4.1.4 フォルダの設計

ここでは,フォルダを設計するときに考慮する点について説明します。

<この項の構成>
(1) どのようなフォルダを定義するのかを考える
(2) 文書実体ファイルの格納ディレクトリを考える
(3) アクセス権によるフォルダの運用方法を考える
(4) 改変禁止モードによるフォルダの運用方法を考える

(1) どのようなフォルダを定義するのかを考える

まず,文書を管理するフォルダ体系を考えます。しかし,ディレクトリを定義するときと同様に,フォルダを定義するときも,体系や名称を決定するような規則性はありません。例えば,次のようなフォルダ定義が考えられます。

文書の種類をキーにしてフォルダを構築する
このようなフォルダには,同じ種類の文書が格納できます。例えば,議事録を格納するためのフォルダ「議事録」には,予算会議,工程会議及びグループミーティングなど,様々な会議の議事録だけを格納できます。更に詳細なフォルダ体系を定義すれば,議事録の種類ごとに格納することもできます。
月や期などの期間ごとのフォルダを構築する
このようなフォルダには,月や期ごとに発行する文書を格納できます。例えば,収支報告書や営業報告書を,月別に分類することなどが考えられます。文書の種類を表したフォルダの下位フォルダとして定義すると効果的です。
組織体系をキーにしてフォルダを構築する
このようなフォルダには,文書の種類に関係なく部署内で共有する文書が格納できます。例えば,ほかの部署への文書公開というような運用が考えられます。ただし,あまり下位の組織までフォルダとして表現すると,階層が深くなり過ぎます。したがって,分類索引を使用して文書へのリンクを綿密に設定しておくと効果的です。
改変禁止モードを設定したフォルダを構築する
改変禁止モードを設定したフォルダに登録された文書は,フォルダや一般文書データベース,文書に設定されたアクセス権に関係なく,文書の内容及び属性の更新,削除ができません。例えは,決裁書のように改ざんされては困る文書を管理するフォルダとして,改変禁止モードを設定したフォルダを適用する運用が考えられます。改変禁止モードを設定したフォルダから別のフォルダへ文書をコピーして,新規文書として再利用できます。

管理する文書は,Document Managerを利用する人の業種や部門によって異なります。したがって,通常の業務でどのような文書を作成して,管理しているのかを十分考慮して,体系的にフォルダを定義しておくことをお勧めします。ただし,Document Managerは文書を共有するためのプログラムですから,利用者全員がどんな文書を格納しているフォルダなのか分かるような,一般的な名称を付けることをお勧めします。

(2) 文書実体ファイルの格納ディレクトリを考える

フォルダごとに,文書実体ファイルのサーバ側の格納ディレクトリを指定できます。フォルダを定義するときに,Document Manager管理者が指定してください。文書実体ファイル格納ディレクトリは,フォルダに格納する文書数や文書の容量を考慮して指定してください。この指定がない場合は,上位フォルダで指定されたディレクトリを文書実体ファイル格納ディレクトリとします。したがって,文書実体ファイル格納ディレクトリを指定しないでフォルダを定義した場合は,すべての文書実体ファイルが同じディレクトリに格納されることになります。

なお,文書実体ファイル格納ディレクトリにはルート(/)ファイルシステム以外のファイルシステムを指定することをお勧めします。

また,格納先のディスク容量が一杯になった場合は,文書実体ファイル格納ディレクトリ変更ユティリティを使用して,文書実体ファイル格納ディレクトリを変更できます。文書実体ファイル格納ディレクトリ変更ユティリティについては「8.28 文書実体ファイル格納ディレクトリの変更(ISchfldr)」を参照してください。

(3) アクセス権によるフォルダの運用方法を考える

フォルダごとにアクセス権を設定できます。あるフォルダに設定したアクセス権は,下位フォルダに引き継がれます。Document Managerの運用形態やフォルダの共有の度合いなどを考慮してアクセス権を変更してください。

例えば,一般ユーザにはフォルダの参照と文書の作成だけを許可して運用します。この場合は,すべてのユーザに読み出し権と文書作成権を与えます。なお,フォルダのアクセス権は下位フォルダへ引き継がれます。したがって,最上位フォルダに下位フォルダを作成する前に,最上位フォルダに対して,各下位フォルダに共通するアクセス権を設定しておくと便利です。

フォルダのアクセス権については,「2.2.5 アクセス権の管理」を参照してください。

(4) 改変禁止モードによるフォルダの運用方法を考える

フォルダごとに改変禁止モードを設定できます。改変禁止モードは,決裁書や規則集など不用意に更新,改ざん,削除されては困る文書を管理するフォルダに対して設定すると便利です。ただし,次に示すフォルダには設定できません。

改変禁止モードは,作成した下位フォルダに引き継がれます。したがって,フォルダ体系を新規に定義する場合は,「改変禁止モードを設定するフォルダの階層」と「通常の状態で使用するフォルダの階層」と体系を分けて管理者が構築することをお勧めします。既に文書が格納されているフォルダに,改変禁止モードを設定すると,今まで文書を更新できていたユーザが,文書を更新できなくなりますので注意してください。

また,改変禁止モードが設定されたフォルダのアクセス権のうち,「グループ」と「全ユーザ」の権限を次のように制御してください。

Groupmax Integrated Desktopから操作する場合
  1. アクセス権ダイアログボックスで,[特殊]ボタンをクリックします。
  2. [特殊なアクセス権の設定]ダイアログボックスで,「下位作成」のチェックボックスが選択されていない状態にしてください。
Document Manager Clientから操作する場合
「フォルダアクセス権」ダイアログボックスで,「作成」のチェックボックスが選択されていない状態にしてください。
補足説明
改変禁止モードは,Document Manager管理者が設定した「改変禁止フォルダ管理者」も設定できます。ただし,改変禁止モードを設定するフォルダに対して「編集権」が必要です。