MOLAPの場合の分析対象となる多次元データベース「Cosmicube」のデータは,分析次元とキー次元を組み合わせて構成されます。ROLAPの場合の分析対象となるデータも,仮想的な多次元データベースであるため,このマニュアルでは,分析次元とキー次元を組み合わせて構成されるものとして説明します。
それでは,分析次元,及びキー次元とは何でしょうか。ここでは,売上高について分析する場合を例に説明します。
売上高について分析する場合,「販売店ごとに分類して比較する」,「商品ごとに分類して比較する」,「販売時期別に分類して比較する」などの切り口が考えられます。この「売上高」のような分析対象が分析次元です。また,「販売店」,「商品」,「販売時期」など,分類のための条件が,キー次元です。
HITSENSER5で表やグラフを作るには,「何を」,「どのような分類条件で」分析したいのかを決め,「何を」に相当する分析次元と,「どのような分類条件で」に相当するキー次元を選択します。
これで,販売店別に各商品の売上高が集計された階層表,階層グラフ,及び明細表を作成できます。
図2-2 分析対象データを構成する要素と,階層表,階層グラフ,及び明細表の関係
分析対象データは,3次元以上の多次元の構造を持ちます。例えば,3次元で構成される分析対象データは,キューブ(立方体)としてイメージできます。3次元の分析対象データから階層表や階層グラフを作成する場合,階層表,階層グラフはキューブの特定の面を表示するものとイメージできます。
一方,明細表は特定の次元の内容を一覧表示するものとイメージできます。一覧表示された内容は,ほかの次元を条件にして表示を絞り込むことができます。
例えば,"販売店","商品","販売時期"の三つのキー次元で構成された分析対象データがあるとします。これから階層表,階層グラフを作成すると,次のようになります。次の図では,キューブの"商品"と"販売店"の面を階層表,階層グラフで表示するイメージを示しています。
図2-3 分析対象データと階層表及び階層グラフの関係
なお,階層表と階層グラフは互いに変換できます。この図で,階層表の「行軸」,「列軸」,「ページ軸」はそれぞれ,階層グラフの「項目軸」,「凡例軸」,「ページ軸」に対応しています。階層表,階層グラフ間の変換時にも,各軸はこのように対応します。
また,同じ分析対象データから明細表を作成すると,次のようになります。次の図では,"商品"次元の一覧を明細表で表示するイメージを示しています。
図2-4 分析対象データと明細表の関係
階層表は行軸,列軸,ページ軸で構成されます。それぞれの軸に分析対象データを構成する次元を割り当てることで,分析対象データのどの面を表示する表とするかを定めます。図2-3では"商品"次元を行軸に,"販売店"次元を列軸に,"販売時期"次元をページ軸に割り当てた階層表を作成しています。
階層グラフは項目軸,凡例軸,ページ軸で構成されます。階層グラフ下部に表示される軸が項目軸,階層グラフ右側に表示される軸が凡例軸です。図2-3では"商品"次元を項目軸に,"販売店"次元を凡例軸に,"販売時期"次元をページ軸に割り当てた階層グラフを作成しています。
明細表は,ページと見出し項目で構成されます。図2-4では,"販売時期"次元をページに,"販売店"次元と"商品"次元を見出し項目に割り当てた明細表を作成しています。