1.1 製図システムの特長

製図システム HICAD/DRAFT for Windows(Hitachi Computer Aided Design System/Drafting for Windows)は,ディスプレイ画面と対話しながら二次元の図面を作成する対話型の設計製図システムをパーソナルコンピュータ上で実現しています。

この製図システム HICAD/DRAFT for Windowsは,次に示す業務での使用に適しています。

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsの特長を次に示します。

<この節の構成>
(1) 優れた操作性
(2) 精度の高いデータの作成
(3) 豊富な作画機能
(4) HICAD/DRAFT/WXとの共存性
(5) 図面データ変換
(6) PDMACEと連携して,CALSへの対応を推進
(7) メニューのカスタマイズ
(8) ユーザ固有の使用環境が設定できる柔軟性
(9) オンラインヘルプ

(1) 優れた操作性

操作性を重視した高速応答のシステムなので,設計者が違和感なくディスプレイ画面と対話しながら操作できます。

操作するコマンドは,メニューバー上のメニュー,ビジュアル・アイコン,キーボードなどから入力できます。このとき,コマンドを操作するためのガイダンスが日本語で表示されます。

図面上の形状を選択してマウスの右ボタンをクリックすると,その形状に対して入力できるコマンドの一覧が現れます。

また,コマンドを入力しなくても,図面上の形状を直接操作して変形することもできます。

注記,表などへ日本語を記入する場合は,キーボードを日本語入力モードに切り替えれば記入できます。

(2) 精度の高いデータの作成

精度の高い図面データを作成するために,倍精度を採用しています。

(3) 豊富な作画機能

設計者が描きたいと思う形状を仕上げるために,形状の作成,および修正で使用するさまざまな機能を備えています。

また,JIS(Japan Industrial Standard)の製図規格に沿った寸法,記号,注記,および表を作成するための機能も備えています。

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsの代表的な作画機能を次に示します。

(a) ビジュアル・アドバイザ

ビジュアル・アドバイザの各コマンドは,コマンドを絵で表示したビジュアル・アイコンで選択できます。これによって,作画しようとする操作のイメージでコマンドが選択できます。

また,ビジュアル・アドバイザで点を指示する場合,入力する点の種別をシステムが自動的に判定します。これによって,入力する点の種別ごとに入力方法を切り替える必要がなくなります。

(b) 隠線処理

図面を作成するとき,外側から隠れて見えない部分の外形線を隠したり,破線にしたりして作成できます。

これによって,見え隠れする外形線を定義できます。

また,形状の変化によって,見えない部分が変化する場合でも外形線を再び定義できます。

(c) シンボル

図面の作成で定形的な図記号を数多く使用するときに,図記号をシンボルとして保管できます。図面を作成するときは,このシンボルを図面上に配置するだけで,保管した図記号が描けます。これによって,定形的な図記号を毎回作成する必要がなくなります。

(d) マクロ機能

マクロ機能は,定型的な形状を作画したり,形状の寸法値を変更して新しい形状を作成したりする作業を簡略化し,作業効率を向上させるための機能です。マクロ機能には,マクロコマンド機能とマクロ図形機能があります。

マクロコマンド機能は,形状を作画するための一連のコマンド群を,一つのコマンドとして実行できる機能です。この機能を使うことによって,繰り返し作業を簡略化できます。

マクロ図形機能は,形状の寸法値を変更して新しい形状を作成できる機能です。この機能を使うことによって,長さや大きさだけを変えて形状を作画する作業を簡略化できます。

(e) ミリメートルとインチ単位の操作

ミリメートル系の単位に加えて,インチ系の単位が扱えます。

インチ系単位の操作では,座標,および長さの入力はインチ単位となります。このとき,寸法値はインチ単位で表示されます。

また,寸法値はミリメートル系の単位との併記表示や分数での表示もできます。

(f) 複数図面の同時操作

ディスプレイ画面上に複数の図面を同時に表示できます。さらに,ある図面の一部をほかの図面に複写できます。複写する操作は,一つの図面の中で図形を複写するときと同じです。これによって,既存の図面の一部を流用して図面が作成できます。

(g) 立体図作成機能

立体図作成機能は,正面図,平面図,および右側面図の二次元形状を使って,任意の方向から見た立体図を作成する機能です。この機能を使うことによって,組立図やテクニカルイラストなどのある角度から見た立体図を作成できます。

この機能では,作成した二次元形状データを立体図として作成すると,三次元形状データに変換されます。そして,作成した立体図を登録すると,二次元形状データに変換され,図面として登録されます。

(h) True Typeフォントによる文字列の定義,編集

図面中の文字列を定義,または編集するときにTrue Typeフォントが使用できます。これによって,HICAD/DRAFT for Windowsが標準で提供しているストロークフォント以外の斜体文字やゴシック文字などが使用できます。

(i) 検図

作成した図面に,形状の透き間や寸法の過不足がないかチェックできます。

三次元CADやCAMにデータを渡す前のチェックなどに有効です。

(4) HICAD/DRAFT/WXとの共存性

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsは,製図システム HICAD/DRAFT/WXとの間で図面の互換性があります。これによって,パーソナルコンピュータ上で作成した図面をそのままワークステーションに移行できます。

また,製図システム HICAD/DRAFT for Windowsは,製図システム HICAD/DRAFT/WXの図面庫,および部品庫とネットワークで接続できます。

これによって,パーソナルコンピュータとワークステーションとの間で次に示すような図面データのやり取りができるCSS(Client Server System)が構築できます。

(5) 図面データ変換

データ形式の異なるほかのCAD(Computer Aided Design)製品と図面データを交換するために,次に示す図面データの変換ができます。

(6) PDMACEと連携して,CALSへの対応を推進

エンジニアリング情報統合システム PDMACE(Product Data Management for Creative Engineering environment)は,エンジニアリング情報を統合管理するために,リビジョン管理,セキュリティ管理,製品構成管理,ワークフロー管理などができます。

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsでは,このエンジニアリング情報統合システム PDMACEとの間に発生する指示作業をHICAD/DRAFT for Windowsの画面上から操作できます。これによって,製造業で製造プロセス全体をネットワークで貫いて生産性を向上させようとするコンカレントエンジニアリング(同時協調作業)やCALS(Commerce At Light Speed)への対応を推進しています。

(7) メニューのカスタマイズ

使用する頻度の高いビジュアル・アイコンを集めて新たな体系のビジュアル・アイコンのメニューを作成するなどユーザの開発環境に合わせてHICAD/DRAFT for Windows本体のメニューが変更できます。変更できるメニューを次に示します。

(8) ユーザ固有の使用環境が設定できる柔軟性

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsで設定しているシステムの標準値の内容を変更できます。

(9) オンラインヘルプ

製図システム HICAD/DRAFT for Windowsの基礎知識やコマンドの指定方法の説明をオンラインヘルプとして参照できます。