3.2.2 Agent Serverの環境設定

Agent Serverのインストール後,運用を開始する前に環境設定が必要です。初めてAgent Serverを運用する場合,及び環境を再設定する場合は,次の1.~6.の設定をしてください。

  1. 環境変数の設定
  2. servicesファイルの設定
  3. カーネルパラメタの見直し
  4. Agent Serverのシステム情報の設定(環境設定ファイルの設定)
  5. システム情報の初期化
  6. クライアントの環境設定
<この項の構成>
(1) 環境変数の設定
(2) servicesファイルの設定
(3) カーネルパラメタの見直し
(4) Agent Serverのシステム情報の設定
(5) システム情報の初期化
(6) クライアントの環境設定

(1) 環境変数の設定

Agent Server,及びAgent Server Mail Optionをインストールしたマシンの次の環境変数に値を追加します。なお,設定例として/groupmax/agentserver/sample/etc/profileを参照できます。

LANG
ja_JP.SJIS
AGENT_SV_ROOT_PATH
/groupmax/agentserver
SHLIB_PATH
/groupmax/agentserver/lib

 

また,Mail Serverがインストールされているマシンに次の環境変数を設定します。なお,これらの環境変数は,OSがHI-UX/WE2の場合は/usr/GroupMail/bin/GM_ENV,HP-UXの場合は/var/opt/GroupMail/nxcdir/GM_ENVに定義されています。ただし,XODDIR及びXODCONFPATHの設定値については,Object Serverの管理者にお問い合わせください。

NXROOT
HI-UX/WE2の場合 /usr/GroupMail
HP-UXの場合 /var/opt/GroupMail
MHSROOT
HI-UX/WE2の場合 /usr/GroupMail/x400
HP-UXの場合 /var/opt/GroupMail/x400
GM_ISDB_SCHEMA_NAME
スキーマ名
GM_ISDB_SERVER
スキーマのホスト名
XODDIR
XODCONFPATH

(2) servicesファイルの設定

Agent Serverがインストールされているマシンのservicesファイルに,次の内容を追加してください。servicesファイルは/etc/servicesにあります。

  agcscom   20027/tcp
  agsvrcon  20028/tcp
  aggml     20039/tcp

Agent ServerをMail Serverと別のマシンにインストールした場合は,Mail Serverがインストールされているマシンのservicesファイルに次の内容を追加してください。

  agsvrcon  20028/tcp
  aggml     20039/tcp

(3) カーネルパラメタの見直し

Agent Serverの使用ではUNIXのシステム資源を使用するため,Agent Serverをインストールしたマシンのシステム資源の設定を考慮する必要があります。UNIXのシステム資源の設定はカーネルパラメタで設定します。Agent Serverを使用するために変更が必要なカーネルパラメタを表3-4に示します。表3-4に示す項目について,パラメタ値を見直してください。

表3-4 変更が必要なカーネルパラメタ(Agent Server)

パラメタ名称Agent Serverが使用する値
Agent Server本体Agent Server Mail OptionAgent - Development Kit
msgmni1522
msgtql2501664
semmni401515
semmns401515
shmmni環境設定ファイルのパラメタに依存※111
shmmax10M
nfilenproc×4
ninodenproc×4
nproc環境設定ファイルのパラメタに依存※298

注※1 この値は,Agent Serverの環境設定ファイルのパラメタに依存します。以下の計算式に従って計算してください。

「10+max_login_user」

注※2 この値は,Agent Serverの環境設定ファイルのパラメタに依存します。以下の計算式に従って計算してください。

「30+(1+agent_b_class_count+agent_c_class_count)×2+max_pp_count/28+max_connect_user/28」

なお,「max_pp_count/28」及び「max_connect_user/28」の値は小数点以下を切り上げてください。


(4) Agent Serverのシステム情報の設定

Agent Serverでは,電子メールを使用するかどうか,何人のユーザが利用できるようにするかなどのシステム情報を設定する必要があります。これらの情報は,環境設定ファイルで設定します。

(a) 環境設定ファイルについて

格納先及びアクセス権限
環境設定ファイルは/groupmax/agentserver/sample/etc/configを,/groupmax/agentserver/etcディレクトリにコピーして使用してください。スーパーユーザだけが操作できます。
記述形式
環境設定ファイルで設定する各項目は,「○○○ = xxx」の形式で記述します。「○○○」は指定する対象(パラメタ)を表します。管理者は「xxx」に自分が運用する環境に関する値(パラメタ値)を指定します。
例えば「g_mail = use」は,Groupmax Mailと連携してGroupmax Agentを運用する場合の設定です。「g_mail」というパラメタに対して「use」というパラメタ値を設定しています。
そのほかに留意する項目を次に示します。
  • パラメタ値は改行まで有効です。
  • パラメタ名称と値は「=」で結び,スペース又はタブは無視されます。
  • コメントには先頭に「#」を付けます。
  • パラメタ値には,「"」で囲んだ値は設定できません。
  • パラメタ値に環境変数名は指定できません。パス名を指定するパラメタは,フルパスで指定してください。
  • 不正なパラメタ値を設定した場合は,エラーになります。このエラーは,システムファイルの初期化時又は起動時に出力されます。
  • パラメタ値には,「#」,スペース,タブ,及び改行は指定できません。

