TSCAcceptor（COBOL）

トランザクショナル分散オブジェクト基盤　TPBroker Object Transaction Monitor　プログラマーズガイド

TSCAcceptorはシステム提供クラスです。

TSCAcceptorはABC_TSCacptの基底クラスです。各副プログラムはABC_TSCacptのインスタンスに対して発行します。したがって，各副プログラムの第1引数（ACCEPTOR-PTR）には，ユーザ定義IDLインタフェース依存クラス（ABC_TSCacpt）のポインタを指定してください。

TSCAcceptorは，TSCユーザプロキシを使用したクライアント側からのTSCユーザオブジェクトの副プログラム呼び出し要求に対して，サーバ側のTSCユーザオブジェクトの副プログラムを呼び出すためのクラスです。TSCルートアクセプタからTSCユーザオブジェクトの副プログラム呼び出し要求を受け取り，TSCユーザオブジェクトの副プログラムを呼び出します。これに伴って，TSCユーザオブジェクトを管理したり，スレッドとTSCユーザオブジェクト間を対応づけたりします。また，TSCサービス識別子を使用して，TSCユーザオブジェクトが提供するサービスを識別します。

ユーザはTSCユーザオブジェクトの管理オブジェクトとして，TSCAcceptorクラスのインスタンスを生成します。次にTSCAcceptorの特徴を示します。

TSCObjectFactoryを保持することで，TSCユーザオブジェクト（TSCObject）を管理します。
TSCAcceptorが提供できるサービスをTSCサービス識別子の列で表現します。TSCサービス識別子は，インタフェース名称の列とTSCアクセプタ名称から構成されます。ただし，TSCアクセプタ名称がない場合もあります。

TSCObjectFactoryによるTSCObjectの管理

TSCRootAcceptorがactive状態に遷移するとき，登録されているTSCAcceptorはオブジェクト管理開始通知を受けます。また，TSCRootAcceptorがnon-active状態に遷移するとき，登録されているTSCAcceptorはオブジェクト管理終了通知を受けます。それぞれの通知とともに，TSCAcceptorはTSCObjectFactoryを使用して次に示すように動作します。

TSCRootAcceptorからのオブジェクト管理開始通知
TSCAcceptorは，TSCRootAcceptorからオブジェクト管理開始通知を受けると，TSCRootAcceptorが保持する各スレッド上で，TSCObjectFactoryのcreateを呼び出します。さらに，この呼び出しで返されるTSCObjectをTSCRootAcceptorが保持する各スレッドに割り当てます。これによって，TSCObjectFactoryのcreate呼び出しで返されるTSCObjectは，スレッドに対応づけて管理されます。
TSCRootAcceptorからのオブジェクト管理終了通知
TSCAcceptorは，TSCRootAcceptorからオブジェクト管理終了通知を受けると，TSCRootAcceptorが保持する各スレッド上で，割り当てられているTSCObjectを引数に，TSCObjectFactoryのdestroyを呼び出します。これによって，対応づけられているスレッド上の管理対象から，該当するTSCObjectが外されます。

TSCRootAcceptorからのTSCObjectの呼び出し

TSCRootAcceptorは，クライアント側からのTSCユーザオブジェクト呼び出しを受け取ると，該当するサービスを提供するTSCAcceptorに振り分けます。さらに，TSCAcceptorは，TSCRootAcceptorが管理するスレッド上でTSCユーザオブジェクト呼び出し要求を受け取ると，同じスレッド上で同じスレッドに割り当てられているTSCObjectを呼び出します。

TSCサービス識別子の構成

TSCAcceptorが提供できるサービスの種類は，TSCサービス識別子によって表されます。TSCサービス識別子は，インタフェース名称の列とTSCアクセプタ名称から構成されます。

TSCAcceptorのインタフェース名称の列
TSCAcceptorのインタフェース名称の列は，TSCAcceptorや管理するTSCObjectが提供するサービスのインタフェースの種類を表します。
TSCObjectが単数のインタフェースをサポートする場合，TSCAcceptorや管理するTSCObjectが提供するインタフェースの種類は，単数のインタフェース名称で表されます。TSCObjectが複数のインタフェースをサポートする場合，例えば，ユーザ定義IDLインタフェースで継承を利用した場合は，複数のインタフェース名称が列で表されます。
TSCAcceptorのTSCアクセプタ名称
TSCアクセプタ名称も，TSCAcceptorや管理するTSCObjectが提供するサービスのインタフェースの種類を表します。ただし，同じインタフェースを提供するTSCAcceptorまたはTSCObjectの間の実装内容の違いを識別するために使用します。したがって，TSCアクセプタ名称を設定しないで，"TSCアクセプタ名称なし"とすることもできます。

