジャーナルファイルから稼働統計情報を収集し,編集して出力できます。

この場合,jnlsttsコマンド,またはjnlmcstコマンドを使用します。

jnlsttsコマンドで編集出力できる稼働統計情報は,システム統計情報,トランザクション統計情報,レスポンス統計情報,および通信遅延時間統計情報です。

jnlmcstコマンドで編集出力できる稼働統計情報は,MCF稼働統計情報です。

また,次のコマンドを使用すると,アンロードジャーナルファイルを使用しないで稼働統計情報を出力できます。

<この項の構成>
(1) jnlsttsコマンドで編集できる稼働統計情報
(2) jnlmcstコマンドで取得できる稼働統計情報
(3) dcreportで取得できる稼働統計情報
(4) mcfstats,mcfreportで取得できる稼働統計情報

(1) jnlsttsコマンドで編集できる稼働統計情報

(a) システム統計情報

jnlsttsコマンドの-eオプション(編集項目)にsysを指定します。jnlsttsコマンドを実行すると,収集したシステム統計情報が時系列に編集出力されます。編集範囲を指定すると,ユーザが必要な範囲の情報だけを編集出力できます。

編集内容は,システムジャーナルファイルに出力できるシステム統計情報の編集内容と同じですので,表E-2を参照してください。

(b) トランザクション統計情報

jnlsttsコマンドの-eオプション(編集項目)にtrnを指定します。jnlsttsコマンドを実行すると,トランザクションブランチ起動元ユーザサーバ名単位,またはトランザクションブランチ起動元ユーザサーバのサービス名単位に,収集したトランザクション統計情報が時系列に編集出力されます。編集範囲を指定すると,ユーザが必要な範囲の情報だけを編集出力できます。

なお,トランザクション統計情報を取得するためには,あらかじめ,ユーザサービス定義でtrn_statistics_itemオペランドでnothing以外を指定しておく必要があります。

トランザクション統計情報の編集内容を次の表に示します。

表4-8 トランザクション統計情報の編集内容

編集内容単位
項目発生件数編集値
平均最大最小
ブランチ実行時間(同期点処理時間を含む)×マイクロ秒
ブランチ同期点処理実行時間×マイクロ秒
ブランチ本体決着方法×××件数
子ブランチ含む決着方法×××件数
ブランチ決着プロセス種別×××件数
(凡例)
○:編集できます。
×:編集できません。
(c) レスポンス統計情報

jnlsttsコマンドの-eオプション(編集項目)にrspを指定します。jnlsttsコマンドを実行すると,サービス名単位に,収集したレスポンス統計情報が時系列に編集出力されます。編集範囲を指定すると,ユーザが必要な範囲の情報だけを編集出力できます。

なお,レスポンス統計情報を取得するためには,あらかじめ,ユーザサービス定義でrpc_response_statistics=Yと指定しておく必要があります。

表4-9に示す項目のうち,RPC種別,レスポンスタイムを取得したい場合は,クライアント側(dc_rpc_callの呼び出し元)UAPのユーザサービス定義のrpc_response_statisticsオペランドでYを指定してください。指定していない場合,この二つの情報は取得されないで,jnlsttsコマンドの編集結果には0データが出力されます。

サービス実行時間,サービス待ち時間については,クライアント側,サーバ側のどちらのユーザサービス定義のrpc_response_statisticsオペランドでYを指定しても情報は取得されます。

レスポンス統計情報の編集内容を次の表に示します。

表4-9 レスポンス統計情報の編集内容

編集内容単位
項目発生件数編集値
平均最大最小
RPC種別×××件数
レスポンスタイムマイクロ秒
サービス実行時間マイクロ秒
サービス待ち時間マイクロ秒
(凡例)
○:編集できます。
×:編集できません。
(d) 通信遅延時間統計情報

jnlsttsコマンドの-eオプション(編集項目)にdlyを指定します。jnlsttsコマンドを実行すると,送信先のノード識別子単位に,収集した通信遅延時間統計情報が時系列に編集出力されます。編集範囲を指定すると,ユーザが必要な範囲の情報だけを編集出力できます。