(b) 環境設定ファイルの項目

環境設定ファイルの項目を表3-5に示します。なお,表の項番1~10の項目は,運用開始前に必ず設定しておいてください。

表3-5 環境設定ファイルの項目

項番パラメタ名意味デフォルト指定できる範囲パラメタの省略
1e_mailE-mailを使用するかどうかnouseuse:使用する
nouse:使用しない
×
2e_mail_host_nameE-mailサーバのホスト名又はIPアドレス255文字までe_mailにuseを指定した場合は指定する。
3e_mail_sender_nameE-mailサーバへメールを送信する際の送信者名255文字までe_mailにuseを指定した場合は指定する。
4g_mailGroupmax Mailを使用するかどうかnouseuse:使用する
nouse:使用しない
×
5g_mail_host_nameGroupmax Mailサーバのホスト名又はIPアドレス255文字までg_mailにuseを指定した場合は指定する。
6g_mail_user_idAgent ServerがGroupmax MailにログインするためのUserID8文字までg_mailにuseを指定した場合は指定する。
7xterm_commandX Window System端末の起動X Window System端末の起動コマンドエディタを使用する場合は指定する。
8edit_command運用時の結果出力に使用するエディタvi又はfsedエディタを使用する場合は指定する。
9user_template_pathユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ255文字まで
10user_transfer_pathクライアント-サーバ間ファイル転送用ディレクトリ名255文字まで
11agent_b_class_countBクラスのプロセス数81~32×
12agent_c_class_countCクラスのプロセス数41~32×
13agent_b_class_timeBクラスの動作期限監視時間(分)1010~60×
14agent_c_class_timeCクラスの動作期限監視時間(分)1510~60×
15agent_lifetimeエージェント生存期間の監視時間間隔(日)71~30×
16agent_max_count登録できるエージェント数の上限1,00032~3,000×
17pp_retry_timePPサーバ未起動時のAgent Serverからのリトライ間隔(時間)11~24×
18max_pp_count接続するPPサーバ数の上限81~64×
19max_login_userログインできるユーザ数の上限641~1,000×
20max_connect_user同時にログインできるユーザ数の上限161~「max_login_user」で指定した値(ただし最大256)×
21definition_pathエージェント情報を格納するディレクトリ名/groupmax/agentserver/definition255文字まで×
22log_path活動ログを格納するディレクトリ名/groupmax/agentserver/log255文字まで×
23memory_path永続メモリを格納するディレクトリ/groupmax/agentserver/memory255文字まで×
24res_msg_max_countクライアント未起動時の最大保留メッセージ数10~10
25res_msg_lifetimeクライアント未起動時の最大保留メッセージ生存期間(日)11~7

(凡例) -:デフォルトはないことを表します。

    ○:省略できることを表します。

    ×:省略できないことを表します。


 

表に示した項目のうち,次の項番の項目について説明します。

1 e_mail
E-mailを使用するかどうかを指定します。E-mailを使用するエージェントを動作させる場合は,あらかじめ指定してください。このE-mailはSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使用します。
2 e_mail_host_name
E-mailサーバのホスト名又はIPアドレスを指定します。E-mailサーバにはSMTPホストを指定してください。
このパラメタ値のホストにメールを送信します。
3 e_mail_sender_name
E-mailサーバへメールを送信する際の送信者名を指定します。E-mail送信時には,送信者の送受信トレーの不要メールはそのまま残りますので,削除してください。
4 g_mail
Groupmax mailを使用するかどうかを指定します。Groupmax mailを使用するエージェントを動作させる場合は,あらかじめ指定してください。
6 g_mail_user_id
Agent ServerがGroupmax MailにログインするためのユーザIDを指定します。Groupmax MailにログインするためのユーザIDは,そのユーザIDの送受信トレーのメールがすべて削除されるため,エージェント用のIDを指定します。
7 xterm_command
X Window System端末の起動コマンドを指定します。Agent Serverでは,エージェントを登録しているユーザを一覧表示するような場合に,操作結果をエディタに出力できます。エディタを使用する場合にこのパラメタを指定してください。このパラメタを指定するには,X Window Systemが組み込まれている必要があります。
Agent Serverがこのコマンドを実行するとき,-eオプションを付加して「edit_command」の指定値を指定します。
8 edit_command
運用時の結果出力に使用するエディタコマンドを指定します。「xterm_command」を指定していない場合,指定したコマンドは無視されます。
9 user_template_path
クライアントがエージェント生成で使用するテンプレートを格納するディレクトリ(ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ)名を絶対パスで指定します。
10 user_transfer_path
ファイル転送APIを使用する場合のクライアント-サーバ間ファイル転送用ディレクトリ名を絶対パスで指定します。
11 agent_b_class_count
Agent Serverには,スケジューラという主に時間に関する情報を管理する機能があります。スケジューラはジョブクラスという単位で管理されます。ここでは,Bクラスのプロセス数を指定します。スケジューラに関する詳細は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照してください。
21 definition_path
クライアントが生成して,Agent Serverに登録されているエージェントの情報を格納するディレクトリ名を絶対パスで指定します。
22 log_path
活動ログを格納するディレクトリ名を絶対パスで指定します。
23 memory_path
永続メモリを格納するディレクトリを絶対パスで指定します。
24 res_msg_max_count
クライアント未起動時の最大保留メッセージ数を指定します。ここでいうメッセージとは,メッセージダイアログを表示するアクションが実行された場合に表示させるメッセージダイアログのことです。