サービスの種類の表現方法

TSCAcceptorが提供できるサービスの種類は，TSCサービス識別子の列によって表されます。TSCAcceptorはTSCサービス識別子の列で示されるサービスを提供できます。

TSCAcceptorにTSCアクセプタ名称が設定されていない場合
TSCObjectが単数のインタフェースをサポートする場合，TSCAcceptorや管理するTSCObjectが提供できるサービスの種類は，次のように表されます。
```
 
単数のTSCアクセプタ名称なしTSCサービス識別子
 
```
TSCObjectが複数のインタフェースをサポートする場合，例えば，ユーザ定義IDLインタフェースで継承を利用した場合は，TSCサービス識別子の列で次のように表されます。
```
 
複数のTSCアクセプタ名称なしTSCサービス識別子
 
```
TSCAcceptorにTSCアクセプタ名称が設定されている場合
TSCObjectが単数のインタフェースをサポートする場合，TSCAcceptorや管理するTSCObjectが提供できるサービスの種類は，次のように表されます。
```
 
単数のTSCアクセプタ名称なしTSCサービス識別子，および
単数のTSCアクセプタ名称ありTSCサービス識別子
 
```
TSCObjectが複数のインタフェースをサポートする場合，例えば，ユーザ定義IDLインタフェースで継承を利用した場合は，TSCサービス識別子の列で次のように表されます。
```
 
複数のTSCアクセプタ名称なしTSCサービス識別子，および
複数のTSCアクセプタ名称ありTSCサービス識別子（ただし，TSCサービス識別子中のTSCアクセプタ名称は同じ）
```

サービスの種類の表現例

TSCAcceptorのインタフェース名称が"ABC"で，TSCアクセプタ名称がない場合
次のように表される場合，TSCAcceptorは，"ABC::"への要求だけを受け付けることができます。
```
 
"ABC::"
```
TSCAcceptorのインタフェース名称が"ABC"で，TSCアクセプタ名称が"abc"の場合
次のように表される場合，TSCAcceptorは，"ABC::"と"ABC::abc"への要求メッセージを受け付けることができます。
```
 
"ABC::abc"
"ABC::"
```

●CALL 'TSCAcceptor-getInterfaceName' USING

            BY VALUE      ACCEPTOR-PTR
            BY REFERENCE  CORBA-ENVIRONMENT
         RETURNING       INTERFACE-NAME.

項目	型・(入出力の区別)意味
引数	BY VALUE ACCEPTOR-PTR USAGE POINTER	(入力)ABC_TSCAcptのポインタ
引数	BY REFERENCE CORBA-ENVIRONMENT	(出力)例外情報集団項目
戻り値	INTERFACE-NAME USAGE POINTER	インタフェース名称
例外	TSCBadParamException TSCNoPermissionException

インタフェース名称を取得します。

インタフェース名称のメモリ領域の管理責任はTSCAcceptorクラスにあるので，ユーザは解放しないでください。

なお，この副プログラムを複数のスレッド上で同時に呼び出すことができます。

●CALL 'TSCAcceptor-getAcceptorName' USING

            BY VALUE      ACCEPTOR-PTR
            BY REFERENCE  CORBA-ENVIRONMENT
         RETURNING       ACCEPTOR-NAME

項目	型・(入出力の区別)意味
引数	BY VALUE ACCEPTOR-PTR USAGE POINTER	(入力)ABC_TSCAcptのポインタ
引数	BY REFERENCE CORBA-ENVIRONMENT	(出力)例外情報集団項目
戻り値	ACCEPTOR-NAME USAGE POINTER	TSCアクセプタ名称
例外	TSCBadParamException

TSCアクセプタ名称を取得します。

TSCアクセプタ名称のメモリ領域の管理責任はTSCAcceptorクラスにあるので，ユーザは解放しないでください。

なお，この副プログラムを複数のスレッド上で同時に呼び出すことができます。

タイミング	公開副プログラム呼び出し
TSCRootAcceptorからのオブジェクト管理開始通知，またはオブジェクト管理終了通知のとき	コンストラクタで指定したTSCObjectFactory型のインスタンス
登録先のTSCRootAcceptorがactive状態のとき	active状態に遷移するときに管理を開始したTSCObject型のインスタンス

副プログラム	複数のスレッド上からの同時呼び出し
TSCAcceptor-getInterfaceName	できます。
TSCAcceptor-getAcceptorName	できます。