ノードに送付された案件をトレーに入れることを配布といいます。ここでは,Groupmax Workflowの案件の配布規則について説明します。
案件の配布先は,ビジネスプロセス定義上でノードの属性として指定します。案件の配布に関するノードの属性を表3-4に示します。
表3-4 ノードの属性
ウインドウのタブ名称 | 属性 | 指定値 |
---|---|---|
基本属性 | 作業者 | 「ロール」又は「ワークフローユーザを対象」 |
ロールの種類 ※1 ※5 | 「業務」,「組織」,「階層化」のどれか,及びそのロール名 | |
作業権限の設定 ※2 ※5 | 「する」又は「しない」 (「する」の場合は,さらに,「作業権限の選択」を選択する) | |
配布方法 | 自動配布の設定※3 ※4 | 「する(ユーザトレーに配布)」又は 「しない(ロールトレーに配布)」 (「する」の場合は,ユーザへの配布方法として「ロール内ユーザにランダム配布」又は「条件に従ってユーザに配布」を設定する。「条件に従ってユーザに配布」では配布条件を指定できる。また,どちらの配布方法でも「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」が指定できる。) |
作業者指定時のノードスキップ指定の許可※6※7 | 「作業者指定時,ノードスキップ指定を許す」 (選択すると,案件を処理する場合の作業者指定時に,このノードをスキップする指定を許可する。) | |
再配布 | 対象ノード一覧 ※1 ※4 | 再配布の対象とするノードを選択 |
詳細属性 | 代行の許可 ※5 | 「する」又は「しない」 |
ビジネスプロセス定義では,ノードにそのノードで処理する作業者を指定します。作業者には,ロール又はユーザを指定できます。作業者としてユーザを指定した場合,どのユーザに案件を配布するかは,ワーク実行時に作業者決定ノードで指定します。
ただし,バージョン02-10より前のGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義では,ビジネスプロセス定義上で配布先となるユーザを指定するため,ユーザの削除や変更があったときに,ビジネスプロセス定義の変更が必要となります。
作業者としてロールを指定した場合,ロール内のユーザを変更するだけでビジネスプロセス定義の変更は必要ありません。旧バージョンのビジネスプロセス定義では,作業者にロールを指定することをお勧めします。
ビジネスプロセス定義では,作業者のほかに,代行者及び代行配布ユーザを設定することができます。
代行者とは,正規の作業者が不在のときに,不在者のトレーから他の作業者(代わりに処理ができる権限を持つ人)のトレーに案件を振り替えることができるユーザです。代行者は,作業者の案件を振り替えることはできますが,作業者に代わって案件を処理することはできません。
代行配布ユーザとは,正規の作業者が不在のときに,案件が自動的に送付されるユーザです。作業者に代わって案件を処理できます。代行配布ユーザは,ビジネスプロセスごとに設定できます。
代行者に設定したユーザが,作業者に代わって案件を処理できるようにするには,あらかじめそのビジネスプロセスの代行配布ユーザとしても設定しておく必要があります。
作業者にロールを指定した場合,そのノードに案件が送付されたときに,ロールトレーに配布するか,ロール内のユーザに自動的に配布するかを選択できます。ロール内のユーザに自動的に配布することを自動配布といいます。
次に,自動配布の指定方法と注意事項について説明します。
自動配布の配布条件を指定しても,その条件に一致するユーザがいない場合があります。このような場合の案件の配布先を,「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」として,次の三つから選択して指定できます。
作業者指定時にノードスキップを指示すると,該当するノードをスキップできます。この機能は「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」でのノードスキップ機能と異なり,意図的にノードをスキップさせる場合に使用します。
同じワークで,同一のロールに案件が2回以上配布されるビジネスプロセス定義では,そのロールで以前に処理したユーザに自動的に案件を配布できます。これを再配布といい,再配布されるユーザ(その案件を以前に処理したユーザ)を再配布ユーザといいます。ただし,以前に処理したユーザがそのロールに含まれない場合(代行配布ユーザが処理した場合など)は,そのユーザは再配布ユーザにはなりません。階層化ロールでは,配布先に指定されたロールと同じロールを対象に,再配布されます。
案件の再配布の概要を図3-3に示します。
図3-3 案件の再配布の概要
案件の配布先は,ノードの属性とユーザの案件受付状態によって決まります。
作業者にユーザを指定したときの配布規則を表3-5に示します。
表3-5 作業者にユーザを指定したときの配布規則
作業者に指定したユーザのトレーの状態 | 「代行の許可」の指定 | 配 布 先 |
---|---|---|
受付許可 | - | 作業者に指定したユーザ |
代行者配布 | 「しない」 | 作業者に指定したユーザ |
「する」 |
| |
受付禁止 | - | 作業者に指定したユーザ |
(凡例)-は指定できないことを示します。
作業者にロールを指定したときの配布規則を示します。
表3-6 作業者にロールを指定したときの配布規則(ランダム配布)
ノードでの 自動配布の指定 | ロール内のユーザの ユーザトレーの状態 | 「代行の許可」の指定 | 配布先 |
