付録H.2 システムジャーナルファイルのサイズの見積もり式

システムジャーナルファイルのサイズを見積もるために,オンライン開始から終了までに発生するジャーナル総量を求めます。オンライン中に発生するジャーナル総量の算出式を次に示します。

(トランザクション当たりの平均ジャーナル量)×(オンライン開始から終了までの総トランザクション数)
+オンライン開始から終了までにdcstatsコマンドによって取得する統計情報のジャーナル量
+(UAPのOpenTP1のRPC,1回当たりのジャーナル量)
×(オンライン開始から終了までのUAPから発行するOpenTP1のRPCの回数の総和)(単位:バイト)

算出式で使用する値について次に説明します。

 

実際に用意するジャーナルファイルの総容量は,次の算出式の結果になります。

オンライン中に発生するジャーナル総量×1.2(安全のため)+81920(単位:バイト)

ただし,一つのジャーナルファイルは次の算出式の容量以上にしてください。

(12+↑(j+336)/4096)↑×4096(単位:バイト)

(凡例)
j:システムジャーナルサービス定義で指定したjnl_max_datasizeオペランドの指定値
↑↑:小数点以下を切り上げます

上記で求めたジャーナルファイルの総容量を二つ以上のジャーナルファイルに分けて割り当てた場合,オンラインを終了するまでジャーナルをアンロードする必要はありません。しかし,実際にこのジャーナルファイル総容量を割り当てることができない場合は,この総容量の1/n(n>0)の容量を総容量として,二つ以上のジャーナルファイルに分けて割り当ててください。

ただし,このときも一つのジャーナルファイルの容量は,上記の算出式の容量以上を確保してください。この場合,一つのジャーナルファイルはオンライン終了までにn回再使用されることになり,それだけジャーナルファイルをアンロードする運用が必要になります。

また,ジャーナルファイルの障害に備え,なるべく予約のジャーナルファイルも割り当ててください。予約のジャーナルファイルも上記の算出式に示す容量以上の確保が必要です。

ジャーナルファイルを二重化する場合(システムジャーナルサービス定義のjnl_dualオペランドにYを指定)は,上記に示したジャーナルファイルはすべて二つずつ必要ですので,ジャーナルファイル総容量としては2倍になります。

二重化するジャーナルファイルのペアは,同じ容量にしてください。異なる容量であってもOpenTP1は動作しますが,ジャーナルファイル容量としては小さい方の容量で動作することになり,むだな領域が発生します。

