Groupmax Agent Version 5 システム管理者ガイド
Agent Serverのインストール後,運用を開始する前に環境設定が必要です。初めてAgent Serverを運用する場合,及び環境を再設定する場合は,次の1.〜6.の設定をしてください。
- 環境変数の設定
- servicesファイルの設定
- カーネルパラメタの見直し
- Agent Serverのシステム情報の設定(環境設定ファイルの設定)
- システム情報の初期化
- クライアントの環境設定
- <この項の構成>
- (1) 環境変数の設定
- (2) servicesファイルの設定
- (3) カーネルパラメタの見直し
- (4) Agent Serverのシステム情報の設定
- (5) システム情報の初期化
- (6) クライアントの環境設定
Agent Server,及びAgent Server Mail Optionをインストールしたマシンの次の環境変数に値を追加します。なお,設定例として/groupmax/agentserver/sample/etc/profileを参照できます。
- LANG
- ja_JP.SJIS
- AGENT_SV_ROOT_PATH
- /groupmax/agentserver
- SHLIB_PATH
- /groupmax/agentserver/lib
また,Mail Serverがインストールされているマシンに次の環境変数を設定します。なお,これらの環境変数は,OSがHI-UX/WE2の場合は/usr/GroupMail/bin/GM_ENV,HP-UXの場合は/var/opt/GroupMail/nxcdir/GM_ENVに定義されています。ただし,XODDIR及びXODCONFPATHの設定値については,Object Serverの管理者にお問い合わせください。
- NXROOT
- HI-UX/WE2の場合 /usr/GroupMail
- HP-UXの場合 /var/opt/GroupMail
- MHSROOT
- HI-UX/WE2の場合 /usr/GroupMail/x400
- HP-UXの場合 /var/opt/GroupMail/x400
- GM_ISDB_SCHEMA_NAME
- スキーマ名
- GM_ISDB_SERVER
- スキーマのホスト名
- XODDIR
- XODCONFPATH
Agent Serverがインストールされているマシンのservicesファイルに,次の内容を追加してください。servicesファイルは/etc/servicesにあります。
agcscom 20027/tcp agsvrcon 20028/tcp aggml 20039/tcpAgent ServerをMail Serverと別のマシンにインストールした場合は,Mail Serverがインストールされているマシンのservicesファイルに次の内容を追加してください。
agsvrcon 20028/tcp aggml 20039/tcp
Agent Serverの使用ではUNIXのシステム資源を使用するため,Agent Serverをインストールしたマシンのシステム資源の設定を考慮する必要があります。UNIXのシステム資源の設定はカーネルパラメタで設定します。Agent Serverを使用するために変更が必要なカーネルパラメタを表3-4に示します。表3-4に示す項目について,パラメタ値を見直してください。
表3-4 変更が必要なカーネルパラメタ(Agent Server)
パラメタ名称 Agent Serverが使用する値 Agent Server本体 Agent Server Mail Option Agent - Development Kit msgmni 15 2 2 msgtql 250 16 64 semmni 40 15 15 semmns 40 15 15 shmmni 環境設定ファイルのパラメタに依存※1 1 1 shmmax 10M nfile nproc×4 ninode nproc×4 nproc 環境設定ファイルのパラメタに依存※2 9 8 注※1 この値は,Agent Serverの環境設定ファイルのパラメタに依存します。以下の計算式に従って計算してください。
「10+max_login_user」
注※2 この値は,Agent Serverの環境設定ファイルのパラメタに依存します。以下の計算式に従って計算してください。
「30+(1+agent_b_class_count+agent_c_class_count)×2+max_pp_count/28+max_connect_user/28」
なお,「max_pp_count/28」及び「max_connect_user/28」の値は小数点以下を切り上げてください。
Agent Serverでは,電子メールを使用するかどうか,何人のユーザが利用できるようにするかなどのシステム情報を設定する必要があります。これらの情報は,環境設定ファイルで設定します。
(a) 環境設定ファイルについて
- 格納先及びアクセス権限
- 環境設定ファイルは/groupmax/agentserver/sample/etc/configを,/groupmax/agentserver/etcディレクトリにコピーして使用してください。スーパーユーザだけが操作できます。
- 記述形式
- 環境設定ファイルで設定する各項目は,「○○○ = xxx」の形式で記述します。「○○○」は指定する対象(パラメタ)を表します。管理者は「xxx」に自分が運用する環境に関する値(パラメタ値)を指定します。
- 例えば「g_mail = use」は,Groupmax Mailと連携してGroupmax Agentを運用する場合の設定です。「g_mail」というパラメタに対して「use」というパラメタ値を設定しています。
- そのほかに留意する項目を次に示します。
- パラメタ値は改行まで有効です。
- パラメタ名称と値は「=」で結び,スペース又はタブは無視されます。
- コメントには先頭に「#」を付けます。
- パラメタ値には,「"」で囲んだ値は設定できません。
- パラメタ値に環境変数名は指定できません。パス名を指定するパラメタは,フルパスで指定してください。
- 不正なパラメタ値を設定した場合は,エラーになります。このエラーは,システムファイルの初期化時又は起動時に出力されます。
- パラメタ値には,「#」,スペース,タブ,及び改行は指定できません。
環境設定ファイルの項目を表3-5に示します。なお,表の項番1〜10の項目は,運用開始前に必ず設定しておいてください。
表3-5 環境設定ファイルの項目
項番 パラメタ名 意味 デフォルト 指定できる範囲 パラメタの省略 1 e_mail E-mailを使用するかどうか nouse use:使用する
nouse:使用しない× 2 e_mail_host_name E-mailサーバのホスト名又はIPアドレス − 255文字まで e_mailにuseを指定した場合は指定する。 3 e_mail_sender_name E-mailサーバへメールを送信する際の送信者名 − 255文字まで e_mailにuseを指定した場合は指定する。 4 g_mail Groupmax Mailを使用するかどうか nouse use:使用する
