ここでは,ドメイン間連携機能を運用する場合の注意事項とその対処について説明します。また,対処する場合に必要な,各ユーザ環境に合わせたシステム定義の設定とユーザ運用について説明します。
ドメイン間連携機能(Groupmax Workflow Server - Connection)ではE-Mailを使用して連携情報データを転送します。そのため,次の点に注意する必要があります。
次に,これらの注意点の対処について説明します。
送信時の順番を確認する情報を管理し,受信したメールの順序が不正な(メール追い越しが発生した)場合,そのメールは再スケジュールされ,他のメールの受信処理後に再度処理します。
この再処理を一定回数(環境定義のドメイン間連携メール送受信リトライ回数)繰り返してもメール追い越し状態が改善されない場合,エラーメッセージをイベントログに出力し,その受信メールを保留状態にします。
保留状態になった場合,送受信エラー要求再処理コマンド(WFifrtry)で再処理要求すると,再度そのメールを処理できます。
メールの紛失に対する対処として,メール再送機能を提供します。メール再送には次の二つの方法があります。
メール中にデータの内容をチェックするデータを入れて送信し,受信時にそのチェックデータを基にデータの切り捨て・改変をチェックします。このチェックで不正を検知した場合,エラーメッセージをイベントログに出力し,送信元にエラーが発生したことを通知するメールが送信されます。
この場合,「(b)メールの紛失に対する対処」と同様に,メール再送機能を使用して対処してください。
連携間でメールの送受信状態をシステムで保持し,メールが重複して送付されたかを判断し,処理済みのメールを受信した場合,無効なメールとして破棄します。
また,メールの処理期限を設定して,送信してから処理可能な時間以内に受信していない場合,エラーメッセージをイベントログに出力し,送信元にエラーが発生したことを通知するメールが送信されます。
この場合,「(b)メールの紛失に対する対処」と同様に,メール再送機能を使用して対処してください。
ドメイン間連携機能では,送信したデータと受信したデータをそれぞれ送信ログ・受信ログとして保持します。これらのログにより,連携間での整合性をチェックできるようにします。
「(1)運用上の注意事項」に示した対処をするために,御使用の環境に合わせたシステム定義とユーザ運用を行う必要があります。この場合のシステム定義は,ドメイン間連携サーバ環境定義ファイルに定義します。ドメイン間連携サーバ環境定義ファイルに指定できる値については,「2.4.4ドメイン間連携機能の定義ファイルの作成」を参照してください。
ドメイン間連携サーバ環境定義ファイルを次に示すように設定します。
システム管理者は,定期的にイベントログを参照し,再送回数を超えたメールがないかを確認してください。再送回数を超えた場合,障害が発生している場合があるので,その他(メールシステムを含む)のイベントログなどを参照し障害を取り除いてください。その後,要求再送コマンド(WFifrsnd)を使用して該当メールを再送してください。
また,システムに異常が見当たらない場合,応答メールが紛失している場合があります。この場合は,連携先と連携元で未応答要求表示コマンド(WFifscon)を実行し,双方の連携状態の情報を出力して突き合わせてください。その後,要求再送コマンド(WFifrsnd)を使用して該当応答メールを再送してください。
メール再送コマンド(WFifrsnd)を連携管理IDと要求番号を指定して実行する場合(WFifrsnd -c XXX -m XXXの形式),必ず次の(a)~(e)の手順で,案件の遷移状態を確認して実行してください。確認しないで実行した場合,連携先での案件の重複や連携管理情報の残留が発生する場合があります。
Groupmax Workflow Monitorで,直列連携ノード又は階層連携ノードに不当に長時間滞留している案件を特定してください。また,その案件でエラーが発生していないかイベントログで確認してください。イベントログでエラーが表示されている場合,その対処方法に従って対処してください。この時点で連携管理IDと要求番号指定によるメール再送コマンド(WFifrsnd)を実行する場合は,ここで対処が終わった案件に対してだけ実行してください。
「(a)遷移しない案件の特定」で確認した結果,イベントログにエラーが表示されていない案件について,次の手順で連携状態を確認してください。
表3-12 連携元の連携状態
連携種別 | 要求種別 | 状態コード | 連携状態 |
---|---|---|---|
直列連携 | go | 0 | 直列-投入要求未送信 |
1 | 直列-投入要求応答待ち | ||
4 | stpcの状態コードに依存 | ||
stpc | 0 | 直列-終了要求未送信 | |
1 | 直列-終了要求応答待ち | ||
階層連携 | call | 0 | 階層-投入要求未送信 |
1 | 階層-投入要求応答待ち | ||
4 | 階層-戻り要求待ち | ||
retn | 2 | 階層-戻り要求応答未送信 | |
3 | stpcの状態コードに依存 | ||
stpc | 0 | 階層-終了要求未送信 | |
1 | 階層-終了要求応答待ち |
(b)で分類した状態を基に,表3-13に従って対処してください。
