Hitachi

Linux(R),HP-UX 通信管理 XNF/LS 使用の手引


2.2.3 OSI拡張高信頼化機能

〈この項の構成〉

(1) 機能概要

OSI拡張高信頼化機能は,従来のOSI拡張機能に加え,次のような特長を持っています。

上記の機能はVOS3 XNF/TCPの仮想サーバ連携機能との接続でだけ有効となります。VOS3 XNF/TCP仮想サーバ連携機能の詳細は,マニュアル「VOS3 XNF TCP/IP 接続機能 XNF/TCP 解説」または「VOS3 XNF TCP/IP接続機能 XNF/TCP E3 解説」を参照してください。なお,上記の機能はHP-UX 11i(IPF)では使用できません。

(2) 基本構成例

(a) サーバの切り替え構成

サーバの切り替え構成では,現用系サーバから予備系サーバへの切り替えが発生した場合でも,通信路の変更を意識しないで動作できます。

(i) 現用系の仮想サーバを停止して,予備系の仮想サーバを起動する場合

構成例を図2-4に示します。

この例ではサーバAの仮想サーバを停止したあとで,サーバBの仮想サーバを起動してサーバを切り替えています。仮想サーバには同じネットワークアドレスのS1を設定しているため,切り替え後も同じネットワークアドレスを使用してサーバBとホストとの間で通信を再開できます。

図2‒4 サーバの切り替え構成例(現用系の仮想サーバを停止して,予備系の仮想サーバを起動する場合)

[図データ]

切り替えの動作
  1. サーバAの仮想サーバを停止することで,ホストにサーバAの仮想サーバの停止を通知する。

  2. サーバBの仮想サーバを起動することで,ホストにサーバBの仮想サーバの起動を通知する。

  3. ホストからサーバBに切り替え完了を通知する。

  4. 仮想サーバの切り替えが完了する。

以上によって,サーバBとホストとの間の通信を再開できます。

(ii) 現用系の仮想サーバが起動した状態で,予備系の仮想サーバを起動する場合

構成例を図2-5に示します。

この例ではサーバAの仮想サーバが起動した状態で,サーバBの仮想サーバを起動してサーバを切り替えています。この場合,サーバAの仮想サーバはホストからの停止要求によって停止します。

この場合でも仮想サーバには同じネットワークアドレスのS1を設定しているため,切り替え後も同じネットワークアドレスを使用してサーバBとホストとの間で通信を再開できます。

図2‒5 サーバの切り替え構成例(現用系の仮想サーバが起動した状態で,予備系の仮想サーバを起動する場合)

[図データ]

切り替え動作
  1. サーバBの仮想サーバを起動することで,ホストにサーバBの仮想サーバの起動を通知する。

  2. サーバAからサーバBに仮想サーバを切り替えるためにホストが送信した仮想サーバの停止要求をサーバAが受信し,サーバAの仮想サーバを停止する。

  3. ホストからサーバBに切り替え完了を通知する。

  4. 仮想サーバの切り替えが完了する。

以上によって,サーバBとホストとの間で通信を再開できます。

(b) ホストの切り替え構成

ホストの切り替え構成では,現用系ホストから予備系ホストへの切り替えが発生した場合でも,通信路の変更を意識しないで動作できます。

ホストの切り替え例を図2-6に示します。

この例ではホストAの仮想ホストが起動した状態で,ホストBの仮想ホストを起動してホストを切り替えています。この場合,ホストAの仮想ホストはサーバからの停止要求によって停止します。

仮想ホストには同じネットワークアドレスのH1を設定しているため,切り替え後も同じネットワークアドレスを使用してサーバとホストBとの間で通信を再開できます。

図2‒6 ホストの切り替え構成例

[図データ]

切り替えの動作
  1. ホストBの仮想ホストを起動することで,サーバにホストBの仮想ホストの起動を通知する。

  2. ホストAからホストBに仮想ホストを切り替えるためにサーバが送信した仮想ホストの停止要求をホストAが受信し,ホストAの仮想ホストが停止する。

  3. サーバからホストBに切り替え完了を通知する。

  4. 仮想ホストの切り替えが完了する。

以上によって,ホストBとサーバとの間で通信を再開できます。

(3) パス接続重複チェック機能

接続先相手ホスト側の定義ミスや運用ミスによってホストとサーバの間に複数のパスを接続すると意図しないで仮想サーバが停止します。このため,サーバごとに一意な識別子(サーバID)を指定することによって,パス接続時にサーバIDの重複をホストがチェックして複数のパスを接続しないようにします。

パス接続重複チェック機能を使用しないで,ホストとサーバの間に複数のパスを接続した例を図2-7に示します。

この例ではホストとサーバAの間にパスA1とパスA2を接続した状態で仮想サーバを起動すると,ホストからの停止要求によってサーバAの仮想サーバが停止します。

図2‒7 ホストとサーバ間に複数のパスを接続した例

[図データ]

パスを重複して接続した場合の動作
  1. サーバAの仮想サーバを起動することで,パスA1を介してホストに仮想サーバの起動を通知する。

  2. 1.の仮想サーバ起動の延長で,パスA2を介してホストに仮想サーバの起動を通知する。

  3. 「図2-5 サーバの切り替え構成例(現用系の仮想サーバが起動した状態で,予備系の仮想サーバを起動する場合)」の2.の動作と同様に,ホストがパスA1を介して送信した仮想サーバの停止要求をサーバAが受信する。

  4. サーバAの仮想サーバが停止する。

次にパス接続重複チェック機能を使用した場合の例を図2-8に示します。

ホストがパス接続時にサーバから通知されたサーバIDをチェックすることによって,複数のパスを接続することを防止します。

図2‒8 パス接続重複チェック機能を使用した例

[図データ]

パス接続重複チェック機能を使用した場合の動作
  1. ホストからパスA1の接続を要求する。

  2. サーバAがパスA1の接続応答でサーバID(100)を通知する。

  3. サーバAの仮想サーバを起動することで,ホストにサーバAの仮想サーバの起動を通知する。

  4. ホストからパスA2の接続を要求する。

  5. サーバAがパスA2の接続応答でサーバID(100)を通知する。

  6. サーバIDが同じであるため,ホストがパスの重複を検知する。

  7. 重複したパスA2をホストが切断する。