nouse:使用しない× 5 g_mail_host_name Groupmax Mailサーバのホスト名又はIPアドレス − 255文字まで g_mailにuseを指定した場合は指定する。 6 g_mail_user_id Agent ServerがGroupmax MailにログインするためのUserID − 8文字まで g_mailにuseを指定した場合は指定する。 7 xterm_command X Window System端末の起動 − X Window System端末の起動コマンド エディタを使用する場合は指定する。 8 edit_command 運用時の結果出力に使用するエディタ − vi又はfsed エディタを使用する場合は指定する。 9 user_template_path ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ − 255文字まで ○ 10 user_transfer_path クライアント−サーバ間ファイル転送用ディレクトリ名 − 255文字まで ○ 11 agent_b_class_count Bクラスのプロセス数 8 1〜32 × 12 agent_c_class_count Cクラスのプロセス数 4 1〜32 × 13 agent_b_class_time Bクラスの動作期限監視時間(分) 10 10〜60 × 14 agent_c_class_time Cクラスの動作期限監視時間(分) 15 10〜60 × 15 agent_lifetime エージェント生存期間の監視時間間隔(日) 7 1〜30 × 16 agent_max_count 登録できるエージェント数の上限 1,000 32〜3,000 × 17 pp_retry_time PPサーバ未起動時のAgent Serverからのリトライ間隔(時間) 1 1〜24 × 18 max_pp_count 接続するPPサーバ数の上限 8 1〜64 × 19 max_login_user ログインできるユーザ数の上限 64 1〜1,000 × 20 max_connect_user 同時にログインできるユーザ数の上限 16 1〜「max_login_user」で指定した値(ただし最大256) × 21 definition_path エージェント情報を格納するディレクトリ名 /groupmax/agentserver/definition 255文字まで × 22 log_path 活動ログを格納するディレクトリ名 /groupmax/agentserver/log 255文字まで × 23 memory_path 永続メモリを格納するディレクトリ /groupmax/agentserver/memory 255文字まで × 24 res_msg_max_count クライアント未起動時の最大保留メッセージ数 1 0〜10 ○ 25 res_msg_lifetime クライアント未起動時の最大保留メッセージ生存期間(日) 1 1〜7 ○ (凡例) −:デフォルトはないことを表します。
○:省略できることを表します。
×:省略できないことを表します。
表に示した項目のうち,次の項番の項目について説明します。
- 1 e_mail
- E-mailを使用するかどうかを指定します。E-mailを使用するエージェントを動作させる場合は,あらかじめ指定してください。このE-mailはSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を使用します。
- 2 e_mail_host_name
- E-mailサーバのホスト名又はIPアドレスを指定します。E-mailサーバにはSMTPホストを指定してください。
- このパラメタ値のホストにメールを送信します。
- 3 e_mail_sender_name
- E-mailサーバへメールを送信する際の送信者名を指定します。E-mail送信時には,送信者の送受信トレーの不要メールはそのまま残りますので,削除してください。
- 4 g_mail
- Groupmax mailを使用するかどうかを指定します。Groupmax mailを使用するエージェントを動作させる場合は,あらかじめ指定してください。
- 6 g_mail_user_id
- Agent ServerがGroupmax MailにログインするためのユーザIDを指定します。Groupmax MailにログインするためのユーザIDは,そのユーザIDの送受信トレーのメールがすべて削除されるため,エージェント用のIDを指定します。
- 7 xterm_command
- X Window System端末の起動コマンドを指定します。Agent Serverでは,エージェントを登録しているユーザを一覧表示するような場合に,操作結果をエディタに出力できます。エディタを使用する場合にこのパラメタを指定してください。このパラメタを指定するには,X Window Systemが組み込まれている必要があります。
- Agent Serverがこのコマンドを実行するとき,-eオプションを付加して「edit_command」の指定値を指定します。
- 8 edit_command
- 運用時の結果出力に使用するエディタコマンドを指定します。「xterm_command」を指定していない場合,指定したコマンドは無視されます。
- 9 user_template_path
- クライアントがエージェント生成で使用するテンプレートを格納するディレクトリ(ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ)名を絶対パスで指定します。
- 10 user_transfer_path
- ファイル転送APIを使用する場合のクライアント−サーバ間ファイル転送用ディレクトリ名を絶対パスで指定します。
- 11 agent_b_class_count
- Agent Serverには,スケジューラという主に時間に関する情報を管理する機能があります。スケジューラはジョブクラスという単位で管理されます。ここでは,Bクラスのプロセス数を指定します。スケジューラに関する詳細は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照してください。
- 21 definition_path
- クライアントが生成して,Agent Serverに登録されているエージェントの情報を格納するディレクトリ名を絶対パスで指定します。
- 22 log_path
- 活動ログを格納するディレクトリ名を絶対パスで指定します。
- 23 memory_path
- 永続メモリを格納するディレクトリを絶対パスで指定します。
- 24 res_msg_max_count
- クライアント未起動時の最大保留メッセージ数を指定します。ここでいうメッセージとは,メッセージダイアログを表示するアクションが実行された場合に表示させるメッセージダイアログのことです。
