チェックポイントダンプファイルを二重化すると,チェックポイントダンプ取得時にA系,およびB系のファイルに同じダンプ情報を取得します。そのため,OpenTP1全面回復時にA系ファイルからの回復に失敗しても,B系ファイルを使用して回復できるので,チェックポイントダンプファイルの世代戻りを回避できます。
チェックポイントダンプファイルを二重化する場合,片系だけの運転ができる運用(片系運転可)と,片系だけの運転をしない運用(片系運転不可)の二つの運用方法があります。
片系運転可の運用では,二つの物理ファイルのうちのどちらかが,オープン状態であれば,そのファイルグループは使用できます。したがって,チェックポイントダンプの取得時,A系,またはB系のどちらかに障害が発生した場合でも,正常な系へのチェックポイントダンプの取得は続行します。正常な系へのチェックポイントダンプの取得が終わると,そのファイルグループは有効なファイルグループとなります。
片系運転不可の運用では,両方の物理ファイルがオープン状態の場合だけそのファイルグループは使用できます。どちらかの物理ファイルがオープンできない場合,そのファイルグループは予約状態になり,使用できません。ただし,A系からの読み込み時に障害が発生した場合は,B系から読み込みます。読み込み完了後,そのファイルグループは予約状態になります。
片系運転可と片系運転不可の障害時のファイルグループの状態の相違を次の表に示します。
表4-16 片系運転可と片系運転不可の障害時のファイルグループの状態の相違
障害内容 | 片系運転可 | 片系運転不可 | |
---|---|---|---|
全面回復時のオープン障害 | 片系障害 | 正常な系がオープンされ処理は続行します。 | 上書きできる状態の場合,正常な系がオープンされます(上書きできない状態になると,そのファイルグループは予約状態になります)。 上書きできない状態の場合,ファイルグループは予約状態になります。 |
両系障害 | ファイルグループは予約状態になります。 | ファイルグループは予約状態になります。 | |
チェックポイントダンプ取得中の障害(書き込み中) | 片系障害 | 正常な系に取得します。 | ファイルグループは予約状態になり,ほかのファイルグループに取得します。 |
両系障害 | ファイルグループは予約状態になり,ほかのファイルグループに取得します。 | 両系障害は起こりません。片系障害発生した時点で,障害を対策してください。 | |
チェックポイントダンプ読み込み中の障害 | A系障害 | B系から読み込みます。 | B系から読み込み,完了後にファイルグループは予約状態になります。ただし,上書きできない状態の場合は,上書きできる状態に遷移するときにそのファイルグループを予約状態にします。 |
B系障害 | ファイルグループは予約状態になり,一つ前の世代から読み込みます。 | ファイルグループは予約状態になり,一つ前の世代から読み込みます。 |
片系運転可,片系運転不可の運用方法では,どちらかの系だけの,オンライン中の割り当て,切り離し,オープン,クローズにも違いがあります。
片系だけのオンライン操作の相違を次の表に示します。
表4-17 片系だけのオンライン操作の相違
操作内容 | 片系運転可 | 片系運転不可 |
---|---|---|
片系だけのオンライン中の割り当て | できます。 | できます。 |
片系だけのオンラインからの切り離し | できます。 ただし,切り離した状態ではそのファイルグループは使用できません。 | できます。 ただし,切り離した状態ではそのファイルグループは使用できません。 |
片系だけのオープン | 両系が割り当てられている場合は,できます。 | できません。 |
片系だけのクローズ | 上書きできる状態の場合は,できます。 上書きできない状態の場合は,できません。 | できません。 |