システムサービス共通情報定義

システム構成によっては,システムサービス共通情報定義を指定する必要があります。システムサービス共通情報定義では,複数のMCF通信サービスに共通する情報を定義します。この定義ファイルは,標準値を定義した状態で製品に含まれています。必要に応じて,テキストエディタを使用して定義値を変更してください。

形式

set形式

 set max_socket_descriptors=ソケット用ファイル記述子の最大数
 set max_open_fds=MCF通信プロセスでアクセスするファイルの最大数
 set thdlock_sleep_time=スレッド間で排他が競合した場合のスレッドの待ち時間
〔set mcf_prf_trace_level=MCF性能検証用トレース情報の取得レベル〕

putenv形式

〔putenv DCMCFQUEBAK MCF構成変更準備停止時のバックアップファイル名〕

機能

システムサービス共通情報定義では,複数のMCF通信サービスに共通する情報を定義します。この定義ファイルは,標準値を定義した状態で製品に含まれています。次に示すオペランドについては,必要に応じて,テキストエディタを使用して定義値を変更してください。ほかのオペランドについては,変更しないでください。

説明

set形式のオペランド

max_socket_descriptors=ソケット用ファイル記述子の最大数

 ~〈符号なし整数〉((64~2047))

各MCF通信プロセスでソケット用に使用するファイル記述子の数の中で最大値を指定します。

OpenTP1制御下のプロセスでは,システムサーバやユーザサーバとの間で,ソケットを使用したTCP/IP通信でプロセス間の情報交換をしています。そのため,同時に稼働するUAPプロセスの数などによって,ソケット用のファイル記述子の最大数を変更する必要があります。

各MCF通信プロセスが使用するソケット用ファイル記述子の最大数の計算式を,次に示します。自OpenTP1内のMCF通信プロセスごとに計算を行い,その結果のうちの最大値が64より大きい場合は,その値を指定します。64または64より小さい場合は,64を指定します。

↑(このMCF通信プロセスに対してメッセージ送信要求を行うUAPプロセス数※1
+システムサービスプロセス数※2+このMCF通信プロセスに対して同時に処理要求を行う運用コマンド数)/0.8↑

(凡例)
↑↑:小数点以下を切り上げます。
注※1
アプリケーション起動サーバに対するアプリケーション起動要求を行うUAPプロセス数も含みます。
注※2
システムサービスプロセス数とは,自OpenTP1内のシステムサービスプロセス数です。自OpenTP1内のシステムサービスプロセスは,rpcstatコマンドで表示されるサーバ名をカウントすることで求められます。rpcstatコマンドで表示されるサーバ名のうち,マニュアル「OpenTP1 解説」のOpenTP1のプロセス構造に記載されているシステムサービスプロセスをカウントしてください。

max_open_fds=MCF通信プロセスでアクセスするファイルの最大数

 ~〈符号なし整数〉((100~2016))《500》

各MCF通信プロセスでアクセスするファイル数の最大値を指定します。

MCF通信プロセスが行うメッセージの送受信にもファイル記述子が使われます。この数が不足すると,コネクションの確立ができないなどの障害が発生するため,事前に必要となるファイル記述子の数を設定しておく必要があります。

各MCF通信プロセスが使用するファイル記述子の最大数の計算式を,次に示します。自OpenTP1内のMCF通信プロセスごとに計算を行い,その結果のうちの最大値が500より大きい場合は,その値を指定します。500または500より小さい場合は,500を指定します。アクセスするファイル数が指定値を超えた場合は,その超過分はソケット用ファイル記述子使用数として扱われます。この場合,「max_socket_descriptorsオペランドの指定値-max_open_fdsオペランドの指定値の超過分」が実際のソケット用ファイル記述子の最大数になりますので,ご注意ください。

