5.2 ホームサーバ移動ツール「SFdatacp」について
このコマンドは,マルチサーバ環境において,ユーザのホームサーバを移動するコマンドです。このコマンドを使用することにより,管理データ上のホームサーバの変更とスケジュールデータの転送を自動に実行することができます。ホームサーバを移動するユーザは移動者一覧ファイルで指定できます。Assist連携を使用している場合は,Assist連携で作成された移動者一覧ファイルをそのまま利用してください。Assist連携を使用していない場合でも,移動者一覧ファイルを手動で作成することでこのコマンドを利用してホームサーバ移動を実現できます。
- <この節の構成>
- (1) 前提条件
- (2) 使用条件
- (3) 設定事項
- (4) バックアップの取得
- (5) ユーザのホームサーバ変更方法
- (6) 確認事項
- (7) エラー発生時の対処
(1) 前提条件
- すべてのマシンにScheduler Server Version 6とFacilities Manager Version 6をインストールしておく必要があります。(施設管理を使用していない場合は,Facilities Manager Version 6をインストールする必要はありません。)
- すべてのサーバで,サーバ(SV,RMSV)を停止した状態で実行してください。(施設管理を使用していない場合,RMSVの停止は必要ありません)
- すべてのサーバで,あらかじめ管理ツールサーバ(AppoMan,RoomMan)を起動してください。(施設管理を使用していない場合は,RoomManを起動しておく必要はありません。すべてのサーバでAppoManは必ず起動しておいてください。)
- Scheduler_Facilities管理ツールを使って事前にSchedulerのホームサーバ一覧を作成する必要があります。Assist連携を使用している場合は,新たに作成する必要はありません。このホームサーバ一覧には,Scheduler Server,あるいはFacilities Managerを稼動する全マシンのホームサーバ名を登録する必要があります。作成方法については,「4.5 DNSホスト名の登録」の「(2) Assist連携用ホームサーバ一覧作成」を参照してください。
- SFdatacp実行中は,不要スケジュール削除の手動実行はできません。また,不要スケジュール削除の自動実行は「使用しない」設定に変更しておいてください。
- ユーザのホームサーバ移動をする場合,すべてのクライアントにて,以下の設定をする必要があります。(WWW for Scheduler の場合は不要です)
- Scheduler Client を起動します。
- 「ツール」-「環境設定」を選択します。
- 「ユーザ情報の保存」を「サーバで保存」にします。
この設定をしていないクライアントの場合,Assist連携機能でユーザのホームサーバを変更すると,ローカルグループ内のユーザに対し,以下の操作ができません。
- スケジュール表示
- 予約
- 空時間検索
- 自分・上司のスケジュールにおいて,登録・削除・回答
- ホームサーバの移動後,クライアント起動時に自動的に表示されるスケジュールが,自分のまたは上司のスケジュールの場合,登録・削除・回答はできません。
(2) 使用条件
- Scheduler ServerおよびFacilities Managerの親サーバがインストールされているマシン上で実行してください。
- Assist連携を使用している場合,Assist連携が正常に終了していることを確認してからこのコマンドを実行してください。もし,Assist連携が正常に終了しないままこのコマンドを実行した場合,実行後のアプリケーションの動作は保証しません。
- このコマンドを実行中は,Assist Viewer,またはAddress Server上での組織やユーザの変更作業をしないでください。
- 実行には多少時間がかかりますが,処理を中断しないでください。処理を中断した場合,実行後のアプリケーションの動作は保証しません。
- マルチサーバ環境では,ユーザが全く登録されていないScheduler Serverであっても,そのサーバに関しては,あらかじめ管理ツールでDNSホスト名,ならびにホームサーバ一覧に登録しておく必要があります。
- 「コンフィギュレーション」の「6.ログファイル最大容量」で指定するログ容量は大きめに設定しておいてください
- このコマンドを実行すると以下のディレクトリが作成されます。ログやバックアップですので,コマンド実行が正常終了したことを確認できたら,随時削除するようにしてください。このディレクトリは実行するごとに増え続けますので,ご注意ください。
<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]
<スケジュール格納ディレクトリ>/[処理ID*]
*:処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦+年+月+時+分+秒」)を表しています。
(3) 設定事項
(a) 移動者一覧ファイル
ホームサーバを移動するユーザの一覧を作成します。
ファイル名
任意に指定可
フォーマット
ユーザID<スペースまたはタブ>移動後のホスト名<スペースまたはタブ>移動前のホスト名<改行> |
移動者一覧ファイル作成時の注意事項
- 上記のフォーマットを1レコードとして,変更する人数分レコードを作成してください。
- 作成する場合は,スケジュールデータが存在しないユーザも必ずエントリに加えてください。
- Assist連携を使用してユーザのホームサーバを変更した場合は,必ずSFdatacpでデータの移動をしてください。
- Assist連携を使用してユーザのホームサーバを変更した場合は「5.1Groupmax Address - AssistのGroupmax連携機能」を参照して,移動者一覧リストの存在と内容の確認をしてください。
- Assist連携を使用している場合は,SFdatacpで指定する移動者一覧ファイルは必ずAssist連携機能で作成したものを使用してください。
<スケジュール格納ディレクトリ>/etc/MV.tbl
- 作成する場合は,ユーザIDは8文字以内の英数字で記述してください。
- 作成する場合は,ホスト名は255文字以内の英数字で記述してください。(「4.5DNSホスト名の登録」で登録済みのホスト名を記述してください。)
(b) ホームサーバ一覧ファイル
Assist連携を使用する場合,管理ツールを用いてホームサーバ一覧を作成する必要があります。作成手順は,「4.5 DNSホスト名の登録」の「(2) Assist連携用ホームサーバ一覧作成」を参照してください。その際の注意事項は,以下のとおりです。
- 他システムと接続している場合は,他システムのG/Wホスト名を一覧に追加しないでください。