---|---|---|---|
する (ランダム配布) | 受付許可のユーザあり | - | 受付許可のユーザにランダムに配布 |
する (ランダム配布) | 受付許可のユーザなし かつ代行者配布のユーザあり | 「しない」 | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロールトレー又は次のノードに配布 |
する (ランダム配布) | 受付許可のユーザなし かつ代行者配布のユーザあり | 「する」 |
|
する (ランダム配布) | 受付禁止ユーザだけ | - | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロールトレー又は次のノードに配布 |
する (ランダム配布) | ロールに属するユーザなし | - | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロールトレー又は次のノードに配布 |
しない | - | - | ロールトレー |
(凡例)-は指定できないことを示します。
表3-7 作業者にロールを指定したときの配布規則(条件配布)
ノードでの 自動配布の指定 | 配布条件を満たすユーザのユーザトレーの状態 | 「代行の許可」の指定 | 配布先 |
---|---|---|---|
する (条件配布) | 受付許可のユーザあり | - | 配布条件を満たすユーザに配布(該当するユーザが複数の場合は,その中からランダムに配布) |
する (条件配布) | 受付許可のユーザなし かつ代行者配布のユーザあり | 「しない」 | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロールトレー又は次のノードに配布 |
する (条件配布) | 受付許可のユーザなし かつ代行者配布のユーザあり | 「する」 |
|
する (条件配布) | 受付禁止ユーザだけ | - | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロール内ユーザにランダム配布,又はロールトレー若しくは次のノードに配布 |
する (条件配布) | ロールに属するユーザなし | - | 「ユーザに配布できなかった場合のリカバリ設定」に従って,ロール内ユーザにランダム配布,又はロールトレー若しくは次のノードに配布 |
(凡例)-は指定できないことを示します。
表3-8 作業者にロールを指定したときの配布規則(再配布対象ノード指定時)
再配布ユーザの有無 | 再配布ユーザの ユーザトレーの状態 | 「代行の許可」の指定 | 配布先 |
---|---|---|---|
あり | 受付許可 | - | 再配布ユーザ |
あり | 代行者配布 | 「しない」 | 再配布ユーザ |
あり | 代行者配布 | 「する」 |
|
あり | 受付禁止 | - | 表3-7及び表3-8の規則に従う |
なし | - | - | 表3-7及び表3-8の規則に従う |
(凡例)-は該当しないか,又は指定できないことを示します。
Groupmax Workflowでは,案件のケース属性の自動設定で上長IDを設定しておくと,上長に自動的に案件を配布できます。
上長IDとは,Groupmax Addressでの上長定義からユニークに決定されるユーザのユーザIDです。上長IDを指定したとき,Groupmax Addressのユーザ情報に従って,次の値がケース属性に自動設定されます。
上長に案件を自動的に配布するには,作業机ノードの配布条件式に,そのケース属性,及びユーザIDが一致するユーザを選択する配布条件を設定します。
案件の上長への自動配布の概要を図3-4に示します。
図3-4 案件の上長への自動配布の概要
Groupmax Addressでの上長定義については,マニュアル「Groupmax Address/Mail Version 6 システム管理者ガイド 基本操作編」を参照してください。
Groupmax Workflowでは,何かの原因でユーザトレー又はロールトレーに案件を配布できないとき,あらかじめ指定されたエラートレーに案件を配布します。エラートレーの所有者は,Groupmax Workflow Monitorを使用してエラーとなった原因を調査し,復帰させることができる案件はビジネスプロセスに復帰させます。なお,エラートレーに配布された案件は,Groupmax Integrated DesktopのINBOXやGroupmax Formの案件一覧で表示し,案件を開いて内容を確認することはできますが,案件を復帰させたり遷移させたりすることはできません。エラートレーの所有者は,ビジネスプロセス定義をワークフローデータベースへ登録するときに指定します。
案件の配布先は,ノードの属性及び,ユーザの案件受付状態によって決まります。
差し戻し時の配布規則を表3-9に示します。
表3-9 差し戻し時の配布規則
差し戻し先ユーザのトレーの状態 | 「代行の許可」の指定 | 配布先 |
---|---|---|
受付許可 | - | 差し戻し先のユーザ ※ |
代行者配布 | 「しない」 | 差し戻し先のユーザ ※ |
代行者配布 | 「する」 |
|
受付禁止 | - | 差し戻し先のユーザ ※ |
引き戻したユーザのトレーの状態にかかわりなく,そのユーザに配布されます。
バージョン02-10より前のGroupmax Workflow Definerから登録したビジネスプロセス定義を使用している場合は,引き戻したユーザが,作業者に指定したロールに含まれている必要があります。作業者に指定したロールに含まれていない場合は,そのロールに配布されます。