(プロトコル制御で使用するファイル記述子数1)+302

注※1
使用するプロトコル制御によって次のように値が異なります。
プロトコル制御使用ファイル記述子数
TP1/NET/HDLC,TP1/NET/HSC,
TP1/NET/HNA-560/20-Data Transportation Support
コネクション数
TP1/NET/OSAS-NIFコネクション数またはサブコネクション数
TP1/NET/HNA-NIFサブコネクション数
TP1/NET/HNA-560/20自システムのPLU数
上記以外のプロトコル制御コネクション数×2
注※2
MCF通信プロセスが扱う定義ファイルなどの数の最大値です。

なお,1プロセスで使用できるファイル記述子の最大数は2048であるため,このオペランドには,次の条件を満たす値を指定してください。

(「このオペランドの指定値」+同定義内の「max_socket_descriptorsオペランドの指定値」)≦2048

条件を満たさない値を指定した場合は,このオペランドの指定値は次に示すように強制的に補正されます。

2048-(同定義内の「max_socket_descriptorsオペランドの指定値」)

thdlock_sleep_time=スレッド間で排他が競合した場合のスレッドの待ち時間

 ~〈符号なし整数〉((1~32767))《15》(単位:ミリ秒)

MCF通信プロセスが内部で用いる排他制御関数が,スレッド間で排他の競合が発生したため排他を獲得できなかった場合のスレッドの待ち時間を,ミリ秒単位で指定します。

このオペランドにデフォルト値(15)より小さい値を指定すると,selectシステムコールの発行頻度が高くなり,CPU利用率が増加します。

スレッドで排他の競合が発生した結果,排他を獲得できなかったスレッドが待つ場合,このオペランドの指定値に従い,OSのselectシステムコールを発行します。ただし,OSやマシン環境によってselectシステムコールの待ち時間精度は異なるため,実際の待ち時間がこのオペランドに指定された値より長くなるおそれがあります。
各OSでのこのオペランドの指定値による待ち時間の測定結果の例を次の表に示します。
なお,マシン環境(OSのバージョンやパッチ適用の有無など)によっては,待ち時間が次に示す表と異なる場合があります。selectシステムコールの待ち時間精度については,OSの仕様を確認してください。
OS名バージョンthdlock_sleep_timeオペランドの指定値待ち時間
AIX5L V5.3指定値指定値
Linux5 (x86)
5 (IPF64)
指定値指定値+約1ミリ秒
HP-UX11i V2 (IPF)
11i V3 (PA-RISC)
1~9約10ミリ秒
10~19約20ミリ秒
Solaris81~9約10ミリ秒
10~19約20ミリ秒
WindowsWindows Server 20031~15約16ミリ秒
16~31約31ミリ秒

指定を省略した場合,システム共通定義の値を仮定します。

mcf_prf_trace_level=MCF性能検証用トレース情報の取得レベル

 ~((00000000~00000001))《00000000》

MCF性能検証用トレース情報の取得レベルを指定します。MCF性能検証用トレースを取得する場合は,システム共通定義のprf_traceオペランドにYを指定するか,または省略してください。

00000000
MCF性能検証用トレース情報を取得しません。
00000001
MCF性能検証用トレース情報(イベントID:0xa000~0xa0ff)を取得します。イベントIDの詳細については,マニュアル「OpenTP1 運用と操作」を参照してください。

オペランドの指定に誤りがある場合は,OpenTP1開始処理中にOpenTP1が異常終了します。

このオペランドの使用は,TP1/Extension 1をインストールしていることが前提です。TP1/Extension 1をインストールしていない場合の動作は保証できません。

putenv形式のオペランド

DCMCFQUEBAK MCF構成変更準備停止時のバックアップファイル名

 ~〈パス名〉《$DCDIR/spool/mcf/mcfquebak》

MCF構成変更準備停止による終了中に作成するバックアップファイルの,絶対パス名を255バイト以内で指定します。

このオペランドは,再開始時に変更できます。MCF構成変更準備停止を実行する前にこのオペランドを変更しても,MCF構成変更準備停止時のバックアップファイルの格納先は変わりません。

このオペランドに$DCDIR/spool/mcf/mcfquebak以外の値を指定する場合,$DCDIR/spool配下を指定しないでください。指定した場合,dccspoolコマンドによって,MCF構成変更準備停止時のバックアップファイルが削除されることがあります。