- システムの構成が変更になった場合は,必ずこの一覧を再作成してください。
- ユーザが全く登録されていないサーバも含め,システム内のすべてのサーバを登録してください。
(4) バックアップの取得
このコマンドを実行する前に必ずシステム内のすべてのサーバで以下のデータのバックアップを取得してください。エラー発生時のリカバリに使用します。
<スケジュール格納ディレクトリ>/etc
<スケジュール格納ディレクトリ>
(5) ユーザのホームサーバ変更方法
「(3)設定事項」と「(4)バックアップの取得」の内容をすべて設定した後,ユーザのホームサーバ移動をするために以下のコマンドを実行してください。
コマンドの書式
SFdatacp
引数
- 第1引数
/m filename … 移動者一覧ファイルのファイル名(省略可)
移動者一覧ファイルのファイル名をフルパスで指定してください。何も指定がない場合は,Assist連携使用時に作成された以下のデフォルトの移動者一覧ファイルを参照します。
<スケジュール格納でディレクトリ>/etc/MV.tbl
したがって,Assist連携使用時には,このオプションを指定する必要はありません。
- 第2引数
/f logfile_name … ログファイル名(省略可)
logfile_nameを指定するとログメッセージの出力先を画面から指定したファイルに変更します。既に同じファイル名が存在する場合は上書きされます。
- 注意
- SFdatacp.logは詳細ログの出力先として使用されるため,SFdatacp.log以外のファイル名を指定してください。
コマンドパス
/usr/GroupAppo/bin/SFdatacp
リターンコード
0 ・・・ 正常終了
1 ・・・ 異常終了
(6) 確認事項
SFdatacpコマンド実行後は,以下のファイルの内容を参照して実行結果を確認してください。
(a) 詳細ログファイル
SFdatacpコマンドの詳細ログは以下のファイルに出力されます。格納先は,実行するたびに変更しますのでご注意ください。ログファイルに出力されたエラーメッセージの解説ついては,「付録H Assist連携時と「SFdatacp」実行時のエラーメッセージ」を参照してください。
<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]/SFdatacp.log
(b) ホームサーバ移動結果ファイル
SFdatacpコマンドを使ったホームサーバ移動の処理結果をユーザ単位で確認できるファイルです。
<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]/MVresult.tbl
- *:処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦+年+月+時+分+秒」)を表しています。
ホームサーバ移動結果ファイルのフォーマット
移動ユーザID <スペース> 移動後のホスト名 <スペース> 移動前のホスト名 <スペース> 処理結果 <スペース> 詳細エラー<改行> |
ホームサーバ移動結果ファイルの例
USER001 HOSTA HOSTB ○<改行> USER002 HOSTB HOSTA ○<改行> : : USER009 HOSTA HOSTC × 21<改行> |
<詳細エラー一覧>
20:移動後サーバとの通信エラーが発生しました
21:移動前サーバとの通信エラーが発生しました
22:移動後サーバでバイトオーダ変換に失敗しました
23:移動前サーバのスケジュールデータの受信処理に失敗しました
24:移動前サーバでスケジュールデータバックアップに失敗しました
31:ホームサーバの更新処理に失敗しました
255:その他のエラー
(7) エラー発生時の対処
「(6)確認事項」にしたがって詳細ログファイルに出力されているメッセージを確認し,エラーが発生している場合は,エラーの要因を除去した上で以下の手順にしたがって再実行してください。メッセージに応じて回復方法が異なる場合がありますので,「付録H Assist連携時と「SFdatacp」実行時のエラーメッセージ」を参照して正しく回復してください。基本的には,以下の方法で回復できます。
(a) すべて再実行する方法
- すべてのサーバで以下のデータをバックアップからリカバリしてください。
<スケジュール格納ディレクトリ>/etc
<スケジュール格納ディレクトリ>
- 親サーバの<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]/MVorg.tblを<スケジュール格納ディレクトリ>/etc/MV.tblとしてコピーしてください。
*:処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦+年+月+時+分+秒」)を表しています。
- SFdatacp [/f logfile_name] を実行してください。
(b) エラーとなったユーザのみ再実行する方法
この方法は,親サーバで以下の1から3の条件が整っているときだけ実行できます。
条件
- ホームサーバ移動結果ファイル(<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]/MVresult.tbl)が作成されている。
*:処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦+年+月+時+分+秒」)を表しています。
- 実行前に作成した移動者一覧ファイルが更新され,ホームサーバ移動結果ファイルで"×"がついたユーザのみがエントリされている状態になっている。
- エラーとなったユーザの移動前サーバの<スケジュール格納ディレクトリ>以下にスケジュールデータ(ユーザID名のディレクトリ)がある。スケジュールデータがない場合,取得しておいたバックアップからリカバリしてください。
手順
- 親サーバで<スケジュール格納ディレクトリ>/log/agent/[処理ID*]/MVresult.tblを参照してエラーが発生したユーザを確認してください。エラーが発生したユーザには,"×"が付いています。詳細は,「(6) 確認事項」の「(b) ホームサーバ移動結果ファイル」を参照してください。MVresult.tblが存在しない場合は,「付録H Assist連携時と「SFdatacp」実行時のエラーメッセージ」を参照して対処してください。
*:処理IDは,14桁の数字で,実行時間(「西暦+年+月+時+分+秒」)を表しています。
- 使用した移動者一覧ファイルが更新されて,1でエラーが発生したユーザのみがエントリされていることを確認してください。
- エラーが発生したユーザの移動前のサーバにスケジュールデータが残っていることを確認してください。残っていない場合,取得したバックアップから戻してください。
- SFdatacpを再実行してください。
エラー発生時の注意事項