連携先での確認の結果によっては,連携元でさらに対処が必要になる場合があります。この場合,表3-14に従って対処してください。
表3-13 連携元での対処(その1)
連携元状態 | 対処 |
---|---|
直列-投入要求未送信 直列-終了要求未送信 階層-投入要求未送信 階層-戻り要求応答未送信 階層-終了要求未送信 | メール送信が終了していません。送受信要求表示コマンド(WFifsreq)で該当要求がエラーになっていないか確認し,エラーになっている場合,エラー要因を取り除いた後,送受信エラー要求再処理コマンド(WFifrtry)で再処理してください。 |
直列-投入要求応答待ち 直列-終了要求応答待ち 階層-投入要求応答待ち 階層-戻り要求待ち 階層-終了要求応答待ち | 要求を送信していますが応答を受信していません。連携管理ID・要求番号・相手連携管理ID(「****」の場合があります)を連携相手に連絡し,「(d)連携先での案件の連携状態の確認」の説明に従って,連携相手に連携状態の確認を依頼し,必要な場合は対処を依頼してください。 連携先の連携状態の確認の結果,連携元状態と連携先状態の関係が表3-14に示す対応になった場合,連携元で対処が必要です。 |
表3-14 連携元での対処(その2)
連携元状態 | 連携先状態 | 連携元での対処 |
---|---|---|
直列-投入要求応答待ち | 連携要求未受信 | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でgoの要求を再送する。 |
直列-終了要求応答待ち | 直列-投入要求応答送信済み | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でstpcの要求を再送する。 |
階層-投入要求応答待ち | 連携要求未受信 | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でcallの要求を再送する。 |
階層-終了要求応答待ち | 階層-戻り要求応答待ち | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でretnの要求を再送する。 |
階層-終了要求待ち | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でstpcの要求を再送する。 |
「(c)連携元での対処」の結果,連携先での確認が必要な案件について,連携管理ID・要求番号・相手連携管理IDを基に,次の手順で連携状態を確認してください。
表3-15 連携先の連携状態
連携種別 | 要求種別 | 状態コード | 連携状態 |
---|---|---|---|
直列連携 | go | 0 | 直列-投入要求未処理 |
2 | 直列-投入要求応答未送信 | ||
3 | 直列-投入要求応答送信済み | ||
stpc | 0 | 直列-終了要求未処理 | |
2 | 直列-終了要求応答未送信 | ||
3 | 直列-終了要求応答送信済み | ||
階層連携 | call | 0 | 階層-投入要求未処理 |
2 | 階層-投入要求応答未送信 | ||
3 | 階層-投入要求応答送信済み | ||
retn | 1 | 階層-戻り要求応答待ち | |
4 | 階層-終了要求待ち | ||
stpc | 0 | 階層-終了要求未処理 | |
2 | 階層-終了要求応答未送信 | ||
該当連携管理情報なし | 連携要求未受信 |
(d)で分類した状態を基に,表3-16に従って対処してください。
表3-16 連携先での対処
連携元状態 | 連携先状態 | 連携先での対処 |
---|---|---|
- | 直列-投入要求未処理 直列-投入要求応答未送信 直列-終了要求未処理 直列-終了要求応答未送信 階層-投入要求未処理 階層-投入要求応答未送信 階層-終了要求応答未送信 階層-終了要求未処理 | メールは受信していますが,受信処理に失敗している状態です。送受信要求表示コマンド(WFifsreq)で該当要求がエラーになっていないか確認し,エラーになっている場合,エラー要因を取り除いた後,送受信エラー要求再処理コマンド(WFifrtry)で再処理してください。 |
直列-投入要求応答待ち | 直列-投入要求応答送信済み | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でgoの要求を再送する。 |
直列-終了要求応答待ち | 直列-終了要求応答送信済み | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でstpcの要求を再送する。 |
階層-投入要求応答待ち | 階層-戻り要求応答待ち | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でcallの要求を再送する。 |
階層-戻り要求待ち | 階層-投入要求応答送信済み | 要求再送コマンド(WFifrsnd)でretnの要求を再送する。 |
Flowmate/Development Kitを使用して作成したアプリケーションプログラムで,案件を操作(投入・遷移)した場合,案件がドメイン間で連携しないでエラー案件となる場合がありますので,注意してください。