通信遅延時間統計情報の編集内容を次の表に示します。

表4-10 通信遅延時間統計情報の編集内容

編集内容単位
項目発生件数編集値
平均最大最小
通信遅延時間マイクロ秒
(凡例)
○:編集できます。

(2) jnlmcstコマンドで取得できる稼働統計情報

jnlmcstコマンドを使用して,MCF稼働統計情報のメッセージ受信系,および送信系の情報を編集出力できます。

論理端末名称ごと,またはアプリケーション名ごとに編集出力できます。どちらの場合も編集範囲やジャーナル取得モードの指定によって,ユーザが必要な範囲の情報だけを出力できます。

なお,jnlmcstコマンドは,MCFの取得する統計ジャーナル(IJ,GJ,OJ,AJ)からMCF稼働統計情報を編集出力します。したがって,MCF稼働統計情報を編集出力する場合は,あらかじめ次の定義を指定してください。

jnlmcstコマンドで編集するMCF稼働統計情報の編集内容を次の表に示します。

表4-11 MCF稼働統計情報の編集内容(jnlmcstコマンド)

統計情報種別編集内容単位
事象出力形式編集値
最小最大平均合計
メッセージ受信系情報問い合わせメッセージ入力数0~4294967295​,
または*
件数
一方受信メッセージ入力数0~4294967295​,
または*
件数
受信要求発行数0~4294967295​,
または*
回数
受信メッセージサイズ0~4294967295​,
*,または-
×バイト
メッセージ送信系情報優先分岐送信要求発行数0~4294967295​,
または*
回数
一般分岐送信要求発行数0~4294967295​,
または*
回数
応答送信要求発行数0~4294967295​,
または*
回数
出力数(セグメント)0~4294967295​,
または*
件数
(凡例)
○:編集できます。
×:編集できません。

(3) dcreportで取得できる稼働統計情報

dcreportコマンドを使用すると,共用メモリ上に取得したシステム統計情報を,標準出力へリアルタイムに編集出力できます。

このコマンドで編集出力できるシステム稼働統計情報の詳細,および編集内容については,表E-1および表E-2を参照してください。なお,このコマンドでシステム稼働統計情報を編集出力する場合,あらかじめシステム共通定義でset statistics=Yを指定しておく必要があります。

(4) mcfstats,mcfreportで取得できる稼働統計情報

mcfstatsコマンドを使用してMCF稼働統計情報を取得し,mcfreportでMCF稼働統計情報を編集出力できます。

これらのコマンドで取得・編集出力できるMCF稼働統計情報の種別を,次の表に示します。なお,これらのコマンドでMCF稼働統計情報を取得・編集出力する場合,あらかじめMCFマネジャ定義でmcfmcomn -w "stats=yes"を指定しておく必要があります。

表4-12 MCF稼働統計情報の種別

種別内容主な用途
受信メッセージ情報
(サービスグループ単位)
メッセージ処理回数
メッセージ処理待ち数・時間・合計値・最大値・最小値
サービスグループ関連チューニング用
送信メッセージ情報
(論理端末単位)
論理端末関連チューニング用
コネクション処理待ち情報(通信サーバ単位)最大処理多重度チューニング用(mcfttred -m)

稼働統計情報の出力開始および出力終了の契機は次のとおりです。

mcfreportコマンドで編集するMCF稼働統計情報の編集内容を次の表に示します。

表4-13 MCF稼働統計情報の編集内容(mcfreportコマンド)

編集内容単位
編集種別取得値発生件数編集値
平均最大最小
受信メッセージ情報スケジュール待ち行列数要求数
スケジュール待ち時間×
送信メッセージ情報スケジュール待ち行列数要求数
スケジュール待ち時間×
コネクション処理待ち情報スケジュール待ち行列数要求数
スケジュール待ち時間×
(凡例)
○:編集できます。
×:編集できません。