ここでは,論理端末に関する運用について説明します。
論理端末の状態は,mcftlsleコマンドで表示できます。
表示内容はMCF識別子,論理端末名称,論理端末状態,未送信メッセージ数,最大未送信メッセージ数などです。
TP1/NET/OSI-TPでは,論理端末に状態を持ちません。
論理端末の状態は,UAPからの関数の発行でも取得できます。詳細については,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。
論理端末は,mcftdctleコマンドで閉塞できます。閉塞中の分岐メッセージの送信要求は,出力キューに滞留します。
論理端末の閉塞は,mcftactleコマンドで解除できます。閉塞が解除されると,出力キュー上に残っているメッセージが送信されます。
メッセージの受信仕掛り中,または送信仕掛り中に,論理端末を閉塞するmcftdctleコマンドを実行した場合,OpenTP1の動作はご使用のプロトコル製品によって異なります。プロトコル製品ごとのOpenTP1の動作を次の表に示します。
表5-1 受信仕掛り中,または送信仕掛り中にmcftdctleコマンドを入力したときの動作
状況 | OpenTP1の動作 | ご使用のプロトコル製品 |
---|---|---|
受信仕掛り中のmcftdctle入力 | 受信仕掛り中のメッセージを破棄します。 以降の受信メッセージは入力キューに登録しません。 |
|
論理端末が閉塞状態でも,メッセージを受信します。 論理端末閉塞によるメッセージ受信処理への影響はありません。 |
| |
送信仕掛り中のmcftdctle入力 | mcftdctleコマンドがエラーリターンします。 分岐メッセージの送信仕掛り中でない場合は,論理端末は閉塞されます。 |
|
分岐メッセージの送信処理が中断されます。 UAPからの送信メッセージは,出力キュー上に格納されます。 |
| |
分岐メッセージの送信処理が中断されます。 UAPからの送信メッセージは,破棄されます。 |
| |
分岐メッセージの送信処理が中断されます。 UAPからの送信メッセージは,出力キューにディスクキューを使用している場合は,出力キュー上に格納されます。出力キューにメモリキューを使用している場合は,破棄されます。 |
| |
分岐メッセージの送信処理を中断しません。 送信仕掛り中のメッセージの送信完了後に論理端末が閉塞されます。 |
|
論理端末の閉塞と閉塞解除は,UAPからの関数の発行でも実行できます。詳細については,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。
誤って送信要求したメッセージや送信に失敗したメッセージを破棄したい場合,mcftspqleコマンドを使用します。mcftspqleコマンドを実行すると,キューイングされているメッセージの先頭メッセージを破棄できます。ただし,mcftspqleコマンドを実行する前に,mcftdctleコマンドで論理端末を閉塞しておく必要があります。TP1/NET/HNA-560/20プロトコルを使用している場合は,さらにmcftdctssコマンドでセションを終了しておく必要があります。
また,mcftspqleコマンドを実行する前に,mcftlsleコマンドで論理端末の状態を表示すると,論理端末の状態や未送信メッセージ数などを確認できます。
端末障害が発生したような場合,mcftdmpquコマンドで出力キューに滞留しているディスクメッセージの内容を確認できます。mcftdmpquコマンドを実行すると,出力キューの内容が指定したファイルに複写されます。-aオプションを指定すると,以前mcftdmpquコマンドを実行したときの複写先ファイルに,出力キューの内容が再び追加書き込みされます。
ただし,mcftdmpquコマンドを単独で使用する場合は,mcftdmpquコマンドを実行する前にmcftdctleコマンドで論理端末を閉塞しておく必要があります。また,mcftdlqleコマンド(出力キューの削除)と組み合わせてmcftdmpquコマンドを使用する場合は,mcftdmpquコマンドを実行する前にmcfthldoqコマンドで出力キュー処理を保留しておく必要があります。このとき,mcftdlqleコマンドの-dオプション(削除種別)にはdiskを指定してください。
