付録A.3 DABrokerの起動中に使用できるユティリティ

DABrokerの起動中には,次の二つのユティリティを使って情報を取得したり,HITSENSER5の処理を制御したりできます。

DABroker管理ユティリティ
DABrokerの動作状態を表示したり,特定のHITSENSER5の処理を中断したりできます。詳しくは「(1) DABroker管理ユティリティ」で説明します。
DABrokerトレース出力ユティリティ
通信トレース,及びアクセストレースを出力できます。このユティリティは,DABrokerが起動していなくても使用できます。詳しくは「(2) DABrokerトレース出力ユティリティ」で説明します。
参考 使用しないユティリティ
プログラムフォルダに登録された[DABroker]で[エージェント実行]を選択すると,DABrokerエージェント管理ユティリティが起動されます。しかし,DABrokerをHITSENSER5とリレーショナルデータベースの接続に使用している場合,このユティリティは使用しません。よって,このユティリティについての説明は省略します。
<この項の構成>
(1)  DABroker管理ユティリティ
(2) DABrokerトレース出力ユティリティ

(1)  DABroker管理ユティリティ

DABroker管理ユティリティの機能,操作できるユーザ,各機能を使用する場合の操作手順について説明します。

(a) 機能

DABroker管理ユティリティには次の二つの機能があります。

DABrokerの動作状態の表示
各HITSENSER5との接続時間,及び予約処理の状態を表示します。操作手順については「(c) DABrokerの動作状態を表示する操作手順」を参照してください。
HITSENSER5の処理の中断
指定したHITSENSER5との接続を解放し,実行中の処理を中断します。このとき,DABrokerはリレーショナルデータベースに要求した処理のロールバックを要求します。また,そのHITSENSER5が要求した予約処理をすべて取り消します。操作手順については「(d) HITSENSER5の処理を中断する操作手順」を参照してください。
(b) 操作できるユーザ

すべてのユーザが管理ユティリティを実行できます。ただし,特定のクライアントの処理を中断できるのは,WindowsのAdministratorsグループに属するユーザだけです。

(c) DABrokerの動作状態を表示する操作手順

DABrokerの動作状態を表示する手順を次に示します。

  1. DABrokerが起動していることを確認する
  2. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[DABroker管理]を選択する
    DABroker管理ユティリティが起動し,[DABroker管理]ダイアログに動作状態が表示されます。[図データ]をクリックすると,最新の動作状態に表示が更新されます。

    図A-4 [DABroker管理]ダイアログ

    [図データ]

    [DABroker管理]ダイアログに表示される項目の意味は次のとおりです。
    識別子
    DABrokerに接続されているクライアント処理を識別するための番号です。
    IPアドレス
    接続しているHITSENSER5があるマシンのIPアドレス。
    接続時刻
    HITSENSER5と接続した日時(年/月/日 時:分:秒)。
    接続時間
    接続してからの経過時間(時:分:秒)。
    予約
    実行中の予約処理数(HITSENSER5では使用しません)。
    状態
    HITSENSER5との接続状態。
    「接続中」と表示されている場合は,HITSENSER5とのコネクションが確立されていることを示します。
    ホスト名
    接続しているHITSENSER5があるマシンのホスト名。
    次の条件をすべて満たしている場合に表示されます。
    • 「図A-3 [リモートアクセス設定]タブの設定内容」で「IPアドレスからホスト名へ変換する」をチェックしている
    • 次のフォルダのhostsファイルに各クライアントのホスト名を登録している場合
      [Windowsインストール先フォルダ]¥SYSTEM32¥DRIVERS¥ETC
    なお,ホスト名の長さによっては,途中までしか表示されない場合があります。
  3. DABrokerの動作状態の確認が済んだら,[DABroker管理]ダイアログを閉じ,DABroker管理ユティリティを終了させてください。
(d) HITSENSER5の処理を中断する操作手順

特定のHITSENSER5の処理を中断する手順を次に示します。

  1. DABrokerが起動していることを確認する
  2. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[DABroker管理]を選択する
    DABroker管理ユティリティが起動し,[DABroker管理]ダイアログに動作状態が表示されます。
  3. [DABroker管理]ダイアログで処理を中断するHITSENSER5を選択し,[図データ]をクリックする
    確認のダイアログが表示されます。
  4. [はい]を選択する
    DABrokerは選択したクライアントとのコネクションを解放します。同時にリレーショナルデータベースに処理のロールバックを要求して,そのクライアントが要求したすべての予約処理を取り消します。

