1.3.1 ROLAPを利用する場合
(1) ROLAPのシステム構成
ROLAPを利用するには,次の要素で構成される分析システムが必要です。
- リレーショナルデータベース
分析対象となるデータを格納するためのデータベースです。次の製品が使えます。
- HiRDB
- HiRDB on XDM(XDM/RD E2)
- ORACLE
- Microsoft SQL Server
- DIAPRISM
- HITSENSER5
- HITSENSER5の管理情報を格納するためのファイル,又はリレーショナルデータベース
リレーショナルデータベースには次の製品が使えます。
- HiRDB
- ORACLE
- Microsoft SQL Server
次に,ROLAPを利用する場合のシステム構成を示します。
図1-7 ROLAPを利用する場合のシステム構成
![[図データ]](figure/zu010060.gif)
- 注※1 リレーショナルデータベースのデータを参照する場合
- 次の場合に,リレーショナルデータベースのデータが参照されます。
- 分析データベースを作成する場合
- 分析データを取得する場合
- 管理情報をリレーショナルデータベースに登録した場合
- 注※2 「HITSENSER5 Professional」及び「HITSENSER5 Standard」とは
- HITSENSER5 Professionalはシステム管理者用,HITSENSER5 Standardは分析者用の製品です。ユーザの役割に従って,必要な方をインストールしてください。
- HITSENSER5 Professional
- HITSENSER5動作環境などを管理するシステム管理者が使います。「マネージャ」と「アナライザ」の二つが含まれています。「マネージャ」とは,HITSENSER5の動作環境の設定,ユーザ管理,分析情報ファイルの管理などをするためのツールです。「アナライザ」とは,データベースから表やグラフを作成して,分析作業をするためのツールです。
- HITSENSER5 Standard
- HITSENSER5を使って多次元分析をする分析者,及び分析者が登録した分析状態を参照する一般ユーザが使います。「アナライザ」だけが含まれています。「アナライザ」とは,データベースから表やグラフを作成して,分析作業をするためのツールです。
(2) ROLAPのデータの流れ
ROLAPを利用する場合のデータの流れを次に示します。
図1-8 ROLAPを利用する場合のデータの流れ
![[図データ]](figure/zu010080.gif)
- ビューア(階層表,階層グラフ,及び明細表)の初期表示時,データベースのテーブルのデータ(データA)をあらかじめ定義された条件で,リレーショナルデータベースから検索し,クライアントに転送します。クライアントでは,分析用にデータを加工します。
- ドリルダウンなどの多次元操作の処理は,クライアント側のデータを使用するため,リレーショナルデータベースにはアクセスしません。ただし,ドリルスルー実行時にはリレーショナルデータベースにアクセスします。
(3) ROLAPのメモリ所要量
ROLAPを利用する場合,分析対象データの情報をリレーショナルデータベースから取得する際に使用するメモリ所要量の算出方法と算出例について説明します。メモリの最大所要量は,常駐メモリの所要量と一時メモリの所要量の合計となります。
なお,ここで説明する算出方法はメモリ所要量の概算であるため,実際のメモリサイズはリレーショナルデータベースのデータによって異なります。
- 常駐メモリ所要量の算出方法
常駐メモリ所要量は,分析対象データを開いている時に常に必要となるメモリ所要量です。
分析対象データの定義及びリレーショナルデータベースのデータをもとに常駐メモリ所要量を算出します。計算式に使用する情報は,次のとおりです。
- 分析対象データ定義の総メンバ数
- 分析対象データ定義の総次元数
- 分析項目数
- 平均メンバ名称長
- 平均表示名称長
- 常駐メモリ所要量の概算を求める計算式を次に示します。
- 常駐メモリ所要量(バイト)=(A+B+C)×2.5
上記の式で,A,B,Cの値は,次のようにして求めます。
- Aの値の算出式
分析対象データ定義の総メンバ数×(110+平均メンバ名称長+平均表示名称長)
- Bの値の算出式
リレーショナルデータベースからの入力レコード数×10×分析項目数
- Cの値の算出式
リレーショナルデータベースからの入力レコード数×20×分析対象データ定義の総次元数
- 一時メモリ所要量の算出方法
一時メモリ所要量は分析対象データの実データをリレーショナルデータベースから取得するときに,一時的に必要となるメモリ所要量です。
分析対象データの定義及びリレーショナルデータベースのデータをもとに一時メモリ所要量を算出します。計算式に使用する情報は,次のとおりです。
- 分析対象データ定義の総レベル数
- 分析項目数
- 平均メンバ名称長
- 平均表示名称長
- 一時メモリ所要量の概算を求める計算式を次に示します。
- 一時メモリ所要量(バイト)=A+B
上記の式で,A,Bの値は,次のように求めます。
- Aの値の算出式
分析対象データ定義の総レベル数×リレーショナルデータベースからの入力レコード数×(180+平均メンバ名称長+平均表示名称長)
- Bの値の算出式
リレーショナルデータベースからの入力レコード数×16×分析項目数
- メモリ所要量の算出例
メモリ所要量の算出例を示します。算出例に使用する値は,次のとおりです。
表1-1 算出例に使用する値
項目 | 値 |
---|
分析対象データ定義の総メンバ数 | 10,000 |
分析対象データ定義の総次元数 | 6 |
分析対象データ定義の総レベル数 | 12 |
分析項目数 | 4 |
平均メンバ名称長(バイト) | 20 |
平均表示名称長(バイト) | 10 |
リレーショナルデータベースからの入力レコード数 | 25,000 |
- 常駐メモリ所要量
- Aの値の算出
- A=10,000×(110+20+10)=1,400,000
- Bの値の算出
- B=25,000×10×4=1,000,000
- Cの値の算出
- C=25,000×20×6=3,000,000
- 常駐メモリ所要量の算出
- 常駐メモリ所要量(バイト)=(A+B+C)×2.5=(1,400,000+1,000,000+3,000,000)×2.5=13,500,000
- 一時メモリ所要量
- Aの値の算出
- A=12×25,000×(180+20+10)=63,000,000
- Bの値の算出
- B=25,000×16×4=1,600,000
- 一時メモリ所要量の算出
- 一時メモリ所要量(バイト)=A+B=63,000,000+1,600,000=64,600,000
- メモリの最大所要量
- メモリの最大所要量の算出
- メモリの最大所要量(バイト)=常駐メモリ所要量+一時メモリ所要量=13,500,000+64,600,000=78,100,000