通信管理 XNF/AS 解説・運用編

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1.3.3 適用通信網・回線

XNF/ASがサポートする通信機能で使用する通信網通信回線表1-8に示します。

表1-8 XNF/ASがサポートする通信機能で使用する通信網と通信回線

手順 通信機能 通信網/通信回線 使用する
プログラム
プロダクト
種別 メディア/
インタフェース
ハイレベル OSI
TLI
CO-NS 専用回線 X.25(84)VC XNF/AS/BASE
XNF/AS/WAN※3
パケット交換網 X.25(80/84)VC
ISDN(INSネット64-TA経由) X.25(84)VC
〔回線交換〕
X.25(80/84)VC
〔パケット交換〕
OSI
拡張機能
TCP/IP XNF/AS/BASE
XNF/AS/OSI Extension
XNF/AS/OSI Extension/Cluster※1
XNF/AS/Host Adaptor※2
HNA1次局 専用回線 HDLC-NRM1次
X.25(84)VC
XNF/AS/BASE
XNF/AS/HNA1
XNF/AS/WAN※3
パケット交換網 X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
ISDN(INSネット64-TA経由) HDLC-NRM1次
〔回線交換〕
X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
〔パケット交換〕
HNA2次局 専用回線 HDLC-NRM2次
X.25(84)VC
XNF/AS/BASE
XNF/AS/HNA2
XNF/AS/WAN※3
パケット交換網 X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
ISDN(INSネット64-TA経由) HDLC-NRM2次
X.25(84)VC
〔回線交換〕
X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
〔パケット交換〕
X.25パススルー 専用回線 X.25(84)VC XNF/AS/BASE
XNF/AS/NLI
XNF/AS/WAN※3
パケット交換網 X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
ISDN(INSネット64-TA経由) X.25(84)VC
〔回線交換〕
X.25(80)PVC
X.25(80/84)VC
〔パケット交換〕
HDLCパススルー NRM 専用回線 X.21,V.24 XNF/AS/BASE
XNF/AS/HDLC
XNF/AS/WAN※3
ABM
ベーシック HSC1手順 専用回線 X.21,V.24 XNF/AS/BASE
XNF/AS/BASIC
XNF/AS/WAN※3
HSC2手順 電話網(ハイブリットホン) V.25bis
回線交換網 X.21
ISDN(INSネット64-TA経由) X.21,V.25bis
NCS-B手順 専用回線 V.24 XNF/AS/BASE
XNF/AS/NCSB
XNF/AS/WAN※3

注※1
自局IPアドレス指定機能を使用する場合に必要です。

注※2
OSI拡張高信頼化機能を使用する場合に必要です。

注※3
PCIインタフェース対応回線アダプタを使用するときは,XNF/AS/WANが必要です。PCI Expressインタフェース対応回線アダプタを使用するときは,XNF/AS/WAN Exが必要です。
<この項の構成>
(1) パケット交換網の加入条件
(2) NCS-B手順のときの接続条件
(3) HSC1/HSC2手順のときの接続条件

(1) パケット交換網の加入条件

パケット交換網をVCで使用する場合の加入条件表1-9に示します。また,発着呼時の使用ファシリティを表1-10に示します。

表1-9 パケット交換網をVCで使用する場合の加入条件

分類 項目 加入条件
OSI通信機能 X.25パススルー HNA通信機能
付加サービス 相手固定接続 ×
論理チャネル多重化
相互型閉域接続 × × ×
グループ閉域接続
通信料一括課金
着信課金受け付け
発信専用
着信専用
代表選択
マルチリンク × × ×
優先転送クラスネゴシエーション(HIPANET固有)
指定事項 デフォルトスループットクラス
フロー制御パラメタ・ネゴシエーション
スループット・クラス・ネゴシエーション
ファーストセレクト
Dビット修飾 ※1 ※1 ※1
DTEファシリティ ※2 ※2
網中継遅延選択(転送遅延選択/表示)
着信回線変更通知 × × ×
ITパケットのユーザデータ拡張 × ×