 

なお,各パラメタのデフォルトは,/groupmax/agentserver/sample/etc/configにサンプルとして格納されている,デフォルトを示したファイルから参照できます。

(5) システム情報の初期化

  1. root権限でログインします。
  2. 次の形式で,管理ツールを起動する運用コマンド「agmgr」を実行します。「/groupmax/agentserver/bin/agmgr」
    Agent Serverの管理ツールのメインメニューが表示されます。
  3. 「Command:」の後に「2」を入力します。
    システム情報を参照・更新するためのメニューが表示されます。
  4. 「Setup:」の後に「5」を入力します。
    システムを初期化してよいかどうか問い合わせる次の文字列が表示されます。
    「Groupmax Agent Server initialize OK? y/n(default):」
    注意事項
    上書きインストールの場合は,この初期化操作をすると,これまで登録されているエージェントがすべて消去されます。
  5. 「Groupmax Agent Server initialize OK? y/n(default):」の後に「y」を入力します。
    システム情報が初期化されます。

(6) クライアントの環境設定

クライアントがテンプレート(エージェント生成のためのGUI画面)を使用してエージェントを生成する場合,デフォルト環境では,Agent Clientは次に示すテンプレート関連のファイルをAgent Serverからダウンロードして,クライアントがエージェントを生成できるようにします。

しかし,Agent Serverにある上記のファイルをAgent Clientにコピーしておくことによって,ファイルをAgent Serverからダウンロードしないで使用できます。したがって,ダウンロード時のシステムの負荷をなくすことができます。

Agent ServerからAgent Clientにコピーするファイルの一覧を表3-6及び表3-7に示します。「コピー元」に示すディレクトリ下のファイルを「コピー先」に示すディレクトリにコピーしてください。

表3-6 Agent Clientにコピーするファイル一覧(V2クライアントを使用する場合)

ファイル種別コピー元
(Agent Server)
コピー先
(Agent Client)
テンプレート定義ファイル/groupmax/agentserver/tmpl/templateファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥system
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/commonファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥shared
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/users/ユーザIDファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥users¥ユーザID
詳細ダイアログDLLファイル/groupmax/agentserver/tmpl/template/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥system
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/common/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥shared
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/users/ユーザID/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥users¥ユーザID

注※1 ファイル転送用ディレクトリは,「Groupmaxインストールディレクトリ¥Agent¥Tmp」で設定されています。

注※2 ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリが格納されているディレクトリを参照する場合は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照するか,テンプレートの開発者に問い合わせるかしてください。


表3-7 Agent Clientにコピーするファイル一覧(V3及びV5クライアントを使用する場合)

ファイル種別コピー元
(Agent Server)
コピー先
(Agent Client)
テンプレート定義ファイル/groupmax/agentserver/tmpl/templateV3ファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥system
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/commonV3ファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥shared
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/usersV3/ユーザIDファイル転送用ディレクトリ※1
¥template¥users¥ユーザID
詳細ダイアログDLLファイル/groupmax/agentserver/tmpl/templateV3/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥system
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/commonV3/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥shared
ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/usersV3/ユーザID/libraryファイル転送用ディレクトリ※1
¥library¥users¥ユーザID

注※1 ファイル転送用ディレクトリは,「Groupmaxインストールディレクトリ¥Agent¥Tmp」で設定されています。

注※2 ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリが格納されているディレクトリを参照する場合は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照するか,テンプレートの開発者に問い合わせるかしてください。


注意事項
Agent Clientにコピーしたファイルの更新日時又はサイズがAgent Server側と違っている場合,Agent Clientにあるファイルを使用しないで,Agent Serverのファイルがダウンロードされます。