要求されたサービスを処理するUAPを,サービス提供プログラム(SPP)といいます。SPPはOpenTP1が稼働している間,クライアントUAPから要求されたサービスを処理します。クライアントUAPからは関数呼び出しと同様の方法で,SPPのサービスを要求します。SPPがどのノードにあるかは,クライアントUAPで意識する必要はありません。
SPPは,サービスを要求されてから業務を開始します。サービスを要求されない間は,要求されるのを待っている状態となります。
SPPでは,OpenTP1のノードにあるユーザファイルへアクセスして,サーバの業務をします。OpenTP1専用のファイルへライブラリ関数でアクセスしたり,ORACLEなどのDBMSへSQL文でアクセスしたりできます。
SPPからさらに別のSPPへサービスを要求して,業務処理をネストさせることもできます。
SPPの概要を次の図に示します。
図1-9 SPPの概要
各種クライアントUAPの要求に対応するサービスを複数作成して,SPPとして一つの実行形式ファイルにまとめます。一つ一つのサービスを,C言語の場合はサービス関数(COBOL言語の場合はサービスプログラム)といいます。SPPとして一つの実行形式ファイルにするために,複数のサービスをメイン関数(COBOL言語の場合はメインプログラム)でまとめます。そして,一つのメイン関数と複数のサービス関数から構成されるSPPの実行形式ファイルを,サービスグループとしてOpenTP1に定義します。
サービス関数動的ローディング機能は,複数のサービスを UAP共用ライブラリ化※して使うため,複数のサービスをメイン関数にまとめる作業は不要です。
SPPの構成を,スタブを使う場合とサービス関数動的ローディング機能を使う場合に分けて,それぞれ以降の図に示します。
図1-10 SPPの構成(スタブを使う場合)
図1-11 SPPの構成(サービス関数動的ローディング機能を使う場合)
SPPを実行する場合,OpenTP1の開始と一緒に開始する方法と,OpenTP1の開始後に任意に開始する方法の2とおりがあります。OpenTP1の開始と一緒に開始すると,OpenTP1の開始と同時に,SPPの業務を開始できます。SPPの業務内容に応じて,開始する時期を選べます。
OpenTP1を開始する前に,OpenTP1と一緒に開始する指定をしておきます。指定方法を次に示します。
OpenTP1の開始後に任意に開始する場合は,dcsvstartコマンドの引数にSPPのユーザサーバ名を指定して実行します。
SPPのプロセスはメイン関数から開始します。メイン関数で呼び出す,SPPのサービス開始の関数(dc_rpc_mainloop関数【CBLDCRSV('MAINLOOP')】)が正常に実行されたことで,サービスを提供できる状態になります。
開始させたSPPは,メモリを効率的に使うため,事前に指定したプロセスの状態で稼働しています。開始させたSPPを常駐プロセスで稼働させる場合と,非常駐プロセスで稼働させる場合があります。常駐プロセスとした場合は,サービス要求が来るとSPPの処理を開始します。非常駐プロセスとしてある場合でも,サービス要求が来るとプロセスを自動的に起動してSPPの処理を開始します。
UAPプロセスに関する設定内容については,「1.3.5 アプリケーションプログラムの環境設定」を参照してください。
SPPが正常終了するのは,次に示す場合です。
上記のどちらかの事象が起こると,メイン関数で呼び出したdc_rpc_mainloop関数がリターンして,SPPは終了します。
SPPのプロセスを,killコマンドで終了させないでください。
SPPのメイン関数では,次に示す関数を呼び出してください。
SPPでトランザクションを開始しているときは,トランザクションをコミット(同期点を取得)してから,SPPを終了させてください。
また,SPPからMCFの関数を呼び出すときは,メイン関数でMCF環境のオープン(dc_mcf_open関数【CBLDCMCF('OPEN ')】)とMCF環境のクローズ(dc_mcf_close関数【CBLDCMCF('CLOSE ')】)を呼び出してください。
SPPの処理の概要を次の図に示します。
図1-12 SPPの処理の概要(C言語の例)