1.3.1  ROLAPを利用する場合

ROLAPを利用する場合のシステム構成,データの流れ,及びメモリ所要量について説明します。

<この項の構成>
(1) ROLAPのシステム構成
(2) ROLAPのデータの流れ
(3) ROLAPのメモリ所要量

(1) ROLAPのシステム構成

ROLAPを利用するには,次の要素で構成される分析システムが必要です。

次に,ROLAPを利用する場合のシステム構成を示します。

図1-7 ROLAPを利用する場合のシステム構成

[図データ]

注※1 リレーショナルデータベースのデータを参照する場合
次の場合に,リレーショナルデータベースのデータが参照されます。
  • 分析データベースを作成する場合
  • 分析データを取得する場合
  • 管理情報をリレーショナルデータベースに登録した場合
注※2 「HITSENSER5 Professional」及び「HITSENSER5 Standard」とは
HITSENSER5 Professionalはシステム管理者用,HITSENSER5 Standardは分析者用の製品です。ユーザの役割に従って,必要な方をインストールしてください。
HITSENSER5 Professional
HITSENSER5動作環境などを管理するシステム管理者が使います。「マネージャ」と「アナライザ」の二つが含まれています。「マネージャ」とは,HITSENSER5の動作環境の設定,ユーザ管理,分析情報ファイルの管理などをするためのツールです。「アナライザ」とは,データベースから表やグラフを作成して,分析作業をするためのツールです。
HITSENSER5 Standard
HITSENSER5を使って多次元分析をする分析者,及び分析者が登録した分析状態を参照する一般ユーザが使います。「アナライザ」だけが含まれています。「アナライザ」とは,データベースから表やグラフを作成して,分析作業をするためのツールです。

(2) ROLAPのデータの流れ

ROLAPを利用する場合のデータの流れを次に示します。

図1-8 ROLAPを利用する場合のデータの流れ

[図データ]

  1. ビューア(階層表,階層グラフ,及び明細表)の初期表示時,データベースのテーブルのデータ(データA)をあらかじめ定義された条件で,リレーショナルデータベースから検索し,クライアントに転送します。クライアントでは,分析用にデータを加工します。
  2. ドリルダウンなどの多次元操作の処理は,クライアント側のデータを使用するため,リレーショナルデータベースにはアクセスしません。ただし,ドリルスルー実行時にはリレーショナルデータベースにアクセスします。

(3) ROLAPのメモリ所要量

ROLAPを利用する場合,分析対象データの情報をリレーショナルデータベースから取得する際に使用するメモリ所要量の算出方法と算出例について説明します。メモリの最大所要量は,常駐メモリの所要量と一時メモリの所要量の合計となります。

なお,ここで説明する算出方法はメモリ所要量の概算であるため,実際のメモリサイズはリレーショナルデータベースのデータによって異なります。

常駐メモリ所要量の概算を求める計算式を次に示します。
常駐メモリ所要量(バイト)=(A+B+C)×2.5

上記の式で,A,B,Cの値は,次のようにして求めます。

Aの値の算出式

分析対象データ定義の総メンバ数×(110+平均メンバ名称長+平均表示名称長)

Bの値の算出式

リレーショナルデータベースからの入力レコード数×10×分析項目数

Cの値の算出式

リレーショナルデータベースからの入力レコード数×20×分析対象データ定義の総次元数

一時メモリ所要量の概算を求める計算式を次に示します。
一時メモリ所要量(バイト)=A+B

上記の式で,A,Bの値は,次のように求めます。

Aの値の算出式

分析対象データ定義の総レベル数×リレーショナルデータベースからの入力レコード数×(180+平均メンバ名称長+平均表示名称長)

Bの値の算出式

リレーショナルデータベースからの入力レコード数×16×分析項目数