MOLAPの場合,分析対象データはCosmicubeに格納されているデータなので,HITSENSER5で特別な準備は必要ありません。一方,ROLAPの場合は,HITSENSER5の機能を使って,非正規化されたテーブル「分析データベース」を定義し,そこから分析対象となる「分析対象データ」を定義しておく必要があります。
分析データベースとは,RDBから階層表,グラフなどを作るために,使用する項目名等を指定した定義体です。
ここでは,分析データベースについて説明します。分析データベースの概要を次に示します。
図2-5 分析データベースの概要
データベースの構造は,エンドユーザには分かりにくいものです。そこで,エンドユーザがデータベースの構造やSQLに関する知識がなくても自由に検索できる仕組みが必要となります。この仕組みをHITSENSER5では,分析データベースと呼んでいます。
HITSENSER5では,データベースの構造をユーザに意識させないで,分析作業に集中できるように,分析データベースという独自の定義体がフィルタの役割を果たし,ユーザにデータベースの構造を見せないようにします。
例えば,分析データベースから見える項目は,「地区」「店舗」「商品」「売上予算」「売上実績」「予算達成率」などのように,すべて日常業務で使っている言葉に変換されます。これらの項目が検索するための部品となります。
分析データベースの項目と実際のデータベース構造との関連付けは,あらかじめ管理者が定義します。また,分析データベースの作成時に分析データベースへのアクセス権を設定できるため,営業部門の社員が企画部門のデータにアクセスするなど,他者のデータにアクセスするのを防ぐこともできます。
分析対象データとは,分析データベースを基に,目的の分析操作に必要なデータを抽出するための条件を定義したものです。検索条件に従って抽出したデータを基にして,階層表や明細表などの表や階層グラフを作成します。分析対象データの概要を次に示します。
図2-6 分析対象データの概要
このように,分析対象データは,分析データベースを基に,目的の分析操作に必要なデータを抽出する条件を定義したものです。
リレーショナルデータベースのデータを抽出するための分析対象データには,分析データベースにはない次元を追加定義した分析対象データや絞り込み条件画面を使用してユーザがさらに条件を絞り込んだ分析対象データがあります。