(凡例)
◎:必ず加入します。
○:加入できます。
×:加入できません。

注※1 相手システムがDビットを使用する場合は加入する必要があります。

注※2 X.25(84)VCを使用する場合は加入する必要があります。

表1-10 発着呼時の使用ファシリティ

呼ごとのオプショナル・ユーザ・ファシリティ OSIまたはHNA通信機能 X.25パススルー
着呼 発呼 着呼 発呼
フロー制御パラメタ・ネゴシエーション
スループット・クラス・ネゴシエーション ※1 ※1 ※1,※2 ※1,※2
閉域ユーザ・グループ選択 × ×
出接可閉域ユーザ・グループ選択
相互閉域ユーザ・グループ選択
着信課金 ※1 ※1 ※1,※2 ※1,※2
ファースト・セレクト ※3 ※3 ※2,※3 ※2,※3
網利用者識別 × ×
課金情報
RPOA選択
着信転送通知
被呼回線アドレス修飾通知
転送遅延選択,または表示 ▲提案値 ※2 ※2
短縮アドレス・コール × ×
起呼アドレス拡張
被呼アドレス拡張
最小スループットクラス ▲提案値 ※1網の省略値 ▲提案値 ※1網の省略値
エンド−エンド伝送遅延 ※1 ※1 ※1,※2 ※1,※2
優先データ送信ネゴシエーション ▲提案値 ×
優先転送クラスネゴシエーション(HIPANET専用) ×
課金ID通知(HIPANET専用)

(凡例)
□:使用します。
■:使用しません。
×:無視します。
△:ネゴシエーションします。
▲:ネゴシエーションしません。

注※1
使用するかどうかは,構成定義の指定に従います(上位通信機能からの指定を優先します)。

注※2
使用するかどうかは,XNF/AS/NLIが判断します。

注※3
遠隔電源投入機能を使用する場合,値は「ファーストセレクト要求あり」かつ「応答制限あり」で固定されます。

(2) NCS-B手順のときの接続条件

NCS-B手順を使用する場合の接続条件を表1-11表1-13に示します。

表1-11 通信相手との接続条件(NCS-B手順)

項目 内容 対応するオペランド
伝送速度 表1-12参照 speed(basicline文)
通信方式 半二重交互通信 該当しません。
同期方式 SYN同期方式
起動方式 コンテンション方式
応答方式 DLE・ACK/DLE・NAKによる交互応答
伝送コード JIS7+1パリティビット(奇数パリティ)
誤り制御方式 CRC方式(X16+X12+X5+1)
通信回線 専用回線
モデムインタフェース 同期モデム
モデム同期 ST1/RT方式,ST2/RT方式 modem_clock(basicline文)
局識別 優先,または非優先(APの指示で選択) 該当しません。

注※
自システムのモデムと相手システムのモデム間にデータ転送遅延要因が生じるような機器は入れないでください。データ転送,および制御コード転送に遅延が生じると,回線系の障害が発生することがあります。

表1-12にNCS-B手順のプロトコルクラスごとの伝送速度,タイマ値,再試行回数,伝送単位,伝送語数を示します(プロトコルクラスはAPの指示で選択)。プロトコルクラスは次のように対応しています。

 