表H-4 1トランザクション当たりのジャーナル量

分類条件ジャーナルレコード長変数の説明条件に一致したときに取得されるジャーナルレコード種別
固有部1トランザクションブランチごとに無条件672+56×tb+40×tr+1216×(tc+tu)+8×(ts+tt+tu)+224×tx+208×ty+1384×(tz+tv)tb:発行済みトランザクショナルRPC数
tr:アクセス済みRM数
tc:発行済みCRM経由RPC数
ts:tb=0の場合0,tb>0の場合1
tt:tr=0の場合0,tr>0の場合1
tu:tc=0でかつCRM経由RPCで呼ばれてトランザクションを開始したブランチでない場合0,tc>0またはCRM経由RPCで呼ばれてトランザクションを開始したブランチの場合1
tx:UJ取得後のRPC発行回数
ty:UJ取得後初めてアクセスするRM数
tz:UJ取得後のCRM経由RPC発行数
tv:tu=1またはtz=0の場合0,tu=0かつtz>0の場合1
cj,hj,pj,tj
UAP履歴情報を取得する場合UAP履歴情報を取得しているトランザクションブランチの場合,その取得1回114+ulul:UAP履歴情報長uj
DAMを使用している場合トランザクション内でDAMファイルを更新する場合,そのトランザクションブランチごと128+Σ(24+du)du:DAMファイルのブロック長
Σ:該当トランザクションブランチでの更新の総和
fj
DAMサービス定義のdam_update_block_overオペランドでflushを指定している場合,トランザクション内でDAMファイルを更新するとき,そのトランザクションブランチでDAMファイルの更新件数が一括更新ブロック数(DAMサービス定義のdam_update_blockオペランドの指定値)を超えるごと128+Σ(24+du×2)du:DAMファイルのブロック長
Σ:該当トランザクションブランチでの更新件数(前回ジャーナル出力後からの更新件数)
fj
DAMサービス定義のdamfile定義コマンドの-dオプションを指定した場合,このオプションを指定したDAMファイルを更新したとき
DAMサービス定義のdam_io_intervalオペランドの指定値の間隔およびチェックポイントダンプの有効化完了時ごと
64×2xj
オンラインバックアップ(dambkupコマンドの-oオプション指定)を実行するごと64xj
TAMを使用している場合トランザクション内でTAMファイルを更新する場合,そのトランザクションブランチごと128+Σ(64+tu×2)tu:TAMファイルのレコード長
Σ:該当トランザクションブランチでの更新の総和
cj
MCFを使用している場合MCF通信構成定義のmcftalcle -o aj=yesを指定した論理端末にメッセージを送信し,その送信完了するごと(通信プロセスで)176aj
トランザクション内のUAPプロセスから出力論理端末へ出力通番指定の論理メッセージを送信するごと160cj
トランザクション外(mcfaalcap -n trnmode=notrnを指定)のUAPプロセスから出力端末へ出力通番指定の論理メッセージを送信するごと128
通信プロセスで論理メッセージを受信するごと↑{88+24×(↑mc/ql↑)+mc※1}/4↑×4mc:受信した論理メッセージの長さ
ql:キューファイル物理レコード長
通信プロセスで論理メッセージを送信するごと112
トランザクションブランチ完結ごと↑{260+24×Sn+Σ(24×(↑mc/ql↑))+Σmc※2}/4↑×4mc:送信した論理メッセージの長さ
ql:キューファイル物理レコード長
Sn:該当トランザクションで受信した論理メッセージ数
Σ:該当トランザクションで送信した論理メッセージの総和
通信プロセスでDISKキューを使用して出力通番指定の論理メッセージを送信するごと144
mcfallcap -j gj=yesを指定したアプリケーション(MHPサービス)からメッセージ受信を行うごと↑(204+mg)/4↑×4mg:受信するメッセージセグメント長gj
通信プロセスでmcfallcap -j ij=yesを指定したアプリケーションに対応するメッセージを受信するごとΣ(↑(172+si)/4↑×4)si:単一セグメントの場合は入力メッセージ長と同じ値
複数セグメントの場合はおのおののセグメント長と同じ値
Σ:セグメント対応にジャーナルを取得するためその総和
ij
mcftactmjコマンドが実行された論理端末にmcftdctmjコマンドが実行されるまでの間に通信プロセスでその論理端末にメッセージを受信およびメッセージを送信するごとΣ(↑(180+sm)/4↑×4)sm:単一セグメントの場合は受信または送信メッセージ長と同じ値
複数セグメントの場合はおのおののセグメント長と同じ値
Σ:セグメント対応にジャーナルを取得するためその総和
mj
SPPの場合:アプリケーションプログラムの起動,メッセージの再送,メッセージの送信を行うごと
MHPの場合:mcfallcap -j oj=yesを指定したアプリケーション(MHPサービス)からアプリケーションプログラムの起動,応答メッセージの送信,メッセージの再送,メッセージの送信を行うごと
↑(204+mo)/4↑×4mo:送信するメッセージセグメント長oj
統計情報トランザクションサービス定義のtrn_tran_statisticsオペランドにYを指定,またはtrnsticsコマンドの-sオプションを実行(統計情報の取得は次のトランザクションから)した場合,ユーザサービス定義のtrn_statistics_itemオペランドにnone以外を指定しているトランザクションごと276sj
ISAMを使用している場合トランザクション内でISAMファイルを更新する場合,トランザクションブランチごと104+Σ1(52)
+Σ2(40+iu×2)
+Σ3(40)
+Σ4(32+iu)
+Σ5(24)
iu:ISAMファイルのレコード長
Σ1:該当トランザクションブランチでのオープン,クローズ関数の発行の総和
Σ2:該当トランザクションブランチでのレコード更新関数の発行の総和
Σ3:該当トランザクションブランチでのロック関数の発行の総和
Σ4:該当トランザクションブランチでのレコード追加関数の発行の総和
Σ5:該当トランザクションブランチでのレコード削除関数の発行の総和
fj
(凡例)
-:該当しません。
注※1
メッセージキューサービス定義のque_io_maxrecsizeオペランドの指定値がmcよりも大きい場合,加算してください。
注※2
メッセージキューサービス定義のque_io_maxrecsizeオペランドの指定値がΣmcよりも大きい場合,加算してください。

 

表H-5 dcstatsコマンドによって取得する統計情報のジャーナル量

分類条件ジャーナルレコード長変数の説明条件に一致したときに取得されるジャーナルレコード種別
統計情報dcstatsコマンドの実行によって,システム統計情報のジャーナル出力開始から-rオプションを指定したdcstatsコマンドの実行までの間にdcstatsコマンドのmオプションで指定した時間間隔ごと(80+ak×24)×asak:dcstatsコマンドの-kに指定した統計情報種別を次に示す値に置き換えたときの和(ただし,-kを省略した場合は117)
rpc:4
lck:3
prc:3
nam:3
que:11
scd:4
mcf:5
mqa:12
dam:9
tam:6
trn:2
cpd:2
jnl:21
osl:19
ist:7
xat:3
as:dcstatsコマンドに-aを指定した場合は,全ユーザサーバ数+1
dcstatsコマンドに-sを指定した場合は,dcstatsコマンドに指定したユーザサーバ数+1
dcstatsコマンドに-aオプション,または-sオプションを指定しない場合で,dcstatsコマンドにユーザサーバを指定したときは指定したユーザサーバ数,指定しないときは1
sj

表H-6 RPC1回当たりのジャーナル量

分類条件ジャーナルレコード長変数の説明条件に一致したときに取得されるジャーナルレコード種別
統計情報システム共通定義のrpc_delay_statisticsオペランドにYを指定している場合RPCごと80sj
ユーザサービス定義のrpc_response_statisticsオペランドにYを指定している場合RPCごと272×2
(凡例)
-:該当しません。