2.8.4 ユーザ登録ファイル作成時の注意事項

ユーザ登録ファイルを作成するときに注意が必要な事項について説明します。

<この項の構成>
(1) コメントについて
(2) 最上位組織,組織,ユーザを追加するときの記述順について
(3) 最上位組織,組織,ユーザを削除するときの記述順について
(4) 登録されている最上位組織,組織,ユーザの情報の項目削除について
(5) gmaxchkコマンド実行後にユーザ登録ファイルを修正する場合の注意点
(6) ユーザ登録ファイルの名称ついて

(1) コメントについて

ユーザ登録ファイルでは次の二つのレコード(行)をコメントとして扱います。コメントのデータは一括登録ユティリティのコマンドでは無視されます。

(2) 最上位組織,組織,ユーザを追加するときの記述順について

組織を追加する場合には,その組織が所属する最上位組織,上位組織が先に登録されている必要があります。また,ユーザを追加する場合,そのユーザが所属する最上位組織,組織が先に登録されている必要があります。そのため,追加を実施する場合は,最上位組織,組織,ユーザの順番でユーザ登録ファイルに記述します。

なお,最上位組織の追加に失敗した場合,その最上位組織に所属する組織,ユーザの追加も失敗します。同様に組織の追加に失敗した場合,その組織に所属する下位組織,ユーザの追加も失敗します。

(3) 最上位組織,組織,ユーザを削除するときの記述順について

組織を削除する場合には,その組織に所属する全ユーザ,全下位組織が削除されている必要があります。また,最上位組織を削除する場合,その最上位組織に所属する全ユーザ,全組織が削除されている必要があります。そのため,削除を実施する場合はユーザ,組織,最上位組織の順番でユーザ登録ファイルに記述します。

なお,ユーザの削除に失敗した場合,そのユーザが所属する組織,最上位組織の削除も失敗します。同様に組織削除に失敗した場合,その組織が所属する上位組織,最上位組織の削除も失敗します。

(4) 登録されている最上位組織,組織,ユーザの情報の項目削除について

Address Serverに登録されている最上位組織,組織,ユーザ,兼任ユーザの項目の一部は一括登録ユティリティで削除ができます。ただし,すべての項目が削除できるわけではありません。また,最上位組織,組織,ユーザ,兼任ユーザでそれぞれ削除できる項目が異なります。最上位組織から削除できる項目については,「2.4 最上位組織情報の設定」を参照してください。組織から削除できる項目については,「2.5 組織情報の設定」を参照してください。ユーザから削除できる項目については,「2.6 ユーザ情報の設定」を参照してください。兼任ユーザから削除できる項目については,「2.7 兼任ユーザ情報の設定」を参照してください。

削除の手順は次のとおりです。

  1. 項目削除文字列を決定します。
    半角の英数字だけを使用して,16文字以内で決定してください。英大文字と英小文字は区別されます。また,項目削除文字列は,Address Serverに登録されている最上位組織,組織,ユーザ,兼任ユーザの情報の項目と重ならない文字列にしてください。
  2. ユーザ登録ファイルを作成します。
    項目を削除したい最上位組織,組織,ユーザ,兼任ユーザの処理区分はC(変更)にします。処理区分Cに必要な項目を設定した後に,削除したい項目に手順1で決めた項目削除文字列を設定してください。削除できない項目に項目削除文字列を指定すると,その項目に項目削除文字列が登録される可能性があるので注意してください。
  3. gmaxchkコマンドを実行します。
    項目を削除する場合には,通常のオプションに加えてオプション-kと項目削除文字列を指定して実行します。なお,項目削除文字列は,大文字と小文字を区別するので注意してください。例を次に示します。

    gmaxchk -k 項目削除文字列 ユーザ登録ファイル

    gmaxchkコマンドの詳細は,「4.2 ユーザ登録ファイルのチェック gmaxchkコマンド」を参照してください。
    注意
    項目削除文字列は環境変数で指定することもできます。環境変数「ITEM_DELETE_KEY」を設定して,値に項目削除文字列を指定してください。環境変数で指定する場合,gmaxchkコマンド実行時にオプション-kを指定する必要はありません。なお,環境変数とオプション-kの両方で項目削除文字列を指定した場合は,オプション-kでの指定が有効になります。

(5) gmaxchkコマンド実行後にユーザ登録ファイルを修正する場合の注意点

gmaxchkコマンドでユーザ登録ファイルをチェックすると,チェック結果やエラー要因などをユーザ登録ファイルに書き込むだけでなく,処理区分にM(移動)を設定したレコードやメールボックス容量などのデータを内部形式に書き換えます。このようにgmaxchkコマンドはユーザ登録ファイルを一括登録ユティリティで処理できる内部形式に変更するため,変更する前にユーザ登録ファイルのバックアップを作成します。バックアップは,ユーザ登録ファイルの拡張子を.bakという名前に変更して保存します。

gmaxchkコマンドでエラーが発生したなどの理由で,チェック実行後にユーザ登録ファイルを修正する場合,gmaxchkコマンドで指定したユーザ登録ファイルではなく,コマンドによってバックアップされたファイル(拡張子が.bakのファイル)を修正してください。

gmaxchkコマンドで指定したユーザ登録ファイルは,コマンドによってデータが内部形式に書き換えられているため,この書き換えられたファイルを修正して一括登録ユティリティを実行すると,ユーザ情報が正しく登録されず,重要なユーザデータが初期化される可能性があります。そのため,gmaxchk実行後にユーザ登録ファイルを修正する場合,必ずgmaxchkコマンドでバックアップされたファイルを修正してください。gmaxchkコマンドによって書き換えられたユーザ登録ファイルは絶対に使用しないでください。書き換えられたユーザ登録ファイルを修正して一括登録ユティリティを実行した場合には動作保証されません。

ただし例外として,「5.6 組織のサーバ間移動の例」のように,gmaxchkコマンドでチェックが完了したユーザ登録ファイルのレコード(行)の位置をファイル内で前後に変更する場合に限り,ユーザ登録ファイルを編集することができます。レコードの位置を前後に変更した場合,必ずgmaxchkコマンドを実行してチェックし直してください。レコードの位置を変更する以外では,ユーザ登録ファイルを編集しないでください。

(6) ユーザ登録ファイルの名称ついて

一括登録ユティリティでは,ユーザ登録ファイル名の末尾(拡張子)が.bakのファイルを指定しないでください。