付録M.3 ユティリティ
- <この項の構成>
- (1) ウィルススキャンユティリティ(ISvirscn)
- (2) ウィルススキャン整合性ユティリティ(ISclnscn)
(1) ウィルススキャンユティリティ(ISvirscn)
(a) 形式
ISvirscn [-i 対象リストファイル名]
[-f フォルダのオブジェクトID]
[-s YYYYMMDDhhmm]
[-l]
(b) 機能
一般文書のウィルススキャンを行います。
ウィルススキャンは,Server - Scanによって非同期に実行されます。このため,このコマンドが終了してもウィルススキャンは完了していない場合があります。
- ウィルススキャン対象の文書
ウィルススキャンする文書は,このコマンド実行時にDocument Managerに登録済みの一般文書です。
オプションを指定することで,次のような条件でウィルススキャンを実行できます。
- 特定の文書をウィルススキャンする(-iオプション)
- 特定のフォルダ及びその下位フォルダに所属する文書をウィルススキャン
する(-fオプション)
- 更新された時間の範囲にある文書をウィルススキャンする(-sオプション)
- すべての文書をウィルススキャンする(オプションなし)
なお,ウィススキャン対象外の文書は次のとおりです。
- フォーム文書
- Server - Scanがウィルススキャンする際にDocument Managerで更新中の文書
- Server - Scanでウィルススキャン中の文書
- ウィルススキャン対象の文書のバージョン(版)
ウィルススキャン対象の文書のバージョン(版)については,「付録M.3(C) オプション」を参照してください。
- ウィルススキャン対象のファイル
ウィススキャン対象のファイルは次のとおりです。
- Server - Scanがサポートしているファイル種別
Groupmax の各プログラムが提供するファイルは対象外となります。
- ウィルス検知時の処理
Server - Scanの環境設定の内容に従って,文書中の該当するファイルを処理します。Server - Scanの環境設定については,「付録M.2(2) Server - Scanの環境設定」を参照してください。
文書中の該当ファイルを削除し,バージョン(版)中の実体ファイルがなくなっても,そのバージョン(版)は削除しません。
入れ替え時に文書の属性は,文書実体ファイルサイズと文書実体ファイル名だけが更新されます。
- 更新中文書の取り扱い
Server - Scanでウィルススキャンする際にDocument Managerで更新中の文書は,ウィルススキャンをスキップします。必要に応じて,ウィルススキップリストを基に対象リストファイルを作成してこのコマンドを再実行してください。
(c) オプション
- -i 対象リストファイル名
- ウィルススキャンの対象となる文書を定義した対象リストファイルの名称を指定します。
- このオプション指定時は,-s及び-fのオプションは無視し,該当文書の全バージョン(版)が対象となります。
- -f フォルダのオブジェクトID
- 文書が所属するフォルダのオブジェクトIDを16進文字列で指定します。ここで指定したフォルダの下位にあるフォルダに所属する文書もすべて対象となります。
- このオプション指定時は,-sのオプションは無視し,該当文書の全バージョン(版)が対象となります。
- -s YYYYMMDDhhmm
- 文書の更新日時をYYYYMMDDhhmm形式で指定します。指定できる範囲は,197001010000~203612312359です。このオプションで指定した日時以降の文書(版)が,ウィルススキャンの対象となります。なお,文書の最新バージョンがウィルススキャン対象かどうかによって,ウィルススキャン対象の範囲が異なります。
- 最新バージョンの文書がウィルススキャン対象の場合
- 指定した日時を基にして,古いバージョンもウィルススキャン対象かどうかをチェックします。チェックの結果,ウィルススキャン対象とならなかったバージョンの直前までがウィルススキャンの対象となります。
- 最新バージョンの文書がウィルススキャン対象外の場合
- 古いバージョンの文書はウィルススキャン対象となりません。
- なお,サーバマシンの時間を更新したことによって,新しいバージョンの文書の更新日時より,古いバージョンの文書の更新日時が新しくなることがあります。このような場合,このオプションを指定していると,ウィルススキャンの対象とはなりません。
- -l
- このオプションが指定された場合,結果リストにウィルススキャンリスト(scanchk.txt)が出力されます。