表1-12 プロトコルクラスごとの接続条件

項目 プロトコルクラス
NCS_B CAFIS ARU ACS KOSIN SINKIN
2.4K 2.4K
4.8K
2.4K 4.8K
9.6K
※1
2.4K 4.8K
9.6K
※1
2.4K
4.8K
9.6K
4.8K
伝送速度(bps)
タイマ値(秒) t1 優先 0.6 1 0.6 0.2 0.6 0.2 0.6 0.6
非優先 0.8 1.5 0.8 0.4 0.8 0.4 0.8 0.8
t2 優先 0.6 1 0.6 0.2 0.6 0.2 0.6 0.6
非優先 0.8 1.5 0.8 0.4 0.8 0.4 0.8 0.8
t4 優先 0.6 3 0.6 0.2 0.6 0.2 0.6 4
非優先 0.8 3.5 0.8 0.4 0.8 0.4 2.8 0.8
t5 優先 0.6 3 0.6 0.2 0.6 0.2 0.6 4
非優先 0.8 3.5 0.8 0.4 0.8 0.4 2.8 0.8
t6 優先 6 25 6 6 6 6 6 5
非優先 5 22 5 5 5 5 5 5
t7 優先 0.6 3 1 0.5 0.6 0.5 ※2 3
非優先 0.8 3.5 1.2 0.7 0.8 0.7 2.4 3
t8 優先 6 25 6 6 6 6 6 5
非優先 5 22 5 5 5 5 5 5
再試行回数 n1 優先 2 2 2 2 2 8
非優先
n2 優先 7 7 7 7 7 7
非優先 8
n4 優先 4 4 4 4 4 4
非優先 5
n5 優先 7 7 7 7 7 7
非優先 2
伝送単位(ETBあり/なし) ETBなし ETBあり ETBあり ETBなし ETBなし ETBなし
伝送語数※3(伝送制御コードを含む) 100バイト(固定長) 最大256バイト 優先:最大270バイト
非優先:最大320バイト(推奨値)※4
100バイト(固定長) 576バイト(固定長) 最大576バイト

表内の1K(キロ)は1K=1000で計算されています。

注※1
speedオペランドに4.8K,9.6K以外を指定した場合,2.4Kのタイマ値で動作します。なお,ST2/RT方式のモデムの場合,実際の伝送速度はモデムの伝送速度となります(speedオペランド指定値は上記タイマ値の決定のために使用します)。

注※2
タイマ値の規定はありません。

注※3
XNF/ASではチェックしません。

注※4
t7タイマがタイムアウトしないための長さの推奨値です(プロトコル上の規定なし)。優先/非優先は,受信時は自分側,送信時は相手側の属性です。

《タイマ値の説明》
t1:セレクティングシーケンス再送時のディレイ時間
t2:セレクティングシーケンス送信後の応答待ち時間
t4:テキスト送信後の応答待ち時間
t5:DLE・ENQ送信後の応答待ち時間
t6:STX受信待ち時間
t7:ETX/ETB受信待ち時間
t8:EOT・EOT受信待ち時間

《再試行回数の説明》
n1:セレクティングシーケンスに対する否定応答受信回数
n2:セレクティングシーケンスに対する無応答発生時のセレクティングシーケンス再送回数
n4:テキスト送信に対する否定応答受信時のテキスト再送回数
n5:テキスト送信に対する無応答発生時のDLE・ENQ再送回数
 

表1-13 通信相手との接続条件(監視時間(NCS-B手順))

項目 時間 備考
DRオン監視時間 0〜102秒(basicline文のDR_on_check_timeオペランドで指定) モデムDR信号ONを監視する時間

注※
XNF/AS/WAN Exを使用している場合にだけ指定できます。
XNF/AS/WANを使用している場合は,固定値(30秒)で監視されます。

(3) HSC1/HSC2手順のときの接続条件

HSC1およびHSC2手順を使用する場合の接続条件を表1-14表1-16に示します。

表1-14 通信相手との接続条件(HSC1,HSC2手順)