なお,各パラメタのデフォルトは,/groupmax/agentserver/sample/etc/configにサンプルとして格納されている,デフォルトを示したファイルから参照できます。
- root権限でログインします。
- 次の形式で,管理ツールを起動する運用コマンド「agmgr」を実行します。「/groupmax/agentserver/bin/agmgr」
Agent Serverの管理ツールのメインメニューが表示されます。
- 「Command:」の後に「2」を入力します。
システム情報を参照・更新するためのメニューが表示されます。
- 「Setup:」の後に「5」を入力します。
システムを初期化してよいかどうか問い合わせる次の文字列が表示されます。
「Groupmax Agent Server initialize OK? y/n(default):」
- 注意事項
- 上書きインストールの場合は,この初期化操作をすると,これまで登録されているエージェントがすべて消去されます。
- 「Groupmax Agent Server initialize OK? y/n(default):」の後に「y」を入力します。
システム情報が初期化されます。
クライアントがテンプレート(エージェント生成のためのGUI画面)を使用してエージェントを生成する場合,デフォルト環境では,Agent Clientは次に示すテンプレート関連のファイルをAgent Serverからダウンロードして,クライアントがエージェントを生成できるようにします。
- テンプレート定義ファイル(クライアント用の定義画面)
- 定義画面で使用する詳細ダイアログのDLLファイル
しかし,Agent Serverにある上記のファイルをAgent Clientにコピーしておくことによって,ファイルをAgent Serverからダウンロードしないで使用できます。したがって,ダウンロード時のシステムの負荷をなくすことができます。
Agent ServerからAgent Clientにコピーするファイルの一覧を表3-6及び表3-7に示します。「コピー元」に示すディレクトリ下のファイルを「コピー先」に示すディレクトリにコピーしてください。
表3-6 Agent Clientにコピーするファイル一覧(V2クライアントを使用する場合)
ファイル種別 コピー元
(Agent Server)コピー先
(Agent Client)テンプレート定義ファイル /groupmax/agentserver/tmpl/template ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\systemユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/common ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\sharedユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/users/ユーザID ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\users\ユーザID詳細ダイアログDLLファイル /groupmax/agentserver/tmpl/template/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\systemユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/common/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\sharedユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/users/ユーザID/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\users\ユーザID注※1 ファイル転送用ディレクトリは,「Groupmaxインストールディレクトリ\Agent\Tmp」で設定されています。
注※2 ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリが格納されているディレクトリを参照する場合は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照するか,テンプレートの開発者に問い合わせるかしてください。
表3-7 Agent Clientにコピーするファイル一覧(V3及びV5クライアントを使用する場合)
ファイル種別 コピー元
(Agent Server)コピー先
(Agent Client)テンプレート定義ファイル /groupmax/agentserver/tmpl/templateV3 ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\systemユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/commonV3 ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\sharedユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/usersV3/ユーザID ファイル転送用ディレクトリ※1
\template\users\ユーザID詳細ダイアログDLLファイル /groupmax/agentserver/tmpl/templateV3/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\systemユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/commonV3/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\sharedユーザカスタマイズファイル用ディレクトリ※2/usersV3/ユーザID/library ファイル転送用ディレクトリ※1
\library\users\ユーザID注※1 ファイル転送用ディレクトリは,「Groupmaxインストールディレクトリ\Agent\Tmp」で設定されています。
注※2 ユーザカスタマイズファイル用ディレクトリが格納されているディレクトリを参照する場合は,「5.6 システム情報の参照・更新・初期化」を参照するか,テンプレートの開発者に問い合わせるかしてください。
- 注意事項
- Agent Clientにコピーしたファイルの更新日時又はサイズがAgent Server側と違っている場合,Agent Clientにあるファイルを使用しないで,Agent Serverのファイルがダウンロードされます。
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