(2) DABrokerトレース出力ユティリティ

DABrokerトレース出力ユティリティの機能,操作できるユーザ,各機能を使用する場合の操作手順について説明します。

(a) 機能

DABrokerトレース出力ユティリティでは,次の2種類のトレースを出力できます。

通信トレース
通信トレースとは,DABrokerとHITSENSER5間のデータの送受信についての情報です。DABrokerがこの情報を取得するのは,クライアントからの要求受付直後,及びDABrokerからの結果送信直後です。通信トレースは,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥dabcltrcの下に出力されます。
アクセストレース
アクセストレースとは,DABrokerがリレーショナルデータベースに要求した処理,及びその処理に対するリレーショナルデータベースからの応答についての情報です。DABrokerがこの情報を出力するのは,リレーショナルデータベースに要求を出す直前及びリレーショナルデータベースから応答が返ってきた直後です。リレーショナルデータベースとのアクセストレースは,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥db_accessの下に出力されます。
(b) 操作できるユーザ

すべてのユーザがDABrokerトレース出力ユティリティを実行できます。

(c) トレースを出力する操作手順

通信トレース,及びリレーショナルデータベースとのアクセストレースを出力する操作手順を,次に示します。

  1. DABrokerが起動していることを確認する
  2. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[トレース出力]を選択する
    DABrokerトレース出力ユティリティが起動し,[DABrokerトレース出力]ダイアログが表示されます。

    図A-5 [DABrokerトレース出力]ダイアログ

    [図データ]

    • 通信トレースを出力する場合の操作
      1.[通信トレースを出力する]チェックボックスをチェックする
      2.[IPアドレスまたはホスト名]を設定する
      すべての通信トレースを出力する場合は,[IPアドレスまたはホスト名]に何も指定しないでください。特定のIPアドレス又はホスト名の通信トレースを出力する場合,[IPアドレスまたはホスト名]に,通信トレースを出力するIPアドレス又はホスト名を指定してください。
      3.通信トレースの出力先を指定する
      [出力先]ボタンをクリックすると,出力先を指定するダイアログが表示されます。出力先のファイル名を指定してください。省略した場合は,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥DABTT.TXTに出力されます。
    • アクセストレースを出力する場合の操作
      1.[アクセストレースを出力する]チェックボックスをチェックする
      2.[UAP名],[ユーザID]を設定する
      どの範囲のアクセストレースを出力するかによって,設定内容が異なります。場合ごとに必要な設定内容を表A-2に示します。

      表A-2 アクセストレース出力時の設定内容

      出力するアクセストレースの範囲[UAP名]※1[ユーザID]※2
      すべてのアクセストレースを出力する場合
      特定のHITSENSER5のアクセストレースを出力する場合
      特定のユーザIDのアクセストレースを出力する場合
      特定のHITSENSER5の特定のユーザIDのアクセストレースを出力する場合

      (凡例)○:指定する項目  -:指定しない項目


    注※1 [UAP名]
    「HS5」+「HITSENSER5ユーザID」を指定します。例えば,HITSENSER5ユーザIDが「LOGINUSRID」の場合,UAP名には「HS5LOGINUSRID」と指定します。
    注※2 [ユーザID]
    リレーショナルデータベースへログインするためのユーザIDを指定します。
    3.アクセストレースの出力先を指定する
    [出力先]ボタンをクリックすると,出力先を指定するダイアログが表示されます。出力先のファイル名を指定してください。省略した場合は,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥DABDT.TXTに出力されます。
  3. 「通信トレースを出力する場合の操作」,「アクセストレースを出力する場合の操作」が済んだら,[実行]ボタンを選択する
    指定した出力先が登録されます。
    なお,「通信トレースを出力する場合の操作」及び「アクセストレースを出力する場合の操作」の両方をすると,2種類のトレースが出力できます。
(d) トレースの出力例

通信トレース及びアクセストレースの出力例と,出力される項目の意味について説明します。

あらかじめ,この概算式で計算したサイズ以上のハードディスク容量を用意しておいてください。また,クライアントからの要求量が多いほど,トレース表示が終わるまで時間が掛かります。