(d) 対象リストファイルの入力形式
対象リストファイルは,1行を1レコード(80バイト以内)として,ウィルススキャンを実行する文書のオブジェクトIDを記述します。形式を次に示します。
![[図データ]](figure/zu0l0102.gif)
(e) 出力ファイル
出力ファイルには,次の3種類があります。
- ウィルススキャンリスト(scanchk.txt)
ウィルススキャンを実施した文書情報(ウィルス感染を検出しなかったファイルだけ)を出力します。ただし,このリストが出力されるのは,-lオプションを指定ときだけです。また,ファイルが存在しない文書の情報は出力されません。
- ウィルススキップリスト(scanskip.txt)
ウィルススキャンをスキップした文書情報を出力します。
- ウィルスエラーリスト(scanerr.txt)
ウィルスを検知した文書情報を出力します。
既に出力ファイルが存在する場合は,当該ファイルを.bakファイルに変更後,出力ファイルを作成します。既に.bakファイルが存在する場合は,既存のファイルを上書きした後,出力ファイルを作成します。
出力ファイルの格納先は,/tmp下(デフォルトパス)です。/tmp以外のディレクトリに格納する場合は,環境変数「ISVIRSCN」に格納先ディレクトリパス名を指定してください。指定方法については,「付録M.2 環境設定」を参照してください。
- 出力ファイルの総容量
- -lオプションを指定していない時
約240×(ウィルススキャンをスキップしたファイル数+ウィルスを検知したファイル数+4)バイト
- -lオプションを指定した時
約240×(総文書数×1文書辺りの実体ファイル数の平均値×1文書辺りのバージョン数の平均値+6)バイト
- 出力形式
![[図データ]](figure/zu0l0103.gif)
(f) 注意事項
- このコマンドを実行するには,Server - Scanが必要です。
- このコマンドを実行できるのは,スーパーユーザだけです。
- このコマンドを実行する前に,Document Managerサーバを起動してください。
- 以前に実行したDocument Managerに対するウィルススキャンが終了していることを,Server - Scan のvkstatコマンドで確認した後,このコマンドを実行してください。
- Server - Scanがウィルススキャン中の文書は,編集モードで取り出すことはできません。
- ウィルスを検知した場合,感染ファイルの入れ替え又は削除が実行されます。
ただし,全文検索サーバには,感染ファイルの入れ替え又は削除後の情報が反映されません。ウィルスエラーリストを基に文書の再登録を実行し,全文検索サーバに情報を反映してください。
- ウィルススキャンユティリティ実行時に存在した文書が,Server - Scanでウィルススキャンする際に存在しなかった場合,無視(出力ファイルにも出力されない)して処理を続行します。
- -lオプションを指定した場合,ウィルススキャンリストのファイルサイズが大きくなるため,ディスク容量に注意が必要です。
- 出力ファイルの格納先を変更する場合は,「付録M.2 環境設定」を参照してください。
また,このコマンド実行時にも環境変数の設定が有効になっていることを確認してください。
- Document Managerサーバに存在するフォルダの数が多いとき,オプションを指定しないでこのコマンドを実行すると,理由コードが5035のエラーメッセージが表示される場合があります。その場合は,「付録M.2(3) オブジェクトサーバの環境設定」を参照して,環境設定を行ってください。環境設定後も同エラーが発生する場合は,次のどちらかの対処を実行してください。
- -sオプションで更新日時に197001010000を指定してから,このコマンドを実行する。
- -iオプション又は-fオプションを指定して,ウィルススキャンの対象範囲を分割するようにしてから,このコマンドを実行する。
(2) ウィルススキャン整合性ユティリティ(ISclnscn)
(a) 形式
ISclnscn
(b) 機能
Server - Scan実行中に障害などが発生し処理が中断された場合,ウィルススキャン中の文書にロックが掛かったままになることがあります。このような場合に,このコマンドでウィルススキャンユティリティで取得されたロックを解除します。
(c) 注意事項
- このコマンドを実行できるのは,スーパーユーザだけです。
- このコマンドを実行する前に,Document Managerサーバを起動してください。
- Server - Scan サーバを停止後,このコマンドを実行してください。