論理端末の出力キューの内容複写(mcftdmpquコマンド)と削除(mcftdlqleコマンド)を続けて行う場合は,複写するメッセージ件数と削除するメッセージ件数を一致させる必要があります。そのため,この間出力キューへの入力,およびスケジュールを抑止しなければなりません。このように一時的な出力キューへの入力,スケジュールの保留は,mcfthldoqコマンドで実行できます。mcfthldoqコマンドを実行すると,オプションの指定によって,出力キューの入力,スケジュール,または入力とスケジュールの両方を保留します。
出力キュー処理の保留は,mcftrlsoqコマンドで解除できます。
mcfthldoqコマンドはOpenTP1システムに次のような影響を与えるので,使用する際にはご注意ください。また,mcfthldoqコマンドを実行後,目的の処理が終了したら,必ずmcftrlsoqコマンドを実行してください。
mcfthldoqコマンド,またはmcftrlsoqコマンドで変更した状態(出力キューの入力,およびスケジュールの保留と保留解除状態)を,全面回復時に引き継ぐことができます。MCF通信構成定義の状態引き継ぎ定義で,論理端末数の上限値を指定しておくと,指定した値までの資源の状態を引き継ぎます。このとき,スケジュールの保留によってOTQに滞留していたメッセージは,全面回復後でも保留解除待ち状態で引き継がれます。入力の保留によってOTQへの入力を待たされているメッセージは,全面回復時,OTQに入力されます。
コネクションの確立後,出力キューに残っているメッセージを破棄する場合,mcftdlqleコマンドを使用します。
mcftdlqleコマンドのオプションの指定によって,ディスクキューだけを削除したり,ディスクキューとメモリキューを両方とも削除したりできます。
ただし,mcftdlqleコマンドを単独で使用する場合は,mcftdlqleコマンドを実行する前にmcftdctleコマンドで論理端末を閉塞しておく必要があります。
TP1/NET/HNA-560/20プロトコルを使用している場合は,さらにmcftdctssコマンドでセションを終了しておく必要があります。また,論理端末が代行元論理端末であってはなりません。
mcftdmpquコマンド(入出力キューの内容複写)と組み合わせてmcftdlqleコマンドを使用する場合は,mcftdmpquコマンドを実行する前にmcfthldoqコマンドで出力キュー処理を保留しておく必要があります。この場合,mcftdlqleコマンドの-dオプション(削除種別)にはdiskを指定してください。
論理端末の出力キュー削除は,UAPからの関数の発行でも実行できます。詳細については,マニュアル「OpenTP1 プログラム作成の手引」を参照してください。
端末障害が発生したような場合,次の手順で論理端末の出力キューの内容をファイルに出力できます。
入出力キューのダンプファイルの形式については,「付録A 入出力キューのダンプファイルの形式」を参照してください。
メッセージジャーナル(MJ)を取得する場合,mcftactmjコマンドを使用します。mcftactmjコマンドを実行すると,指定された論理端末に関するメッセージジャーナルの取得を開始します。メッセージジャーナルは,入力メッセージ編集UOCコール後と出力メッセージ編集UOCコール前に取得されます。
メッセージジャーナルの取得を終了するには,mcftdctmjコマンドを実行します。
継続問い合わせ応答処理を終了する場合,mcftendctコマンドを使用します。mcftendctコマンドを実行すると,指定した論理端末に対する継続問い合わせ応答を強制的に終了できます。
なお,mcftendctコマンドは,TP1/NET/XMAP3プロトコル,またはTP1/NET/HNA-560/20プロトコル使用時に使用できるコマンドです。
継続問い合わせ応答処理については,マニュアル「OpenTP1 プロトコル TP1/NET/XMAP3編」,またはマニュアル「OpenTP1 プロトコル TP1/NET/HNA-560/20編」を参照してください。
メッセージ送信先の論理端末が閉塞状態の場合,または障害があってメッセージを出力できない場合,mcftstaltコマンドを使用します。mcftstaltコマンドを実行すると,メッセージの出力を別の論理端末が代行します。
代行送信を終了するには,mcftedaltコマンドを実行します。
なお,mcftstalt,およびmcftedaltコマンドは,TP1/NET/XMAP3プロトコル,またはTP1/NET/HNA-560/20プロトコル使用時に使用できるコマンドです。
代行送信については,マニュアル「OpenTP1 プロトコル TP1/NET/XMAP3編」,またはマニュアル「OpenTP1 プロトコル TP1/NET/HNA-560/20編」を参照してください。