項目 内容 対応するオペランド
伝送速度 1.2〜64Kbps speed(basicline文)
伝送方式 直列伝送(ビットシリアル伝送)
通信方式 半二重交互通信
同期方式 SYN同期方式
起動方式 コンテンション方式
応答方式 交互ACK(ACK0とACK1)
メッセージ方式 ヘッダ付きテキスト,またはヘッダなしテキスト(APの指示で選択)
伝送コード EBCDIK
誤り制御方式 CRC方式(X16+X15+X2+1またはX16+X12+X5+1) CRC(basicline文)
伝送制御手順 HSC1,またはHSC2手順 type(group文)
伝送単位 マルチブロック転送(ETBあり)
(APの指示で「ETBなし」もあります)
該当しません。
伝送語数(伝送制御コードを含む) 最大8,160
(APの指示で最大値を制限できます)
キャラクタビット配列 低位からの送出(CRCは高位から)
通信回線 HSC1手順:専用回線(V.24またはX.21)
HSC2手順:回線交換網(X.21),または電話網(V.25bis) switch_type(basicline文)
モデムインタフェース 非同期モデム(1.2〜9.6Kbps),または同期モデム(2.4〜64Kbps) 該当しません。
RS制御 ON-OFF,またはON固定 RS_control(basicline文)
モデム周期 ST1/RT方式,ST2/RT方式,または非同期モデム modem_clock(basicline文)
局識別 優先,または非優先(APの指示で選択) 該当しません。
リトライ(再試行)方式 不正応答を受信したとき,およびタイムアウトのときに再試行します。
被起動符号(被呼時の符号) 単一ENQ,またはID.ENQ(HSC2手順)
応答符号 ACK0,ACK1,あるいはID.ACK(HSC2手順),またはNAK,ID.NAK
終結符号 単一EOT,またはDLE.EOT(HSC2手順)
応答催促符号 単一ENQ
会話モード なし
特殊符号
割り込み符号キャラクタ
一時受信抑止符号 WACK(APの指示,または自動送信に従います。ただし,自動送信もAPの指示で抑止できます)
中断符号キャラクタ RVI(APの指示に従います)
テキスト一時延期符号 TTD(APの指示,または自動送信に従います。ただし,自動送信もAPの指示で抑止できます)
同期確立シーケンス

送信時
同期モデム:PAD1(AA)16+SYN×3回送信
非同期モデム:PAD1(AA)16×3回+SYN×3回送信

受信時
SYN×2回検出
最終PAD(PAD2) (FF)16
同期維持シーケンス 非透過モード:SYN-SYNを一組送信
透過モード:DLE-SYNを一組送信
呼制御(HSC2手順のときだけ) 送信時:発信起呼(発信側が起動用のENQを送信)
受信時:着信被呼(着信側が起動用のENQを受信)

表1-15 通信相手との接続条件(再試行回数(HSC1,HSC2手順))

項目 回数 対応するオペランド 備考
起動用ENQの再試行 0〜254回,または無制限 ENQ_retry(basicline文) 起動用ENQ送信後の無応答,または不正応答に対する,起動用ENQの再送回数
テキスト送信時の再試行 text_retry(basicline文) テキスト送信後の無応答,不正応答を受信したときの再送回数
テキスト送信後のWACK受信時の再試行 text_WACK_retry(basicline文) テキスト送信後に,WACKを受信したときの再送回数
ENQ送信後のWACK受信時のENQ送信再試行 ENQ_WACK_retry(basicline文) 起動用ENQ送信後のWACK応答に対する,ENQの再送回数
TTD受信後の再試行 TTD_retry(basicline文) TTD,またはABORT受信に対するNAK応答の再送回数

再試行回数は,APで指定した値が優先されます。
 

表1-16 通信相手との接続条件(監視時間(HSC1,HSC2手順))

項目 時間 備考
応答待ち監視時間 0〜102秒(basicline文のresponse_timeオペランドで指定) テキスト,またはENQ送信に対する応答符号受信までの時間
応答符号送信後の受信監視時間 応答符号送信後,伝送フレームの先頭制御符号受信,または伝送終了符号受信までの時間
送信同期維持監視時間 同期モデム:1秒
非同期モデム:0.4秒
SYNキャラクタ送出後,同期維持用SYNキャラクタ挿入までの間隔
受信同期維持監視時間 0.4〜102秒(basicline文のSYN_timeオペランドで指定) 同期維持用SYNキャラクタ受信後,次の同期維持用SYNキャラクタ受信までの間隔
テキスト受信完了監視時間 0〜102秒(basicline文のtext_receive_timeオペランドで指定) 伝送フレーム中のテキスト受信開始から受信終了までの時間
DRオン監視時間 0〜102秒(basicline文のDR_on_check_timeオペランドで指定) モデムDR信号ONを監視する時間
DRオフ監視時間 0〜102秒(basicline文のDR_off_check_timeオペランドで指定) V.25bisインタフェースによる切断時にモデムDR信号OFFを監視する時間

response_timeの値は,APで指定した値が優先されます。

注※
XNF/AS/WAN Exを使用している場合にだけ指定できます。
XNF/AS/WANを使用している場合は,basicline文のtext_receive_timeオペランドで指定した値で監視されます。